【後編】ストレスによる心身の不調を見過ごさないで!肌・睡眠・食欲の異変とは

ストレスによる心身の異常からだの悩み
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仕事や人間関係の悩みはストレス蓄積につながります。ストレスを原因とする心身の不調にはさまざまな症状があります。

前編では体に痛みや不調として現れるストレス症状を紹介しましたが、この記事ではストレスが引き起こす肌トラブルや睡眠、食欲の不調について対処法を合わせて解説します。

この記事でわかること
  • 肌トラブルの原因と美肌のための対処法
  • 不眠や睡眠障がいを治すには…
  • 過食と拒食「摂食障がい」はストレスが原因か

ストレスによる肌トラブル – 蕁麻疹の症状と対処法

ストレスが加わると、自律神経やホルモンの乱れによって蕁麻疹が生じる場合があります。同時に頭痛が生じるケースも少なくありません。蕁麻疹は痒みや痛みを伴うこともあり、夜、リラックスしている時間帯に酷くなることも多いとされています。ストレスでない原因の蕁麻疹なら短時間で治ることもありますが、ストレス性の蕁麻疹は繰り返し現れやすい傾向があります。

蕁麻疹は見た目で診断できることが多いですが、場合によっては血液検査を行うこともあります。一般的に皮膚科を受診して治療を行いますが、ストレス性の蕁麻疹で総合的な治療を視野に入れる場合は精神科や心療内科との連携が必要になるケースもあります。

蕁麻疹改善には薬や漢方、生活習慣の見直しがポイント

原因や悪化因子を特定してそれを取り除いたり避けたりし、必要に応じて薬物療法を併用します。蕁麻疹を発する原因はさまざまですが、身体に起こる反応としては「マスト細胞から遊離されたヒスタミンが血管や神経に働きかけて症状が現れる」というものですから、抗ヒスタミン薬や抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬を使います。

外用薬は多少痒みを軽減するくらいであまり確実な効果が期待できないため、内服薬や注射薬として使われることが多いです。人により眠気を生じやすかったり、前立腺肥大や緑内障の症状が悪化したりすることがありますので、副作用には十分注意しながら投与します。近年ではこうした副作用のない、あるいは少ない薬が開発されています。

他にも、漢方薬や免疫変調薬などを含む複数の薬が症状に応じて補助的に使われることもあります。また、生活上の注意点として疲労を溜めないこと、魚介類や肉類はできるだけ新鮮なものを食べること、防腐剤や色素など食品添加物を含む食品の摂取を控えること、などの指導が行われます。

ストレス性蕁麻疹はストレス解消を意識しよう

ストレス性の蕁麻疹の場合は、ストレスを溜め込まない工夫が最も重要です。

日常に取り入れたいストレス解消法
  • 好きなことやスッキリできることをして、溜まったストレスを発散する
  • カラオケで思いっきり歌を歌う、没頭できる趣味を楽しむ、家族や親しい友人に愚痴を聞いてもらうなど
  • 十分な睡眠をとったり、軽い運動をしたり、マッサージやアロマテラピーを利用したりする

ストレスは美肌の敵 – 肌荒れ中のスキンケア

ストレスを受けると、蕁麻疹以外にもお肌のトラブルが現れやすいです。きちんと毎日お手入れをしていても、ストレスが溜まっているとどうしてもお肌がボロボロになりやすいものです。ストレスがお肌に影響を与えるメカニズムは詳しく解明されていないところも多いのですが、ストレスで自律神経やホルモンのバランスが崩れることが大きな原因と考えられています。

自律神経やホルモンのバランスが崩れると、免疫力が低下したり、末梢血管が収縮してお肌に近い部分の血行が悪くなったり、消化器官の働きが悪くなって消化不良に陥ったりします。これらのことによって肌荒れやニキビ、シミ、くすみなどの肌トラブルが現れてしまいます。「疲れた顔」の最大の原因はストレスによる血行不良だとも言われるほど、ストレスはお肌に悪影響を与えてしまうのです。

肌にやさしいスキンケア化粧品の選び方

肌荒れなどのトラブルが起こっている状態では肌表面のバリア機能も低下し、チリやほこり、紫外線など外部からの刺激に弱くなってしまいます。朝晩に優しく洗顔と保湿ケアを行い、バリア機能をサポートして肌をいたわりましょう。

  • スキンケア化粧品は刺激の少ないタイプを選び、水分と油分をバランスよく補う
  • 乳液やクリームで「フタ」をし、水分を保持する
  • ニキビや吹き出物などが気になる場合は、「ノンコメドジェニックテスト済み」の製品を選ぶ

ストレスによる眠りのトラブル – 不眠・睡眠障がいの対処法

忙しい、時間がないというとき、ついつい睡眠を後回しにしてしまう人は多いです。しかし、夜遅くまで残業をしたり、趣味に熱中しすぎたり、パソコンやスマホでゲームやインターネットなどに夢中になったりしていると、いざ寝ようと布団に入っても興奮状態でなかなか寝つけない人も少なくありません。

本来、睡眠は脳を休め、ストレスを緩和するための最も良い方法です。身体の疲れは横になっていればある程度とれるものですが、脳がしっかり休むためには睡眠が必要です。良質の睡眠を十分にとることができていれば、少しくらいストレスがあっても心身の健康を保ちやすいので、ぜひ日常生活の中で睡眠の大切さについて見つめ直してみてください。

また、最適な睡眠時間には年齢差や個人差があることがわかっています。以前は1日8時間睡眠が必要と言われていましたが、近年の研究では6.5〜7.5時間睡眠の人が最も長生きする確率が高いことがわかってきました。とはいえ、新生児は1日の大半を眠って過ごしていますが、成長につれて眠る時間は減っていき、さらに高齢者になると睡眠時間は短くなりがちです。

このように年齢によっても必要な睡眠時間は異なりますし、1日5時間の睡眠時間で全く健康に問題がないという人もいれば、8時間以上は眠らないと普段の調子が出ないという人もいます。睡眠時間に個人差がある原因はまだ詳しくわかっていませんが、睡眠の質が良く熟睡できていれば時間はあまり関係ないとする見方もあります。

仕事中の昼寝は心と体の休息にぴったり

スペインやイタリア、南フランスなどでは「シエスタ」という昼寝の習慣があり、お昼に家に帰って昼食を摂ったあと、2〜3時間の昼寝をしてから夜遅くまで活動するという文化があります。近年では日本でも昼寝の効用が見直され、小学校では給食後に15分程度の仮眠をとって午後の授業の集中力を高めようとするところもあります。

働きすぎと言われる日本人にとって、仕事中の昼寝というとまだまだサボり、怠けといったマイナスのイメージが強いかもしれませんが、睡眠は脳にとっても身体にとっても、精神面でも重要なことです。ストレスが強いときこそ、ある程度の睡眠時間を確保するとともに睡眠の質を高めるよう心がけましょう

眠れないだけじゃない!「睡眠障がい」とは

近年では睡眠に関する研究が進歩するとともに、睡眠障がいという言葉が指す範囲も広がっています。睡眠外来など専門医による治療も浸透しました。アメリカ睡眠障がい連合が中心となってまとめた「睡眠障がい国際分類」によれば、睡眠障がいには下記の種類があります。

不眠症
「寝つきが悪い(入眠障がい)」のほか、「何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)」「早く目覚めてしまう(早朝覚醒)」などの状態。本人が困っていない場合は問題にならないが、不十分な睡眠によって日常生活に支障をきたす場合は不眠症と診断される
睡眠関連呼吸障がい
睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」が代表的
過眠症
昼間に強い眠気があり、一度眠ると目覚めにくい状態
概日リズム睡眠障がい
睡眠と覚醒のリズムが崩れ、極端に寝る時間が遅くなったり早くなったりしてしまう状態
睡眠時随伴症
いわゆる「夢遊病」など、睡眠中に起こる異常行動
睡眠関連運動障がい
「むずむず脚」や寝ている間の痙攣、歯ぎしりなど

睡眠障がいが起こる理由として、「メラトニン」という睡眠を誘うホルモンが関係していると考えられています。

メラトニンと睡眠の関係って?

朝、目に太陽の光が入ると、脳の「松果体」という部分からメラトニンの分泌が低下し、覚醒します。このときからおよそ15時間後に再度メラトニンの分泌が高まることで、自然な眠りにつけるのです。

不規則な生活や日中に光を浴びることがない生活を続けていると、メラトニンの分泌がうまくいかないため、睡眠障がいが起こりやすくなります。メラトニンは脳内のホルモン分泌のコントロール中枢である「視床下部」に左右するため、睡眠が乱れるとあらゆるホルモンバランスも乱れてしまいます。睡眠障がいから女性の月経不順を引き起こすこともあります。

ストレスと睡眠障がい

ストレスによって交感神経が優位になり、身体や脳が活動状態になることも睡眠障がいの原因となることがあります。最初にご紹介したように、副交感神経が優位になるとリラックスできますので、基本的には睡眠時にも副交感神経が優位になり、身体が休息モードに入るのですが、ストレスで交感神経が働きすぎると、うまく副交感神経が優位にならないことがあります。

さらに、人には「交感神経優位型」と「副交感神経優位型」があり、同じようにストレスを受けても交感神経が優位になりやすい人とそうでない人がいます。交感神経優位型の人は、眠りにつくのがもともと苦手なだけでなく、少しリズムが乱れたりストレスを受けたりするとすぐに眠れなくなってしまいます。

副交感神経優位型の人は、基本的にはそうした軽微な影響は受けにくいと考えられますが、現代的なライフスタイルによって強く、長期間のストレスがかかり続けると、交感神経優位型に変わってしまうこともあります。

睡眠の質を高めるためにどうすればいい?

睡眠でストレスを解消するためには、睡眠の質を高めることが重要だとわかりました。また、睡眠障がいなどに進行して眠れない状態が慢性化すると、高血圧や糖尿病など重篤な疾患の原因になったり、イライラや集中力の低下を招いたり、最悪の場合はケアレスミスによる事故を引き起こしたりします。ですから、以下のようなポイントに注意し、睡眠の質を高めていきましょう。

朝に太陽の光を浴びる
太陽の光は、1日の体内リズムを整える役目があるとされているため、昼間、それもなるべく午前中に日光を浴び、1日のリズムを整える
パソコンやスマホは就寝2時間前まで
メラトニンは、パソコンやスマホの画面から出るブルーライトを夜間に浴びることで分泌量が抑制するため、パソコンやスマホの使用は、できるだけ就寝の2時間前までに終わらせる
ぬるめの湯船につかる
ぬるめのお湯にゆっくりつかると副交感神経が活発になり、よりリラックス。肉体的な疲労感が強いときは熱めのお湯にサッと入ると疲れがとれる
軽いストレッチなどをする
ストレッチなどで筋肉をほぐすと、心身がリラックスして眠りやすくなる。好きな音楽やアロマでリラックスするのもおすすめ。好きな音楽を聴いたり、リラックス効果が期待されるラベンダーやカモミールのアロマを使ったりするとリラックスしやすい
寝酒を避ける
アルコールは一時的に眠気を誘うものの、睡眠の質自体は下げるので控えた方が睡眠によい。寝る前に何か飲みたいなら、温かいミルクやハーブティーなどを少し飲むのがおすすめ
眠りやすい環境を整える
室内はできるだけ暗く騒音がないようにし、室温を快適に保つ。寝具や寝間着は吸汗性に優れ、肌触りの良いものを選ぶ

毎日同じ時刻に起床し、1日3食バランスのとれた食事を摂り、適度な運動を行うという基本的な生活習慣は睡眠のためにも重要です。ただし、夕方以降の激しい運動は交感神経を活性化させてしまい、かえって寝つきを悪くすることがありますので、夕方以降に運動する場合は軽いものにしておきましょう。

また、矛盾するようですが就寝時間にこだわりすぎるのも良くありません。眠らなければ、と意識しすぎることでかえって緊張してしまい、寝つけなくなってしまうケースも少なくないのです。眠くなるまではゆったり過ごそう、とリラックスすることを心がけるとすっと眠りにつきやすいでしょう。

ストレスによる摂食障がい – 過食と拒食

過剰なダイエットやストレスなどがきっかけとなって食行動に異常が起こる「摂食障がい」もストレスが引き起こす身体のトラブルの一つです。ダイエットなどがきっかけとなりやすいことから若い女性に多い疾患で、月経が来ないことを理由に婦人科を受診して始めて摂食障がいが発覚する、というケースも少なくありません。

摂食障がいには、拒食症と過食症があります。

拒食症
食べられない、食べたくないという理由から食事量が低下し、体重減少や骨粗鬆症をきたす
過食症
食べすぎてしまう、食べずにはいられないため異常な量の食事をとり、体重増加や自分を責める気持ちが発生する

拒食症から過食症へと症状が進行する場合もあります。日本人女性の青年期〜若年成人期における摂食障がいの頻度は2〜4%程度とされ、最近では過食症の頻度が増えているという特徴があります。

過食症は太るとは限りません。むちゃ食いをした後に無理に嘔吐したり、下剤や浣腸を使ったりして体重を正常範囲内に抑えている人も多く、周囲の人が全く気づかないうちに症状が進んでしまうケースも少なくありません。

女性が行うストレス解消法を調べた調査によれば、「家族や友人と話したり相談したりする」と回答した人は、そうでない人に比べて4年後に高血圧になるリスクが30%程度減少したとされています。逆に、「食べる」と回答した人は、そうでない人に比べて4年後に体重が増え、高血圧になった人の割合が多かったのです。

ですから、摂食障がいなどで身体に負担をかけないためにも、生活習慣病を防ぐためにも、ストレス解消を食べることに求めるのは避けた方が良いでしょう。どうしても美味しいものを食べてストレス解消したい、という場合は本当に好きなものを少量食べるようにすると、過食や高血圧などを防ぎやすいです。

摂食障がいの治療法は心療内科や精神科のサポートも重要

摂食障がいになってしまった場合は、内科や心療内科、精神科で治療を行います。摂食障がいかどうか自信がないときは、まず内科に相談すると良いでしょう。入院するかどうかは状況によって異なりますが、体重が標準の2割以上下回っている場合などには入院となることが多いようです。

特に、栄養が不足した状態では正常な判断も行えませんので、まずは点滴などを使って少しずつ体重を適切な状態に戻し、精神状態が安定してから治療を行います。具体的な治療方法としては認知行動療法(CBT)を中心とし、必要に応じて抗不安薬などの薬物療法を併用します。

抑うつ状態や不安を薬で多少コントロールしながら、認知行動療法で体重に対する偏った考え方を修正し、日常生活の中で異常行動をコントロールできるよう、規則正しい食生活を身につけていくという方法です。薬だけで摂食障がいが治るわけではありませんので、これも薬はあくまでも補助的な役割だということを理解しましょう。

前編はこちら

【前編】ストレスによる心身の不調を見過ごさないで!SOSのサインと対処法
精神的なストレスを抱えると、その影響はイライラや情緒不安定など心に出るものだと思われがちです。しかし精神的ストレスは、体の痛みとして症状が現れることも。 そこで、今回はストレスが引き起こす肌トラブル・胃腸の症状・肩こり・頭痛について紹介します。ストレスからくる身体の問題と対処法を知っておきましょう。

おわりに:ストレスが心身に与える影響は大きい!専門医への相談も視野に入れて

ストレスは肌トラブルや睡眠、食欲のコントロールに影響を与えます。肌に自信がない、眠れない状況が続く、食事が苦痛という状態では人間関係にも支障をきたしかねません。ストレス以外が原因のこともありますが、意識してストレス解消することで症状が和らぐことがあります。専門医のアドバイスを受けながら、セルフケアとしてストレス解消をしてくださいね。

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