中学生は「思春期前期」と呼ばれる心と体の成長期!この時期特有の男女の特徴

思春期を迎えた中学生男女の特徴からだの悩み
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中学生になると、いかにも子どもらしかった小学生時代を少し抜け、大人へと成長する片鱗が見え始める時期です。このように、心も身体も徐々に大人へと成長していく時期のことを「思春期」と言いますが、中学生はその中でも「思春期前期」と呼ばれます。

思春期前期である中学生は、男女それぞれにどのような特徴が見られるのでしょうか。脳・心・身体と、それぞれ詳しく見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 思春期はどんなことから影響を受けるか
  • 思春期の子どもの脳で起きていること
  • 成長著しい中学生男女の体や性機能の変化
  • 学校生活の友人関係やストレスの注意点
  • 保護者が気をつけたい子どもへの接し方と言葉かけ

中学生は前期思春期?脳や心、体はどんな状態?

思春期とは、自分の周囲の人間関係や環境の影響を受けながら、一人の人間として自我を確立していく時期のことです。幼稚園や小学生の頃は家族や先生など、自分に近い大人の影響力が強いのですが、思春期に入ると友人など仲間集団の役割が大きくなってきます。ですから、思春期に見られるさまざまな問題行動を保護者や教師が理解し対応するためには、子どもにとっての目標や背景要因など、大人から見えない部分の理解も必要なのです。

発達心理学によれば、小学校高学年〜高校生くらいの時期が思春期と呼ばれ、自我を確立途中である仲間との関係によって自我(自我同一性)を確立していく時期とされています。また、下記の要因も自我の確立に影響を与えます。

  • 社会システム(価値観、流行など)
  • 帰属集団(学校文化、地域特性など)
  • 家庭環境(経済状態、親の養育機能や性格など)
  • 発達特性(身体、認知、課題など)

思春期の脳の状態

このように、思春期には意識や精神面で大きな変化が起こりますが、その変化を引き起こすのは主に脳の発達です。乳幼児期には原始的な快・不快の感情や生命維持機能を司る「身体の脳(大脳辺縁系、視床・視床下部、中脳など)」が育ち、1歳ごろからは言語・学問や人間らしさを司る「理性の脳(主に大脳新皮質)」が育ってきます。

大脳新皮質は後ろから順に育っていくとされ、大脳新皮質のうちで最も前側に位置する「前頭葉」、特にその中でも「前頭前野」は人間の脳の中で最後に成熟するとされています。前頭前野はいわゆる「高次脳機能」と呼ばれる機能を司る中枢であり、「計画・順序の決定・総合的判断・衝動抑制・行動結果予測」など、抽象的な行動を制御する部分で、成長速度には個人差がありますが、思春期を経て20代前半くらいまでの時間をかけて成熟すると考えられています。

この機能の成熟を後押しするように、思春期にはホルモンの影響で、動機づけや行動に関与する「ドーパミン」という神経伝達物質が脳内に増加します。ドーパミンは物事に対する興味や好奇心などを高める働きがありますので、思春期の子どもは好奇心からさまざまなことに興味を持つだけでなく、感情が爆発するような状況をあえて求めるという傾向があります。

このように、好奇心や探究心を追い求める脳(大脳辺縁系)は十分に発達している反面、判断や決定を下す脳(前頭葉)は未成熟なのが思春期の特徴なのです。つまり、危険な行動や衝動的な行動を行うべきかどうかの判断を行ったり、必要に応じて抑制したりすることができません。子ども自身もなぜそんなことをしてしまうのかわからず、混乱してしまうのです。

思春期の体の状態

思春期にはこうしたトライ・アンド・エラーを繰り返して脳の理性的・人間的な部分が成熟していきますが、身体も最後の成熟過程として性成熟を引き起こします。こうした身体の変化が起こるのは、脳の「脳下垂体」という部位から「性腺刺激ホルモン」というホルモンが分泌され、男性の精巣からは男性ホルモンが、女性の卵巣からは女性ホルモンが放出されるためです。

また、男子は肺の発育によって体力や持久力が自分でもわかるほど増大したり、男女ともに心臓の重さが約2倍にも成熟したりします。このように心臓や心血管系の働きが変化したり、肺の変化が呼吸器系に影響したりすることで、身体の筋肉の大きさや強さなども変わってきます。身体の変化は急激であり、しかも個人差が大きいため、子どもの自尊心にも大きな影響を及ぼします。

心身の急激な変化に否応なしに巻き込まれていく思春期の子どもにとって、大切な課題は「健全な自我同一性(アイデンティティ、自己同一性とも)を形成すること」です。過去も今も自分は変わることない自分自身という一人の人間であり、それは未来においても変わることなく、かつ、他人からも認められているという自信が自我同一性(アイデンティティ)なのです。

中学生の男の子の思春期の体の特徴

前述のように、思春期になると男女それぞれの性成熟を司る「男性ホルモン」「女性ホルモン」が第二次性徴を引き起こします。男性の身体や生殖機能を作るのは「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンであり、以下のような身体の変化をもたらします。

  • 精巣(睾丸)が大きくなり、陰嚢の色が変わる
  • 陰茎が長く大きくなり、包皮が後退する
  • 陰毛が生え、精通が起こる
  • 声変わりが起こる
  • 腋毛や髭が生えてくる
  • 乳輪の面積が若干広くなり、乳頭とともに茶色や黒色に変化する
  • 肩幅が広くなる
  • 筋肉が発達し、顔つきが変化する
  • 体臭が発生する

男の子が第二次性徴を実感するポイントとしてよく語られるものに「精通」がありますが、これはすなわち陰茎(ペニス)から精液が飛び出す「射精」を初めて経験することです。精通の時期や自覚にも個人差があり、早い人では10歳ごろから起こる人もいますが、遅い人では18歳ごろに起こる人もいて、自分でははっきりと気がつかないうちに始まっていたという人もいます。

性ホルモンが急激に分泌されるこの時期には、自分の身体が急激に変化するだけでなく、ホルモンバランスも大きく変化して精神的に不安定になることがあります。イライラしたり情緒不安定になったりすることがありますが、保護者はそっと見守り、必要があれば優しくサポートしてあげると良いでしょう。

中学生の女の子の思春期の体の特徴

思春期に第二次性徴が起こるのは、女の子も同じです。女性ホルモンである「エストロゲン」が身体に以下のような変化を引き起こします。

  • 皮下脂肪が蓄積されやすくなり、体重が増える
  • 乳房が膨らみ、陰毛や腋毛が生える
  • 身長がぐっと伸びる
  • 初潮(初めての月経)が起こる
  • 体つきが丸みを帯びてくる
  • 乳輪の色が濃く変化する

女の子の第二次性徴と言えば、やはり大きな変化として月経が挙げられるでしょう。身体から血が出るのでびっくりする子も多いのですが、誰にでも起こるごく当たり前の変化であり、身体の異常ではありません。また、女性らしい丸みを帯びた体つきは皮下脂肪によって作られますので、体重が急に増えることもありますが、これも自然な変化なので無理なダイエットはしないようにしましょう。

思春期にはどうしても異性を意識することが増えるので、自分の容姿を必要以上に気にしたり、友人と比べて優劣をつけたりしてしまいがちです。しかし、このとき無理なダイエットをして栄養不足に陥ってしまうと、骨折しやすくなったり、月経がきちんと来なくなったりと正常に身体が作られなくなってしまう可能性がありますので、気をつけましょう。

骨折しやすいということはすなわち骨がもろいということで、身長が伸びないなどの短期的なトラブルを抱える可能性だけでなく、将来的に骨粗鬆症につながるリスクが高くなってしまいます。思春期に体重が増えるのはごく自然なことであり、自分にとっての「ちょうど良い体型」は人それぞれであることを忘れないようにしましょう。

思春期の男女に多い態度や行動って?反抗期の有無の違いはどこにある?

思春期は、異性を意識するようになるのが男女ともに最も大きな変化です。性に対する興味や好奇心も増してくるので、「可愛くなりたい、キレイになりたい」「格好良くなりたい、筋肉をつけたい」といった見た目の変化を気にする子も増えてきます。これは、自分自身を客観視する視点が生まれることで、他人からどう見られるかを意識するようになることも関係しています。

男女別に現れやすい傾向もあります。例えば、女の子は身体の大きな変化に戸惑ったり、友人関係に悩んだり、相手によって態度を変えるようになったりします。男の子は言葉や態度が暴力的になったり、ものを投げたり壊したり、異性を意識して性的な興味を持つようになったりします。とはいえ、言葉が乱暴になる女の子もいれば、身体の変化に戸惑う男の子もいますし、どのように思春期の特徴が現れてくるかは個人差や環境の違いに影響されます

しかし一方で、思春期には自立心が芽生え、挨拶や返事なども含めた言葉数が少なくなる傾向にありますので、家族にはなかなか異性の話や、心身の悩みなどを話してくれないかもしれません。保護者にとってはもどかしい時期でもありますが、何か相談されたときにはぜひ、経験談などを交えながら親身になって話を聞いてあげましょう。

反抗期は子どもの心身が成長している現れでもある?

このような傾向から、思春期はイコール反抗期と考えられてしまうことも多いのですが、反抗期は思春期とは異なる意味を持ちます。

反抗期とは
心が成長することで、それまでとは違う自分を認識し、家族や周囲の大人に対して反抗的な態度をとる時期

必ずしも思春期の子ども全員が反抗期になるわけではありません。しかし、思春期の「身体の変化によるストレス」と、だいたい10歳ごろから始まるとされる第二次反抗期の時期が重なると、より激しい反抗が起こることもあります。

そもそも、反抗期が起こるのは子どもの心身の成長により、周囲の大人と子ども本人の価値観が少しずつズレていくことが根本の原因とされえます。子どもはこのズレによる戸惑いや苛立ちをまだ自分でコントロールしきれないため、反抗的な態度となって現れてしまうのです。家族や周囲の大人との価値観のズレが非常に小さければ、特に目立った反抗がないまま思春期を成長しきる子もいます。

例えば、お互い同じ目標に向かっているなどの共通意識、心の成長が早くて反抗する気持ちを子どもが自分の中で上手に消化できる、といった場合には反抗期が起こらないことがあります。これらのケースは心身が健全に成長できていますので、反抗期が起こらなくても全く問題ありません。

一方、親を過剰に恐れていたり、親への信頼が不十分で反抗できなかったりする場合にも反抗期が起こらないことがありますが、この場合は子どもがフラストレーションを無理に自分の中に抱え込んでしまうため、注意が必要です。

このように、反抗期の有無は、親子の仲が良い悪いといった単純な要因でははかれません。保護者の方は表面的な反抗期そのものの有無を気にするのではなく、子どもがどのように自分の気持ちや意思を表現しようとしているのかに注目しましょう

いじめや不登校も心配…思春期の中学校生活のストレスって?

最初にご紹介したように、思春期は保護者をはじめとした周囲の大人よりも、友人など仲間の存在が重要さを増してくる時期です。ということは、影響も友人からの方が受けやすくなりますので、ときには親や家族に嘘をついてでも友人同士のルールやつながりを守ろうとします。逆に言えば、友人との人間関係がこじれた場合、中学生の「いじめ」の可能性も高まるということです。

いじめをする子は強いストレスを感じていると言われることがありますが、小学生から中学生になると心身の大きな変化だけでなく、環境の変化の影響も受けます。教科担任制になってたくさんの大人と関わることになったり、定期テストで成績を非常にシビアに評価されるようになったりと環境も大きく変化するため、子どもたちは大人が思っているよりも非常に大きなプレッシャーやストレスを感じています

部活動も小学生の頃よりハードになり、習い事や塾に通い始めて時間にも追い立てられる子が増えるでしょう。こうしたさまざまなストレスが積み重なり、大人から見ればあまりに些細なきっかけであっても、簡単に爆発していじめなどの問題行動につながりやすいのが中学生の特徴です。

実際に、文部科学省が発表した「平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によれば、全国の中学校の85.2%にのぼる学校でいじめが起こっていると認知されています。起こった場所は学校の内外を問いませんが、認知されているだけでも8割以上の学校で起こっているいじめは、中学生にとって非常に身近な問題の一つと言えるでしょう。

また、同調査で長期欠席者を理由別に調べたところ、全欠席者の76.7%(119,687人)が病気や経済的理由などを除く不登校の生徒であり、出席日数が0日の子も3.1%います。不登校の理由は人によってさまざまですが、いじめなど人間関係の他にも無気力や不安など情緒的な問題が多く、中学生の抱えるストレスは決して軽視できるものではないと言えそうです。

中学生の思春期への接し方や性教育って?NGな対応も理解しておこう

思春期前期である中学生に対しては、嫌味なく自然に家族愛を感じさせる環境を作ってあげることが何よりも大切です。

心身や環境の急激な変化があって大きなストレスを感じたり、心身ともに疲れたりしたら家庭に帰ってきて安心して休んでいい、と態度でも言葉でもしっかり伝えておくことが子どものストレスを和らげ、情緒を安定させてくれます。

また、思春期の自立心はどうしても保護者の価値観とぶつかり、険悪な雰囲気になってしまうこともあるかもしれませんが、小さなことでも良いので時々は子どもを褒め、感謝の言葉を伝えてあげることも重要です。褒めたり感謝したりすることはその人の存在を認めることになり、いつでもあなたを見守っている、という優しいメッセージになります。

特に男の子は言葉も乱暴になってくるので、「うるせえな!」などと反発されてしまうと保護者の方もショックを受けてしまうことがあります。しかし完全にほったらかしにしたり、腫れ物を触るような接し方をしたりするのはかえって子どもの情緒を不安定にしてしまい、良い影響を与えません。適度な距離感を探っていくのがこの時期、保護者にとっての課題と言えるでしょう。

一方で、反抗期の子どもは幼児や老人など、社会的弱者に対して優しい態度を見せることがあります。例えば、両親が「そろそろお風呂に入ってしまいなさい」と言うと反発する子どもでも、同居の祖父母に言われると素直に従う、ということもあるようです。つまり、相手によって態度を使い分けられるわけで、反抗的な態度は自己主張の一種と考えて上手に受け流しましょう。

逆に、以下のような接し方はNGです。

  • 叩く、殴るなど体罰を行う
  • 自身の青春時代や、他の子どもと比較する
  • くどくどと、愚痴をこぼすように説教する
  • 子どものやることに干渉しすぎる
  • 携帯やスマホを取り上げる

また、可能な限りで夫婦仲を円満に保つことも重要です。特に、日常会話の端々に離婚を匂わせるような内容をちらつかせるようなことはやめましょう。「不仲の原因は自分にあるのではないか」「自分がいるせいで両親は離婚できないのではないか」などと考え、子どもによっては「自分さえいなければ」と極端な行動を起こしてしまう可能性もあります。

中学生にはどんな性教育をすればいいの?

中学生になると異性を意識し始める子どもも多いため、性教育は重要な課題の一つです。特に、性に対して嫌悪感や恐怖感を持ってしまうのを防ぐためにも、「恥ずかしいこと、隠すべきこと」「汚いこと」といったイメージを教えないよう注意しなくてはなりません。性はもともと備わっている心身の機能の一つであり、生きていく上で当たり前のことなのです。

そこで、ユネスコによる性教育の国際的な手引きなどを参考に、正しい知識を段階的に話していってあげると良いでしょう。例えば、5〜8歳ごろには男女の生物学的な違いなどを、9〜12歳ごろには受精や妊娠の概要と第二次性徴に対する心構えなどを、12〜15歳の中学生ごろには以下のようなポイントを教えることが推奨されています。

  • 性行為について、自ら意思決定することの大切さ
  • さまざまな避妊方法があり、それぞれ特徴が異なること
  • 若すぎる出産が心身の健康に及ぼす害について

もちろん、子どもによっては書物やインターネットを通じてさまざまな知識を得ている場合も、逆にほとんど性的な知識がない場合もあります。上記のポイントはあくまでも目安であり、子ども自身の知識や心身の成長度合いに応じた対応を心がけましょう。

おわりに:中学生は心身も環境も大きく変化する時期。子どもの抱えるストレスに注意

思春期はだいたい小学校高学年〜高校生ぐらいの時期を指します。中学生ごろは思春期がまだ始まったばかりで、心身ともに急激な成長を遂げますが、第二次性徴を伴う大きな身体の変化に戸惑う子も少なくありません。

小学生から中学生にかけては、周囲の環境も大きく変化しますので、子どもたちは非常に大きなストレスを抱え込んでしまいます。反抗的な態度は上手く受け流し、家族愛を自然に感じられるようサポートしてあげましょう。

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