女性特有の眠れない悩みって?生理や妊娠などホルモンバランスの影響と睡眠改善法

女性ホルモンの影響で不眠に悩む女性からだの悩み
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なにかとストレスの多い現代社会で、眠れない悩みを抱える人は少なくありません。特に、女性は人生においてホルモンバランスが大きく変化するイベントが多く、心と体の変化が睡眠に影響を与えることも。

そこで、今回は女性に特有の睡眠の悩みに焦点を当ててご紹介します。女性のライフステージによるホルモンバランスの影響や、安眠する方法について見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 女性は男性より不眠傾向が?女性ホルモンの影響
  • 生理で睡眠リズムが変わるときの対処法
  • 仕事や勉強など日中眠くなったとき目を覚ます方法
  • 妊娠中の不眠症状を改善するポイント
  • 放置はキケン?睡眠時無呼吸症候群とは
  • 睡眠改善の人向け漢方薬の選び方

女性ホルモンと睡眠不足の関係とは?日本人女性は眠れない?

睡眠は心と身体の健康を保つために欠かせない、休養の基本とも言える大切な習慣です。しかし、女性の7割以上は「よく眠れない」「寝つけない」といった悩みを抱えているとされています。例えば、2013年度健診で睡眠が不十分と感じている割合は、20〜70代の全ての年代で女性が男性を上回りました。

また、2006年に総務省が発表した「就労者の睡眠時間の国際比較」によれば、日本は男女ともに睡眠時間が短く、また女性の方が男性より睡眠時間が短いのも日本のみという結果になりました。家事・育児の負担が大きい日本人女性にとって、男性と同じ就労時間を過ごすとどうしても世界一眠れなくなってしまうと考えられます。

男性に比べて女性のうつ病が多いのも、こうした睡眠不足との関係性が指摘されています。しかも、2011年には日本人男女ともに就労者の平均睡眠時間がさらに短くなり、ますます日本人女性の睡眠不足傾向は悪化していると言わざるを得ません。

女性の身体は、月経・妊娠出産・閉経などのライフイベントを通じて、ホルモンバランスが大きく変化します。体調の悪化や精神的な不安定さの影に見落とされがちですが、ホルモンバランスの変化は睡眠にも変調をきたしやすいのです。例えば、月経前には日中の眠気、妊娠中には日中の眠気や不眠、出産後は育児を中心とした睡眠不足、更年期には不眠など、ライフステージによってさまざまな睡眠の変調が現れます。

生理中や前後に眠れない理由は?安眠のポイントとは?

生理前や生理中に眠くなってしまうのは、女性ホルモンの一種「プロゲステロン」の働きによるものです。女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があり、主にこの2つのホルモンの増減で生理周期をコントロールしています。そして、排卵が終わってから生理が始まるまでの2週間くらいは「プロゲステロン」が増えるのです。

プロゲステロンと体温の変化
プロゲステロンは排卵の後に増えるホルモンなので、女性の身体が妊娠しやすい状態になるようさまざまな影響をもたらします。その一つとして、基礎体温の上昇が挙げられます。排卵前は1日の中でも体温の変動があるのですが、プロゲステロンの分泌が盛んになる排卵から生理までの間(黄体期)には、基礎体温は上がるものの1日の中での変化はほとんどなくなります。

良質な睡眠のためには、寝つくときに体温を下げなくてはなりません。しかし、この黄体期には体温が変化しにくくなるため、眠りが浅くなったり寝つきが悪くなったりしやすいのです。すると、気づかないうちに身体が睡眠不足の状態になり、日中にも眠気が残ったり、1日中ぼーっとしたりしてしまいます。

生理が始まるとプロゲステロンの分泌量が一気に低下しますので、生理が終わるころには日中の眠気は解消されますが、生理中もしばらく眠気の強い状態が続くという人もいます。こうした生理前の眠気はPMS(月経前症候群)の症状の一つとして捉えられることもあります。

また、生理前後だけでなく妊娠の初期症状として眠気が起こることもあります。妊娠初期も生理前と同じように、妊娠を継続させようとプロゲステロンの分泌量が増えるため、同じ仕組みで眠気が残りやすいのです。このため妊娠中の眠気は初期が最も強く、妊娠の中期〜出産に到るまでは初期よりも弱まることが多いです。

また、生理が始まった後は痛みや吐き気などの体調不良や、生理の漏れが気になって眠れないという人も少なくありません。たとえば、生理では次のような状態を引き起こします。

体調不良
腹痛、頭痛、消化不良、吐き気、下痢などが睡眠の妨げになることも
不眠の直接的な原因となる症状をはっきりさせ、できるだけ発症しないような工夫が必要
生理周期とともに体調や食事内容、ストレス度合いなどを記録し、不眠の発生にパターンがあるかどうかを探ることもおすすめ
月経の漏れが気になる
無意識に何か気になっていることがあると、安眠できないこともある
経血量が少なくても、ナプキンが厚すぎてズレたり、寝相が悪かったりする場合も漏れやすい
経血も重力に従って流れていくため、ナプキンから漏れてしまうのはある程度仕方のないことでもある
どうしても就寝時の漏れが気になって眠れない場合、使用時間を超えない範囲でタンポンを使うのもおすすめ

生理前後の眠気を予防し、安眠するためにはどうすればいい?

生理前後の眠気は辛いものですから、なんとか軽減したいものです。特に、仕事や日常生活に支障が出てしまうほど眠気が強い場合は、すぐにも何らかの対策が必要でしょう。まず1つめの対策として、生理前の過ごし方を見直してみましょう。例えば、以下のような方法が挙げられます。

  • 日中眠くなったときは気分転換して眠気を紛らわす
  • 眠気覚ましにカフェインを摂らない(PMSを悪化させるため)
  • 鉄分を意識的に多めに摂取する
  • どうしても眠いときに仮眠をとる場合、午前中にとる

2つめとして、生理が終わってから排卵までの期間の過ごし方に注意しましょう。この時期に無理をしたり、不規則な生活を送ったりしていると、その不調を生理前まで引きずってしまい、結果としてPMSの症状が悪化したり睡眠の質が低下したりしてしまいます。そこで、以下のように質の良い睡眠をとるための工夫をするとよいでしょう。

  • 朝はきちんと起きて日の光を浴び、体内時計をリセットする
  • 日中はなるべく活動し、ストレッチなどの運動をする
  • お風呂に入るときは寝る1〜2時間くらい前に、ぬるめのお湯につかる
  • 体に合った寝具を使い、湿度や室温を快適にするなど寝室の環境を整える
  • 寝る前には部屋を暗くし、パソコンやスマホなどの強い光を見ない
  • 寝酒は不安定な睡眠を招くので、避ける

見落としがちなのがお風呂の時間で、前述のように人間は寝つくときに体温が下がる(身体の「深部体温」が下がると自然な眠気が訪れる)ようになっています。そのため、体温を上げるお風呂を眠りたい時間の1〜2時間前にすると、ちょうど眠りたい時間ごろに自然な眠気が生じます。このとき、熱いお風呂は交感神経を活性化させて目を覚ましてしまうので避け、ぬるめのお湯につかりましょう。

低用量ピル(OC)でPMSを改善できる?

どうしてもPMSの症状がひどく、上記のような手段を講じても眠気が強くてつらい、という場合は低用量ピル(OC)を服用する方法もあります。低用量ピルは生理周期をぴったり整えたり、生理痛を和らげたりと、眠気以外にも生理にまつわるさまざまな症状を楽にしてくれる効果が期待できます。

これは、低用量ピルを服用すると排卵が止まり、黄体ホルモン濃度が低下するので、基礎体温が高温相(黄体期の体温)よりも低い体温で一定になるためです。一時的に排卵がストップするので、妊娠を望まない女性にとっても大きなメリットがあります。ただし、低用量ピルには副作用も報告されていますから、産婦人科で処方を受けるとき、しっかり説明を聞いておきましょう。

妊娠中に眠れない妊娠随伴睡眠障害って?睡眠薬は飲んでいい?

妊娠中はホルモンバランスの変化、子宮が大きくなることで臓器の位置が変わるなど身体が変化するため、不眠や過眠などの睡眠障がい(妊娠随伴睡眠障がい)を引き起こしやすくなります。一般的には妊娠初期に過眠症が起こり、中期には安定した睡眠に戻り、後期に入ると不眠症になる、というパターンが多く報告されています。

しかも、臨月になると前駆陣痛が始まることで、寝つけても途中で起きてしまうなど、特に睡眠不足になりやすくなります。妊娠中はとにかくゆっくり過ごすことを心がけ、無理をしないよう気をつけましょう。

夜眠れないと赤ちゃんに悪影響なのではないかと心配になり、余計に眠らなくてはと意識しすぎて眠れなくなってしまう人もいるのですが、ママの睡眠不足が赤ちゃんに及ぼす影響は少ないとされていますので、多少睡眠不足でも気にする必要はありません。眠れないときは仕方がない、とおおらかに捉えておく方が良いでしょう。

妊娠初期に眠れない理由

妊娠初期には、ホルモンバランスの変化の他、悪阻、頻尿、不安(流産の不安、子どもに障がいがないかどうかの不安、高齢出産になることの不安など)などの症状が現れて眠れなくなりやすい時期です。

妊娠初期には、女性ホルモンであるプロゲステロンとエストロゲンの両方が急激に増加します。いずれも妊娠のための重要なホルモンなのですが、プロゲステロンは体温を高めに保つ作用があり、月経前に眠れないのと同じように、体温が夜でも下がりにくく寝つきにくくなったり、眠りが浅くなったりして日中に眠くなってしまうと考えられます。

さらに、プロゲステロンそのものに眠気を引き起こす作用があるとされていて、これが妊娠初期の眠気を強めているという指摘もあります。プロゲステロンはPMSを引き起こすホルモンとも言われていて、妊娠初期に急激に増えることで抑うつ気分や怒りの爆発、イライラ、不安感、涙もろさなど精神症状のほか、消化器症状、乳房の張り、痛みなど身体的な症状を引き起こし、これが不眠の原因になることもあります。

妊娠初期から子宮と赤ちゃんは日に日に大きくなっていきますので、膀胱が圧迫されて膀胱容量が小さくなって尿意が強く起こるようになったり、頻尿になったりします。そのため、夜間に尿意で起きてしまったり、トイレに行った後眠れなくなってしまったりして、睡眠の質が落ちてしまうこともあります。

また、妊娠初期には不安や心配がつきまとうものです。生理的な反応としても、子どもの生命を脅かすことへの警戒心が高まるので、お腹の張りを敏感に感じたり、感染症・タバコ・アルコール・薬の内服など、赤ちゃんへの悪影響を過剰に心配してしまったり、食事内容・衛生面・睡眠の質など、すべてのことが不安に結びついてしまったり、自責感に苛まれてしまったりします。

不妊治療や過去に喪失の経験があるという妊婦さんの場合、余計に不安が高まることもあります。近年では胎児新技術が発展し、早い段階から胎児の状態を知ることができるようになりました。エコー検査(超音波検査)、新型出生前診断(NIPT)などの採血検査、腹部に針を刺す繊毛検査、羊水検査など、適宜チェックして不安にならないことも大切です。

妊娠中期に眠れない理由

妊娠中期は安定期と呼ばれ、比較的つらい症状が出にくい時期とされていますが、胎動や頻尿、流産や早産への不安などで眠れなくなることがあります。日中はママ自身も動き回っているので気にならない胎動も、横になって静かにしていると気になってしまい、眠れなくなってしまうのです。

妊娠中は赤ちゃんを大きくしていくため血液量が増えますが、腎臓を通過する血液量は妊娠中期が最大となります。そのため、眠ろうとしても何度もトイレに行きたくなってしまうことがあります。精神的にも安定しやすい中期ですが、切迫流産や切迫早産と診断されると不安で眠れなくなったり、安静を指示されて日中の活動が制限されたりして眠れなくなることもあります。

妊娠後期に眠れない理由

妊娠後期には、動悸・息切れ、むくみ、胎動、腰痛や背部痛など身体の痛み、むずむず足症候群、皮膚のかゆみ、こむら返り、出産や出産後への不安、頻尿などの理由で眠れなくなることがあります。

動悸・息切れ
妊娠後期には、心臓に送られる血液量と心拍数が妊娠前と比べて約50%増加する
寝ていても動悸を感じたり、息が苦しく感じたりすることも
妊娠中は貧血になりやすく、貧血が動悸の原因になることもある
むくみ
大きくなっていく子宮によって、多くの妊婦さんが足のむくみを感じる
足のむくみによって、だるくて眠れないことも不眠の原因の一つ
むずむず足症候群
原因はわかっていないが、妊娠初期に発症しやすいとされている
足がむずむずしてなんとも言えない不快感がある
夜間にこれが起こると、気になって眠れなくなってしまうことがある
胎動
お腹の中の赤ちゃんが成長し、胎動や赤ちゃんのしゃっくりを強く感じるように
胎動が原因で夜間に目が覚めてしまったり、大きくなったお腹で背部や腰部に負担がかかるようになったりして、痛みで起きてしまうことも
皮膚のかゆみ
妊娠期にのみ生じる、いずれも原因不明の妊娠時そう痒性丘疹(PUPPP)、妊娠性疱疹を生じた場合は夜間に強いかゆみが生じる
内服薬や塗り薬による治療ができるので、産婦人科医や皮膚科医に相談が必要
こむら返り
就寝中に急に足がつり、飛び起きてしまうことがある
下肢の血流不足、カルシウムやマグネシウム不足が原因とされる
適度な運動とミネラルを意識した食事を摂取するよう心がける

妊娠後期になると、安定期には落ち着いていた情緒の不安定が再び生じてくるとされています。エストロゲンとプロゲステロンの量は最高潮に達し、さらに出産を助けるための「リラキシン」というホルモンが増え始めることが原因と言われています。ちょっとしたことで涙ぐんでしまったり、怒りっぽくなってしまったりすることがあります。

さらに、出産が近づいてくるために早産や帝王切開などの不安、母親自身や赤ちゃんが死んでしまうのではないかという不安や恐怖、陣痛に耐えられるか、出産した後自分は母親としてきちんと子どもを育てていけるのか、といったさまざまな不安や恐怖などが襲ってきて眠れなくなってしまうこともあります。

妊娠中の睡眠改善法は?睡眠薬を飲んで大丈夫?

妊娠中に眠れなくなってしまったら、まずは毎日の生活習慣や寝る前の環境を見直してみると良いでしょう。

お風呂は寝る1時間前に
人間は、深部体温が下がるときに眠くなる
寝る1時間前にお風呂に入ると、寝る頃には深部体温が下がって自然に眠くなる
お風呂の温度は37〜39度くらいが理想で、熱すぎるお風呂はかえって目が覚めてしまう
軽い運動
日中にヨガやウォーキングなどの軽い運動をすると、よく眠れる
妊娠の経過が順調で、切迫症状などがなく安静指示でないことが条件
心配な人は、妊婦検診で医師に運動をしてよいか聞いてみる
医療機関や公共施設でマタニティヨガや妊婦を対象にした運動プログラムが提供されていることもあるので活用してみるのもおすすめ
リラックス
入浴、落ち着いた音楽、アロマ、ハーブティーなどで寝る前に気持ちをリラックスさせる
心配事や考え事があると眠りにくくなるので、自分に合った方法でのリラックスが大切
ツボを刺激する
眠れない時は、「失眠(しつみん)」と「湧泉(ゆうせん)」のツボを押すとよい
失眠:足の裏側にあって、かかとの中央に位置するツボ。不眠の改善や下半身の冷えに効く
湧泉:足の指を内側に曲げたときにできる、くぼみの中央にあるツボ。安眠や疲労回復の効果を期待できる
ツボを刺激するときは、両手の親指を重ねてやや強いくらいの力で5秒間押し、指を離すのを5回くらい繰り返す
寝る前にスマホを見ない
寝る直前までスマホやパソコンを見ていると、LEDディスプレイから出るブルーライトが脳を刺激してなかなか寝つけなくなったり、眠りが浅くなったりする
寝る2時間前はスマホを見ない、寝る場所から手が届かないところに置く、などの対策をする
部屋の照明を落とす
21時以降は間接照明にするなどの対策をして、部屋を暗めにするのもよい

上記のような対策をしてもどうしても眠れないときは、睡眠薬を飲んでも構いません。しかし、妊娠中は胎児への影響がある成分が含まれている薬は避けなくてはなりませんので、内服できる睡眠薬は薬物依存性や呼吸抑制が比較的弱い「ベンゾジアゼピン系」や「非ベンゾジアゼピン系」となります。

ベンゾジアゼピン系
ハルシオン、デパス、レンドルミン、ロヒプノールなどが多い
非ベンゾジアゼピン系
マイスリー、アモバンなど

これらの睡眠薬は、胎児への影響はほとんどないと言われていますが、他の薬と同様に妊娠中は必要最小限の量を短期間だけ内服するという考え方を基本として服用します。眠れなくて悩んでいるときには、睡眠薬を内服するかどうかも含め、まず医療機関で相談するようにしましょう。

出産後に眠れなくなるのはなぜ?産後うつかも?

産後の不調としてよく見られるトラブルには腰痛や抜け毛、尿失禁などがありますが、不眠も比較的多く見られる訴えです。産後に不眠を引き起こす原因としては「産後うつ」「生活リズムの乱れ」「ストレス」の3つが考えられますが、特によく見られる原因として「産後うつ」が挙げられます。

産後うつはどんな状態?症状セルフチェックリスト

産後うつはよく言われる「マタニティ・ブルー」とは異なります。マタニティ・ブルーズの場合、多くは産後数日(3〜10日)以内に始まり、およそ2週間で自然になくなることが多い一過性のもので、分娩による疲労や産後の身体の変化、育児などの不安から起こる生理的な症状なので、特に治療の必要はないとされています。

産後うつは産後数ヶ月(多くは1ヶ月以内)に起こる不安定な心の状態のことで、症状は数ヶ月にわたることもあり、治療が必要な病的なものとされています。日本において、産後うつ病は出産した女性の5〜10%に起こっているともされ、決して珍しいものではありません。具体的には、以下のような症状が約2週間以上続くなら産後うつの可能性がありますので、一度病院を受診してみましょう。

産後うつセルフチェックリスト

  • 笑うことができない、物事の面白い面がわからない
  • 物事を楽しみにして待つことができない
  • うまくいかないとき、自分を不必要に責めてしまう
  • わけもなく不安になったり、心配になったりする
  • 理由もないのに恐怖に襲われる
  • することがたくさんあるときに、うまく対処できない
  • 不幸せと感じてしまい、涙が出てきたり寝つけなくなったりする
  • 悲しくなったり、みじめな気持ちになったりする
  • 自分自身を傷つけるのではないかという考えが頭に浮かぶ

また、産後うつにも関わってきますが、心身のストレスから不眠になっている可能性があります。育児が思い通りにいかない、家事がはかどらないといった精神的なストレスの他、慣れない赤ちゃんとの全く新しい生活リズムは身体にも大きなストレスがかかります。上手に発散できずため込んでしまうと、眠れない状態を引き起こしてしまいます。

産後の生活リズムの乱れで眠れなくなる理由

生活リズムの乱れが不眠を引き起こすこともあります。授乳やオムツ替えなどの赤ちゃんの世話は、日中はもちろん夜間も続きます。しかも、3ヶ月くらいまでは1日5〜8回くらいの授乳が必要ですから、夜中も定期的に起きて授乳やオムツ交換をしなくてはなりません。他にも夜泣きしたら起きてあやしたり、酷い場合はママが一睡もできなかったりします。

日中も授乳やあやし、寝かしつけなどのためにママの食事や家事の時間がズレることも多々あり、定期的な生活リズムを作るのが難しくなります。生活リズムの乱れは体内リズム(体内時計)の乱れにつながり、不眠を招くこともあります。

出産後の不眠、どう対処すればいい?

もし、産後うつの症状として不眠が現れていると考えられる場合は医療機関で適切な診断と治療を受けましょう。放っておけば治ると思い込まず、早めに医師に相談することは自分にとっても赤ちゃんにとっても非常に大切なことです。上記のような症状が続いているなら、一人で悩まず医療機関を受診しましょう。

不眠以外の症状に思い当たることがなく、産後うつが疑われる症状もないという場合は、生活リズムの乱れや一時的なストレスから不眠が起こっている可能性が高いと考えられます。以下のように、生活リズムを整えたりストレスを発散したりしてみましょう。

朝日を浴びる
朝はできるだけ同じ時間に起き、太陽の光を浴びるよう心がける
太陽などの強い光には体内時計を調整する働きがあり、光を浴びてから14時間以降に眠気が来るようになっている
出産直後は体内時計が乱れやすいので、特に意識的に朝日を浴びるようにしよう
少しでも眠れるときに寝る
授乳には朝も夜もなく、夜中に授乳で起こされてから朝まで眠れないというママも少なくない
目が開いた状態で長時間布団に横たわっていると睡眠時間が足りない、と意識しすぎてストレスになるので、眠れないときは思い切って布団から出てしまうとよい
日中、眠れるときに少しでも寝ておく(不眠の解消には、午後3時までの間に30分の睡眠が効果的)
寝る時間にこだわりすぎず、パートナーや実家など頼れる人に頼って睡眠時間を確保するのも重要
寝る前にはスマホやテレビを見ない
画面から出るブルーライトを浴びると、眠りに導く「メラトニン」が体内で分泌されにくくなる
就寝2時間前を過ぎたら、できるだけスマホやテレビを見ないよう心がける
ストレスを上手に発散する
育児も家事もすべてを完璧にこなそうとすると、休む時間がなくストレスが溜まりがちに
無理して家事をこなそうとせず、思いきって掃除機をかける回数を減らしたり、おかずを一品減らしたりと家事を上手に手抜きする
食洗機やロボット掃除機などの便利な家電や、家事代行サービスを検討してみるのもおすすめ
赤ちゃんが昼寝している間に無理に家事を詰め込まず、ママがリラックスできる時間にすることも大切
家に閉じこもらず、赤ちゃんを連れて散歩や図書館、児童館などに出かけるのも良い気分転換に
公民館などを利用した子育てサークルに入り、ベビーマッサージやリズム体操、絵本の読み聞かせなどを一緒にしながら同じような月齢の子どもを持つママと話すという方法も
軽い運動をする
階段や踏み台を使っての昇降運動や軽いストレッチなど、スキマ時間を利用した適度な運動で身体が疲れると、心地よい眠りに入れる
赤ちゃんと一緒にできるベビーヨガやリズム体操など、スキンシップを図りながら産後運動をするのもおすすめ

閉経や更年期が睡眠不足の原因に?睡眠時無呼吸症候群にも要注意!

更年期や閉経は、女性にとってホルモンバランスが大きく変化する時期です。そのため、睡眠についても以下のような変化が現れやすくなります。

更年期の睡眠
更年期(閉経の前後5年程度)は、女性ホルモンが徐々に減少してくる時期
のぼせやほてりが原因で眠りが浅くなる
若い頃よりも眠りが浅くなり、眠っていても何度も目が覚めてしまう
閉経以降の睡眠
若い頃に比べて女性ホルモンが少なくなり、眠りのタイプが変わってくる
寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝早くに目が覚めたりする
眠りが浅くなり、慢性的に睡眠不足が続いたりする

閉経以降は女性ホルモンの変化だけではなく、加齢に伴って疾患や症状が増え、そのために薬を服用したり、関節痛や筋肉痛などが現れたりと、複数の要因が重なり合って不眠の症状が生じることもあります。

更年期障がいの睡眠不足にはどんな治療法がある?

更年期障がいの要因は主に女性ホルモンの減少ですが、更年期障がいの程度には個人差があり、背景には身体的因子・心理的因子・社会的因子は複雑に絡み合っています。そのため、まずは十分な問診を行った上で生活習慣の改善や心理療法を試み、それでも改善しない症状に対しては薬物療法を行います。

更年期障がいの薬物療法には、「ホルモン補充療法(HRT)」または「漢方薬」、「向精神薬」が使われます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

ホルモン補充療法(HRT)ってどんな治療法?

更年期障がいの主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)のゆらぎや減少にありますので、少量のエストロゲンを補って女性ホルモンのゆらぎや減少を穏やかにする「ホルモン補充療法(HRT)」が薬物療法として最も多く使われます。HRTはほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗など、血管の拡張と放熱に関する症状に特に有効ですが、その他の症状にも効果が期待できます。

また、エストロゲンを単独で補充すると子宮内膜増殖症のリスクが上昇するため、手術などで子宮を摘出していない場合は黄体ホルモンも併用して治療を行います。エストロゲン・黄体ホルモンともに飲み薬・貼り薬・塗り薬などいくつかのタイプがあり、継続的に投与しつづける方法や間欠的に投与する方法、それを組み合わせた方法などさまざまな投与方法がありますので、その人に合った治療が必要です。

HRTは、一時期は乳がんなどのまれな副作用が強調されてしまう傾向があったこともありましたが、最近になって、更年期にHRTを開始した人はその後の閉経期に心臓・血管の病気や骨粗鬆症などの疾患リスクを軽減できるというメリットがあることが再び見直されてきています。

更年期障がいの治療に使われる漢方薬って?

漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られていて、全体的な心と身体のバランスの乱れを回復させる働きを持っています。更年期障がいはその症状にも個人差が大きく多岐にわたることから、「婦人科三大処方」とも呼ばれる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を中心に、例えば以下のように処方されます。

当帰芍薬散
比較的体力が低下していて、冷え症・貧血傾向がある
加味逍遥散
比較的体質が虚弱で疲れやすく、不安・不眠などの精神症状が強い
桂枝茯苓丸
体力は中等度以上でのぼせ傾向にあり、下腹部に抵抗や圧痛を感じる

向精神薬は更年期障がいの治療にも使われるの?

気分の落ち込みや意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など精神的な症状が最も強いという場合には、抗うつ薬や抗不安薬、催眠鎮静薬などの向精神薬が処方されることもあります。特に、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などの新規抗うつ薬は副作用も少なく、ほてり・発汗など血管の拡張と放熱に関する症状にも有効であることから、精神症状が強い場合によく用いられます。

閉経後の女性は睡眠時無呼吸症候群に要注意!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、一般的に男性より女性の方が発症しにくいとされているのですが、それは女性ホルモンの一種「プロゲステロン」が呼吸中枢を刺激するためです。しかし、閉経後の女性ではプロゲステロンの分泌が少なくなるため、無呼吸症候群が起きやすくなり注意が必要です。

しかも、睡眠時無呼吸症候群の症状としてよく見られる「倦怠感・頭痛・不眠・寝汗」などは更年期障がいで現れる症状にもよく似ていることから、更年期障がいだと思い込んで睡眠時無呼吸症候群を見逃してしまい、症状が重篤化してしまうこともあります。このような症状があれば、自己判断せずまずは一度医師に相談してみましょう。

睡眠不足の悩みは病院を受診してOK!何科に相談する?

生活習慣や適度な運動習慣、入浴や寝る前のデジタルデトックスなど、できる範囲のセルフケアを行っても不眠が治らないときには、精神科や心療内科などの専門医に相談しましょう。症状が不眠だけであり、精神科や心療内科は敷居が高いと感じられる場合、まずはかかりつけ医に相談しましょう。病院を受診し、不眠について相談するだけでも安心感が得られるからです。

眠れないことを一人で悩んでいると、考え過ぎたり心配し過ぎたりして余計に不眠が悪化してしまいますし、抑うつ症状などの精神症状や、ストレス性疾患などの身体症状など、心身に悪影響を及ぼしてしまう可能性もあります。つらい時は一人で我慢せず、専門家に相談してみましょう

不眠の治療方法

基本的に不眠のタイプに応じた睡眠薬を使うことになります。不安や抑うつ傾向がある場合には、抗不安薬や抗うつ薬を併用することもあります。家事や育児、その他社会的な役割が重くてなかなか睡眠時間がとれないという場合は、周囲に事情を話して協力してもらい、適度な休息を取りましょう。趣味やスポーツを楽しみ、リラックスする時間も重要です。

睡眠薬というと、「一度使い始めると手放せなくなる」「次第に量が増えていくので副作用が怖い」などネガティブなイメージを持っている人もいるのですが、他の多くの薬と同じように睡眠薬も徐々に改良されており、最近の睡眠薬に上記のような心配はまずありません。現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張・興奮を和らげて自然に近い眠りを導くもので、副作用も少なく安心して使うことができます。ただし、長期にわたって漫然と使い続けるのは良くありませんので、医師の指導や指示に従い、用法・用量を守って適切に使いましょう。

また、近年ではドラッグストアでも購入できる市販の睡眠薬が売られていますが、これはアレルギー薬に副作用として眠気が生じることを利用したもので、あくまでも短期間の使用に限られています。これらの薬剤は慢性的な不眠症に対する治療効果が確認されているものではありませんので、不眠症の場合は市販の睡眠薬を長期間利用しないよう気をつけてください。

おわりに:女性はホルモンバランスの変化で睡眠の変化が起こりやすい

女性は男性と異なり、月経や妊娠・出産、閉経など、常に大きなホルモンバランスの変化が起こっていますので、それに伴って睡眠にも変調をきたしやすいという特徴があります。生活習慣を改善しても良くならないときは、睡眠薬などの利用も含めて医師に相談してみましょう。

特に、妊娠・出産に伴う体調や生活習慣の大きな変化は睡眠のリズムを崩し、身体にも精神にも大きな負担をかけます。一人で抱え込まないよう気をつけましょう。

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