高齢になると、面倒臭いと感じたりや脳機能が低下したりすることにより、薬の飲み忘れが起こりやすくなります。持病のある人にとって、薬の飲み忘れや飲みすぎは命に関わる重大な問題です。何らかの対策を講じ、薬の飲み忘れや誤った服用を防止しなければなりません。
そこで今回は、薬の飲み忘れの防止に役立つ薬剤師、グッズ、アプリの特徴と有用性をそれぞれ紹介していきます。
- この記事でわかること
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- 薬の飲み忘れ、過剰摂取を防ぐべき理由
- かかりつけ薬剤師の人数や費用の決まり
- 薬の服用時間を守らないと起こる健康リスク
- お薬カレンダーなどおすすめのグッズ
- 薬の服薬管理に役立つスマホアプリの機能
薬の飲み忘れリスクと正しい服用のポイント
高齢者や持病のある人が薬を飲み忘れると、以下のようなリスクが起こる要因となります。
- 本来得られるはずの治療効果を十分に得られない
- 副作用が出て、心身の状態が悪化する可能性が高くなる
- 脳梗塞や心筋梗塞など、より深刻な疾患の発症リスクが高まる
- 薬による治療に失敗して、重篤化してしまうケースがある
こうしたことから薬を服用する際、患者は医師や薬剤師から以下の注意点を守るよう、厳しく指示されるのです。
薬を飲む際の注意点
薬を飲むときには用法・用量を守らなくてはいけません。誤った用法・用量で薬を服用すると、健康を損なうおそれがあります。
- 医師や薬剤師、または添付の説明書が指示する用法容量を守って服用する
- 薬がのどや食道などに張り付かないよう、コップ1杯以上の水で服用する(ただし水が不要などの場合は医師又は薬剤師の指示に従うこと)
- 身体機能が低下し、複数の薬を併用する高齢者などは特に飲み忘れや過剰摂取のリスクが高いため、医師や薬剤師の指示を厳守する
- 自身の服用する薬を正しく医師や薬剤師に知らせ、適切に管理するため、服薬履歴を一冊にまとめた「お薬手帳」を活用する
食前・食間・食後など薬を飲む時間が指定されるのはなぜ?
薬を処方される際、食前・食間・食後などと服用のタイミングを指示されることが多いですが、それぞれのタイミングを正しく理解している人は少ないでしょう。そこで、薬を処方される際によく聞く服薬のタイミングを以下に具体的に解説します。
服薬のタイミングに関する用語の意味
薬の用法には「食前」や「食後」といった時間を指示する言葉がありますが、それぞれ正確にどんな意味を持つのでしょう。
- 食前…食事の20~30分前のこと
- 食間…食事と食事の間、最後に食事をしてからおよそ2時間後のこと
- 食後…食事が終わってから20~30分以内のこと
薬を服用する時間は、食事による胃の状態の変化や薬の血中濃度を考慮したうえで決定・指示されています。このため服用時間を守らないと、薬を消化・吸収する内臓に過度な負担がかかったり、薬の血中濃度が過剰に高い・低い状態となり、体調を悪化させる原因となるのです。
以下に食前・食間・食後など、服用のタイミングを指示されることの多い薬のタイプを例示していきますので、薬の服用時間を管理するうえでの参考にしてください。
- 食前の服用が指示されることの多い薬
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- 食べ物と一緒では吸収率が良くない、胃を荒らす可能性の少ない薬
- 漢方薬や血糖値を下げる薬、食欲を増進させる薬 など
- 食間の服用が指示されることの多い薬
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- 比較的体に吸収されにくく、かつ胃を荒らしにくいとされる薬
- 漢方薬、胃粘膜を保護する薬、胃潰瘍の治療薬 など
- 食後の服用が指示されることの多い薬
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- ゆっくり吸収させたい薬、胃を荒らす可能性の高い薬
- 頭痛や生理痛、発熱時に飲む解熱鎮痛剤や除放剤 など
ちなみに食前・食間・食後以外にも、食直前や食直後、就寝前の他、重篤な症状が出た際に服薬を指示される頓服薬などもあります。上記に挙げた薬のタイプはあくまで一例ですので、実際の服薬は必ず医師や薬剤師の指示、または各薬に添付された説明書記載の用法用量に沿ったタイミングで行ってください。
「かかりつけ薬剤師」がいると飲み忘れ防止をサポートしてくれる
ここからは薬の飲み忘れを防止するために、有効な手立てを紹介していきます。まずおすすめしたいのが、かかりつけの薬剤師を持つことです。かかりつけの薬剤師を持つメリットとしては、以下が挙げられます。
- 薬の重複の有無、飲み合わせについてチェックしてもらえる
- 好みや体の状態によって薬の種類、形状を変えてもらえることがある
- 自宅から出ることが難しくなっても、訪問して薬の説明をしてくれる
- 比較的安価なジェネリック医薬品についての説明や、ジェネリック医薬品を選択するかの意思確認をしてもらえる など
かかりつけ薬剤師を持てば、飲み忘れ防止のアドバイスはもちろん、あなたの飲んでいる薬について総合的な管理・サポートを受けられるのです。なお、かかりつけの薬剤師を持つための手順と注意点はそれぞれ以下にまとめてあります。
かかりつけ薬剤師を利用するための手順
- かかりつけの薬局にて薬剤師を指名し、かかりつけ薬剤師を申し込む
- 同意書などに記入して手続きをしてもらい、以降はかかりつけ薬剤師に自身の薬の処方や服薬相談を担当してもらう
かかりつけ薬剤師を利用する際の留意点
- かかりつけ薬剤師を持てるのは、すべての薬局でただ1人だけ
- 引っ越しなどの事情でかかりつけ薬剤師を変更する場合は、申し出が必要
- かかりつけ薬剤師を利用すると、処方せん1回の受付あたり60~100円ほどの「かかりつけ薬剤師指導料」が発生する
休暇などでかかりつけ薬剤師が不在の場合は、同じ薬局に勤務する別の薬剤師が対応したうえ、かかりつけ薬剤師にあなたの情報を共有してくれます。近所や通院する医療機関の近くに「この人なら信頼できる」と感じる薬剤師を見つけたら、かかりつけ薬剤師になってもらいましょう。自身の体のこと、服薬状況を気にかけてくれる人がいると思うだけで、薬の飲み忘れはかなり減ってくるはずですよ。
薬の飲み忘れ防止グッズ【カレンダー・携帯ケース・アラーム付き】
続いて、薬の飲み忘れ防止に役立つおすすめグッズ3つを特徴とともに紹介していきます。
- 1:コジット 入れやすくて出しやすいお薬カレンダー
- 朝、昼、夜、寝る前の1日4回、1週間分の薬を入れておけるお薬カレンダー。縦に曜日、横に服薬のタイミングを記入した一覧表のような造りになっているため、今のムベキ薬があるかどうか、飲み忘れていないかをひと目で確認できる。薬を入れるポケットの取り外しが簡単なため、服薬する際の薬を取り出しやすいのが特徴。
- 2:Opret 1週間薬ケース
- 1日あたり朝・夜の2回、1週間分の薬を入れておける7個で1セットのピルケース。曜日ごとに異なるカラフルな色、半透明のケースが特徴で、あらかじめ1週間分の薬をセットしておけば薬の飲み忘れを防止できる。ただし1日あたり2回分の薬を入れられる大きさのため、1日の服用回数が3回以上になる人には不向きかも。
- 3:アラーム付きピルケース
- 7つのカラフルなケースを、アラーム機能付きの円形ベースに収納して持ち歩くピルケース。あらかじめセットしておけば、服薬すべきタイミングを音で知らせて飲み忘れを防いでくれる。小ぶりなので、ビジネスバッグやリュック、トートバッグに入れて持ち運びやすい。
あなたや家族にとっての使いやすさ、ライフスタイルに合ったグッズを選んでくださいね。
スマホで薬の飲み時間を管理!おすすめアプリ
続いて、スマホで服薬管理ができるアプリを3つ、それぞれの特徴と一緒に紹介します。1日でスマホに触れている時間が長い、どんな場所にもスマホを持ち歩く習慣のある人には、スマホアプリを活用しての服薬管理がおすすめですよ。
- 1:eお薬手帳
- 処方薬と市販薬の登録などお薬手帳の基本機能、そして服薬状況や体調についてのメモ機能である「服薬スケジューラ」などを搭載するスマホアプリ。飲み忘れアラームの設定も可能で、服薬時間になるとスマホが鳴って知らせてくれる。
- 2:お薬リマインダー・飲み忘れ防止アプリ
- 薬の用量チェックや血圧、体重など体調に関する記録、服薬や薬を補充するタイミングをリマインダーで知らせてくれるスマホアプリ。毎日の服薬管理の他、服薬の状況や体調の変化を医師や薬剤師と共有するのにも便利。
- 3:しつこいお薬アラーム・飲み忘れ防止のお薬リマインダー
- その名の通り、きちんと薬を飲むまで何度も「しつこく」アラームが鳴るスマホアプリ。シンプルな操作画面で、個性的なキャラクターが楽しく服薬を促してくれるのが特徴。薬の種類やアラームの登録、キャラクターの変更も簡単にできる。
おわりに:あなたに合った方法で、効果的に薬の飲み忘れを予防して!
薬の飲み方は、その薬の効き目や特徴に合わせて決められています。このため飲み忘れたり、1回の服用で2回分を飲むなどすると、薬の効き目に異常が出て体調が著しく悪化する原因にもなりかねません。自身や家族の健康を守るため、薬の飲み忘れは徹底して予防する必要があるのです。かかりつけの薬剤師を持ったり、服薬のタイミングや回数がひと目でわかるグッズやアラーム機能のあるスマホアプリを使うなどして、飲み忘れを防止しましょう。
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