子どもが朝起きられない原因は「起立性調節障害(OD)」かも?

起立性調節障害(OD)で起きられない子どもからだの悩み
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小学校や中学校、高校では時間通りに登校しなくてはいけませんよね。しかし朝起きるのが苦手な子どもがいる家庭では毎日バタバタしてしまうことも。原因は寝坊ではなく、成長途中の子どもに見られる「起立性調節障害(OD)」かもしれません。この記事では子どもの成長やODについて解説します。

この記事でわかること
  • 起立性調節障害(OD)と自律神経の関係
  • どんな症状や精神状態が起立性調節障害(OD)の特徴?
  • 新起立試験の診断でわかる症状のタイプ
  • 起立性調節障害(OD)対策におすすめの睡眠・食事・運動の改善
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起立性調節障害(OD)は小中学生に多い疾患?

起立性調節障害とは、循環系を調節する自律神経の機能がうまく働かないという疾患のことで、小学校高学年から中学生ごろの思春期(成長期)の子どもに多く見られます。

自律神経とは
心血管系や内臓機能など、自分の意思とは無関係に動いて生命を維持する機能を調節している神経で、活動を司る「交感神経」と、休息を司る「副交感神経」から成り立つ

この2つの神経がバランスを保って働いているため、人間の心拍・血圧・呼吸数などが一定に保たれるのです。例えば、立っている状態が続くと血液は重力に従って下半身に溜まり、次第に上半身の血圧が下がってきます。健康な人ではこうなると交感神経が活発に働き始め、下半身の血管を収縮させて血液を心臓に押し戻し、心拍数を上げるとともに血圧を一定に保っています。

しかし、起立性調節障害の子どもの場合、こうした切り替えがうまく働きません。すると、上半身(特に脳)の血圧が低下したままになってしまい、やがては立ちくらみやふらつき、めまい、動悸・失神などの症状を引き起こしてしまいます。同じように、朝も副交感神経と交感神経の切り替えがうまく行われないため、なかなか起きられなくなってしまうのです。

子どもから大人へと身体が大きく変化していく思春期には、身体が発達していくスピードに自律神経の発達スピードが追いつかないことがしばしばあり、こうした調節異常を引き起こしてしまいます。しかし、起立性調節障害を引き起こすのは身体的要因が全てではなく、精神的・環境的要因も関係していると考えられています。

水分の摂取不足や運動不足、精神的なストレスなどが重なると起立性調節障害が起こりやすいとされており、患者の約半数は遺伝傾向があることも示唆されています。中学生では約1割がこの起立性調節障害を持つとされており、決して珍しい疾患ではありません。

小学校高学年や中学生になると、学校の友人関係や勉強などにストレスを感じる子どもが増えてきます。さまざまな要因が重なり、起立性調節障害を引き起こす可能性があることを理解しておきましょう。

起立性調節障害セルフチェックリスト

起立性調節障害では、主に以下のような症状が見られます。

  • 朝、起きられない
  • 立ちくらみ
  • 全身倦怠感
  • 食欲不振
  • 立っていると気分が悪くなる
  • 失神
  • 動悸
  • 頭痛
  • 夜、なかなか寝つけない
  • イライラする
  • 集中力が低下する

お子さんに当てはまる項目はありましたか?起立性調節障害の場合に見られる症状について、詳しく見ていきましょう。

朝、起きられない
  • 起きようと思っても、身体を動かせない
  • 目は覚めているのに、身体がだるくて動けない
  • なかなか目が覚めず、保護者が無理やり起こしてもそれを覚えていないなど
  • 中には、睡眠障害といえるほどのものも
立ちくらみ
  • 急に立ち上がったときに目の前が暗くなったり、白くかすんだりする
  • 特に午前中に強いが、風呂から上がるときにも起こりやすい
全身倦怠感
  • 身体が重だるく、特に午前中に強い。午後から軽くなり、夜にはほとんど感じなくなる
食欲不振
  • 午前中は食欲がなく、特に朝起きた直後は気分が悪くて食べられない
立っていると気分が悪くなる
  • 起立した状態での作業、通学など電車で立っているときに気分が悪くなり、立っていられなくなったり、倒れそうになったりする
  • ひどい場合には気を失ってしまい(失神)、その際に冷や汗が出たり動悸を伴ったりする
失神発作
  • 気を失って倒れてしまう。人によっては繰り返すことも
  • 前兆(目がチカチカする、目の前が見えにくくなる、気分が悪くなる、冷や汗、動悸など)があることもないこともある
動悸
  • 胸がドキドキすると表現されるように、心臓の拍動が速くなる
  • 特に午前中に起こりやすく、立ち上がったときや階段を上がったりするときに多く見られる
頭痛
  • 起立性調節障害による頭痛、片頭痛、緊張性頭痛の3つが混在し、見分けが難しい
  • 起立性調節障害による頭痛:朝起き上がってから出現し、午前中に多く、午後から楽になる。片頭痛のようなズキズキ感のこともあれば、頭重感のこともある
  • 片頭痛:午前午後など時間に関係なく発症し、脳に心臓があるかのようにズキズキし、目がチカチカして吐き気や嘔吐を伴うことがある。1〜3日続くことも
  • 緊張性頭痛:精神緊張、僧帽筋や頸部筋の緊張を伴い、肩こりが強く頭を締めつけられるような痛み
  • タイプによって処方薬が異なるため、専門医の正確な診断が必要
夜、なかなか寝つけない
  • 夕方から夜になると気分が良くなり、夜には目が冴えて寝つけない、布団に入ってもいつまでも眠くならない
  • 副交感神経の「夜に活発になり、朝に活動低下する」という日内リズムが働かない
  • 退屈なのでついついテレビやゲームをやってしまうなど、保護者からは夜更かし朝寝坊の印象が強くなってしまう
イライラ感、集中力の低下
  • 午前中はほとんどと言ってよいほど頭が回らない、授業にも身が入らない
  • 思考力が低下し、考えがまとまらずイライラしてしまう
  • 午後からは思考力は回復するが、勉強が遅れて宿題が溜まるなど、イライラ感は晴れにくい

起立性調節障害は一般的な診察や血液検査では異常が見つかりませんが、思春期に最も起こりやすい疾患の一つで、頻度は約5〜10%とされています。学校を欠席したり、引きこもりがちになったりすることから、近年特に注目されています。小児科医が関心を寄せるようになったのは1960年代のことで、問題とされながらも科学的に検査する方法がやや不十分でした。

90年代に入り、起立直後の数秒間の血圧を測定する検査機器が開発され、めまいや立ちくらみを起こしているとき、あるいは疲労感を身体機能の異変として、客観的に評価することができるようになりました。そして、一人ひとりの子どもに合った診断と治療ができるようになりました。

起立性調節障害が不登校の原因になることも?

子どもが朝起きられず、学校を休みがちになってしまうと保護者が心配になってしまうのは当然のことです。しかし、同時に動揺しないということも重要です。起立性調節障害の子どもは、仮病を使ってずる休みをするつもりなど全くありません。ただ、ひたすら身体が動かないだけなのです。これは本人の意思ではどうしようもありません。

そこへ保護者が焦りから「心が弱いんだ」「怠け病だ」といった感情的な言葉をぶつけてしまうと、子どもは余計に自分を責めてしまい、そのストレスがさらに症状を悪化させてしまうことがあります。

特に小学校高学年や中学生は思春期真っ只中のことも多いです。自律神経は心と密接な関係がありますので、思春期ならではの心の不安定さも、この悪循環に拍車をかけてしまいます。ですから、保護者は決して動揺せず、思春期にはよくあることだと冷静にとらえて、早めに小児科を受診しましょう。

自律神経の機能障害に加え、季節や気候の変化、生活リズムの乱れ、心理社会的ストレスなどが発症や症状の悪化に複雑な影響を及ぼします。遅刻や欠席が増えてしまうため、真面目で周囲の期待に応えて頑張ろうとするタイプの子どもほど多い傾向にあり、不登校に進行してしまうこともあります。心理的な要因が関係している場合は、そのサポートも必要です。

起立性調節障害にはタイプがある?診断と治療法は?

起立性調節障害の症状は他の疾患でも起こりますので、症状以外にも血液検査・画像検査などの結果を見ながら他に疑われる疾患との鑑別を行います。他の病気への疑いがなくなり、起立性調節障害の可能性が高いと診断されたら、次に「新起立試験」を行い、以下の4つのタイプに分類します。

起立直後性低血圧
起立直後の血圧調整に時間がかかるタイプ
体位性頻脈症候群
起立直後に心拍が上昇し、回復に時間がかかるタイプ
神経調節性失神
起立中に急激に血圧が下がり、失神してしまうタイプ
遷延性起立性低血圧
起立し続けると少しずつ血圧が下がり、失神するタイプ

治療では、以下のようなことを心がけましょう。

  • 軽めの運動を普段から心がけ、夜更かしをしない規則正しい生活をする
  • 循環する血液量を増やすため、水分や塩分を多めに摂る
  • 起立性調節障害と不登校が合併したり、心理・社会的ストレスが症状を悪化させたりしている場合はカウンセリングが必要
  • 立ちくらみが強い場合は、普段から急に立ち上がらないよう気をつけ、気持ちが悪くなったら早めにしゃがむ

起立時に倒れたり、朝起きが悪く日常生活に支障が強かったりする場合は、薬を併用することがあります。薬は血管を収縮させて血圧の低下を防ぐもので、「メトリジン(ミドドリン塩酸塩)」や「リズミック(アメジニウムメチル硫酸塩)」がよく使われます。

起立性調節障害のセルフケアは周囲のサポートが必要

起立性調節障害のセルフケアには、生活リズムの改善が不可欠です。小学生や中学生にとって、自力で生活リズムを変えることはなかなか簡単にはいきません。周囲の理解とサポートも重要な役割を果たします。

起立性調節障害は症状の重さによっても治療法が異なりますが、軽度の場合は以下のような生活改善でかなり症状をコントロールしやすくなります。

生活リズムを整える
  • 早寝早起き、日中ゴロゴロしない、眠くなくても夜更かししない、など
適度に運動する
  • 毎日30分くらい歩くなど、身体に負担がない程度の運動を毎日行う
起立の際はゆっくり立ち上がり、長時間の起立は避ける
  • 急に立ち上がらず、頭を下げた状態でゆっくり身体を起こすようにする
  • 長時間立ち続けることはできる限り控える
水分と塩分をしっかり摂る
  • 1日に水分を2ℓ、塩分を10g摂るよう心がける

生活リズムを整える上では、「睡眠・食事・運動」の健康の三本柱について、以下の3つのポイントを心がけましょう。

起床・就寝の時間を一定に
  • 起床・食事・入浴・就寝の時間が一定になるよう、生活リズムを整える
  • 昼夜逆転になっている場合は、1〜2週間で15〜30分ずつ起きる時間を前倒しにしていく
  • 一度起きたら、またベッドに横にならないことも重要。自分で布団を片づける習慣をつけるのも効果的
  • ずっと布団の中にいると交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、倦怠感がとれない
身体を冷やさない食事
  • 自律神経がうまく働かないと、末端の血流が悪くなって身体が冷えがちに
  • 根菜類・豆類(温野菜がベスト)など、身体を温める食品を積極的に摂取しよう
こまめに有酸素運動をする
  • 脚の筋肉には、下半身に巡った血液を心臓に向かって押し出す「ポンプ作用」があるため、筋力を衰えさせないことが重要
  • 脚の筋肉が衰えると、上半身に血液が十分送られないので、脳貧血などの症状が悪化する
  • ジョギング・ウォーキング・ストレッチなどの有酸素運動を、1日10〜20分、週に2回以上マイペースで続ける

起立性調節障害は多くの場合、成人になるにつれて症状が軽くなってきます。しかし、中にはそのまま症状を持ち越してしまう人もいます。ご紹介したような生活習慣を心がけ、家族など周囲の人の協力を頼みながら、セルフケアを中心に症状と上手に付き合っていきましょう。

おわりに:起立性調節障害は思春期によくある自律神経異常のひとつ

起立性調節障害は、主に小学校高学年から中学生あたりの思春期頃によく見られる疾患で、自律神経がうまく循環系を調節できないことによる一時的な低血圧です。中学生の約1割がこの疾患を持つとされています。

治療・改善には生活リズムの見直しが必要で、そのための周囲の理解も重要です。ゆっくり立ち上がって長時間立ち続けない、適度な運動習慣、身体を冷やさないような食事、水分・塩分の摂取量などに気をつけましょう。

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