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【前編】女性特有の疾患や不調を知ろう!ホルモンの働きや気をつけたい症状って?

体の不調を医師に相談する女性 からだの悩み
この記事は約3分で読めます。

男性と女性の身体は、生殖機能の違いから備わっている臓器も異なるため、性別特有の疾患や不調が現れることがあります。例えば、女性には男性と違って月経がありますので、月経に伴う不調が現れることも。ホルモンバランスや妊娠・出産に関わる病気も気になりますよね。

今回は、そんな性別特有の疾患について、女性に特有なものをご紹介します。婦人科系の疾患が気になる女性はぜひチェックしてください。

この記事でわかること
  • 女性ホルモンエストロゲンとプロゲステロンの働き
  • 年齢に伴うホルモンバランスの変化と心身への影響
  • 乳房・子宮・卵巣で気をつけたい婦人疾患の症状

女性の健康を左右するホルモンバランスって?

女性の身体は、だいたい1ヶ月のサイクルでホルモンバランスが変化します。これは女性に特有の「月経」が起こるためで、イライラする時期もあれば、体調も気分も絶好調の時期もあるというように、ホルモンバランスの変化は心身の調子に大きく影響します。基礎体温が規則正しく上下するのも、ホルモンバランスの変化によるものです。

女性に特有のこうしたホルモンバランスのリズムを作り出しているのは、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。月経のサイクルは、月経から約2週間で排卵、排卵から約2週間で次の月経となっています。月経から排卵までは主に卵胞ホルモンが、排卵から次の月経までは主に黄体ホルモンが盛んに分泌されます。

エストロゲンとプロゲステロンは、月経周期をコントロールする以外にも以下のような働きをしています。

エストロゲンの働き
  • 排卵前に精子が通りやすくなるよう、子宮頸管の分泌液を増やす
  • 妊娠中に、乳汁が出るのを抑える
  • 女性らしい丸みを帯びた身体をつくる
  • コラーゲン生成を助け、肌の潤いやハリを保つ
  • 血管を強くしなやかにして、動脈硬化を防ぐ
  • 骨密度を保つ
  • 物忘れを予防する
  • 善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす
  • 感情をコントロールし、情緒を安定させる
  • 骨や血管を丈夫にする
プロゲステロンの働き
  • 子宮内膜や子宮筋の働きを調節する
  • 乳腺を発育させる
  • 体内の水分量を保つ
  • 食欲を増進させる
  • 基礎体温を上昇させる
  • 眠気を引き起こす
  • イライラ、憂鬱などの感情を引き起こす
  • 受精卵が着床しやすいよう、子宮内膜のコンディションを整える
  • 妊娠後の胎盤の状態を安定させる
  • 基礎体温を上げる

このような働きの違いから、エストロゲンは「女性らしさをつくるホルモン」、プロゲステロンは「妊娠に関わるホルモン」と呼ばれることがあります。エストロゲンは第二次性徴を引き起こすホルモンでもあるほか、脂質や糖の代謝にも影響したり、腫瘍・がん・自己免疫疾患・精神神経疾患などにも関係したりします。

女性ホルモンの影響と体の変化

女性ホルモンの働きで身体が成長していくに従い、思春期・成熟期・更年期と各時期によって身体にさまざまな変化が訪れます。

思春期(8〜18歳ごろ)
  • 卵巣から女性ホルモンの分泌が始まり、皮下脂肪で身体が丸みを帯びたり、乳房が膨らんだりと性的な成熟へと移行していく
  • 11歳〜14歳ごろまでに初潮(月経)が始まり、子宮が急速に成長する
  • 月経が始まった当初はサイクルが安定せず、無月経・月経困難症・月経不順になりやすい
成熟期(18〜45歳ごろ)
  • 卵巣や子宮の働きが活発になり、身体や生殖器は完全に女性としての機能を発揮する
  • 月経困難症、月経前症候群などの月経に伴う疾患や子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などに注意が必要
更年期(50歳前後)
  • 月経がなくなる「閉経」の前後5年間くらい、合計10年間程度を更年期と呼ぶ
  • 女性ホルモンの分泌が少なくなり、ほてり・のぼせ・発汗などいわゆる更年期の症状が現れる人も
  • 女性ホルモン(特にエストロゲン)の低下により、骨がもろくなる「骨粗鬆症」のほか、動脈硬化・高脂血症などの病気にかかりやすくなる

婦人科系の主な疾患の原因や症状

女性特有(婦人科系)の疾患は、大きく分けると乳房・子宮・卵巣の3つの部位に分けられます。それぞれの部位の疾患について、詳しく見ていきましょう。

婦人科系疾患①:乳房に起こるもの

乳房に起こる疾患で注意が必要なのは「乳がん」です。日本人女性の乳がんは、生活様式が欧米化するに伴って増加傾向にあり、30人に1人が乳がんにかかるとされています。発病年齢は40〜50歳代で、30歳代後半から急増し、50代に入る直前がピークです。特に動物性脂肪・乳製品が好きな人や、授乳経験がなかった人、授乳期間が短かった人などに起こりやすいとされています。

どのがんでも同じですが、乳がんもやはり早期発見・早期治療が重要です。月に1回(月経後4〜5日の時期がおすすめ)は自分で乳房を触り、しこりがないかどうか、乳頭からの異常分泌がないかどうかをチェックしましょう。痛みを伴わないしこりが多いですが、痛みを伴うしこりもありますので、しこりに気づいたときはすぐに専門医の診察を受けましょう。

乳がんの検査方法
  • 触診
  • 乳腺超音波検診
  • マンモグラフィー

触診だけではく、乳腺超音波検診とマンモグラフィーの検査も受診するのが安心です。早期発見できれば、がんの部分だけを切除し、乳房そのものは温存する手術が一般的になってきていますので、美容上の心配もケアしてもらえます。できるだけ早期発見できるよう、日頃のセルフチェックや定期的な検診を忘れず行いましょう。

婦人科系疾患②:子宮に起こるもの

子宮に起こる婦人科系疾患には、主に子宮内膜症・子宮筋腫・子宮がんの3つがあります。

子宮内膜症
  • 本来、子宮の内腔にだけあるべき子宮内膜が、腹膜・卵巣・子宮筋層内など子宮内腔以外の場所に広がり、増殖するもの
  • 成人女性の10人に1人が発症するとされ、30〜40代に多いが近年は20代でも見られる
  • 子宮筋層内で増殖すると、子宮が腫脹してサイズが大きくなる(子宮腺筋症)
  • 卵巣に経血が溜まり、卵巣嚢腫になると「チョコレート嚢腫」と呼ばれ、手術療法や月経を止める偽月経療法などで治療する
子宮筋腫
  • 子宮の筋層にできる良性の腫瘍で、成人女性の4人に1人が発症する一般的な疾患
  • 発症する部位により、粘膜下筋腫・筋層内筋腫・漿膜化筋腫の3つに分類される
  • 粘膜下筋腫:子宮内膜に顔を出すように進行するタイプで、サイズが小さくても症状が強い。月経が1週間以上続き、経血量が多くなりやすいため鉄欠乏性貧血の原因の一つ
  • 筋層内筋腫:最も発生頻度が高い
  • 漿膜下筋腫:子宮の外側に出っ張るようにできるもので、最も症状が出にくく、大きくなるまで気づかないケースも多い
子宮がん
  • 発症部位によって、「子宮頸がん(入口)」と「子宮体がん(奥)」の2種類がある
  • 発生部位だけでなく、腫瘍組織のタイプも治療法も異なるが、自覚症状はいずれも出血のみ
  • もともと頸がんの頻度が高かったが、近年では食生活の欧米化に伴って体がんが増えている
  • 少なくとも1年に1回は、頸がん・体がん両方の検診を受けることが重要

子宮内膜症

子宮内膜症では、月経周期ごとに広がった子宮内膜が増殖と剥離を繰り返し、経血がその場に溜まるため月経痛・腰痛・下腹部痛の原因になる厄介な疾患です。腹腔内で発症した内膜症が進行すると、子宮や卵巣が腸と癒着してしまい、腸閉塞や腹腔内の大出血を引き起こすこともあります。

早期の段階ではブセレリン(商品名:スプレキュア)の点鼻薬、ダナゾール(商品名:ボンゾール)の内服薬などで女性ホルモンの働きを抑え、しばらく月経が起こらないようにして内膜症を縮小させます。ただし、卵巣や腹腔内に子宮内膜症が起こった場合は、手術療法の適応となるのが一般的です。

子宮筋腫

子宮筋腫は、以前は手術療法が中心でしたが、近年では月経を止めて筋腫の縮小を促す薬物療法「偽閉経療法」が普及してきています。筋腫の大きさや部位、貧血の強さなどでも治療法を考慮しますが、妊娠を希望しているか、閉経まで何年かといったことも判断材料となります。疾患の性質上、閉経後には子宮筋腫が縮小するからです。

子宮がん

子宮頸がんと体がんには、以下のような特徴の違いがあります。

子宮頚がん
ヒトパピローマウイルスという、イボを作るウイルスに感染すると正常な細胞が異型細胞となり、さらに何らかの要因が加わるとがん化する、とされています。30〜40代に発症のピークがあります。主な自覚症状はおりものや性行為時の出血です。治療は手術療法が行われています。
子宮体がん
閉経後の女性に発生することが多く、エストロゲン(女性ホルモン)療法を受けた人では発症リスクが高まります。ほとんどの例で性器出血が見られます。

早期発見のためには、定期的ながん検診が必要です。進行してしまうと予後も悪くなりやすいので、おりものや異常出血に気づいたらすぐに婦人科を受診しましょう。

分娩経験者に圧倒的に多い「子宮脱」って?

上記のほか、子宮が膣口から脱出してしまう状態になる「子宮脱」という症状が起こることもあります。女性の約10%がこの状態を経験するとされていますが、発症者の95%は分娩経験者のようです。分娩時に胎児が骨盤内を通過するとき、骨盤底が損傷されて子宮脱の原因となる、と考えられています。ただし、分娩後すぐに起こるわけではなく、閉経を迎える頃から60代がピークとされています。

これは、子宮脱の直接的な原因は筋肉の緩みによるものだからです。子宮は骨盤の支持組織によって吊り下げられ、正常な位置に置かれているのですが、加齢などで支持組織が緩むと脱してしまいます。がんなどのように直接生命に関わる疾患ではありませんが、脱出した部分が常時下着などに接触して擦れると赤くなったり、おりものが増えたり、出血したり、化膿したりしてしまうことがあります。

また、子宮脱が起こるときには前方の膀胱や後方の直腸も同時に下がってしまうため、排尿障害や排便障害を引き起こすこともあります。根治のためには手術療法が必要ですが、リングペッサリーを挿入して子宮の位置を元に戻す方法もあり、挿入の場合は外来で簡単に行えます。ただし、病状が変化するにしたがって最適なサイズが変わりますので、リングで支える治療の場合は交換を含めた定期的な管理が必要です。

婦人科系疾患③:卵巣に発生する疾患

卵巣とは子宮の左右に一つずつある臓器で、成人の親指の頭くらいの大きさです。女性ホルモンのエストロゲンを分泌し、生殖年齢の間は基本的に左右交代で月に1回ずつ排卵します。そんな卵巣に起こる疾患としては、以下のようなものがあります。

卵巣嚢腫
卵巣に生じる嚢胞状の病変の総称(腫瘍性のものも含む)です。排卵期の卵子の周囲に水が溜まり、卵巣が腫れて見える機能的な嚢腫から、奇形種に分類される歯・毛髪・脂肪などを含む皮様嚢腫などさまざまな種類があります。下腹部の腫れや、嚢腫の根本が捩れる「茎捻転」の激痛が主な自覚症状です。
卵巣腫瘍(良性)
卵巣腫瘍の約90%を占めます。他の臓器や組織には転移しません。腫瘍が小さなうちは無症状で気づきにくいのですが、急激な下腹部の張りや痛みを感じたら病院を受診してください。
卵巣がん(悪性の卵巣腫瘍)
卵巣腫瘍の約10%を占めます。初期には無症状のことが多く、自覚症状が出てからの検査では既に進行している場合が多いのが特徴です。経膣超音波検査を行えば良性・悪性の区別をつけられます。経腟超音波検査は外来で手軽に受けられ、痛みも伴いません。早期発見のため定期的な検診がおすすめです。

卵巣の疾患のうち、やはり最も問題なのは卵巣がんです。初期には無症状であることが多いため、子宮がんとは異なり、自覚症状による早期発見は期待できません。経腟超音波検査で定期的にチェックしてもらいましょう。腫瘍が小さく、転移していないうちに早期発見できれば、手術療法などで根治が十分可能です。

また、卵巣そのものの疾患ではありませんが、卵巣からつながる卵管に炎症が起こる「卵管炎」も起こりやすい婦人科系疾患の一つです。性交渉などによって膣からクラミジアや大腸菌、淋菌などの雑菌が入り込み、膣炎から子宮頸管炎、子宮内膜炎と炎症が広がっていき、卵管にも感染して炎症を引き起こすと「卵管炎」となります。

炎症が卵管だけにとどまらず、卵巣にも及ぶと「卵巣炎」となり、2つの臓器を合わせて「子宮付属器炎」と呼ぶこともあります。炎症が軽ければほとんど症状が出ず、自覚症状としては多少おりものが増える程度で終わることも少なくありません。

しかし、初期に十分な治療を受けず慢性化すると卵管に癒着が起きて詰まり、不妊症の原因となったり、骨盤内の腹膜まで炎症が広がって骨盤腹膜炎を引き起こしたりすることもありますので、下記のような症状がある場合にはできるだけ早く婦人科を受診しましょう。

病院受診のサインとなる卵管の異常
  • おりものが多い
  • 下腹部の痛みや発熱
  • 性交時の痛み など

原因となる病原菌の種類によって症状が異なり、多く見られるクラミジアの場合はおりものの変化や腹痛などの症状が軽いため、見落としがちなので注意しましょう。また、症状が出た初期段階で抗生物質による治療を受けることは重要ですが、自覚症状がなくなったからと勝手に薬の投与を止めないよう気をつけましょう。完治するまで治療を受けないと慢性化してしまいます。

後編はこちら

【後編】女性特有の疾患や不調を知ろう!PMSや性感染症の症状とは
女性の体に起こる不調や疾患は痛みやだるさを伴うことがあり、日常生活に支障をきたしかねません。前編では、女性ホルモンの働きについて解説し、宮内膜症・子宮筋腫・子宮がんなどの女性特有の疾患の症状を説明しました。 この記事では、PMSの症状とピル使用に期待できる効果、性感染症を発症したときの対処法を解説していきます。

おわりに:女性特有の疾患や不調は、月経や特有の臓器に由来する

女性特有の疾患や不調は、乳房・子宮・卵巣など女性特有の臓器や、月経に由来することが多いです。月経をコントロールしているのはエストロゲン・プロゲステロンという2種類の女性ホルモンで、分泌量の変化で1ヶ月の間にホルモンバランスが変化します。

特有の臓器ではがんに最も注意が必要ですが、性感染症から不妊や生命に関わる疾患を引き起こすこともありますので、不安なことがあれば婦人科や産婦人科を受診しましょう。

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