怒りっぽい・イライラの治し方とは?セルフケアや専門的治療でどんなことができる?

短気で怒っているサラリーマンこころの悩み
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怒りっぽい、イライラしやすい性質は周囲を不快な気持ちにさせてしまうだけでなく、本人にとってもイヤなものです。怒りで平常心を失うと、ミスをしてしまうなど失敗にもつながりますよね。毎日を穏やかに過ごしたいと思っている人も多いことでしょう。

そこで、今回は怒りっぽい、イライラしやすい性質の原因や改善方法についてご紹介します。セルフケアだけでなく、専門的な治療法があることも知っておきましょう。

この記事でわかること
  • 怒りっぽい性格のデメリット
  • 怒りやイライラを引き起こすストレスとは
  • ストレスコーピングや身近なストレス解消法
  • 心穏やかにしたいときおすすめの食べ物
  • アンガーマネジメントはどんなメソッドか
  • 怒りやイライラの原因となる病気の種類と対処法
  • 女性のイライラには理由がある?

怒りっぽい・イライラしやすい原因やデメリットは?

怒りやイライラとは、一般的に「状況やものごとが自分の思い通りにならないとき、心の中に不快感が生じる」という状態のことを指します。ですから、イライラしやすい人や怒りっぽい人はそもそも何らかのストレスを抱えていて、そのストレスがなかなか解消できなかったり、自分がそのようなストレスを抱えなくてはならない理由に納得できなかったりしていると考えられます。

怒りっぽい人やイライラしやすい人は、いつもなんとなく気分が落ち着かないため、周囲からのちょっとした言葉や音などに過敏に反応し、不機嫌そうな声で返事をしたり、相手を無視したり、怒鳴りつけたりしてしまいます。すると相手が不快になることはもちろん、本人が後から自己嫌悪に陥ることもあり、言った本人にも言われた相手にも精神的なデメリットが大きいと言えるでしょう。

ストレスによるイライラの改善方法

ストレスという言葉はもともと物理学の分野で使われていたもので、「物体の外部からかけられた圧力によって物体に生じる歪み」のことを指します。例えば、膨らませた風船を指で押すとき、押す力がストレッサーであり、ストレッサーによって風船が歪んだ状態のことを「ストレス反応」と言います。

そこから転じて医学や心理学用語として使われるようになり、心や身体に外部からかかるさまざまな刺激のことを「ストレッサー」、ストレッサーに適応しようと心や身体に生じるさまざまな反応のことを「ストレス反応」と呼ぶようになりました。このように私達の心身に影響を及ぼすストレッサーには、以下のようなものがあります。

物理的ストレッサー
暑さや寒さ、騒音や混雑など
化学的ストレッサー
公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など
心理・社会的ストレッサー
人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など

普段「ストレス」と言う場合、多くは最後の「心理・社会的ストレッサー」のことを指しています。特に職場では仕事の量や質、対人関係を始めとしたさまざまな要因がストレッサーとなりうることがわかっています。このような心理・社会的ストレッサーとして、具体的には以下のような例が挙げられます。

生活上のストレッサー

  • 自分または家族の誰かが病気や怪我、災害などの被災体験をした
  • 子どもの進学、夫婦間や親子間の不和など、家庭内の人間関係に問題がある
  • ローンや借金、収入の減少など、金銭的な問題が生じた
  • 引っ越しや騒音など、住環境の変化があった

職場のストレッサー

  • 仕事での失敗やミスがあり、責任を問われた
  • 仕事の量や質、勤務時間などが変化した
  • 上司・同僚・部下などと人間関係でのトラブルがあった
  • 昇進や配置転換、転勤など、役割や身分の変化があった

これらのストレッサーによって、心身にはストレス反応が引き起こされます。ストレス反応は心理面・身体面・行動面の3種類に分けられ、それぞれ以下のような症状が起こります。

心理面のストレス反応
活気の低下、イライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)など
身体面のストレス反応
身体の節々の痛み、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸・息切れ、胃痛、食欲低下、便秘・下痢、不眠など
行動面のストレス反応
飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットの増加など

こうしたストレス反応が長期的に続く場合は、過剰なストレス状態に陥っているサインかもしれません。最近イライラがおさまらない、頭痛や肩こりが続いているなどの症状に気づいたら、普段の生活を振り返り、ストレスを上手に付き合う方法を工夫してみましょう。また、症状が自分ではどうにもならないほど重い、長期間続くという場合には専門家を頼るのもおすすめです。

ストレスコーピングとは

受けたストレスをうまく処理できないと、そのストレスは増幅されて心身に異常をもたらします。自分ひとりで対処できないような強いストレスを受けた場合、身体には心拍数や血圧の異常が現れ、心には不安や恐怖などの負荷が生じます。そこで、我々はストレスを緩和するべくさまざまな対応を試みます。このような行動を「ストレスコーピング」と呼びます。

ストレスコーピングには、以下のような種類があります。

  • ストレスそのものに働きかけ、ストレスをなくす方法
  • ストレスに対して自分で、あるいは周囲の人の協力を得て解決する方法
  • ストレスによって発生した自分の不安感や怒りなどの感情を、周囲の人たちに聴いてもらって発散する方法

いずれの場合も、自分で対応しきれないストレスに対しては無理に一人でなんとかしようとせず、周囲の人たちに助けを求めながらより良い解決の糸口を見出すことが重要です。また、日頃から上手にストレスを発散できるよう、趣味や生きがいとなるものを持つことや、問題解決のために協力してもらえる人間関係を構築しておくことも必要です。

ストレス解消方法-リラックス、運動、音楽

自分でできるストレス解消法にはさまざまなものがありますが、最も手軽かつ有効なものとして「リズム運動」が挙げられます。一定のリズムを繰り返す運動をすると、心の安定につながる脳内ホルモン「セロトニン」の分泌が高まるのです。特に、ウォーキングやジョギング、サイクリングのような運動はセロトニンの活性に効果的です。

ウォーキングやジョギングをジムで行うのも良いのですが、いつも同じ壁を見ながら行う運動では飽きてしまうという人は、散歩を兼ねて外を歩く空間移動を組み合わせた運動を行いましょう。時々はコースを変えたりして新しい景色を見て気分を変えると、ストレスで疲れた心や脳をリフレッシュできます。

また、意識的に行う呼吸法もリズム運動の1つです。ヨガやストレッチは呼吸法を取り入れて行いますので、やはりセロトニンの活性化が期待できます。ヨガは瞑想を促し、精神をリラックスさせる働きがありますが、ゆっくりと意識をヨガに集中することでさまざまな雑念から心を開放したり、自己肯定感の強化につながったりというメリットがあります。

座禅に参加することも、ストレスの解消につながります。座禅も同じように自分と向き合う瞑想の一種ですが、自分の内面と向き合うのは自分を大切にすることでもあり、精神的な不調を解消するためには最も重要なことだと言えます。ヨガや座禅を大勢で行うことでの一体感や連帯感にもセラピー効果があるとされています。

他にも、音楽でストレス解消するのもおすすめの方法です。ヒーリングミュージックや自分の好きな音楽を聴くことはもちろん、カラオケボックスなどで思いきり歌い、声を出すのもストレス解消になります。歌って身体を動かすと体温が上がり、お腹に力が入ることで前向きな気分になりやすいです。

音楽療法でも歌を歌って身体を動かす方法が積極的に取り入れられているように、歌うことはストレス解消に役立つことがわかっています。音楽療法では他にも、楽器を演奏するグループセッションなども行われますので、ギターでもピアノでも自分の好きな楽器を演奏してみるのも良いでしょう。

イライラをやわらげる栄養素を含む食品

メンタルの不調は、栄養素の欠乏という物理的な理由から引き起こされることもあります。精神の健康を保つためには食事も重要な要素の一つです。バランスの良い食生活を心がけるとともに、ぜひ以下のような栄養素が不足しないよう意識的に摂取しましょう。

トリプトファン
感情を穏やかに保ち、ストレスや苦痛を減らしてくれる神経伝達物質「セロトニン」の材料
ビタミンC・ビタミンE
抗ストレスホルモン「コルチゾール」の材料や生成に関わる(コルチゾールは一時的に体内の血糖値を増やし、身体がストレスに対処する準備をしてくれる)
ビタミンB群
神経伝達物質の合成に欠かせないビタミン。また、脳はストレスに対処するためにもエネルギーを消費するが、エネルギー源となるブドウ糖を効率よく変換するためにはビタミンB群のサポートが必要
ビタミンB群が足りないと脳がエネルギー切れを起こし、イライラや疲労感・記憶力の低下が起こるほか、集中力や落ち着きがなくなる

ただし、コルチゾールはストレスに対抗する一方、過剰に分泌され続けると糖尿病の原因になったり、免疫力が低下したりする副作用があります。

それぞれの物質を多く含む食品は、例えば以下のようなものがあります。

トリプトファン
バナナ、カッテージチーズ、牛乳、卵黄、凍り豆腐、落花生、きなこ、アーモンド、干し湯葉など
ビタミンC
いちご、グレープフルーツ、オレンジ、ブロッコリー、ほうれん草、パセリ、菜の花、ピーマン、キャベツなど
ビタミンB1
米ぬか、大豆、落花生、豚肉、うなぎ、枝豆、卵黄、魚卵、じゃがいも、さつまいもなど
ビタミンB6
酵母、レバー、胚芽、肉類、牛乳、豆、卵黄、野菜(葉もの)、まぐろ、鮭、さば、さんまなど

また、複数の栄養素を効率よく摂取できる食材として大豆製品や緑黄色野菜、じゃがいもやさつまいも、ナッツ類などが挙げられます。

大豆製品
トリプトファン、ビタミンB群を含む
さらに、納豆や味噌は発酵食品なので、含まれている菌類によって腸内環境を整える効果も期待できる
腸はセロトニンの他、さまざまなホルモンを分泌する臓器
ストレスに負けない心身のために、腸を健康に保つことも重要
ビタミンB群を摂取するなら、作る過程で水分をあまり絞らず水溶性のビタミンB群が失われにくい絹ごし豆腐がおすすめ
緑黄色野菜
パプリカやブロッコリー、ゴーヤなどはビタミンCを、モロヘイヤやかぼちゃはビタミンEを比較的多く含む
ビタミンCは水溶性ビタミン、ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、ビタミンCを含む野菜は茹で時間を少なめに、ビタミンEを含む野菜はオリーブオイルなどのドレッシングをかけたり、油で揚げたりして食べると良い
ビタミンCは熱が加わると壊れるとされていたが、近年はこれが間違いとわかってきている
ただし、水に溶け出しやすいのは本当なので、茹でるよりもレンジ加熱などの方がビタミンCを失いにくい
茹でたいときは、スープなどで水分ごと摂取してしまう方法がおすすめ
じゃがいも・さつまいも
じゃがいもやさつまいもには、ビタミンCが多く含まれる
ふかしたイモはおやつにもぴったりなので、小腹がすいたときにおすすめ
さつまいもの皮には食物繊維などの栄養素が豊富に含まれているので、皮のままの調理がおすすめだが、じゃがいもの皮は芽の部分に毒が含まれるので、芽を取り除くのを忘れずに
ナッツ類
ナッツ類にはビタミンB群が豊富で、アーモンド・ピーナッツ・ヘーゼルナッツなどにはビタミンEも含まれる
仕事中に何か食べたいと感じたら、お菓子やパンよりナッツがストレス解消におすすめ
油で揚げたり食塩で味つけされたりしていないものがおすすめ

怒りの対処法「アンガーマネジメント」の目的や受講法

アンガーマネジメントとは、認知行動療法(物事の捉え方と感情や身体反応、行動の相互作用から感情や行動を変える心理療法)をベースとして1970年代のアメリカで開発されました。初めは、精神療法を受けている人や感情労働に関わる(教師、看護師、医師、カウンセラー、客室乗務員など感情のコントロールを強く求められる)職種の人を対象として実施されてきました。

1980年代からは教育分野でいじめ・暴力などへの予防教育、感情教育の一環として発展し、さらに司法分野、医療・福祉分野、ビジネス、スポーツ、カウンセリングの中で取り入れられてきました。日本においては、教育分野で子どもたちの問題行動の予防教育、教師の児童・生徒理解や対応、医療・福祉分野でリワークプログラムやカウンセリングなどに使われています。

アンガーマネジメントは、「まず自分の気持ちに気づいて整理し(自己理解)」「他者の気持ちも理解できるようになり(他者理解)」「お互いを理解し(相互理解)」「その場にふさわしい方法で自分の気持ちを表現する(自己表現)」という、対人関係に必要な技法です。企業においてのパワハラ予防や人間関係向上にも徐々に取り入れられています。

ストレスの章でもお話したように、日常生活ではさまざまなストレスに直面する場面があり、ストレス反応として怒りやイライラといった感情が出てきます。さらに、ストレス状態が続くと感情をコントロールする「前頭葉」という脳の部位の機能が低下し、イライラなどの感情が強くなって良好な人間関係を維持するのが難しくなってきます。

アンガーマネジメントでは、このように怒りの感情や行動に影響を与えているその人の物事や考え方(認知)をより柔軟な考え方に変え、自分の力で感情をコントロールし、適切な行動がとれるようになること、より良い人間関係を築けることを目標にしています。具体的には、ストレスマネジメント・認知変容・傾聴・アサーティブコミュニケーションの4つのステップがあります。

ストレスマネジメント
怒りの感情が起こったとき、すぐに爆発させることなく心と身体を落ち着かせる
認知変容
イライラしやすい考え方のクセを探り、柔軟な考え方に変えていく
傾聴
相手を理解するため、相手の話に耳を傾ける
アサーティブ・コミュニケーション
自分も相手も大切にする、自他尊重のコミュニケーションを身につける

これらのテクニックを学ぶことで、自分の怒りの感情に気づけるようになったり、怒りの感情レベルが強くなる前に対処できたりするようになります。加えて、自分の気持ちや考えを冷静に言葉で伝えられれば、他者とより良い人間関係を築けたり、心と身体の健康を保てたりすることにもつながるでしょう。

今日からできるアンガーマネジメント「6秒ルール」

怒りのピークはだいたい6秒とされています。ですから、最初の6秒の感情をコントロールできれば、反射的に言動を起こさずに済む確率がぐっと高くなると考えられます。逆に、反射的に口を滑らせて人間関係を悪化させてしまったり、職場の生産性を低下させてしまったりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

ストレッサーに対して反射的に「イラッ」としてしまうのは誰しも仕方のないことです。大切なのは、そこで反射的に言動に出さないこと。具体的には、イライラを感じたとき、その怒りを頭の中で数値化して客観視すると6秒くらいが経過し、理性的になれます。温度計などを想像するとやりやすいので、「今の怒りはこのぐらいかな」とまず数値を思い浮かべる習慣をつけましょう。

アンガーマネジメントの講座がある?受講料はどのくらい?

アンガーマネジメントは職業・性別・年齢に関係なく誰でも学べる心理トレーニングであり、日本では年々受講者数が増え、2019年には30万人を超える人が講座や研修を受講しています。男女比は3:7で圧倒的に女性が多く、中でも40〜50代の人が7割にのぼります。アメリカでは逆に男性がアンガーマネジメントを学ぶことが圧倒的に多いとされています。職業では一番多いのが会社員で、社内トレーニングに取り入れたい、キャリアアップしたい、副業や兼業として自分のために学びたいという人も増えています。

研修メニューを増やしたい、新しいスキルを身につけたいと受講される研修講師の方、感情労働と言われる看護師や介護士の方が受講することも多いです。他にも、カウンセラーなど心理分野に携わる方、子どもや学生に関わる子育て中の方や教職の方、経営者、士業、公務員、スポーツ選手など、さまざまな方が受講しています。

アンガーマネジメント講座の受講料は講座の内容によって異なりますが、資格を取得して人に教えられるようになる「認定講座」を受講し、認定を受けるためには30,000円〜160,000円かかります。認定なしの講座であれば3,000円から受けられるものもありますので、まず概要を理解したいという人はお試しで認定なしの講座を受講してみるのも良いでしょう。

怒りっぽさ改善のカウンセリング方法と費用目安

怒りっぽさ、イライラしやすさを改善するためには、カウンセリングも重要な方法です。ここまでご紹介してきたように、怒りやイライラは何らかのストレス反応である可能性が高いからです。不安定な精神状態が表出しているからには、どこかに大元の原因があるわけですから、単に怒らないようにするよりも大元の原因と向き合う方が早くて確実なこともあるのです。

まずはイライラや怒りがなぜ生じているのか、大元の原因にきちんと向き合って解決することが重要です。そのための手段にカウンセリングを使うのは非常に有効だと言えるでしょう。

カウンセラーとの対話やアドバイスを通して、悩み事の具体的な解決策を考えたり、心因的な体調不良があれば根本的な原因がどこにあるのかを考えたり、性格の傾向を分析して自分の根本的なものの考え方を認識し、必要に応じて修正していったりするのがカウンセリングです。

心理カウンセリングは多くの場合、保険の対象外で行われます。医療機関において、保険診療の範囲内でカウンセリングを行っているところもありますが、その多くは入院施設に付随するものです。保険対象外の場合は、1時間のカウンセリングにつき5,000円〜30,000円と幅が広く、地域やカウンセラーの経験年数、カウンセリングの技法などによって異なります。

1回の心理カウンセリングにかかる時間は、相談の内容にもよりますがだいたい50〜90分くらいです。対話のカウンセリングだけでなく、特別な心理療法を行う場合は1回のカウンセリングに2〜3時間かける場合もあります。また、相談内容が終結するまでにかかる時間は、相談の内容や相談者の状態によってさまざまです。

初回のカウンセリングだけで終わる人もいれば、じっくりと時間をかけてカウンセリングを進めていくため、長期間に渡るという人もいます。カウンセリングの進め方については、個々のカウンセラーの考え方や方針もありますので、相談者とカウンセラーがお互いによく話し合って納得のいく進め方ができるようにしましょう。

怒りやイライラは病気や女性ホルモンが原因かも

怒りっぽくなったり、イライラしたりする症状が目立つ病気には「うつ病、双極性障がい(躁うつ病)、統合失調症、強迫性障がい(OCD)、パーソナリティ障がい、月経前症候群(PMS)、不眠症」などが挙げられます。月経前症候群や月経前不快気分障害(PMDD)の場合は、イライラが月経の10日前ごろから始まり、月経が始まるとともに消失するケースが多いです。

怒りっぽくなる原因-認知症

疾患ではありませんが、イライラや怒りっぽさが症状の一つとして現れやすい状態に認知症もあります。認知症になると初期の頃から、他人に攻撃的な発言をしたり、すぐに怒鳴ったりといった怒りっぽくなる症状が出ることがあり、これを「易怒性(いどせい)」と呼んでいます。急に声をかけられたといった些細なことがきっかけとなる場合も、全くきっかけがない場合もあります。

易怒性は認知症における行動・心理症状(周辺症状/BPSD)の一つで、特にアルツハイマー型認知症ではこうした「人格の変化」とも呼べる症状が軽度認知障がい(MCI)のうちから出ることもあり、家族が異変に気づくきっかけともなります。とはいえ、易怒性は認知症に限らず、さまざまな精神疾患で見られる症状なので、おかしいと思ったらまず病院を受診しましょう。

認知症の周辺症状は認知症になったら必ず出現する、というものではなく、人によって出たり出なかったりする個人差が大きい症状です。他にもしまい込んだものを盗られたと思い込んでしまう「物盗られ妄想」、徘徊行動、意欲の低下などが周辺症状としてよく知られています。

では、こうした易怒性が現れてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか。基本的には、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

安心できる環境を整える

  • 部屋を明るくし、適切な温度や湿度に調整する
  • 本人が好きな音楽を流すなどして、安心できる環境を整える

本人に合わせて行動する

  • 本人がわかりやすいよう、ゆっくりと話す
  • 視界が狭まっていることが多いので、正面に回って話しかける
  • ただし、プライドを傷つけるため、子ども扱いにならないよう気をつける

否定や強要をしない

  • 本人を否定したり、一緒になって怒ったりするのは避ける
  • 介護されるのを嫌がるときは、無理にやろうとせず時間を置くのも大切
  • 妄想や幻視などの症状が出ているときにも、否定は避ける

とはいえ、介護している家族の精神的な負担は決して小さくありません。易怒性に対応するのがつらいのは当然のことですから、ときにはショートステイなどを利用し、息抜きをしましょう。本人がショートステイを嫌がるのであれば、ケアマネジャーに相談し、一泊からスタートして徐々に慣れてもらったり「自分が入院することになったので、その間はショートステイにお願いする」と伝えて距離をとったりと、方法を一緒に探してもらうのがおすすめです。

こうした対応を行っていても効果がない場合は、認知症以外の疾患がある可能性や、薬物療法に移行する必要があるかどうかなどを含めて医師に相談してみましょう。薬の内容や量がうまくいけば、怒り以外の正常な感情を抑制することなく平穏に過ごせるようになるかもしれません。もし、怒りから暴力に発展するような場合は、早急にケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してください

怒りっぽくなる原因-女性の更年期障がい

女性は月経前症候群などホルモンバランスによってイライラの症状が出やすいことをご紹介しましたが、同じようにホルモンバランスが大きく崩れることでさまざまな症状が出てくる「更年期障がい」もイライラの原因になってしまうケースがあります。これは本人の意思とは全く無関係に起こり、普段なら気にならないことでもカッとなってしまう厄介なものです。

更年期障がいは閉経前後の女性に起こるもので、加齢に伴って卵巣機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ることによってさまざまな症状(不定愁訴)が生じます。同じように、閉経時期ではない20〜40歳くらいの女性であっても心身のストレスや不規則な生活リズム、極端なダイエットや栄養不足などによって女性ホルモンのバランスが崩れると、更年期障がいと同じ症状が現れることがあります。

妊娠中もやはりホルモンバランスが不安定になりますので、自分では気づかずイライラして他人に八つ当たりしてしまい、対人関係がうまく行かなくなってしまうことがあります。子どもを必要以上に叱りつけたり、日常生活に不安を覚えたりしやすくなるのも、ホルモンバランスの崩れが大きな原因です。

こうしたホルモンバランスの崩れによるイライラを治療するためには、その原因となっている疾患の治療を行うことが第一です。更年期障がいに対してはホルモン補充療法が主な治療法ですが、月経前症候群の場合はホルモン療法の他にも漢方薬などを使うことがあります。

もちろん、イライラの原因を取り除くことも良いのですが、人間関係などの場合はなかなか思うようにいかないことも多いです。そこで、イライラの原因を取り除くというよりは、イライラ自体がホルモンバランスによるものだと理解し、ホルモンバランスを整えるとともにイライラを受け流せるような工夫をしていく方が良いでしょう。

おわりに:怒りっぽさやイライラはストレスから。大元の原因を知ることが重要

怒りっぽさやイライラは、その背後に何らかのストレスが潜んでいる場合がほとんどです。栄養バランスの良い食生活やストレス解消の工夫、アンガーマネジメントのテクニックを学ぶ、カウンセリングなどでストレスと上手に付き合っていきましょう。

また、ホルモンバランスや精神疾患など、本人の意思とは無関係にイライラが生じているケースもあります。こうした場合もやはり大元の原因を探り、解決する工夫をすることが重要です。

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