食べすぎは肥満など体の不調や美容の敵です。しかし「食べたい!」という衝動を抑えきれず、ついつい食べすぎてしまうことはありますよね。
その食べすぎには、明確な原因があるかもしれません。今回は食べすぎを引き起こす4つ原因と有効な対処法を、それぞれ紹介していきます。
- この記事でわかること
-
- 食べすぎは体だけでなく家計にも悪影響がある?
- チョコレートを食べたくなるのは〇〇不足のせい?
- 睡眠不足を防いで食欲を落ち着かせる方法
- PMS(月経前症候群)だと食欲が増加するのはなぜ?
- 治療が必要な「過食」と食べすぎの違い
食べすぎのデメリットは肥満・体調不良・浪費などたくさん!
必要以上に食べすぎてしまうと、体へのデメリットがたくさん発生します。太って肥満体形になってしまう以外にも、食べすぎはあなたの健康や生活に以下のような悪影響をもたらします。
【食べすぎによるデメリット】
- 下痢や腹痛、吐き気などの症状を引き起こし体調を悪化させる
- 特定の食品を大量に食べた場合は、中毒症状や栄養過多で体調を壊す恐れがある
- 食べ物の消化にエネルギーが使われるため、やる気が低下しやすくなる
- 食べ物の購入にお金がかかるため、経済的に苦しくなる
体調不良を引き起こすほど食べる人、経済的にひっ迫するほど食べすぎてしまう人には、食に対し異常な認識・行動をとる傾向が見られます。
以下の条件に当てはまる人は、食への認識が偏っているために、食べすぎてしまいやすいと言えるでしょう。
【食べすぎしやすい人の特徴】
- 特におなかが空いていなくても、周囲が食べているとつられて食べてしまう
- 太りやすいと思いながらも、食べすぎて後で後悔することがある
- イライラやストレスを感じたとき、好きなものやおいしいものを食べて発散する
- 食事するときはおなかがパンパンのなるまで食べないと、満足感を得られない
- 一通り食事を終えた後でも、好きなものなら食べられる
- 食事をのこすことに罪悪感が強く、料理が余っているとつい食べてしまう
- 食料品を買うとき「足りないと嫌だから」と必要以上に買い込んでしまう
- 早食いである
甘いものが欲しくなるのはタンパク質不足が原因?
ついつい食べすぎてしまう原因としては、食べ物への認識の仕方や食事のクセ以外にもいくつか考えられます。
まず挙げられるのが、栄養不足のために特定の食品を摂りすぎてしまう可能性です。
たくさんの量の食物を摂り、しっかり満腹感を感じていたとしても、特定のものばかり食べていては摂取できる栄養素に偏りが生じてきますよね。
すると私たちの体は、不足している栄養成分を補おう満腹なのに食欲を沸かせ、目の前の食べ物を食べさせようとします。
栄養不足、栄養バランスの偏りから食べすぎが起こるのはこのためです。
【不足する栄養素別、食べたくなる食べ物】
不足している栄養素別に食べたくなる、食べすぎてしまいやすくなる食品をそれぞれご紹介します。あなたに不足する栄養素の確認と、食べすぎ防止にお役立てください。
《タンパク質が不足しているときは、甘いものが欲しくなる》
肉や魚、乳製品、豆類に多く含まれるタンパク質が不足すると、体を動かすためのエネルギーが不足します。
すると体はエネルギーへの変換が早く、簡単な糖分=甘いもの・炭水化物を摂取しようとし、甘いものが欲しくなるのです。
《マグネシウムが不足すると、チョコレートが欲しくなる》
ミネラルの一種であるマグネシウムが不足すると、体は同じくミネラル成分を含むチョコレートを欲するようになります。
しかし、チョコレートには糖分・脂肪分が多いため多量の摂取はおすすめできません。
無性にチョコレートが食べたくなったら、ナッツ類やゴマ、海藻などを食べてミネラルを補いましょう。
《カリウムが不足すると、脂っこいものが欲しくなる》
マグネシウムと同じくミネラルの一種、カリウムの摂取量が不足すると、脂肪をたくさん摂りたくなるそうです。
脂っこいものが食べたくなったら、バナナやキュウリ、アボカドを積極的に食べてカリウムを補給しましょう。
《ミネラル不足になると、塩辛いものが欲しくなる》
海水から作られる塩には、さまざまなミネラル成分が豊富に含まれています。
このためミネラルが不足すると、体は塩が効いたしょっぱいものを欲する傾向があります。ただ、塩だけを大量に摂取すると高血圧になるリスクが高まりますから、野菜や海藻を意識的に摂ってミネラルを補ってください。
《鉄分が不足すると、コーヒーが飲みたくなる》
血流にのり、酸素や栄養を体中に運ぶ赤血球の原料となる鉄分が不足すると、貧血気味になりだるさや疲労を感じやすくなります。
コーヒーが飲みたくなるときは、鉄分不足が原因かもしれません。
しかし、コーヒーに多く含まれるカフェインには鉄分の吸収を阻害する作用があります。
コーヒーの摂取は鉄分不足を加速させる恐れがあるため、無性にコーヒーが飲みたいときは鉄分の多い赤身の肉や、レバーを多く摂るようにしましょう。
睡眠不足と食べすぎの関係は?ぐっすり眠る方法とは?
睡眠時間の不足、眠りの質の低下による睡眠不足も食べすぎの原因となり得ます。
睡眠不足により食欲が増大し、食べすぎを引き起こす理由としては、以下が挙げられます。
【活動に必要なエネルギー量が多くなるから】
眠る時間が少なくなるということは、起きて活動する時間が長くなるということ。
活動とエネルギー消費量の増加に対し、体はより多くの食べ物を摂取しようと、食欲を増大させるようになります。
アメリカ・スタンフォード大学の調査では、睡眠不足になると食欲を沸かせるホルモンの分泌量が、十分な睡眠をとった場合に比べおよそ15%高まることが報告されています。
【ホルモンバランスが変化し、甘いものを欲するようになるから】
睡眠不足に陥ると、精神状態を安定させる働きのあるセロトニンというホルモンの分泌量が不足します。
セロトニン不足は甘いものの摂取を促すため、食べすぎや肥満の一因ともなるのです。
また睡眠不足による生活習慣の乱れ、翌日以降の活動量の低下は、1日あたりの基礎代謝量やカロリー消費量を減らし、太りやすい体を作る原因ともなります。
以下の対策を取って睡眠不足を解消し、食べすぎや肥満のリスクを低減しましょう。
【今日からできる、睡眠不足解消法】
- 最低でも6時間の睡眠を取れるよう習慣づける
- 寝る3時間前までに食事を済ませるか、消化の良いものを夕食にして、就寝時には消化器も一緒に休めるようにする
- 速やかに入眠できるよう、覚醒作用のあるスマホやパソコンのブルーライトを見るのは就寝時刻の2時間前までにする
- 睡眠前には部屋の証明をやや薄暗くし、その中で本などを読んで眠くなるのを待つ
- 脳が覚醒し入眠が阻害される原因となるため、寝る前に考え事はせず頭を空っぽにする
生理で食欲暴走!PMS(月経前症候群)の対策は?
女性の場合は、生理周期によっても食べすぎが起こり得ます。
特に、以下に紹介するPMS症状が強く現れる女性は、生理前に食べすぎてしまいがちです。
【PMSとは】
月経前症候群のこと。生理の3~10日前に訪れる黄体期に現れる症状の総称で、女性の心身に以下のような症状を表す。なお症状の強さや現れ方には、非常に個人差が大きい。
《PMSによる症状の例》
- 情緒不安定、抑うつ、不安感、イライラ、集中力の低下、睡眠障害など精神症状
- 強烈な眠気、のぼせ、食欲不振、めまい、倦怠感などの自律神経関連の症状
- 乳房の張り、おなかの張り、腹痛、腰痛、頭痛、むくみなどの身体症状
生理前の黄体期の女性は、妊娠に備えて脂肪や糖分、水分を蓄えようとします。
また精神症状によるイライラや不安感、睡眠障害などの症状からセロトニンの分泌量が低下し、甘いものを欲するようになります。
このため一部の女性は、生理前に「とにかく何か食べていたい」「食欲が止まらない」「いくら食べても満腹にならない」という状態になることがあるのです。
生理前に過食、PMS症状が強く現れる自覚症状がある人は、以下の対策をとって生理前・生理中の食べすぎを防いでくださいね。
【生理中・生理前の食べすぎ防止に有効な対策】
- 少ない量の食事を1日数回に分けて摂り、食欲の爆発を抑える
- 強い空腹を感じさせないようにすることで、ドカ食いや食べすぎを防ぐ
- ドライフルーツやナッツ、豆乳など、カロリーが低いものを少しずつ食べる
- 野菜、汁物、肉類、炭水化物の順に食べるようにし、血糖値の急上昇を避ける
- イライラや不安から食べたくなったら、グレープフルーツの香りで心身を落ち着ける
- 食べたい気持ちが爆発する前に気持ちをリフレッシュさせる
- こまめに歯磨きする
- 自律神経のバランスを整える作用を持つ、ビタミンB6豊富な鶏肉や豚肉、マグロ、カツオを積極的に摂る
- 家にある食品を無意識に食べてしまうようなら、散歩や外出で気分転換をする
- 耳の前のふくらみのすぐ下にあるツボ「飢点(きてん)」を1~2分間押し、食欲を減退させる
ストレスでやけ食いをやめたい!食の幸せ実感やストレス解消がポイント
睡眠不足や生理周期の項でも見てきたように、ストレスや不安、イライラによるホルモンバランスの変化は、やけ食いという名の食べすぎを引き起こします。
ストレスによってやけ食い、食べすぎが起こるメカニズムは以下の通りです。
【ストレスが食欲を増大させるメカニズム】
- 食欲増進、体重増加にかかわるホルモン「グレリン」の分泌量が増加
- 血圧や血糖値の上昇、食欲増進、免疫力低下を引き起こす「コルチゾール」の分泌が、ストレスの感知によって促進される
- グレリン、コルチゾールそれぞれのホルモンが過剰に分泌されることで食欲が増し、やけ食いや食べすぎを起こす
ストレスによる食べすぎを防ぐには、以下の対策を取るのが効果的です。
【ストレスが原因の食べすぎを防ぐ方法】
- 大切な人と話し、味わいながらゆっくりと食事を摂るようにする
- お気に入りのレストランなどで五感をフルに使い、食事の幸せを体感する
- 意識的に太陽の光を浴びるようにし、食欲を抑えるセロトニンの分泌を促す
- 睡眠や運動、入浴、趣味への没頭や友人との会話など、食事以外の方法でこまめにストレスを発散する
過食症には心療内科の治療がおすすめ
食べすぎに以下のような特徴が見られるときは、うつなどの精神的な病気が発端となり、過食症を発症している恐れがあります。
【単なる食べすぎとは異なる、過食症の特徴】
- 特に甘いものを強く欲し、たくさん食べてしまう
- 生理前以外の期間でも、たくさん食べないとイライラして落ち着かない
- 食べすぎと一緒に倦怠感、疲労感、強い眠気などの症状も続いている
- ごく短時間で、家のものをすべて食べつくすよう勢いで食べてしまう
- もう満腹でお腹が苦しいのに、食べ続けてしまう
- 食べ始めると自分でも止められず、食べた後に強い後悔の念に襲われる
- 食べたことをなかったことにしたくて、嘔吐や下剤を使ってでも排出しようとする
- 1日中食べ物のことばかり考えている
- 異常な食欲に悩んでいるが、常に食べ物を口に入れていないと落ち着かない
- 1日のうち、特に夕方から夜にかけて上記の症状が総じて悪化する
- 気分の落ち込みなどの症状もあるが、好きなことをしているときは元気になる
食べることを自分の意思で止められない、また食べることで日常生活への支障、心身の苦痛を感じているかどうか、などが単なる食べすぎと過食症の大きな違いです。
自分の意思でおいしくたくさんの食事を摂っている、また一時的・周期的に食べすぎてしまう人は過食症には当たりません。
客観的に見て少ない量であっても、その人が普段食べる量に対して多すぎる、また食べることで日常生活に支障を感じているのであれば、過食症だと言えるでしょう。
おわりに:食べすぎは健康にも家計にも良くない!原因に合わせて対策しよう
栄養不足、睡眠不足、生理周期によるホルモンバランスの変化、ストレスまで、食べすぎの原因はさまざまです。いずれにせよ、食べすぎは肥満や生活習慣病、また家計を圧迫する要因となりますから、クセづいてしまう前に原因に合った防止対策を取りましょう。ただし自分の意思で食べることを辞められない、経済的にも身体的にも苦しいのに食べてしまうのは過食症かもしれません。精神科、心療内科での受診・治療を検討してください。
コメント