肩や背中、腰の痛みに日々悩んでいるなら、座り方に問題があるのかもしれません。悪い姿勢は筋肉だけでなく、内臓などにも悪影響を与えるおそれを持つことを知っていますか?
今回は長時間のデスクワーク、在宅ワークによる痛みや疲労軽減のために知っておきたい正しい座り方と、姿勢改善に役立つトレーニング、グッズ、習い事を紹介します。
- この記事でわかること
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- 正しい姿勢で座っているかセルフチェック
- 呼吸にも影響を与える悪い姿勢のデメリット
- 姿勢改善に期待できるうれしい効果
- 下半身中心の姿勢改善トレーニング
- 運動が苦手な人も始めやすい姿勢改善につながる習い事
猫背など悪い姿勢のデメリット-肩こり・腰痛・疲労感など-
正しい座り方は、骨盤が立ち、背骨が自然なS字を描いた状態で、体に負担がかかりにくいと言われています。
以下に、座っているときの良い姿勢と悪い姿勢の具体例をそれぞれまとめていますので、比較してみましょう。
- 座っているときの良い姿勢
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- お尻をしっかり背もたれに当ててから、上半身を起こした状態
- 座面に対し、背骨が垂直になっている
- 膝の角度は90度で、足がきちんと床についている
- 座っているときの悪い姿勢
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- 背中を丸め、頭が前に出た猫背のような姿勢
- 股関節や骨盤に傾きを生じさせる、足を組んで座る姿勢
- 浅く腰掛け、反るように背もたれに寄りかかる姿勢
- 机の上に肘をつき、もたれかかって上半身の重さを支える姿勢
- 机の上についた肘に頭や頬を乗せ、ほおづえをついて座る姿勢
- 深く腰掛け、上半身を倒すようにして前かがみになる姿勢
- 足が床につけず、骨盤を立てた状態を保てなくなる不安定な姿勢
上記のような悪い姿勢のまま長時間座り続けると、体のどこかに過剰に負荷がかかり、以下のようなさまざまな弊害が出てきます。
- 悪い姿勢のデメリット
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- 肩、首、背中、腰など特に上半身を支え、起こすための筋力が低下する
- 猫背になって常に前のめりの状態になり、転倒や首、肩、腰が痛むリスクが高まる
- 猫背のまま姿勢が固定されると、内臓が圧迫されて消化器障害や酸素不足が起こる
- 見た目と筋力の低下により、姿勢が悪いと実年齢より老けて見えたり、疲れて見える
- 内臓の働きに支障が出ることから、基礎代謝が下がって疲れやすく、太りやすくなる
肩や首、背中、腰の痛みやこり、疲労感が慢性化してくると、やがて運動機能そのものも低下し、椎間板ヘルニアなど手術を要する疾患の原因となるとも言われています。
ただ、悪い姿勢のまま固まった筋肉や骨盤は、軽い運動やストレッチをこまめに行うことで状態を軽減・改善することが可能です。悪い姿勢、楽な姿勢で座っていることに気が付いたときに、姿勢を正したり体を動かすクセをつけると良いでしょう。
デスクワークや在宅ワークで乱れた姿勢を改善すべき理由
パソコンを使ったデスクワークを長時間行うと、仕事の疲れもあり、どうしても姿勢が悪くなってしまいがちです。また、たとえ正しい姿勢で座っていたとしても、長時間同じ姿勢でいることそのものが負担になってくるため、体によくありません。
長時間同じ姿勢で座り続けることは避け、ときどきは気分転換もかねて体を動かし、少しずつ姿勢を改善していきましょう。
トレーニングなどを通し、姿勢を改善することのメリットとしては以下が挙げられます。
- 姿勢改善で得られるメリット
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- 背骨や関節への負担が軽くなり、全身の痛みやこりの軽減につながる
- 加齢や筋力低下によるつまずき、転倒、骨粗鬆症による骨折や関節の変形予防に役立つ
- 全身の血流が良くなることで呼吸状態が改善され、心身が楽になってくる
なお整形外科では、医師による問診や視診、触診の他、エコーやレントゲン、MRI、CTなどでの撮影などで原因を特定したうえで、姿勢改善するための治療を受けられます。
ただ、軽い体のこりや痛みがあるくらいなら、病院へ行かずとも自身のちょっとした努力と生活習慣の改善で姿勢を改善することも期待できます。
次章からは、自宅でできる姿勢改善のためのセルフケア、トレーニング法を紹介します。
家でできる!姿勢改善のための筋トレ
姿勢を改善し、正しい姿勢をキープするには首、肩、背中、腰の筋肉はもちろん、内臓を支えるインナーマッスルも鍛える必要があります。
姿勢改善のために習慣にしてほしい、筋トレとストレッチの方法は以下の通りです。体に痛みを感じず、無理なくできる範囲で実践してみましょう。
正しい姿勢がキープできるようになる!筋トレの種類と手順
大腰筋に効く10秒間足上げ
- まずは椅子に浅く腰掛け、膝を曲げたままできる限り足を上げ、そのまま10秒キープ
- 足を上げ10秒キープした状態を1セットとし、1日3セットを目安に行う
- 足を上げたときに上半身が倒れてしまうようなら、両手で椅子を持ちまっすぐに保つ
骨盤の動きを良くし、もも裏の筋肉を伸ばす
- 両手を後ろ手に組んで立ち、背筋と膝は伸ばしたまま、お尻を後へ突き出す
- 両手を後ろで組む動作は立つ姿勢を楽にするためのものなので、外してもOK
- 元の姿勢に戻る
- 15回を1セットとし、1日3セットを目安に行う
- 骨盤の動きや足の後ろ側にある筋肉を伸ばすことを意識するとよい
腰の負担、腰痛を軽減するトレーニング
- 膝を軽く立てた状態で仰向けに寝転がり、足の裏はしっかり地面につける
- 肛門を天井へ向けるイメージでお尻を少し持ち上げ、骨盤を後傾させる
- 両手を組んで頭の後ろに添え、おへそを見るイメージで頭を起こしあごを引く
- 上半身全体を起こすのではなく、上半身だけを丸めるようにするのがポイント
腰周りの腸腰筋を緩める2種類のストレッチ①ヒップレスト
- 膝を立てた状態で仰向けに寝転がり、かかとをお尻の方へ引き寄せる
- お尻ともも裏の筋肉にグッと力を入れ、骨盤を上げるイメージでお尻と腰を持ち上げる
- ゆっくりとお尻、腰を床へ戻していき、この一連の動きを10回ほど繰り返す
腰周りの腸腰筋を緩める2種類のストレッチ②ローランジ
- 立った状態から、片方の足の膝を90度に曲げて腰を落とし、もう片方の膝は床につける
- 腰を落としていくとき、上半身も一緒にかがめて手で体重を支え、重さを分散してOK
- 上半身を起こし、重心を前方にかけながら両手を合わせて天井へ上げていく
- 両手が頭の上まで来たら、体を少し後ろにそらしながら腸腰筋を伸ばす
- 一連の動きを左右1回ずつ行って1セットとし、1日3セットを目安に行う
クッションや椅子、ベルトなど姿勢改善グッズでいつでもトレーニング
デスク周りに設置したり、体に身に付けられるグッズを活用すれば、仕事や家事をしながら姿勢改善することもできます。
以下におすすめのグッズを6つ紹介しますので、トレーニングと併用して姿勢改善にお役立てくださいね。
1:体に巻き付けるベルト系グッズ
- ACEFITS 背筋GUUUN猫背サポーター 未矯正高品質ベルト
- 通気性の良いメッシュ生地で、マジックテープで着脱とサイズ調整ができるベルト型の姿勢改善グッズです。たすき掛け効果で肩甲骨が引き寄せられ、胸を大きく開いた正しい姿勢が身に付きます。
- azalee 姿勢矯正 バストアップ インナー補正下着レディース
- 女性専用の姿勢改善ベルトです。ストレッチ方向の異なる2種類のベルトが背中で工作していて、前かがみになると突っ張り、正しい姿勢へと導いてくれます。また脇のお肉をキャッチする構造のため、姿勢改善以外にバストアップにも効果的です。
- 柔道整復師が考えた猫背ベルト
- 人体の仕組みに精通し、国家資格を持つ柔道整復師が監修し作られた姿勢矯正ベルト。自身の体の大きさ、状態に合わせてサイズ調整しながら使用できるので、どんな人にも使いやすいとして人気を集めています。
2:姿勢をサポートするデスク周辺グッズ
- MTG 骨盤サポートチェア
- 椅子の上に設置し、座るだけで背骨が自然なS字を描くように姿勢をサポートしてくれるアイテムです。倒れがちな骨盤はもちろん、太ももは左右からサポートして水平に保ってくれますよ。
- マーナ 骨盤座ぶとん
- 椅子に座るときに使うことで、骨盤の前傾や後傾を予防する座ぶとんです。正しい姿勢をサポートしてくれますので、腰痛予防につながります
- フットレスト
- 椅子の前、座ったときの足元を支えるためのアイテムです。座ったときに足が床につかないと、踏ん張りが効かず正しい姿勢を保てません。3段階の高さ調節が可能なフットレストを置くことで、座り姿勢の改善が期待できます。
ヨガ・ピラティスなど運動系習い事と文化系習い事で姿勢改善
趣味を兼ねた習い事を通して、楽しく姿勢改善に臨むのもおすすめです。
以下に運動系と文科系、2つのジャンルに分けて全身の筋力と柔軟性アップ、姿勢改善に役立つ習い事を紹介していきますので、参考にしてくださいね。
姿勢改善に効く、運動系の習い事
- ダンス教室
- 楽しくできる有酸素運動で、ストレス解消や姿勢改善にも効果的
- パーソナルトレーニング
- 自宅やジム、公園などでインストラクターとマンツーマンで筋トレできる
- ヨガ
- 呼吸法を意識しながら、ゆったりとした動きで柔軟と筋トレを行える
- ピラティス
- ヨガよりもトレーニング要素が強く、インナーマッスル強化に役立つ
- 武道や体操
- 基本として正しい姿勢を身に付けることができる
姿勢改善に効く、文科系の習い事
- 書道、茶道、日本舞踊
- 美しい所作、正しい姿勢でないとできないため、姿勢が改善される
- ピアノ、バイオリン
- 正しい姿勢でなければ、良い音を出すことができない
おわりに:筋トレとストレッチ、グッズも活用して姿勢と体調を改善しよう
デスクワーク、在宅ワークをした後にどっと疲れたり、慢性的な体のこり、痛みに悩んでいるなら姿勢が一因だと考えられます。悪い姿勢のまま長時間座り続けていると、首や肩、背中、腰の骨や関節に負担がかかり、さまざまな体調不良を誘発してしまうのです。本記事を参考に筋トレやストレッチの習慣をつけたり、正しい姿勢が身に付く習いごとに挑戦するなどして、少しずつ姿勢と体調を改善していきましょう。
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