男性も女性も注意!痔の改善・予防におすすめの食生活と冷え対策のポイント

痔の痛みに苦しむ人からだの悩み
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トイレのときの痛みや出血などを引き起こす痔は、年齢や性別を問わず誰にでも発症し得る病気です。実は女性の患者さんが多く、恥ずかしいという理由から病院受診に踏み切れず、症状が悪化することも。

今回は痔の種類と原因、予防に効果的なトイレ習慣と食生活の見直しや冷え対策、検査と治療の方法に至るまで、痔を理解・改善するためのポイントを総合的に解説していきます。

この記事でわかること
  • いぼ痔、痔ろう、裂肛(切れ痔)の特徴
  • ゴルフが趣味、辛党など痔を発症しやすい人
  • お尻にやさしいウォシュレットの使い方
  • 軟膏、注射、手術など痔の一般的な治療法

お尻の痛みや出血も!痔の種類と原因

まずは痔の種類別に主な原因、特徴、症状をそれぞれ紹介していきます。

いぼ痔の症状と特徴
  • 痔のおよそ半分を占める、発症頻度の高い種類
  • 肛門のいぼ状の腫れができるもので、内痔核と外痔核がある
  • 肛門と直腸の境目、歯状線よりも内側にできたものが内痔核
  • 歯状線より外側、体外からでも見える肛門の外側にできたものが外痔核
  • 排便時の出血、激しい痛み、かゆみ、腫れ、内痔核が飛び出るなどの症状が現れる
  • 内痔核よりも外痔核の方が痛みが出やすく、座っていられないなど日常生活に支障をきたすケースも多い
いぼ痔の原因
  • いきみすぎる、長時間座り続けることによる肛門への過負荷
  • 肛門周辺の血液循環が悪くなり、静脈がうっ血して腫れあがっていぼになる
  • 下痢や便秘によるいきみすぎの他、出産時のいきみでも発症することがある
痔ろうの症状と特徴
  • 別名「あな痔」とも呼ばれる種類
  • 肛門付近にあるくぼみから細菌が入り、膿が溜まってトンネルのようになる
  • 女性に比べ、男性が発症するケースが多く見られる
  • 肛門周囲の発熱や激しい痛み、腫れ、膿による下着の汚れなどの症状が出る
  • 繰り返し発症すると膿の出口がふさがり、徐々に複雑な状態へ進行していく
痔ろうの原因
  • 主に下痢の際、肛門周辺のくぼみに細菌が入り込んで発症する
  • ストレスや下痢、肥満、喫煙、アルコールなど生活習慣が発症に関わっている
裂肛(れっこう)の症状と特徴
  • いわゆる切れ痔のことで、いぼ痔の次に発症者が多い
  • 肛門の上皮、つまり表面の薄い粘膜と皮膚が切れたもの
  • 男性に比べ、女性が発症するケースが多く見られる
  • 排便時の痛み、出血、便が細くなるなどの症状が現れる
  • 何度も繰り返すと慢性化し、肛門潰瘍や肛門狭窄、肛門ポリープなどの合併症になる
裂肛の原因
  • 主に硬い便を排泄するとき、上皮が避け切り傷になることで発症する
  • 便秘の他、下痢が原因で肛門がただれ、負荷がかかって発症することも

かなりの痛みと出血を伴う痔にも、進行度合いにより重症度の区分があります。
以下に、いぼ痔を例に痔の重症度と状態の目安を紹介しますので、参考にしてください。

いぼ痔の重症度と状態の目安
  1. Ⅰ度…いぼが肛門の奥に収まった状態で、脱出していない
  2. Ⅱ度…排便時にはいぼが肛門の外に出てくるが、自然に収まる状態
  3. Ⅲ度…いぼが排便時に出てきて自然には収まらず、指で肛門へ戻す必要がある
  4. Ⅳ度…いぼが完全に肛門の外へ脱出していて、指で押しても内側へ戻らない

種類に関わらず、痔を発症する原因の多くは「肛門への過負荷」です。肛門に過度の負荷をかけてしまう、痔になりやすい生活習慣の具体例を挙げると以下のようになります。

痔の原因となる生活習慣の例
  1. 慢性的な便秘で、毎日のようにトイレで強くいきんでいる
  2. ゴルフやテニスなどスポーツをするとき、強くいきむ習慣がある
  3. デスクワークや運転をする仕事で、1日のうち大半を座って過ごしている
  4. サービス業などに就いていて、どうしても長時間立ちっぱなしになる
  5. 刺激物やアルコールを過剰摂取するクセがあり、よく下痢になってしまう
  6. 冷たく硬い場所に座る機会が多く、お尻が冷えてしまいがち

実は女性にも痔が多いのはどうして?

前章でも触れたように、痔は男性だけでなく女性が発症するケースも多い疾患です。痔に関する調査・情報を発信している「肛門の基礎知識|痔の総合情報サイト《痔-web》」をもとに、男女別の痔の発症頻度を見てみましょう。

痔の男女別発症頻度

男性が発症する、痔の種類別割合
  • いぼ痔…52%
  • 痔ろう…19%
  • 裂肛…11%
  • その他…18%
女性が発症する、痔の種類別割合
  • いぼ痔…56%
  • 痔ろう…5%
  • 裂肛…18%
  • その他…21%

(参考:「肛門の基礎知識|痔の総合情報サイト《痔-web》」)

女性は痔ろうの割合が低く、いぼ痔と裂肛が多い傾向にあります。多くの女性が痔を発症する理由としては、以下のような女性ならではの身体的機能・事情が挙げられます。

女性が痔になる原因

便秘になりやすいから
女性は男性に比べ便意を我慢しやすく、生理周期によるホルモンバランスの変化を受けて腸の働きが低下しやすい仕組みを持っています。このため便秘で便が硬くなりやすく、切れ痔やいぼ痔を発症しやすくなるのです。
男性に比べ冷えやすいから
筋肉量が少なく、冷え性になりやすい女性は、肛門周辺の血流が悪化しやすいため痔を発症しやすいとも考えられます。
排便だけでなく、妊娠・出産による発症リスクもあるから
出産を経験することもある女性は、男性よりため強くいきむ機会が多くなりがちです。また妊娠中も、子宮の重さで骨盤が圧迫されて肛門に圧力がかかり、周辺の血流が悪化するため痔を発症しやすくなります。

痔を予防・改善するトイレの習慣

ここからは痔の発症と悪化を少しでも防ぐためにできる、セルフケアを紹介していきます。

まず、痔を予防・改善するために意識して欲しいのが排便習慣の見直しです。以下に、痔の発症や悪化を避けるために、排便時に意識してほしいポイントをまとめていますので、しっかり確認してくださいね。

痔の予防と改善のために、排便時に意識すべきこと

  • トイレに行くのは、便意が発生してからにする
  • 自然な便意を促すため、液体でも良いのでできるだけ毎朝朝食を摂る
  • 便意が来たら時間帯や状況に関わらず、我慢しないでトイレへ行く
  • 便意を逃さず排便できるように、時間に余裕をもって起床・行動する
  • トイレに行く時間が取れないからと、無理してトイレでいきむのはやめる
  • 排便時に強くいきむ時間は、肛門のうっ血を避けるため3分以内にする
  • ウォシュレットを使うときは、お尻を傷めないよう意識する
  • ウォシュレットは人肌くらいの温度のお湯で長くても10~20秒、弱い水圧でやさしく洗う程度に使う
  • 細菌の繁殖や炎症、かゆみを防ぐため、ウォシュレットを使った後は紙で押さえるようにしてやさしく肛門の水分を拭き取る

痔のときに食べるのを避けたい食べ物や飲み物

痔の予防と改善には、腸内環境を整え便秘や下痢など、異常な排便が起きにくい食生活を意識するのも効果的です。善玉菌を増やし、腸内環境を整えるには以下の栄養素を含む食品を積極的に食事に取り入れ、バランス良く摂取すると良いでしょう。

便を柔らかく、排出しやすくする「水溶性食物繊維」が豊富な食品

  • ワカメやメカブ、コンブなどに代表される海藻類
  • ゴボウやニンジン、ダイコン、タマネギ、トマト、ほうれん草、キャベツなどの野菜
  • モロヘイヤ、山芋、オクラなどのネバネバした食品
  • その他リンゴなどの果物、切り干し大根  など

便をかさ増しし、腸のぜん動運動を促進する「不溶性食物繊維」が豊富な食品

  • 玄米や雑穀と一緒に炊いたご飯、ライムギ、全粒粉など茶色い穀類を使ったパンや麺類
  • レンコン、サツマイモ、ジャガイモ、ブロッコリーなどの野菜
  • エノキ、シメジ、シイタケ、エリンギなどきのこ類
  • その他バナナ、納豆 など

小腸を刺激し、スムーズな排便を促す作用のある「オレイン酸」が豊富な食品

  • 料理やドレッシングとして使えて、上質な脂肪酸を含むオリーブオイル
  • 森のバターと呼ばれ、非常に栄養価が高く上質な脂質を含むアボカド

腸内で善玉菌のエサとなる「乳酸菌」「オリゴ糖」が豊富な食品

  • 大豆や大豆製食品、ニンニク、トウモロコシ、バナナ、はちみつ
  • ヨーグルト、乳酸菌飲料、キムチ、味噌、醤油などの発酵食品や調味料

対して、悪玉菌を増やして腸内環境を悪化させ、痔を発症するリスクを高める避けるべき食品としては、以下が挙げられます。摂るべき食品と併せ、覚えておいてくださいね。

痔の発症リスクを高める、避けるべき食品

  • 食品添加物たっぷりのコンビニ弁当、インスタント食品、ファストフード
  • 特に脂の多い部位、特に揚げ物などたっぷりの油で調理した牛肉、豚肉
  • 唐辛子やスパイス、からし、わさびなどの刺激物
  • アイスクリームなど冷たい食べ物や飲み物、大量のアルコール など

冷え対策で痔の悪化を防ごう

血管収縮による血行不良や、肛門周辺の筋肉の緊張は痔の大敵です。このためお尻の冷えを防ぎ、血行促進と肛門括約筋の緊張を緩和すると、痔の発症と悪化予防につながります。以下を参考に、気温が下がる冬はもちろん冷房で体が冷える夏も、お尻を温めるようにしてくださいね。

  • 浴槽にお湯を張って入浴する習慣をつけ、できるだけ毎日肛門周囲の血行を促す
  • 同じ体勢で居続けることを避け、1時間に1回は立ちあがって歩くかストレッチをする
  • 冬は使い捨てカイロを腰、背中、足裏に貼るなどして下半身を温めるようにする
  • 夏は、冷房の効いた屋内では冬用の下着や腹巻を着用する、座っている間はひざ掛けをいするなどして、体を冷えから守ると良い

痔の診察はどんな風に行うの?治療法の種類は?

冒頭で触れたように、痔は発症を繰り返すうちに進行し重症化していきます。このため、肛門周辺の痛みや排便時の出血を自覚したら、できるだけ早く医療機関を受診してください。特に、長期間にわたり繰り返し症状が起きているときは注意が必要です。

仕事や家庭の事情、恥ずかしいなどの理由で受診がはばかられるかもしれませんが、一刻も早い受診が推奨されます。以下に、肛門科の医療機関を受診する際の一般的な診療の流れをまとめてありますので、初めての受診にあたっての参考にしてくださいね。

痔の症状で肛門科を受診した場合の診療の流れ

  1. 受付の手続きの後、まずは看護師や医師による問診を受ける
  2. 問診では痛みや出血、脱出物の有無、腫れ、かゆみ、膿などの分泌物がでていないかなどの自覚症状について、また便通や病歴、生活習慣などについて確認される
  3. 横になった状態で肛門周辺を診てもらう。触れて状態を確認
  4. 指を肛門内に挿入する指診(ししん)を行い、肛門内部の状態を調べる
  5. 最後に、肛門鏡などを肛門に挿入し、肛門内部の様子を目で確認する

次にいぼ痔を例に、重症度別の一般的な治療法を以下に紹介します。

重症度別、いぼ痔の治療法

Ⅰ度、Ⅱ度の場合
  • 便秘解消のための指導を行い、刺激物やアルコールの摂取を控えるよう指示を出す
  • 併せて軟膏タイプの薬を処方し、これを毎日塗ってもらって症状の改善具合を見る
  • 「ジオン注射」や「ALTA療法」など、自覚に薬剤を注入していぼを硬めて根治をめざす保存療法がとられることも
Ⅲ度、Ⅳ度の場合
  • まず生活習慣改善指導、薬を使い出血や痛みの改善をはかる
  • その後、脱出を治すための手術を10日間ほどの入院期間を取って実施
  • 10日間の入院が難しい場合は、2~3日の入院で済む硬化療法がとられることも
  • 結索切除法や肛門形成術、輪ゴム結索治療など、日帰り手術で治療できるケースもある

Ⅰ~Ⅱ度であれば、通院して注射や投薬、生活指導など保存療法だけで痔は治療できます。ただし重症度がⅢ度以上のいぼ痔や、手術による根治治療が基本となる痔ろうなどは、いぼや膿を除去するための手術が必要になってくるでしょう。

なお手術が日帰りか、入院が必要かを判断する基準は、主に痔核の数と大きさです。
痔核が大きい、または2カ所以上取り除く必要がある場合は腰椎麻酔が必要となるため、入院して手術しなければなりません。

諸事情から重症度に合った治療が受けられなかったり、肛門に負担がかかる排便と生活習慣を続ければ、高確率で痔は再発します。投薬治療や手術を受けた後も、肛門にやさしい排便と生活習慣は続けていきましょう。

ちなみに、痔の治療は基本的に保険適応の対象となります。以下に1割負担の場合、3割負担の場合に分けて痔の診断や検査、投薬や手術をしての治療にかかる料金の目安をまとめていますので、参考にしてくださいね。

痔にかかる治療費の目安

1割負担の場合
  • 初診と検査、診断…3,000円前後
  • ジオン注射…5,000~7,000円
  • 痔の手術…10,000~12,000円
3割負担の場合
  • 初診と検査、診断…6,000円前後
  • ジオン注射…15,000~20,000円
  • 痔の手術…20,000~30,000円

実際には通院した分だけ、診察料がかかります。上記はあくまで目安の金額です。
また手術の内容や入院の有無・期間によっても費用は変わってきますので、必ず事前に担当の医師に確認してください。

おわりに:痔の発症・悪化予防の基本は生活習慣の改善!異常を感じたら、早めに肛門科の医師に相談して

いぼ痔、裂肛、痔ろうの3種類に大別される痔は、老若男女誰でも発症し得る疾患です。軽度であれば、肛門への負担を軽減できるよう生活と排便の習慣を改めることで、かなり良くなるでしょう。しかし何度も再発を繰り返すようなら、肛門科の医師による治療が必要です。なお痔は、軽度なものなら薬や注射薬を使った保存療法や日帰り手術で治せます。入院手術が必要になる前に医療機関へ行き、自身の重症度に合った治療を受けてください。

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