かつては書面で税務署に提出する必要のあった確定申告ですが「e-tax」の登場により、スマホやPCを使ったオンラインでの確定申告が可能になりました。フリーランスや副業などで確定申告をする人も増えてきましたよね。
今回はe-taxとは何か、知っているようで知らない確定申告の内容や対象者、申告を怠った場合の罰則やオンライン申告するうえでの注意点を、わかりやすく解説します。
- この記事でわかること
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- 確定申告の書類提出期間はいつ?
- 手書きと電子申請のメリットとデメリット
- e-Taxを利用すると手続きが楽になる理由
- マイナンバーカードで注意したい電子証明書機能
確定申告とは?申告義務があるのほどんな人?
まず確定申告がどんなものか、誰が行うべきものなのかを理解していきましょう。
- 確定申告とは
- その人が、昨年1年間の所得をとりまとめ、所得金額に応じて納めるべき税金額(所得税額)を計算し、国の窓口である税務署へ報告すること。所得金額とは、1年間の総売り上げから、仕事のために使った経費を差し引いた金額。
毎年、前年の1月1日~12月31日までの所得金額から所得税を計算し、2月16日~3月15日までの1か月の間に一連の手続きを終えなければいけません。ただし2019~2020年度分の確定申告については、新型コロナウイルス感染症が流行していることを考慮し、通常より1か月長く申告期間が設けられました。
所得金額にあった税金を税務署へ収めるのは、日本国民の義務です。しかし、すべての人が確定申告を行わなければならないわけではありません。確定申告の対象となる人、確定申告をしなくていい人をそれぞれ以下にまとめていますので、自身がどれに当てはまるのかチェックしてみましょう。
確定申告の対象となる人
- 確定申告をしなければならない人
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- 年収が基礎控除額である48万円以上のフリーランス、個人事業主
- 家や土地による不動産所得、株やFXの取り引きによる利益が年間48万円以上になる人で、自動的に源泉徴収が行われる特定口座を使用していない人
- 収入を得るために出した金額に特別控除額である50万円をプラスした金額を超える、高額な競馬の払戻金や法人からの金品、賞金などの一時所得があった人
- 退職所得があり、退職した企業に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人
- 年度の途中で退職し、年末調整をしていない人
- 基本的に給与所得者だが、給与以外の所得金額が年間20万円を超えている人
- 災害に合い、災害減免法で所得税の軽減や免除を受けている人
- 確定申告をした方がお得になる人
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- 事業で赤字が出ていて、税金の還付を受けたり赤字分の繰り越しなどをしたい人
- 年度の途中で退職し、払い過ぎた分の税金の調整を会社にしてもらえなかった人
- 前年1年間の医療費が、家族単位で計算すると10万円を超えている人
- 本業以外に副業先があり、副業先から得る給与から源泉徴収が行われている人
- ふるさと納税や、団体などへの寄付をしている人
- 返済期間10年以上の住宅ローンを組み、居住を開始した年から10年以内の人
確定申告をしなくていい人
- 収入はあるが、その収入源のほとんどが公的年金の人
- 年収2,000万円以下、1カ所からのみ給与を受け取る給与所得者
- 年収2,000万円以下、1カ所からのみ給与を受け取る給与所得者であり、かつ副業での年収が20万円以下の人
確定申告は、所得税額を自身の実際の所得に合った金額に訂正するためのものです。足りない分を払う必要が出てくる場合もあれば、払い過ぎた分を還付金として受け取れる場合もあります。
確定申告をすべきかの判断基準や、申告の方法をややこしく感じることもありますが、きちんと理解して申告すればお得になることもあると覚えておきましょう。
確定申告をしないと罰金はあるの?
確定申告が必要な対象者であるにも関わらず、確定申告をしなかった場合には、以下のような罰則が科せられてしまいます。
申告の必要のある人が、確定申告を怠った場合の罰則
- 本来納めるはずだった税金に対し、最高税率20%の無申告加算税がかかる
- 本来納めるはずだった税金に対し、最高税率14.6%の延滞税がかかる
- 青色申告特別控除の枠が、最大の65万円から10万円まで減額される
- 2年連続で提出が遅れると、青色申告の承認が取り消される
PCやスマホから確定申告すると楽なの?
2021年現在、確定申告は手書き、パソコン、スマホで行えます。それぞれの方法で確定申告を行う場合の、メリットとデメリットを見ていきましょう。
- 手書きで確定申告する場合
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- メリットは、パソコンやスマホを使わず電卓と専用用紙、筆記用具だけでできるところ
- デメリットは、慣れている人でないと記載ミスや計算ミスが起こりやすく、間違うと書き直しの必要が出てくるところ
- パソコンで確定申告する場合
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- メリットはパソコンさえあれば誰でも自宅から申告書が作成でき、記載ミスや計算ミスも起こりにくく、書き直しも簡単なところ
- デメリットはパソコンが自宅にない人には、できないやり方であるところ
- スマホで確定申告する場合
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- メリットはスマホだけで確定申告書作成が可能で、記載ミスや計算ミスが起こりにくく、書き直しも簡単なところ
- デメリットはパソコンとは異なり、複雑な申告内容になると操作が面倒なところ
パソコンだけでなくスマホによる申告書作成ができるようになったのは、2019年からです。また、かつてはパソコンやスマホで作成した申告書類を印刷して税務署へ持って行く必要がありましたが、e-Taxの登場によりオンライン上での申告書提出も可能になりました。
- e-Taxとは
- 国税庁がネット上に無料で提供している「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書データを、オンラインで国税庁へ提出するための国税電子申告・納税システム。
書面での書類作成に慣れておらず、日ごろからパソコンやスマホを使って仕事をしたり、ネットを活用している人にとっては非常に便利な環境です。e-Taxの公式HPはこちらですので、利用の手続きや詳細を確認しましょう。
次章からは、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムe-Taxについて、より詳しく説明していきます。
「e-Tax」は忙しい事業主の味方なの?メリットとデメリットは?
e-Taxを使って、確定申告をするメリット・デメリットとしては、以下が挙げられます。
- e-Tax利用のメリット
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- 税務署に行かなくても確定申告手続きを完了できる
- 申告期間中なら24時間申告が可能なので、都合の良いときに作業できる
- 書面の申請に必要ないくつかの書類が、e-Tax申請なら省略できる
- ある程度自動計算され、金額が合わない箇所も知らせてくれるため、記入ミスや記入漏れがあるまま提出するリスクを減らせる
- 使用する経理ソフトがe-Tax対応であれば、連携させることで申告時の入力にかかる時間と手間を最小限にできる
- 国が推奨する申告方法であるため、2020年度以降はe-Tax申請すると10万円控除額が多くなる
- 書面申請に対して還付処理が早いため、還付金が早く受け取れる
- e-Tax利用のデメリット
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- マイナンバーや利用者識別番号の取得など、申告前に必要な物を揃えなければならない
こうして一覧にしてみると、デメリットよりもメリットの方が圧倒的に多いですね。事前に申告ができるだけの準備物、環境さえ整えてしまえば、e-Taxは忙しい事業者にとってありがたいシステムだと言えるでしょう。
マイナンバーカードの有効期限や住所変更に気をつけて!
前章で述べたように、e-Taxを利用し確定申告するにはマイナンバーカードが必須です。このため確定申告の前に、マイナンバーカードの有効期限が切れていないか、電子証明書としての機能を有しているか、確認しておく必要があります。
マイナンバーそのものの有効期限は、発行された日から10回目の誕生日までとなります。
しかし、マイナンバーカードが持つ署名用電子証明書、つまり確定申告の際に必要な本人確認機能の効力は、発行された日から5回目の誕生日が来るまでの間です。確定申告に使えるマイナンバーの有効期限は実質、発行された日から5年までなのです。
また期限切れ以外にも、以下のケースに当てはまるとマイナンバーカードの電子証明書昨日はなくなってしまいます。
電子証明書機能が失効する条件
- 電子証明書の失効申請がされた場合
- 氏名、生年月日、性別、住所の住民票の基本4情報が修正された場合
- 本人が死亡した場合
新しいマイナンバーカードの交付には、申請からおよそ1か月半かかります。e-Taxを使って確定申告をするなら、毎年10月頃にはマイナンバーカードの有効期限を確認し、必要なら再交付の手続きを取るようにしましょう。
おわりに:e-Taxは、国が利用を推奨するオンライン納税システム!
税務署窓口まで行かなくても確定申告ができるシステムとして、国税庁が無料で提供しているのが「e-Tax」です。e-Taxを使えば、国税庁のサイト上で作った確定申告書類を印刷することなく、そのままデータとして税務署へ提出することができます。自宅から一歩も出ず、24時間いつでも確定申告ができるe-Taxは、忙しく働く事業主の強い味方。マイナンバーカードなど必要なものを事前に準備したうえで、ぜひ活用してください。
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