身体の不調は心のSOSサイン?見逃したくない体のトラブルと対処法

頭痛と腹痛など体の不調に悩む女性こころの不調
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精神的なストレスを抱えると、その影響はイライラや情緒不安定など心に出るものだと思われがちです。実際に心に影響が現れることも多いのですが、一方で精神的なストレスに気づいていなくても、身体に不調が出ることもあります。

そこで、今回はストレスが身体に与える影響についてご紹介します。ストレスからくる身体の問題と、その対処法を知っておきましょう。

この記事でわかること
  • ストレスが体の不調を招く理由
  • 自律神経の乱れの影響
  • 肌トラブルの原因と美肌のための対処法
  • 胃腸が不調のときの食事のポイント
  • ストレスからくる肩こりの緩和法
  • 頭痛の種類と病院の治療法
  • 不眠や睡眠障がいを治すには…
  • 過食と拒食「摂食障がい」はストレスが原因か

ストレスなど心の疲れが身体トラブルをまねくのはなぜ?

神経は、体内において各組織と脳をつなぐ連絡経路(ネットワーク)の役割を持っています。神経を通じて脳からの司令や、身体の各組織からの情報が行き来することで、身体を正常な状態に保てるのです。脳や脊髄にある神経を「中枢神経」、全身に散らばっている神経を「末梢神経」と呼び、さらに末梢神経は「体性神経」と「自律神経」に分かれています。

体性神経
運動機能などに関係し、手や足などを意図的に動かすコントロールの働きをする
自律神経
胃腸や心臓、肺、肝臓、血管など多くの内臓器官の機能に関係し、本人の意思とは関係なく臓器の働きを調節する

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、互いにバランスを取りながら全身の臓器の働きを調節しています。ですから、自律神経のバランスが崩れると身体に不調が現れてしまうのです。例えば、ストレスを感じたときは交感神経が活発になりますが、その状態が長く続くと自律神経のバランスが崩れてしまいます。

ストレスを感じると、脳からの指令によって副腎皮質から「副腎皮質ホルモン」が分泌され、さらに副腎皮の中では「アドレナリン」というホルモンが分泌されます。これらのホルモンの働きで血糖値や血圧が上がり、免疫が抑えられ、胃酸の分泌が促され、目が覚めるといった身体の変化が生じます。

一般的に、交感神経は「活動の神経」と呼ばれ、副交感神経は「休息の神経」と呼ばれています。つまり、日中には交感神経が優位になって身体にさまざまな変化をもたらし、活動しやすい状態に導きます。副交感神経が優位になると、身体をリラックスモードに変化させます。

ストレスがかかると、ストレスに抵抗するため交感神経が活性化されて上記のようなさまざまな身体の変化をもたらします。通常はストレスが去った後、交感神経の働きが弱まって自律神経がバランスを取り戻します。ストレスが長期間にわたって続くと交感神経が働きっぱなしになってしまい、リラックス時にもうまく副交感神経が働かなくなってしまいます。

このように2つの自律神経の切り替えがうまくいかなくなり、どちらかの神経だけが働きっぱなしになってしまった状態を「自律神経のバランスが崩れた」と呼んでいます。現代社会では、交感神経が働きっぱなしになってバランスを崩す人が圧倒的に多いです。ストレスの感じ方には個人差がありますので、うまくリラックスして副交感神経を活性化していきましょう。

自律神経の乱れが体に与える影響とは?

自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位な状態になると、一般的には以下のような身体の反応が見られます。

  • 瞳孔が開き、眼球は突出する
  • 唾液の分泌が減り、濃度は濃くなる
  • 心拍数が増え、冠状動脈は拡張し、末梢血管が収縮する。そのため血圧が上がる
  • 気管支が拡張する
  • 消化管の運動が抑えられ、消化液の分泌が減る
  • 肝臓でグリコーゲンが分解され、血糖値が上昇する
  • 鳥肌が立つ

また、副交感神経が優位になると以下のような状態に変化します。副交感神経が働きすぎて自律神経の乱れにつながるケースは多くはありませんが、身体の変化を知っておきましょう。

  • 瞳孔は小さくなり、眼球は引っ込みがちになる
  • 唾液の分泌が増え、濃度は薄くなる
  • 心拍数が抑えられ、冠状動脈は収縮し、末梢血管が拡張する。そのため血圧が下がる
  • 気管支が収縮する
  • 消化管の運動が促進され、消化液の分泌が増える
  • 肝臓でグリコーゲンが合成され、血糖値が低下する

肌トラブル – 蕁麻疹の症状と対処法

ストレスが加わると、自律神経やホルモンの乱れによって蕁麻疹が生じる場合があります。同時に頭痛が生じるケースも少なくありません。蕁麻疹は痒みや痛みを伴うこともあり、夜、リラックスしている時間帯に酷くなることも多いとされています。ストレスでない原因の蕁麻疹なら短時間で治ることもありますが、ストレス性の蕁麻疹は繰り返し現れやすい傾向があります。

蕁麻疹は見た目で診断できることが多いですが、場合によっては血液検査を行うこともあります。一般的に皮膚科を受診して治療を行いますが、ストレス性の蕁麻疹で総合的な治療を視野に入れる場合は精神科や心療内科との連携が必要になるケースもあります。

蕁麻疹の治療

原因や悪化因子を特定してそれを取り除いたり避けたりし、必要に応じて薬物療法を併用します。蕁麻疹を発する原因はさまざまですが、身体に起こる反応としては「マスト細胞から遊離されたヒスタミンが血管や神経に働きかけて症状が現れる」というものですから、抗ヒスタミン薬や抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬を使います。

外用薬は多少痒みを軽減するくらいであまり確実な効果が期待できないため、内服薬や注射薬として使われることが多いです。人により眠気を生じやすかったり、前立腺肥大や緑内障の症状が悪化したりすることがありますので、副作用には十分注意しながら投与します。近年ではこうした副作用のない、あるいは少ない薬が開発されています。

他にも、漢方薬や免疫変調薬などを含む複数の薬が症状に応じて補助的に使われることもあります。また、生活上の注意点として疲労を溜めないこと、魚介類や肉類はできるだけ新鮮なものを食べること、防腐剤や色素など食品添加物を含む食品の摂取を控えること、などの指導が行われます。

ストレス性の蕁麻疹の場合は、ストレスを溜め込まない工夫が最も重要です。感じたストレスを上手に発散する「ストレス解消」と、気分を落ち着かせ、自律神経のバランスを整える「リラクゼーション」の2つのストレス軽減方法を知っておきましょう。

ストレス解消

  • 好きなことやスッキリできることをして、溜まったストレスを発散する
  • カラオケで思いっきり歌を歌う、没頭できる趣味を楽しむ、家族や親しい友人に愚痴を聞いてもらうなど
  • 十分な睡眠をとったり、軽い運動をしたり、マッサージやアロマテラピーを利用したりする<

ストレスは美肌の敵 – 肌荒れ中のケア方法

ストレスを受けると、蕁麻疹以外にもお肌のトラブルが現れやすいです。きちんと毎日お手入れをしていても、ストレスが溜まっているとどうしてもお肌がボロボロになりやすいものです。ストレスがお肌に影響を与えるメカニズムは詳しく解明されていないところも多いのですが、ストレスで自律神経やホルモンのバランスが崩れることが大きな原因と考えられています。

自律神経やホルモンのバランスが崩れると、免疫力が低下したり、末梢血管が収縮してお肌に近い部分の血行が悪くなったり、消化器官の働きが悪くなって消化不良に陥ったりします。これらのことによって肌荒れやニキビ、シミ、くすみなどの肌トラブルが現れてしまいます。「疲れた顔」の最大の原因はストレスによる血行不良だとも言われるほど、ストレスはお肌に悪影響を与えてしまうのです。

さらに、肌荒れなどのトラブルが起こっている状態では肌表面のバリア機能も低下し、チリやほこり、紫外線など外部からの刺激に弱くなってしまいます。朝晩に優しく洗顔と保湿ケアを行い、バリア機能をサポートして肌をいたわりましょう。

  • スキンケア化粧品は刺激の少ないタイプを選び、水分と油分をバランスよく補う
  • 乳液やクリームで「フタ」をし、水分を保持する
  • ニキビや吹き出物などが気になる場合は、「ノンコメドジェニックテスト済み」の製品を選ぶ

胃腸トラブル – 便秘や下痢、胃腸炎

ストレスで交感神経が優位になると消化管の活動が抑えられ、胃に大きな負担をもたらし、腹圧を高くしてしまいます。胃の中のものが逆流したり、胃酸が過剰に分泌されたりしてしまい、消化機能が不安定になり、吐き気が生じます。ストレスによる吐き気の特徴は、胃や胸のムカムカ、キリキリとした痛みなどが挙げられます。頭痛と吐き気が同時に生じることも多いとされています。

過敏性腸症候群(IBS)の対処法

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome)とは、お腹の痛みや調子の悪さ、それに関連して便秘や下痢などの排便異常(排便回数や便の形状の異常)が数ヶ月以上続くものの、大腸に腫瘍や炎症などの異常が見られないという疾患です。具体的な診断基準としては、以下のように定義されています。

  • 最近3ヶ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
  • 下記の2項目以上の特徴がある
  • 1)排便により、症状がやわらぐ
  • 2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
  • 3)症状とともに便の形状が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

過敏性腸症候群になる原因はわかっていませんが、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合、回復後に過敏性腸症候群を発症しやすいことがわかっています。感染によって腸に炎症が起き、腸の粘膜が弱くなるだけでなく、腸に住む腸内細菌のバランスが変化し、運動と知覚機能が敏感になってしまうためです。

腸は食べ物を消化・吸収するだけでなく、不要なものを便として体外に排泄する役割も担っています。排泄のためには、食物を肛門方向に移動させるための腸の「収縮運動(蠕動運動)」と、腸の変化を感じ取る「知覚機能」が必要です。蠕動運動や知覚機能は、脳と腸の間の情報連絡によって制御されています。

そのため、脳がストレスを感じ取って不安状態になると腸の収縮運動が激しくなり、痛みを感じやすい知覚過敏状態に陥ります。この状態が強くなると過敏性腸症候群と診断されます。実際に、大腸に風船を入れて膨らませて刺激するという検査を行うと、健康な人では強く刺激しないと腹痛を感じないのに対し、過敏性腸症候群の患者さんではより弱い刺激で腹痛が起こることがわかっています。

過敏性腸症候群の患者さんでは、脳から腸に向かう信号も、腸から脳に向かう信号も両方が強くなっているとわかっています。ストレスで脳から腸に強い信号が向かうと、自律神経や内分泌系の働きを介して消化管運動を変化させます。さらに、食物はその種類と摂取方法によっては腸から脳に向かう信号を強め、知覚過敏状態を引き起こします。

過敏性腸症候群の治療は、過敏性腸症候群そのものをなくすのではなく、上手にコントロールして症状を軽減することが目的です。そのためには、「規則正しい生活習慣で正常な便通のリズムを作ること」と、「スポーツや趣味などでストレスを発散・軽減すること」の2つがポイントです。

食生活のポイント

  • 神経質になる必要はないが、三食規則正しく食べること
  • 便秘型の人は食物繊維を多く含む野菜や果物(ごぼう、セロリ、人参、りんごなど)を積極的に摂取する
  • 下痢型の人は腸を刺激しやすいコーヒー・スパイス類などを避ける
  • お腹が張りやすい人は、炭酸飲料を控える
  • 没頭できる趣味に集中したり、スポーツで心地よく疲労したりして質の良い睡眠を得るのがおすすめ
  • 同じような境遇の人と話し合ったり、専門家によるカウンセリングを受けたりするのも良い

場合に応じて薬物療法を併用することもあります。鎮痛薬・消化器運動機能改善薬・精神安定剤・漢方薬などが処方されます。過敏性腸症候群の主な原因はストレスと考えられていますので、薬物療法はあくまでも補助的なものと理解し、規則正しい生活習慣の訓練とストレスの解消を怠らないようにしましょう。

胃腸炎の症状・対処法

ストレスが原因で胃酸が過剰分泌されると、胃の免疫力が低下し、ウイルスなどに感染しやすくなり、急性胃腸炎を引き起こすケースがあります。急性胃腸炎を発症すると激しい下痢や嘔吐が生じますので、できるだけ早く消化器科・内科・胃腸科などで診察を受け、早めに治療を行いましょう。

痛みのトラブル – 肩こり、頭痛

ストレスは自律神経のうち、活動を司る「交感神経」を刺激することから、脳や身体が緊張状態に陥ります。血管が収縮して血流が滞り、その結果肩こりや頭痛、腰痛などさまざまな部位の痛みが引き起こされます。運動不足やデスクワークといった環境的な要因だけでなく、ストレスから肩こりや頭痛・腰痛が引き起こされるケースも決して少なくありません。

肩こりの対処方法

対処法としてはストレスを溜め込みすぎないよう、適度なところで上手に発散していくことが必要です。独自のストレス解消法を見つけている人は意識的に行えばよいのですが、慢性的な不調を抱える人ほど、自分に合ったストレス解消法に出会えていないことが多いのです。

肩こりの対処法としてマッサージや整体、ツボ押しなどに行くのも悪いことではありませんが、これらはあくまでもこりに対する対処療法であり、根本的な原因の解決にはならないこともあります。効果には個人差があったり、通い続けないとならなかったりします。リラクゼーションとしてのマッサージには、医学的な効果・効能が少ないものもありますので、自分が求める効果が得られるか注意しましょう。

ただし、リラクゼーションをストレス解消の目的で利用するのであれば、むしろ推奨できます。岩盤浴や温泉、スパ、アロマなどもリラックスを促し、ストレス解消に導いてくれるでしょう。あくまでも心地よさや気分のリフレッシュのためと割り切って利用するのであれば、リラクゼーションの効果も期待できます。

自己流ケアのリスクと注意点

セルフケアで体をほぐすこともありますが、やり方を間違えると体に負担をかけてしまいます。次のような方法は筋肉や神経を痛めることがありますので控えましょう。

  • ひたすらぐいぐい押す
  • 関節をボキッと音がするほど強く刺激する

ストレスを解消法として、適度な運動も効果的です。例えば、レジャーに出かけて精神的な休息をとるなどです。特に、少しでも良いので汗をかくような運動を行うと、ストレス解消や自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。

運動の種類やメニューは何でも良いのですが、無理なく続けられることが絶対条件です。数回で終わってしまってはほとんど意味がありませんので、日常生活の中に習慣として楽しく取り入れられるような運動が良いでしょう。例えば、好きな音楽を聞きながら20〜30分間、早歩きで散歩するなどは手軽に行えておすすめです。

準備運動として、腕を頭上まで回すと肩甲骨のストレッチ効果があり、首や肩のこりに関わる筋肉に良い影響が期待できます。また、入浴などで動かずに汗をかくより、運動によって身体を能動的に動かして汗をかくほうが効果的だとされています。筋肉の収縮と弛緩が交互に起こるので、ポンプ作用で全身の体液の循環が促され、むくみ対策にもなります。

さらに、運動で適度な疲労を得ると質の良い睡眠につながりやすく、自律神経失調症の症状として現れやすい「寝つきが悪い」「眠りが浅い」などといった睡眠障がいにも良い影響が期待できます。眠れない、夜中に起きてしまうなどの症状に悩んでいる人も、ぜひ適度な運動を生活に取り入れてみましょう。

辛い頭痛の対処法は脳神経科や頭痛外来に相談!

ストレスによって頭痛が起こることもあります。頭痛には大きく分けて「緊張型頭痛」と「片頭痛」の2種類があり、一般的にストレスで起こる頭痛としては、ストレスによる筋肉の緊張で起こる緊張型頭痛が知られていますが、片頭痛もストレスによって生じるケースがあります。

緊張型頭痛とは?

肩こり、目の疲れ、ストレスなどが原因で筋肉が硬直していると起こりやすい頭痛。
毎日から週2〜3回程度の頻度で起こり、慢性頭痛と呼ばれるます。重く締めつけられる、ぎゅうっと圧迫されるなどと形容される、軽度〜中等度の痛みを感じることがあります。

後頭部の両側や目の奥などが痛み、肩や首のこり、光や音に過敏になることもあります。デスクワークやパソコン作業が多い、ストレスに弱い、メガネが合っていないなどの理由で起こりやすいです。

片頭痛とは?

月に1〜2回から数ヶ月に1回の頻度で起こり、1回あたり1時間、長いときは数日間にもわたって続く頭痛。女性に圧倒的に多い頭痛の一つで、頭部の血管が何らかの要因で拡張し、血液の流入量が増えたり、血管周辺に炎症が起こったりして起こると考えられています。

ズキンズキンと脈打つような痛みと形容され、頭の片側を生活に支障が出るほどの強い痛みが特徴的です。頭の片側、あるいは両側が痛み、吐き気や光刺激への過敏さなどが起こることもあります。

きっかけとなるのは気圧の変化や天気、食べ物、運動、光や音などの刺激、月経前後、睡眠、ストレスなどさまざまです。

いずれの頭痛の場合も、脳神経内科・脳神経外科・内科・ペインクリニック内科などを受診すると良いでしょう。普段からかかりつけの医師がいる場合は、相談すると頭痛専門の医師や外来を紹介してもらえます。自分では片頭痛だと思っていても緊張型頭痛だったり、重篤な疾患が隠れていたりすることもありますので、できるだけ頭痛専門医を受診しましょう。

また、受診の際には以下のようなことをメモにまとめていくと、スムーズに診察が行えます。

  • 最初の頭痛はいつ頃始まったか(痛む場所、痛み方、前兆や随伴症状の有無、それ以降の頭痛の頻度)
  • 現在の頭痛について(痛む場所、痛み方、前兆や随伴症状の有無、頻度)
  • 頭痛のとき、温めるのと冷やすのではどちらが楽になるか
  • 頭痛の最中に頭や身体を動かすと酷くなるか
  • 頭痛の最中に光、音、においなどを不快に感じるか
  • 家族や身近な親戚に頭痛持ちの人がいるか

眠りのトラブル – 不眠・睡眠障がいの対処法

忙しい、時間がないというとき、ついつい睡眠を後回しにしてしまう人は多いです。しかし、夜遅くまで残業をしたり、趣味に熱中しすぎたり、パソコンやスマホでゲームやインターネットなどに夢中になったりしていると、いざ寝ようと布団に入っても興奮状態でなかなか寝つけない人も少なくありません。

本来、睡眠は脳を休め、ストレスを緩和するための最も良い方法です。身体の疲れは横になっていればある程度とれるものですが、脳がしっかり休むためには睡眠が必要です。良質の睡眠を十分にとることができていれば、少しくらいストレスがあっても心身の健康を保ちやすいので、ぜひ日常生活の中で睡眠の大切さについて見つめ直してみてください。

また、最適な睡眠時間には年齢差や個人差があることがわかっています。以前は1日8時間睡眠が必要と言われていましたが、近年の研究では6.5〜7.5時間睡眠の人が最も長生きする確率が高いことがわかってきました。とはいえ、新生児は1日の大半を眠って過ごしていますが、成長につれて眠る時間は減っていき、さらに高齢者になると睡眠時間は短くなりがちです。

このように年齢によっても必要な睡眠時間は異なりますし、1日5時間の睡眠時間で全く健康に問題がないという人もいれば、8時間以上は眠らないと普段の調子が出ないという人もいます。睡眠時間に個人差がある原因はまだ詳しくわかっていませんが、睡眠の質が良く熟睡できていれば時間はあまり関係ないとする見方もあります。

他にも、スペインやイタリア、南フランスなどでは「シエスタ」という昼寝の習慣があり、お昼に家に帰って昼食を摂ったあと、2〜3時間の昼寝をしてから夜遅くまで活動するという文化があります。近年では日本でも昼寝の効用が見直され、小学校では給食後に15分程度の仮眠をとって午後の授業の集中力を高めようとするところもあります。

働きすぎと言われる日本人にとって、仕事中の昼寝というとまだまだサボり、怠けといったマイナスのイメージが強いかもしれませんが、睡眠は脳にとっても身体にとっても、精神面でも重要なことです。ストレスが強いときこそ、ある程度の睡眠時間を確保するとともに睡眠の質を高めるよう心がけましょう

眠れないだけじゃない「睡眠障がい」って?

もともと、睡眠障がいといえば「眠れない、寝つけない」という不眠症のことを指していました。しかし、近年では睡眠に関する研究が進歩するとともに、睡眠障がいという言葉が指す範囲も広がっています。アメリカ睡眠障がい連合が中心となってまとめた「睡眠障がい国際分類」によれば、睡眠障がいには不眠症のほか、睡眠関連呼吸障がい、過眠症、概日リズム睡眠障がい、睡眠時随伴症、睡眠関連運動障がいなどが含まれます。

睡眠関連呼吸障がいと言えば、その代表的なものは「睡眠時無呼吸症候群」です。過眠症とは昼間に強い眠気があり、一度眠ると目覚めにくい状態です。概日睡眠リズム障がいとは、睡眠と覚醒のリズムが崩れ、極端に寝る時間が遅くなったり早くなったりしてしまうものです。

睡眠時随伴症とはいわゆる「夢遊病」など、睡眠中に起こる異常行動のことを指します。睡眠関連運動障がいには「むずむず脚」や寝ている間の痙攣、歯ぎしりなどが当てはまります。これらの睡眠障がいは大人だけでなく、子どもにも生じることがありますので、子どもの睡眠に問題があるようなら一度専門医に相談してみても良いでしょう。

さらに、不眠症には「寝つきが悪い(入眠障がい)」のほか、「何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)」「早く目覚めてしまう(早朝覚醒)」なども含まれます。いずれも本人が困っていない場合は問題になりませんが、睡眠が不十分になって日常生活に支障をきたす場合は不眠症と診断されます。

このように睡眠障がいが起こる理由として、「メラトニン」という睡眠を誘うホルモンが関係していると考えられています。

メラトニンと睡眠の関係って?

朝、目に太陽の光が入ると、脳の「松果体」という部分からメラトニンの分泌が低下し、覚醒します。このときからおよそ15時間後に再度メラトニンの分泌が高まることで、自然な眠りにつけるのです。

不規則な生活や日中に光を浴びることがない生活を続けていると、メラトニンの分泌がうまくいかないため、睡眠障がいが起こりやすくなります。メラトニンは脳内のホルモン分泌のコントロール中枢である「視床下部」に左右するため、睡眠が乱れるとあらゆるホルモンバランスも乱れてしまいます。睡眠障がいから女性の月経不順を引き起こすこともあります。

ストレスと睡眠障がい

ストレスによって交感神経が優位になり、身体や脳が活動状態になることも睡眠障がいの原因となることがあります。最初にご紹介したように、副交感神経が優位になるとリラックスできますので、基本的には睡眠時にも副交感神経が優位になり、身体が休息モードに入るのですが、ストレスで交感神経が働きすぎると、うまく副交感神経が優位にならないことがあります。

さらに、人には「交感神経優位型」と「副交感神経優位型」があり、同じようにストレスを受けても交感神経が優位になりやすい人とそうでない人がいます。交感神経優位型の人は、眠りにつくのがもともと苦手なだけでなく、少しリズムが乱れたりストレスを受けたりするとすぐに眠れなくなってしまいます。

副交感神経優位型の人は、基本的にはそうした軽微な影響は受けにくいと考えられますが、現代的なライフスタイルによって強く、長期間のストレスがかかり続けると、交感神経優位型に変わってしまうこともあります。

睡眠の質を高めるためにどうすればいい?

睡眠でストレスを解消するためには、睡眠の質を高めることが重要だとわかりました。また、睡眠障がいなどに進行して眠れない状態が慢性化すると、高血圧や糖尿病など重篤な疾患の原因になったり、イライラや集中力の低下を招いたり、最悪の場合はケアレスミスによる事故を引き起こしたりします。ですから、以下のようなポイントに注意し、睡眠の質を高めていきましょう。

朝に太陽の光を浴びる
太陽の光は、1日の体内リズムを整える役目があるとされているため、昼間、それもなるべく午前中に日光を浴び、1日のリズムを整えよう
パソコンやスマホは就寝2時間前まで
メラトニンは、パソコンやスマホの画面から出るブルーライトを夜間に浴びることで分泌量が抑制するため、パソコンやスマホの使用は、できるだけ就寝の2時間前までに終わらせる
ぬるめの湯船につかる
ぬるめのお湯にゆっくりつかると副交感神経が活発になり、よりリラックス。肉体的な疲労感が強いときは熱めのお湯にサッと入ると疲れがとれる。
軽いストレッチなどをする
ストレッチなどで筋肉をほぐすと、心身がリラックスして眠りやすくなる。好きな音楽やアロマでリラックスするのもおすすめ。好きな音楽を聴いたり、リラックス効果が期待されるラベンダーやカモミールのアロマを使ったりするとリラックスしやすい。
寝酒を避ける
アルコールは一時的に眠気を誘うものの、睡眠の質自体は下げるので控えた方が睡眠によい。寝る前に何か飲みたいなら、温かいミルクやハーブティーなどを少し
眠りやすい環境を整える
室内はできるだけ暗く騒音がないようにし、室温を快適に保つ。寝具や寝間着は吸汗性に優れ、肌触りの良いものを選ぶ。

毎日同じ時刻に起床し、1日3食バランスのとれた食事を摂り、適度な運動を行うという基本的な生活習慣は睡眠のためにも重要です。ただし、夕方以降の激しい運動は交感神経を活性化させてしまい、かえって寝つきを悪くすることがありますので、夕方以降に運動する場合は軽いものにしておきましょう。

また、矛盾するようですが就寝時間にこだわりすぎるのも良くありません。眠らなければ、と意識しすぎることでかえって緊張してしまい、寝つけなくなってしまうケースも少なくないのです。眠くなるまではゆったり過ごそう、とリラックスすることを心がけるとすっと眠りにつきやすいでしょう。

摂食障がいトラブル – 過食と拒食

過剰なダイエットやストレスなどがきっかけとなって食行動に異常が起こる「摂食障がい」もストレスが引き起こす身体のトラブルの一つです。ダイエットなどがきっかけとなりやすいことから若い女性に多い疾患で、月経が来ないことを理由に婦人科を受診して始めて摂食障がいが発覚する、というケースも少なくありません。

摂食障がいには種類があります。

摂食障がいには、食べられない、食べたくないという理由から食事量が低下し、体重減少をきたす「拒食症」と、食べすぎてしまう、食べずにはいられないという「過食症」の2つのタイプがあります。また、拒食症から過食症へと症状が進行する場合もあります。日本人女性の青年期〜若年成人期における摂食障がいの頻度は2〜4%程度とされ、最近では過食症の頻度が増えているという特徴があります。

過食症は太るとは限らず、むちゃ食いをした後に無理に嘔吐したり、下剤や浣腸を使ったりして体重を正常範囲内に抑えている人も多く、周囲の人が全く気づかないうちに症状が進んでしまうケースも少なくありません。

女性が行うストレス解消法を調べた調査によれば、「家族や友人と話したり相談したりする」と回答した人は、そうでない人に比べて4年後に高血圧になるリスクが30%程度減少したとされています。逆に、「食べる」と回答した人は、そうでない人に比べて4年後に体重が増え、高血圧になった人の割合が多かったのです。

ですから、摂食障がいなどで身体に負担をかけないためにも、生活習慣病を防ぐためにも、ストレス解消を食べることに求めるのは避けた方が良いでしょう。どうしても美味しいものを食べてストレス解消したい、という場合は本当に好きなものを少量食べるようにすると、過食や高血圧などを防ぎやすいです。

もし、摂食障がいになってしまった場合は、内科や心療内科、精神科で治療を行います。摂食障がいかどうか自信がないときは、まず内科に相談すると良いでしょう。入院するかどうかは状況によって異なりますが、体重が標準の2割以上下回っている場合などには入院となることが多いようです。

特に、栄養が不足した状態では正常な判断も行えませんので、まずは点滴などを使って少しずつ体重を適切な状態に戻し、精神状態が安定してから治療を行います。具体的な治療方法としては認知行動療法(CBT)を中心とし、必要に応じて抗不安薬などの薬物療法を併用します。

抑うつ状態や不安を薬で多少コントロールしながら、認知行動療法で体重に対する偏った考え方を修正し、日常生活の中で異常行動をコントロールできるよう、規則正しい食生活を身につけていくという方法です。薬だけで摂食障がいが治るわけではありませんので、これも薬はあくまでも補助的な役割だということを理解しましょう。

おわりに:ストレスは身体にさまざまな不調を引き起こす

心身にストレスがかかると、自律神経の乱れや肌荒れ、胃腸トラブル、不眠症、肩こり、頭痛、摂食障がいなど、心身にさまざまな不調が引き起こされます。そのため、根本的なストレスを解消することが重要です。

特に、睡眠はストレス解消の最も基本的な方法です。近年の研究では、必要な睡眠時間には個人差が大きく、量より質だということもわかってきました。ぜひ、今回ご紹介したポイントに気をつけて質の良い睡眠をとりましょう。

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