【後編】怒りっぽい・イライラの治し方とは?アンガーマネジメントや治療が効果的

怒りのコントロールができない人こころの悩み
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すぐに頭に血がのぼってしまったり、イライラを抑えられないという人は、認知行動療法や医学的アプローチが効果的かもしれません。

この記事では怒りの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」やイライラを引き起こす疾患や不調などについて説明します。

この記事でわかること
  • アンガーマネジメントはどんなメソッドか
  • 怒りやイライラの原因となる病気の種類と対処法
  • 女性のイライラには理由がある?
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怒りの対処法「アンガーマネジメント」の目的や受講法

アンガーマネジメントとは、認知行動療法(物事の捉え方と感情や身体反応、行動の相互作用から感情や行動を変える心理療法)をベースとして1970年代のアメリカで開発されました。はじめは、精神療法を受けている人や感情労働に関わる(教師、看護師、医師、カウンセラー、客室乗務員など感情のコントロールを強く求められる)職種の人を対象として実施されてきました。

1980年代からは教育分野でいじめ・暴力などへの予防教育、感情教育の一環として発展し、さらに司法分野、医療・福祉分野、ビジネス、スポーツ、カウンセリングの中で取り入れられてきました。日本においては、教育分野で子どもたちの問題行動の予防教育、教師の児童・生徒理解や対応、医療・福祉分野でリワークプログラムやカウンセリングなどに使われています。

アンガーマネジメントは、

  1. まず自分の気持ちに気づいて整理する(自己理解)
  2. 他者の気持ちも理解できるようになる(他者理解)
  3. お互いを理解する(相互理解)
  4. その場にふさわしい方法で自分の気持ちを表現する(自己表現)

という、対人関係に必要な技法のことです。企業においてのパワハラ予防や人間関係向上にも徐々に取り入れられています。

前編のストレスの章でもお話したように、日常生活ではさまざまなストレスに直面する場面があり、ストレス反応として怒りやイライラといった感情が出てきます。さらに、ストレス状態が続くと感情をコントロールする「前頭葉」という脳の部位の機能が低下し、イライラなどの感情が強くなって良好な人間関係を維持するのが難しくなってきます。

アンガーマネジメントでは、このように怒りの感情や行動に影響を与えているその人の物事や考え方(認知)をより柔軟な考え方に変え、自分の力で感情をコントロールし、適切な行動がとれるようになること、より良い人間関係を築けることを目標にしています。

アンガーマネジメントの4つのステップ

具体的には、ストレスマネジメント・認知変容・傾聴・アサーティブコミュニケーションの4つのステップがあります。

ストレスマネジメント
怒りの感情が起こったとき、すぐに爆発させることなく心と身体を落ち着かせる
認知変容
イライラしやすい考え方のクセを探り、柔軟な考え方に変えていく
傾聴
相手を理解するため、相手の話に耳を傾ける
アサーティブ・コミュニケーション
自分も相手も大切にする、自他尊重のコミュニケーションを身につける

これらのテクニックを学ぶことで、自分の怒りの感情に気づけるようになったり、怒りの感情レベルが強くなる前に対処できたりするようになります。加えて、自分の気持ちや考えを冷静に言葉で伝えられれば、他者とより良い人間関係を築けたり、心と身体の健康を保てたりすることにもつながるでしょう。

今日からできるアンガーマネジメント「6秒ルール」

怒りのピークはだいたい6秒とされています。ですから、最初の6秒の感情をコントロールできれば、反射的に言動を起こさずに済む確率がぐっと高くなると考えられます。逆に、反射的に口を滑らせて人間関係を悪化させてしまったり、職場の生産性を低下させてしまったりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

ストレッサーに対して反射的に「イラッ」としてしまうのは誰しも仕方のないことです。大切なのは、そこで反射的に言動に出さないこと。具体的には、イライラを感じたとき、その怒りを頭の中で数値化して客観視すると6秒くらいが経過し、理性的になれます。温度計などを想像するとやりやすいので、「今の怒りはこのぐらいかな」とまず数値を思い浮かべる習慣をつけましょう。

アンガーマネジメントの講座がある?受講料はどのくらい?

アンガーマネジメントは職業・性別・年齢に関係なく誰でも学べる心理トレーニングであり、日本では年々受講者数が増え、2019年には30万人を超える人が講座や研修を受講しています。男女比は3:7で圧倒的に女性が多く、中でも40〜50代の人が7割にのぼります。アメリカでは逆に男性がアンガーマネジメントを学ぶことが圧倒的に多いとされています。職業では一番多いのが会社員で、社内トレーニングに取り入れたい、キャリアアップしたい、副業や兼業として自分のために学びたいという人も増えています。

研修メニューを増やしたい、新しいスキルを身につけたいと受講される研修講師の方、感情労働と言われる看護師や介護士の方が受講することも多いです。他にも、カウンセラーなど心理分野に携わる方、子どもや学生に関わる子育て中の方や教職の方、経営者、士業、公務員、スポーツ選手など、さまざまな方が受講しています。

アンガーマネジメント講座の受講料は講座の内容によって異なりますが、資格を取得して人に教えられるようになる「認定講座」を受講し、認定を受けるためには30,000円〜160,000円かかります。認定なしの講座であれば3,000円から受けられるものもありますので、まず概要を理解したいという人はお試しで認定なしの講座を受講してみるのも良いでしょう。

怒りっぽさ改善のカウンセリング方法と費用目安

怒りっぽさ、イライラしやすさを改善するためには、カウンセリングも重要な方法です。ここまでご紹介してきたように、怒りやイライラは何らかのストレス反応である可能性が高いからです。不安定な精神状態が表出しているからには、どこかに大元の原因があるわけですから、単に怒らないようにするよりも大元の原因と向き合う方が早くて確実なこともあるのです。

まずはイライラや怒りがなぜ生じているのか、大元の原因にきちんと向き合って解決することが重要です。そのための手段にカウンセリングを使うのは非常に有効だと言えるでしょう。

カウンセラーとの対話やアドバイスを通して、悩み事の具体的な解決策を考えたり、心因的な体調不良があれば根本的な原因がどこにあるのかを考えたり、性格の傾向を分析して自分の根本的なものの考え方を認識し、必要に応じて修正していったりするのがカウンセリングです。

心理カウンセリングは多くの場合、保険の対象外で行われます。医療機関において、保険診療の範囲内でカウンセリングを行っているところもありますが、その多くは入院施設に付随するものです。保険対象外の場合は、1時間のカウンセリングにつき5,000円〜30,000円と幅が広く、地域やカウンセラーの経験年数、カウンセリングの技法などによって異なります。

1回の心理カウンセリングにかかる時間は、相談の内容にもよりますがだいたい50〜90分くらいです。対話のカウンセリングだけでなく、特別な心理療法を行う場合は1回のカウンセリングに2〜3時間かける場合もあります。また、相談内容が終結するまでにかかる時間は、相談の内容や相談者の状態によってさまざまです。

初回のカウンセリングだけで終わる人もいれば、じっくりと時間をかけてカウンセリングを進めていくため、長期間に渡るという人もいます。カウンセリングの進め方については、個々のカウンセラーの考え方や方針もありますので、相談者とカウンセラーがお互いによく話し合って納得のいく進め方ができるようにしましょう。

怒りやイライラは病気や女性ホルモンが原因かも

怒りっぽくなったり、イライラしたりする症状が目立つ病気には、下記の病気や不調が原因の可能性があります。

  • うつ病
  • 双極性障がい(躁うつ病)
  • 統合失調症
  • 強迫性障がい(OCD)
  • パーソナリティ障がい
  • 月経前症候群(PMS)
  • 不眠症

月経前症候群や月経前不快気分障害(PMDD)の場合は、イライラが月経の10日前ごろから始まり、月経が始まるとともに消失するケースが多いです。

怒りっぽくなった原因は認知症かも…?

疾患ではありませんが、イライラや怒りっぽさが症状の一つとして現れやすい状態に認知症もあります。認知症になると初期の頃から、他人に攻撃的な発言をしたり、すぐに怒鳴ったりといった怒りっぽくなる症状が出ることがあり、これを「易怒性(いどせい)」と呼んでいます。急に声をかけられたといった些細なことがきっかけとなる場合も、全くきっかけがない場合もあります。

易怒性とは
認知症における行動・心理症状(周辺症状/BPSD)の一つで、特にアルツハイマー型認知症ではこうした「人格の変化」とも呼べる症状が軽度認知障がい(MCI)のうちから出ることもあり、家族が異変に気づくきっかけにもなる

易怒性は認知症に限らず、さまざまな精神疾患で見られる症状なので、おかしいと思ったらまず病院を受診しましょう。

認知症の周辺症状は認知症になったら必ず出現する、というものではなく、人によって出たり出なかったりする個人差が大きい症状です。他にもしまい込んだものを盗られたと思い込んでしまう「物盗られ妄想」、徘徊行動、意欲の低下などが周辺症状としてよく知られています。

こうした易怒性が現れてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか。基本的には、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

1.安心できる環境を整える

  • 部屋を明るくし、適切な温度や湿度に調整する
  • 本人が好きな音楽を流すなどして、安心できる環境を整える

2.本人に合わせて行動する

  • 本人がわかりやすいよう、ゆっくりと話す
  • 視界が狭まっていることが多いので、正面に回って話しかける
  • ただし、プライドを傷つけるため、子ども扱いにならないよう気をつける

3.否定や強要をしない

  • 本人を否定したり、一緒になって怒ったりするのは避ける
  • 介護されるのを嫌がるときは、無理にやろうとせず時間を置くのも大切
  • 妄想や幻視などの症状が出ているときにも、否定は避ける

とはいえ、介護している家族の精神的な負担は決して小さくありません。易怒性に対応するのがつらいのは当然のことですから、ときにはショートステイなどを利用し、息抜きをしましょう。本人がショートステイを嫌がるのであれば、ケアマネジャーに相談し、一泊からスタートして徐々に慣れてもらったり「自分が入院することになったので、その間はショートステイにお願いする」と伝えて距離をとったりと、方法を一緒に探してもらうのがおすすめです。

こうした対応を行っていても効果がない場合は、認知症以外の疾患がある可能性や、薬物療法に移行する必要があるかどうかなどを含めて医師に相談してみましょう。薬の内容や量がうまくいけば、怒り以外の正常な感情を抑制することなく平穏に過ごせるようになるかもしれません。もし、怒りから暴力に発展するような場合は、早急にケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してください

怒りっぽくなる原因-女性の更年期障がい

女性は月経前症候群などホルモンバランスによってイライラの症状が出やすいことをご紹介しましたが、同じようにホルモンバランスが大きく崩れることでさまざまな症状が出てくる「更年期障がい」もイライラの原因になってしまうケースがあります。これは本人の意思とは全く無関係に起こり、普段なら気にならないことでもカッとなってしまう厄介なものです。

更年期障がいは閉経前後の女性に起こるもので、加齢に伴って卵巣機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ることによってさまざまな症状(不定愁訴)が生じます。同じように、閉経時期ではない20〜40歳くらいの女性であっても心身のストレスや不規則な生活リズム、極端なダイエットや栄養不足などによって女性ホルモンのバランスが崩れると、更年期障がいと同じ症状が現れることがあります。

妊娠中もやはりホルモンバランスが不安定になりますので、自分では気づかずイライラして他人に八つ当たりしてしまい、対人関係がうまく行かなくなってしまうことがあります。子どもを必要以上に叱りつけたり、日常生活に不安を覚えたりしやすくなるのも、ホルモンバランスの崩れが大きな原因です。

こうしたホルモンバランスの崩れによるイライラを治療するためには、その原因となっている疾患の治療を行うことが第一です。更年期障がいに対してはホルモン補充療法が主な治療法ですが、月経前症候群の場合はホルモン療法の他にも漢方薬などを使うことがあります。

もちろん、イライラの原因を取り除くことも良いのですが、人間関係などの場合はなかなか思うようにいかないことも多いです。そこで、イライラの原因を取り除くというよりは、イライラ自体がホルモンバランスによるものだと理解し、ホルモンバランスを整えるとともにイライラを受け流せるような工夫をしていく方が良いでしょう。

前編はこちら

【前編】怒りっぽい・イライラしやすい原因はストレス?食事や運動などのセルフケア
怒りっぽい、イライラしやすい性質は周囲を不快な気持ちにさせてしまうだけでなく、本人にとってもイヤなものです。怒りで平常心を失うと、ミスをしてしまうなど失敗にもつながりますよね。今回は怒りっぽい、イライラしやすい性質の原因や改善方法についてご紹介します。セルフケアだけでなく、専門的な治療法があることも知っておきましょう。

おわりに:怒りっぽさやイライラはストレスから。大元の原因を知ることが重要

怒りっぽさやイライラは、その背後に何らかのストレスが潜んでいる場合がほとんどです。栄養バランスの良い食生活やストレス解消の工夫、アンガーマネジメントのテクニックを学ぶ、カウンセリングなどでストレスと上手に付き合っていきましょう。

また、ホルモンバランスや精神疾患など、本人の意思とは無関係にイライラが生じているケースもあります。こうした場合もやはり大元の原因を探り、解決する工夫をすることが重要です。

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