身長を伸ばす方法は?成長期が終わった大人でも背は伸びる?

身長測定をする男児と女児からだの悩み
この記事は約20分で読めます。

人間の身体は「第二次性徴期」と呼ばれる思春期頃までが成長期とされ、その時期を過ぎると大人の体への変化が完了することが多いです。そのため、成人を超えて大きく背が伸びたり骨格が変わったりすることはほとんどありません。

では、成長期にしっかり身長を伸ばしておくためにはどんなことに気をつければ良いのでしょうか。また、大人になっても背を伸ばす方法はあるのでしょうか。

この記事でわかること
  • 身長が伸びる成長パターンと成長ホルモンとは
  • 身長が低くなるにはどんな原因がある?
  • 身長を伸ばす食習慣、睡眠、運動のポイント
  • 筋トレをすると身長が伸びにくくなるか
  • 栄養機能食品やサプリに背を伸ばす効果はある?!
  • 身長を伸ばす治療や手術の内容と費用は?

身長が伸びるメカニズムは?日本人の平均身長は何cm?

厚生労働省のデータによれば、日本の20歳男女の身長の平均は、平成29年で以下のようになっています。

  • 男性:171.7cm
  • 女性:154.9cm

人間の身長は、一定のスピードで伸び続けるわけではありません。成人として身体が完成するまでにはだいたい以下の3つの時期に分けられ、それぞれ成長のパターンが異なります。

乳幼児期
生まれたばかりの新生児の身長は、約50cm
1歳までに1.5倍になって約87cm、2〜4歳までの2年間でさらに同じだけ伸びて生まれたときの2倍(約100cm)になる
この時期の成長には、栄養の摂取が重要な働きをしている
小児期
4歳児の平均身長は約100cmで、その後は年間約6cmずつ伸びていく
この時期の成長には「成長ホルモン」が大きく関わってくる
思春期
成長する速度が急速に速くなり、思春期の成長スパートと呼ばれる
速度がピークに達する年齢は、男子13歳、女子11歳
ピークを過ぎると速度はゆるやかになり、やがて身長の伸びは止まる
この時期の成長には「性ホルモン」が重要な働きをする

つまり、大まかにまとめると0〜4歳で2倍にと急激に成長し、4歳から11歳、または13歳ごろまでコンスタントに成長し、思春期で再び急激に成長を遂げるという変化を辿ります。このような成長のパターンに大きくしてくるのが「成長ホルモン」や「性ホルモン」など、体内で作られる「ホルモン」という分泌物質です。

ホルモンは血液の流れに乗って移動し、特定の臓器に働きかけ、身体の働きを一定に保つ役割を持っています。特に子どもの成長に関わるホルモンとしては、以下の3種類が挙げられます。

成長ホルモン
脳の下垂体から分泌され、肝臓や骨に働きかけてIGF-I(ソマトメジンC)という物質の分泌を促す
この物質は、成長ホルモンとともに骨の成長を促すもの
筋肉を作り脂肪を燃やす役割もあり、身長の伸びだけではなく体格を形作る上でも大切な役割を果たす
大人になってからも分泌され、脂肪を分解したりタンパク質を合成したりする働きがある
甲状腺ホルモン
喉のあたりにある「甲状腺」から分泌されるホルモンで、成長ホルモンとともに骨の成長と成熟を促す
脳の発達や、内臓を動かすのに必要なエネルギーをつくるのにも大きく関わる
見た目の成長だけでなく、体内のさまざまな働きに関係するホルモン
性ホルモン
男性は精巣、女性は卵巣から分泌されるホルモン
成長ホルモンの分泌を増やしたり、直接骨に働きかけたりして、骨の成長を促す
骨を成熟させ、硬く丈夫にする働きも
性ホルモンをきっかけにして成長のスパートが起こり、骨が成熟することで子どもの成長が止まる

子どもの成長にはこれらホルモンのほか、両親の体格や子ども自身の体質、栄養や生活環境、運動習慣などさまざまな要因が関わってきます。思春期を迎える時期によっても、最終的な身長は異なります。

身長が低い原因は?

周囲の子どもと比べて身長が低い場合、その原因は特定の疾患によるものと、家系によるもの(家族性低身長症)、体質によるもの(体質性低身長症)の3種類が考えられます。低身長(成長障害)を引き起こす疾患には、例えば以下のようなものがあります。

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症
  • ターナー症候群
  • SGA(small-for-gestational age)性低身長症
  • 心臓・腎臓・肝臓・腸など主要臓器の異常
  • 甲状腺ホルモンの不足
  • プラダー・ウィリー症候群
  • 軟骨無形成症
  • 愛情遮断症候群

低身長を引き起こす疾患の中には治療可能なものもあります。治療の方法は原因となる疾患によって異なりますが、低身長児が一番多く受ける治療は「成長ホルモン治療」です。治療の効果が得られるのは骨が成熟するまでの期間なので、早く治療を開始すればそれだけ標準身長に近づける可能性が高くなります。

一方、出生時にNICUに入院していた、などの理由で定期的にフォローアップされている場合を除いて、保護者が同じ年頃の子どもに触れる機会がないと、入園・入学するまで同い年の子どもより低身長であることに気がつきにくかったり、気づいていても病院に行くまでには至らなかったりする場合も少なくありません。

しかし、前述のように子どもの成長は乳児期と思春期に急激な伸びが見られ、その背景として成長ホルモンが非常に重要な役割を果たしています。成長ホルモンの効果が得られる骨が成熟するまでの間とは男子で17歳くらい、女子で15歳くらいまでとされていますので、早期発見・早期治療開始が重要です。

身長を伸ばす基本的な方法

成長期に十分身長を伸ばすための基本的な方法は、食事・睡眠・運動というベースの生活習慣をきちんと整えることです。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

身長を伸ばす生活習慣①:食事

身長を伸ばすために最も大切なことは、食生活です。1日3回の食事をしっかり摂取すること、栄養のバランスが良い食生活を心がけることの2つのポイントは身長を伸ばすのに欠かせません。特に、幼児期の子どもは発育のために多くの栄養が必要となりますが、1回に食べられる量が少ないため、3回の食事をしっかり摂取することが重要なのです。

ところが、現代における1〜3歳の子どもの朝食習慣について調べたデータを見ると、約1割の子どもは朝食を1週間のうち数日間しか食べない、あるいはほとんど食べないということがわかっています。これは母親の朝食習慣と相関性があることから、母親が朝食を食べないと子どもも食べない、というように母親の朝食習慣が子どもに影響を与えていると考えられます。

また、単に量を確保するだけでなく、栄養バランスの整った食事を摂取することも重要です。1歳以上(離乳食を終える頃)の子どもの食事の摂取状況を調べた結果によると、穀類や牛乳、乳製品については高い割合で摂取されているものの、毎日摂取することが望ましいとされる野菜・果物の摂取は野菜約6割、果物約4割と非常に少なくなってしまっています。

幼児期は、食生活の基本的な習慣を身につける上で非常に大切な時期となります。食べ物に対する好き嫌いが出てくるのもこの頃です。ですから、食事の時間が子どもにとって楽しい時間となるよう、家族で一緒にテーブルを囲んだり、調理方法を工夫したりして、子どもがさまざまな食材を美味しく食べられるようにしてみましょう。

さらに、骨の成長に欠かせない「カルシウム」の摂取は重要ですが、実は牛乳だけを飲んでいても身長が伸びるわけではありません。カルシウムは骨の「密度」を上げる栄養素ですから、骨の成長を促して身長を伸ばす上では、タンパク質と一緒に摂取することが重要です。

また、これらの栄養素の吸収を良くするためには、ビタミンC・D・K・B群、マグネシウムなどのミネラルを一緒に摂取すると良いでしょう。おかずとして納豆や魚の缶詰を追加したり、キウイやみかんなどのフルーツを毎食のデザートに摂り入れたりするとさまざまな栄養素を効率的に摂取することができます。

すりごまやチーズをトッピングとして加えるのも良いでしょう。バナナ・ナッツ類・じゃがいもなどもビタミン群やマグネシウムなどを含んでいるため、身体の成長に効果的と言えます。ぜひ、日々の食事に少しずつ摂り入れてみてください。

身長を伸ばす生活習慣②:睡眠

睡眠は身体を休めるだけでなく、子どもの成長において大きな役割を担っています。子どもの成長に大きく関わる「成長ホルモン」は睡眠中に最も多く分泌されますので、質の良い睡眠をとることが子どもの成長に不可欠なのです。質の良い睡眠を十分にとれるからこそ、乳児期や思春期に急激な成長が起こるというわけです。

しかし、子どもの生活時間は生活環境の変化とともに夜型化していて、近年の小・中・高校生の就寝時間は学年が進むに従って遅くなっていることがわかります。例えば、小学校低学年では21時30分頃、高学年になると22時頃、中学生では23時頃、高校生で午前0時頃とだんだん遅くなっていきます。

このように就寝時刻が遅くなると、睡眠時間が減少するだけでなく、起床時間が遅くなるため朝食を食べなくなるなど、生活習慣全体に影響が現れます。しかも、近年では10時以降に就寝する3歳児の割合は52%にものぼり、幼児の夜型化が大きな問題となっています。低年齢の子どもの夜型化は大人の生活習慣が影響しますので、大人の生活習慣を見直すことも重要です。

また、質の良い睡眠をとるためには、食事の時間にも注意しましょう。寝る直前に何かを食べてしまうと、エネルギーが消化に使われてしまうため、身体の成長が妨げられてしまいます。効率よく成長にエネルギーを使うためには、寝る3時間前までに食事を済ませておきましょう。

部活や塾などで夕食が遅くなりがちな子どもの場合は、「部活前に炭水化物を食べて、帰宅後には消化の良いサラダやスープを食べる」というように、夕食を2回に分けると消化しやすくなります。それでもお腹がすいてしまう場合は、寝る前に豆乳など消化の負担が少ない飲み物でお腹を満たして寝ると良いでしょう。

身長を伸ばす生活習慣③:運動

小学生から中学生にかけての成長期、適度な運動を行うことは身体をつくるのに非常に大切なことです。近年、子どもの運動時間は減少傾向にあり、それに伴って小・中学生の運動能力も20年前と比べて低下しています。この背景には、就学前の遊びの経験が少ないことも原因の一つと考えられています。

幼児期の遊びを通して新しい動作を習得していないと、小学生の頃に手足や身体全体を動かすさまざまな遊びを行えません。すると、バランス能力などを始めとした身体をうまく動かす能力が育たず、体育などのスポーツや部活動で心肺機能や筋力を高めていくことができませんので、成長が不十分になる可能性があります。

遊びや運動でお腹がすけば食欲が高まり、食事をしっかり摂取できますし、適度に疲れて就寝時刻が早まれば、規則正しい生活習慣を身につける第一歩にもなります。ですから、テレビ・ゲーム・インターネットなどの室内遊びだけでなく、屋外での遊びや運動にもうまく誘導してあげることが大切です。

とはいえ、運動習慣がなかった子どもがいきなり長時間の運動をしようとしてもうまくいきません。そこで、まずは立っている時間を増やすことから始めてみましょう。骨は、縦方向の負荷を与えた後、しっかり睡眠をとって休ませることで成長すると言われています。「縦方向の負荷」とは、歩いたり走ったりすることでかかる自然な重力の負荷で構いません。

電車の中では座らないようにする、エスカレーターではなくできるだけ階段を使うなどのルールを決め、毎日の日課として摂り入れてみましょう。他にも、授業中に座っているとき背筋を伸ばすようにするだけでも効果はあります。ただし、ストレッチやぶら下がるといった運動は筋肉が伸びるだけで、骨の成長とは関係ありませんので注意しましょう。

筋トレは身長が伸びるのを止めるってよく聞くけど?

身長を伸ばしたい場合は、骨の成長期間を考慮する必要があります。筋肉は大人になってからも鍛えられますが、骨は成長期の間しか成長できません。ですから、まだ身長が伸びているという人はハード過ぎる筋トレを避け、縦方向の負荷で身体を鍛えるよう意識しましょう。すると、筋肉の成長に使われてしまっていたエネルギーを骨の成長に効率的に使えます。

特に、バーベルなどの器具を使ったウエイトトレーニングは、成長期の関節には強すぎる負荷となってしまい、骨の成長を止めてしまう可能性があります。身長の成長が止まるまでは、バーベルなどを使うようなハードな筋トレは避けておいた方が良いでしょう。

身長を伸ばしたい人に人気のサプリや栄養機能食品

身長を伸ばしたい子どもに向けて、成長をサポートしてくれるサプリメントや栄養機能食品などが販売されています。

身長を伸ばしたい人向けの栄養機能食品って?

身長を伸ばしたい人向けの食品にはさまざまなものがありますが、今回は中でも人気な「セノビックバー」と「グーンアップMBP®」についてご紹介します。

セノビックバー

株式会社ブルボンの「ウィングラム」と、ロート製薬株式会社の「セノビック」とのコラボ商品で、成長期の子どもに大切な栄養素であるカルシウム・ビタミンD・鉄を豊富に含んでいます。さらに、バータイプで食べやすいというメリットもあります。ただし、牛乳や卵、小麦などを含みますのでアレルギーを持っている子どもが摂取する場合は注意しましょう。

グーンアップMBP®

牛乳に溶かして美味しく飲める粉末飲料です。カルシウム・ビタミンD・鉄のほか、ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、ビタミンCなどをしっかり摂取できます。子どもに人気のココア味といちごミルク味がありますので、飽きずに長く続けて飲みやすいのがポイントです。

MBP®とは、牛乳に含まれる重要な成分である天然の微量タンパク質で、雪印メグミルクが解明した機能性タンパク質の名称です。牛乳に含まれるMBP®は1本(約200mL)あたり約10mgなのですが、グーンアップMBP®では1日1回飲むと20mg、2回飲むと40mg摂取することができます。

サプリや栄養機能食品は本当に成長に効果があるの?

前述のような栄養機能食品のほか、カルシウムやビタミンD、鉄分などを含むサプリメント、成長ホルモンの分泌を促進する物質を含むサプリメント、成長ホルモンを含むスプレーなども成長をサポートしてくれる働きが期待できるとして知られています。これに対し、日本小児内分泌学会が評価した見解があります。

まずは、カルシウムやビタミンD、鉄などを含むサプリメントや栄養機能食品の場合、いずれかの栄養不足で成長が妨げられているときには、これらの栄養素を補充することで成長が正常になる可能性があります。例えば、主に乳幼児期に発症する「ビタミンD欠乏性くる病」では成長障害が起こりますが、ビタミンDを補充すると成長が正常に回復します。

しかし、もともと栄養素が食事から十分に摂取できていて、不足していない子どもがこれらの食品やサプリメントを摂取しても、成長をより促進するというデータはありません。逆に、多量に摂取しすぎると健康を損なう恐れもあります。特にカルシウム製剤は成長を促進すると思われがちですが、骨を強くする物質であり、成長そのものを促進するわけではありません。

では、成長ホルモンの分泌を促進するとされている物質を含むサプリメントについてはどうでしょうか。これらの物質のうち、代表的なものは「アルギニン」で、アルギニンは確かに成長ホルモン分泌刺激試験の薬として用いられています。しかし、分泌刺激試験で用いる場合は直接血中に、体重1kgあたり0.5gという量を投与するのです。

これに対し、サプリメントとして販売されているアルギニン製剤は200mg〜2g程度の製剤であり、内服薬です。つまり、血中に移行する量は分泌刺激試験の10分の1よりもさらに少ないと考えられます。サプリメントを服用することで、血中のアルギニン濃度が大きく変化するわけではない以上、成長ホルモンの分泌がそれほど大きく促進されるとは考えられません

アルギニン以外の物質に関しても、サプリメントとして投与した場合に成長ホルモンの分泌が促進されたという学問的なデータが信頼できる学術雑誌に報告された例はありません。さらには、成長ホルモンの分泌が薬剤によって促進されたとしても、それがすなわち成長の促進にはつながらないことが科学的に証明されています。

成長ホルモンの分泌刺激作用を持つ「GHRP-2」という薬剤を静脈投与した実験がありますが、プラセボ群と低用量投与群、高用量投与群の3群において、1年間の投与の結果、平均成長率は統計的に全く差がありませんでした。つまり、成長ホルモンの分泌を薬剤で促進したとしても、もともとの成長率以上に身長が伸びるわけではないということです。

最後に、成長ホルモンを含むスプレーについてです。鼻や口の中に噴霧すると成長ホルモンが体内に吸収されると説明されていますが、成長ホルモンは分子量が約22,000という大きめのタンパク質であり、鼻や口の粘膜からはほとんど吸収されません。舌の下に投与した場合、多くが唾液と一緒に胃の中に流れ込み、食品と同様に分解されてしまいます。

成長ホルモンが何らかの作用を及ぼすためには、治療で注射するのと同様に、血中濃度が上がらなくてはなりません。しかし、前述のようにスプレーで吸収される程度の成長ホルモンはごく少量であることから、スプレーで注射に見合うほど成長ホルモンの血中濃度が上がることはまず考えられません

これらのことから、成長ホルモンの分泌を増やす、成長ホルモンの量を増やすといった食品やサプリメントについてはあまり効果が期待できないとわかります。また、カルシウムなどの栄養素を含む食品やサプリメントに関しても、栄養不足の子どもの場合は補充によって成長が正常に回復することはありますが、もともと正常に成長している子どもに関しては、成長が過剰に促進されるわけではないことに注意しましょう。

また、こうしたサプリメントや栄養機能食品はあくまでも食事で補いきれない栄養素を補うものであることを念頭におき、あくまでも食事からバランス良く栄養素を摂取することを心がけましょう。サプリメントなどを摂取する場合は、食事の前後に一緒に摂取すると食材から摂った栄養素と組み合わさるので、より効率良く吸収できます。

身長を伸ばす方法-ホルモン療法

前述のように、成長ホルモンは鼻や口の粘膜から摂取したり、内服したりしてもほとんど成長に影響しないことがわかっています。しかし、血中に直接注射して濃度を上げることで、「成長ホルモン分泌不全性低身長症」の子どもでは正常児と同様に成長を促進することができます。投与量は体重1kgあたり、1週間に0.5単位と決められています。

以前は週に2〜4回通院して筋肉注射を受ける必要がありましたが、糖尿病Ⅰ型のインスリン注射と同じように成長ホルモンも在宅で注射することが厚生労働省から認められたため、自宅で毎日皮下注射することができるようになりました。正常児では睡眠の始め頃に大量の成長ホルモンが分泌されますので、これに似せて毎晩の注射で成長ホルモンが睡眠中に増えるようにすると自然な成長が促進できます。

実際に、1週間の投与量が同じであれば、週に2〜4回の注射よりも、少量を毎日(毎晩)注射した方が背を伸ばす効果があるとわかっています。治療前は年間で平均3〜4cmしか伸びなかった子どもが、治療開始後の最初の1年間では平均8cmほど伸びることもわかっており、この成長促進効果は2年目以降徐々に弱まるのですが、根気よく続けていくことで正常範囲の身長に近づけられます。

とはいえ、最終身長が平均身長に達することができるかどうかは個人差があり、状況や環境も一人ひとり異なりますので、主治医と相談しながら成長の目標を定めていきましょう。

成長ホルモン療法は基本的に身体の中に不足しているホルモンを補う治療ですが、体質によっては頭痛・痙攣・耐糖能異常などの副作用が生じるケースもあります。こうした症状が現れたときには、すぐに主治医に相談しましょう。また、以下のような基礎疾患がある場合は成長ホルモン療法が行えないか、慎重に行わなくてはならないため、これも医師と相談が必要です。

糖尿病
糖や脂質の代謝が悪化しているため、身長の伸びが悪くなる
成長ホルモンには血糖を上げる働きもあるため、糖尿病が悪化するケースも
このため、糖尿病患者には原則的に成長ホルモン療法が禁止されている
悪性腫瘍
成長ホルモンは細胞を増殖させる働きがあるため、悪性腫瘍細胞を増加させてしまう可能性があり、悪性腫瘍の患者には原則として成長ホルモンの投与が禁じられている
ただし、脳下垂体周辺にできた脳腫瘍による圧迫、その腫瘍の摘出や放射線などの治療で下垂体組織が損傷・喪失した場合の分泌不全においては、腫瘍摘出後または腫瘍の増殖抑制後、数年間再発が起こらないことを確認した上で医師の判断で成長ホルモン療法を行うケースも
腎疾患・心疾患
成長ホルモンは水分を身体に溜める作用があり、腎疾患や心疾患の患者に投与するとむくみの原因になるため医師と相談しながら成長ホルモン療法を行う
慢性腎不全による低身長症の子どもには、成長ホルモン治療が行われている
脊椎側弯症
側弯症を持つ子どもに成長ホルモン療法を行うと、側弯の程度が強くなることがある
主治医と相談の上、慎重に行う必要がある

また、成長ホルモン療法を行う場合、国の厚生事業として法制化されている「小児慢性特定疾病治療研究事業」によって助成を受けられます。この研究事業は、慢性的な難病を対象として医療技術の研究や治療に対して経済的な助成を行うもので、成長ホルモン分泌不全性低身長症もこの事業の対象疾病となっています。

必要な手続きを行い、認定を受けると20歳に到達するまで治療費の助成を受けられます。ただし、1年ごとの更新申請時に治療継続基準を満たしていることが条件で、未成年であっても男子で156.4cm、女子で145.4cmを超えた場合は助成の対象外となります。また、家庭の所得額(所得課税年額)によっても自己負担限度額が変わります。

大人がホルモン療法で身長を伸ばすことはできる?

成長ホルモン療法は基本的には成人身長になるまで行いますが、治療の効果が見られない場合や重篤な副作用があった場合には終了することがあります。成人身長の定義は、年間の成長速度が1cm以下になったとき、または骨年齢が男子で17歳、女子で15歳に達した場合です。そのため、成人が成長ホルモン療法を受けることは原則としてできないと言えます。

身長を伸ばす方法-外科的手術

前述のように、成人は成長ホルモン療法が原則として利用できません。そこで、成人が身長を伸ばそうとする場合は外科的なアプローチが必要となります。主にプリサイス法、ISKD法、デバスチアーニ変法、テイラースペシャルフレーム法の4種類の手術が行われています。

プリサイス法

  • 髄内釘によって脛骨や大腿骨を延長するもので、傷跡は目立ちにくい
  • 創外固定器がないため目立たず、骨の出来が悪い場合は一旦縮めることもできる
  • 片足で625万〜750万と、非常に高額なデメリットがある
  • 手術直後は装具と松葉杖を使用する

ISKD法

  • 髄内釘によって脛骨や大腿骨を延長する。術後7〜10日後から1日0.5〜1mm延長するが、足関節をひねることで簡単に延長できる
  • 体外に機器が露出しないので目立たず、延長に伴う痛みがない
  • 片足で420万〜450万円程度
  • 手術直後は装具と松葉杖を使用する

デバスチアーニ変法

  • イタリアのデバスチアーニ氏が考案した、単支柱型の創外固定器を使う延長法
  • 創外固定器に6mmのピンを合計6本挿入し、骨を固定する最もシンプルな延長法
  • 脛骨と上腕骨に適応し、早期に創外固定器を外した後は目立たない
  • 片足で290万〜350万と、比較的安価に行える
  • 手術直後から体重をかけて歩行できる

テイラースペシャルフレーム法

  • 脛骨と大腿骨に適応し、脛骨では膝と足首回りに160mm程度のリング状の板を設置し、皮膚の外から6mmのピンと1.8mmの細いワイヤーを用いて固定する
  • 長い間、創外固定器を利用するため目立つ
  • 皮膚の外から手動で延長するため、延長量の変更など微調整ができる
  • 延長に伴ってピンを刺入した部分の皮膚が突っ張るため、痛みが続く
  • 固定期間は個人差があるものの、平均で半年くらい。1年程度かかることも
  • 両足で500万〜600万と、比較的安価に行える

また、伸ばせる長さはすね5〜6cm、太もも5cm程度で、同時には行なえませんので順番に行うことになります。それ以上は外見のバランスが悪くなってしまうため、推奨されていません。手術を行う男女比は6:4で男性が多く、男性の場合は身長に対するコンプレックスから、女性はキレイになりたいという思いから手術を受ける方が多いようです。

手術の所要時間は1時間程度で、下半身のみの麻酔で行えます。痛みは手術の方法にもよりますが、創外固定器を用いて延長する場合は延長中、ずっと痛みを伴うことがあります。ISKD法やプリサイス法では痛みが少ないとされていますが、痛みの感じ方には個人差がありますので、あくまでも目安と考えましょう。

身長コンプレックス解消法-男女共通身長高見えコーデ

手術などで物理的に身長を伸ばすには、費用もかかりますし身体に大きな負担がかかります。そこで、身体を変えるのではなく、外見の見え方を変えることで身長コンプレックスを解消してしまうという方法もあります。この方法なら身体に負担がかからず、費用も手術と比べればはるかに安価で手軽に行えます。

まずは、靴や帽子を使って物理的に身長を高くしてしまう方法があります。これらの方法は最もシンプルでやりやすいのですが、やりすぎるとかえって身長の低さが目立ってしまう場合もありますので、必ず身体全体のコーディネートのバランスを考え、自然に見えるように行いましょう。

ローカットのぺたっとしたスニーカーなどは身長が低く見えやすいので、細身のブーツなど、底がしっかりあるものを選ぶ。ずっしり横に大きなブーツを選んでしまうと足元の印象が重くなり、足が短く見えてしまうので注意!
帽子
頭の形にフィットするキャップやキャスケットは避け、頭の上に空間ができて身長を大きく見せられるハットなどを選ぶ。夏なら、麦わら帽子などもおすすめ。

また、全身を同系統のカラーで揃える「ワントーンコーデ」は、長身効果の代表格とも言えます。上半身と下半身でそれぞれ異なる配色のコーデを行うと、縦のラインがばっさり分断されてしまうため、身長が低く見えたり、足が短く見えてしまったりすることがあります。ワントーンで揃えると、縦のラインに連続性が生まれ、身長も高く足も長く見える効果が期待できます。

他にも、明るめのカラーをトップスにもってくることで、見る人の視線が自然に上に向き、背の低さをカバーできます。細く見せたいと引き締め色のブラックやネイビーを好む人も多いのですが、身長を高く見せたいときはボトムスやスカートに対して明るめのトップスを合わせましょう

おわりに:身長を伸ばすには成長期の栄養とホルモン分泌が重要

身長を十分に伸ばすためには、バランスのとれた食生活や適度な運動習慣、質の良い睡眠などが重要です。しかし、身長を伸ばすために重要な骨の成長は男子17歳、女子15歳くらいで止まってしまいますので、低身長症の場合は早期発見・治療が必要です。

大人になってから身長を伸ばしたい場合は、原則として外科手術になります。負担が大きい手術ではなく、コーデで見せ方を変える方法もありますので、ぜひやってみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました