シニア世代は仕事や子育てもひと段落してくる時期ですよね。そんなとき「ペットと一緒に暮らしたい」と思うこともあるでしょう。しかし体力面や将来設計など、シニアは考えるべきことがたくさんあります。
この記事では、シニア世代がペットを飼うときに理解しておきたいポイントを紹介します。
- この記事でわかること
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- ペットを飼うとシニア世代の病気リスクが低下する理由
- ペットとの暮らしに必要な準備と資金
- シニア世代が理解しておきたいペットとの別れの影響
- 体力に自信がない人でも飼いやすいペット
シニア世代がペットと暮らすとこんなメリットが
シニア世代が犬や猫などペットを飼うことには、次のようなメリットが考えられます。
触れ合いによる癒しとストレス緩和
動物との触れ合いによって、癒しの効果が期待できます。医療現場では「アニマルセラピー」としてセラピードッグ犬が活躍しています。動物による癒しはストレスを和らげると考えられています。
ストレスはさまざまな病気や不調を引き起こしかねません。シニア世代に注意してほしいのは、ストレスによる認知症リスクです。すでに発症している場合も、ストレスが認知症を悪化させるおそれがあります。
動物との触れ合いは、日々の癒しだけではなく健康的な老後もサポートしてくれるのです。
生活習慣が改善され、健康体になる
ペットを飼うならば、自分とのことばかり考えてはいられません。ペットのために食事の用意や掃除などのお世話が必要です。生活が不規則な人でも、メリハリが出てくるでしょう。
犬を飼う場合は散歩に出かけたり一緒に遊んだりしますので、飼い主も運動が習慣になります。散歩で手足を大きく動かすと、ウォーキング効果が得られるでしょう。有酸素運動のウォーキングには、筋力アップ、体力アップ、生活習慣病予防、認知症予防、うつ予防などの効果が期待できます。
ペットとの信頼関係で心が安定する
ペットに愛情を注ぐと、飼い主に対して愛情や信頼を返してくれます。シニア世代は孤独感や無気力に苛まれる人が少なくありません。その状態が悪化すると、うつ病を発症するおそれがあります。ペットと一緒に暮らすことで心が満たされ、生活が楽しくなる人もいます。
ペットをきっかけに友人や知り合いが増える
犬の散歩をしていると、犬が好きな人に話しかけられることがありますよね。動物病院に行ったときに、飼い主同士で話が弾むこともあるでしょう。
SNS上でも、動物好きの人がコミュニケーションをとっています。ペットにおすすめの食事や病気にかかったときの対処法など、アドバイスし合うこともあるようです。
シニアがペットと安心して暮らすための体力・お金・住居
元々動物が好きな人はもちろん、最近ペットを飼うことに興味が湧いてきたという人もいますよね。では、ペットとの暮らしをスタートするにはどんなことに注意するのがよいのでしょう。
動物は命や感情を持っていますので、責任を持って世話をしなくてはいけません。シニア世代がペットを飼うときは、体力・お金・住居を考慮する必要があります。
ペットのお世話を問題なくこなせるだけの体力
動物の世話には体力が求められます。たとえば大型犬や活発な犬を飼う場合、散歩で引っ張られて歩くのが大変なこともあるでしょう。ペットが病気になったときは抱え上げて病院に連れて行きますので、筋力が低下しているとツラくなります。
小さめの犬や猫なら楽かというと、そうとは限りません。散歩や掃除などを十数年続けていくのは思った以上に体力が必要です。ご自身の体力や足腰の健康状態を考慮し、ペットを飼えるか検討しましょう。
一般社団法人ペットフード協会が行った「全国犬猫飼育実態調査(平成30年」)によると、1か月あたりの愛犬にかかる支出額の平均は11,480円でした。生涯必要となる費用は1,793,005円という結果となりました。食費が約40%、医療費が約20%、美容費が約15%、日用品が約10%、レジャーが約5%、その他が約10%という内訳です。
ペットの食事や医療費のための費用を支払えるか
ペットを飼うなら、食事代や医療費、ペット保険などお金がかかります。たとえば犬の場合の費用は、年間で10万円から40万円ほどです。また、獣医学の発展やペットフードの進化などに伴い、ペットの寿命も延びています。ペットも人間と同じように、高齢化に伴い病気やケガ、認知症のリスクが上がります。医療費の支払いがかさみますので、ペットのための将来的な医療費を確保しておくと安心です。
ペットと安心して暮らす住居が必要
ペットがのびのびとストレスなく暮らすためには、自宅環境を整えることが求められます。猫のためのキャットタワー、魚が衛生的に暮らすための水槽セットなど、ペットのための環境整備はさまざまです。
さらに、老後の住まいが賃貸の場合はペット可の物件を選ぶ必要があります。一般的にはペット可の物件は敷金や家賃が高く、お金もかかります。
ペットロスやシニア犬のお世話など飼う前に理解しておきたいこと
シニア世代がペットを飼うかどうか迷っているとき、よく考えてほしいポイントがあります。それは「ペットロス」と「ペットの介護問題」です。
ペットロスが心と体の不調を招く
動物の寿命は人間より短いため、ペットに先立たれることを十分理解しておきましょう。
- ペットロス
- ペットを亡くしたときに強い悲しみや喪失感に苛まれること。ペットロスが重症化すると、うつ病など心身の不調を招く。
シニア世代の方は元々加齢によって体力が低下していますので、ペットロスをきっかけに病気などを引き起こす可能性が高いといえます。ペットと暮らしていた頃は健康的で社交的だった人が、ペットを亡くしてからは外出を控えて塞ぎがちになることもあります。
高齢のペットは介護が必要になることも
高齢となったペットは、治療だけでなく要介護状態となることもあります。症状によっては数時間おきのケアが必要ですので、飼い主の方がお世話する場合は体力と睡眠時間が削られかねません。仕事を休んで通院しなくてはいけないこともあります。
シニア世代がペットの介護をする場合、飼い主本人の健康状態や仕事にも影響を及ぼす可能性があるのです。要介護状態のペットの預かりサービスもありますが、もちろんサービス利用料金がかかります。
もしもの時に備えて、家族などにペットのお世話の協力を頼めるかどうか、実際に飼う前に考えておきましょう。また、ペット保険への加入をしておくと医療費の負担が軽くなります。
犬と猫がやっぱり人気!シニアも飼いやすいのはどんな子?
シニア世代がペットと幸せに暮らすには、ご自身の健康状態や体力を考慮しながら、飼いやすいペットを選ぶのがおすすめです。シニア世代から人気の高い犬や猫などペットを紹介します。
シニアと相性のいい犬の選び方
世話がしやすい小型犬
日本で人気の高いチワワ、ミニチュアダックス、トイプードルは、小型犬のため散歩や食事の用意など世話がしやすい犬種です。室内で飼えるため、犬小屋の用意をしなくても大丈夫です。マンションやアパート住まいの人も飼いやすいでしょう。
日本の気候に合う犬種
原産国が外国の犬の場合、日本の気候に体質が合わず病気を発症しやすいことがあります。たとえば極寒地が原産国のシベリアンハスキーは、暑さに非常に弱い犬として知られています。夏の熱中症にはよく注意しなくてはいけません。
どの犬を飼うか選ぶときは原産国を確認し、ペットショップの店員さんなどに日本の気候で体に負担がかからないか相談しましょう。
シニアライフを一緒に過ごしたい猫の種類
猫は基本的には室内飼いできますので、散歩の必要がありません。シニアライフを一緒に過ごすならば、温厚でコミュニケーションしやすい猫がおすすめです。
猫の性格は一匹一匹異なりますが、品種によってある程度の傾向があります。穏やかな性格をしているとされる猫は、次の3種です。
- ラグドール
- スコティッシュ・フォールド
- ブリティッシュ・ショートヘアー
綺麗な熱帯魚や文鳥、うさぎなど50代からのペットライフのおすすめ
シニアライフが楽しくなるペットとして、金魚や熱帯魚、文鳥、うさぎもおすすめです。
鑑賞タイムも楽しい金魚や熱帯魚
水槽で飼う金魚や熱帯魚は、ひらひらと泳ぐ様子を見ていると心がリラックスするでしょう。水草やライトアアップにもこだわってアクアリウムとして楽しむと、趣味の幅が広がります。毛がある動物が苦手、世話の手間を極力抑えたいという人にもぴったりです。
コミュニケーションも取りやすい文鳥
小さな文鳥は見た目が愛らしい癒し系のペットです。「手のり文鳥」という言葉があるように、ひとなつっこい性格をしています。マンションやアパートでも飼いやすく、ペット初心者の人でもチャレンジしやすいでしょう。
手がかからないうさぎも人気あり
うさぎは、見た目の可愛いらしさに加えて飼いやすいペットとして人気があります。犬や猫のように鳴き声をあげません。散歩の必要もありませんので、室内飼いで安心して飼うことができるでしょう。
おわりに:シニア世代は老後の生活を考えながらペットを選ぼう
ペットとの暮らしは、心が癒されたり健康効果が期待できたりとメリットがたくさんあります。ただしご自身の体の衰えや老後資金などを考慮し、責任持ってお世話できるか考えなくてはいけません。ペットと一緒にどんなシニアライフを描けるか、イメージを固めてみてくださいね。
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