家族が互いに助け合い、絆の強い関係でいることはとても安心ですよね。しかし家族仲に亀裂が入ったとき、修復が困難になりやすいのも事実です。特に遺産相続などの金銭問題や介護は、姉妹兄弟間でのトラブルを引き起こすことも…。
今回は姉妹兄弟、魔族間トラブルが起きたときの適切な対処法や、かかる費用の目安を紹介していきます。
- この記事でわかること
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- 遺産をめぐる家族トラブルの件数って?
- 何が原因で遺産相続が起きやすいのか
- 弁護士に相続トラブルを解決してもらうなら相談費用は?
- 兄弟間の介護問題で話し合っておくべきこと
- 義理の家族との適度な距離感とは
- ダメージ大の家族トラブルで心のケアを受けるなら?
日本の家族トラブルは増加中?
総務省の「平成27年国勢調査」結果によると、日本で複数の子どもを持つ家庭の割合は以下の通りです。
【2人以上の子どもがいる家庭の割合】
- 専業主婦世帯…52%
- 共働き世帯 …58%
- 両方の世帯計…56%
上記から、平成27年時点でも全体の6割近くが姉妹や兄弟のある家庭だとわかりますね。
一方で「最高裁判所・司法統計」より算出された遺産分割事件の新受任件数、つまり遺産関係の家族間トラブルの件数は、平成25年までの過去19年で増加を続けています。
【遺産をめぐる家族間トラブル件数の推移】
- 平成6年…9,868件
- 平成25年…15,195件
平成6年と25年、その19年間の遺産をめぐる家族間トラブルの件数を比較すると、5割以上も増加していることがわかります。
少子化に伴い、姉妹兄弟のある家庭が確実に減少しているにもかかわらず、遺産をめぐる家族間のトラブルは増加を続けているのです。
遺産の金額や姉妹兄弟の人数に関係なく、家族間のトラブルは起こる可能性があるものと心得ましょう。
姉妹兄弟トラブル解決方法-遺産相続の弁護士への相談料目安
ここからは原因別に、姉妹兄弟など家族間で起こるトラブルの対処法を考えていきます。
まずは、遺産相続をめぐる姉妹兄弟間のトラブル解決方法から見ていきましょう。
姉妹兄弟間で遺産相続トラブルが起こる原因としては、以下のパターンが考えられます。
【姉妹兄弟間の遺産相続トラブルのパターン】
- 姉妹や兄弟の間で、遺産相続に対する考え方がズレていた
- 姉妹や兄弟間で相続する遺産の割合が、話し合ってもなかなか決められない
- 親の介護を担当した姉妹兄弟が、相続割合を高くするよう要求してくる
- 長く絶縁状態、音信不通だった姉妹兄弟まで遺産相続を要求してきた
- なぜか姉妹兄弟の配偶者、その子である甥や姪まで遺産を要求してくる
- 故人の隠し子や愛人など、思いがけない相続人候補が登場してきた
遺産をめぐる姉妹兄弟間のトラブルでは、互いに幼い頃からよく知る家族・身内であるからこそ感情的になり、話し合いが進まなくなりがちです。各々が自分の主張を通すべく話し合いを続けても、らちがあきません。
法律の専門家であり、冷静かつ客観的に状況を判断し話し合いを進めるスキルを持つ、弁護士に相談し、力を借りましょう。
弁護士なら、それぞれの主張を過去の判例や法律的根拠を示しながら、姉妹兄弟間の話し合いを進めてくれます。
【相続関連の相談にかかる、弁護士費用の目安】
相続に関連した問題解決にかかる弁護士費用の目安は、以下の通りです。
《遺言書関係》
遺言書の作成や預かり、またその内容を執行させるには以下の料金がかかります。
- 遺言書作成の手数料…10~20万円
- 遺言書執行の手数料…30万円~
《相続関係》
遺産相続する権利の放棄や、遺産相続の割合を決める話し合いへの介入、相続人が遺言内容にかかわらず相続の権利を行使するための遺留分の減殺請求の料金目安は以下の通りです。
- 相続放棄の手数料…10万円~
- 遺産分割協議…着手金20万円~(別途経済的利益に合わせた報酬金が発生)
- 遺留分の減殺請求…着手金と報酬金は経済的利益により2~16%の間で変動、内容証明郵便の作成手数料として別途数万円発生
姉妹兄弟トラブル解決方法-介護問題は親との相談も大切
遺産相続の次に、姉妹兄弟間のトラブル原因になりやすいのが介護の問題です。
姉妹兄弟間で起こる介護トラブルの具体例としては、以下が挙げられるでしょう。
【姉妹兄弟間の介護トラブルのパターン】
- 長男または長女、その配偶者に介護負担が集中したことによる不公平感
- 姉妹兄弟間の連携がうまくいかず、介護を担当した姉妹・兄弟に介護負担が集中する
- 親の介護に口出しをするものの手を貸さない姉妹兄弟への不満
- 介護への資金的援助も拒否した姉妹兄弟に対する不信感
このような介護トラブルを避けるには、まだ親本人が元気なうちに親、姉妹兄弟間で以下のポイントについて早めに話し合っておきましょう。
【将来の介護問題について、親と話し合っておくべきこと】
- 親本人は在宅と施設での介護生活、どちらを希望しているのか
- 親本人は自分の子どもと介護職員、どちらに介護の主体者になってほしいのか
- 貯蓄額や年金額、ローンの有無など、親本人の経済状況について
- 親が持つ貯蓄のうち、介護にかけられる費用はどのくらいか
- 印鑑や通帳、権利書など重要書類はどこにあるのか
【将来の介護問題について、姉妹兄弟間で話し合っておくべきこと】
- 長期的な親の介護に、どのくらいのお金がかかりそうか
- 利用できそうな介護サービス、介護支援制度の有無や内容
- 親の介護について、姉妹兄弟はどのような方針を持っているのか
- 介護する必要が出てきたときに、自分ができることの認識
- 互いの勤務先の介護休暇制度の有無、またその内容の確認
- 実際の介護、資金援助など、各人が親の介護において担う役割
- 介護のための積立貯金計画、月々の具体的な貯金額の共有
- 親の健康状態や経済状況について情報共有する方法
あらかじめ介護でどんな対応や費用が必要になるか想定し、可能な限りの準備をしておきましょう。親の介護問題は姉妹兄弟間において「不測の事態」をなるべく減らすことが大切です。
互いに協力し、できるだけ無理のない範囲で負担を分け合い、介護生活を乗り越えられるよう準備しましょう。
なお話し合いが決裂し、どうしても親の介護トラブルを姉妹兄弟間で解決できないときは、法的に以下の方法で解決することができます。
【姉妹兄弟間の親の介護トラブル、法的な解決方法】
- 家庭裁判所への「扶養請求調停」の申し立て
- 調停で合意できなかった場合は「不要請求審判」へ移行
家庭裁判所に申し立てれば、まずは調停員による解決策の提案を、それでも合意に至らなければ裁判所による審判を受けることができます。
ただ、家庭裁判所での調停・審判は最終手段です。
費用も時間もかかり、姉妹兄弟間に遺恨を残すことにもなりかねませんので、可能な限り話し合いを重ねてトラブルを回避してください。
姉妹兄弟トラブル解決方法-義理の家族との付き合い方
実の姉妹兄弟間トラブルで遺産相続、介護の次に多いのが、配偶者の家族である義理の姉妹兄弟・両親との不仲によるものです。
ここで言う義理の姉妹兄弟、義姉妹・義兄弟というのは、あなたの配偶者の姉妹兄弟のこと。
自分の配偶者の姉妹兄弟は、あなたにとって「婚姻関係によって結ばれた同一の祖先をもつ親族=傍系姻族(ぼうけいいんぞく)」となります。
あなたから見た配偶者の姉妹兄弟は、2親等以内の傍系姻族となり、血縁関係はないものの親族に該当する立場になるわけですね。
親族だと言われても、配偶者の姉妹兄弟はいわばまったくの他人です。
このため、相手の考え方を測りかねたり、適切な距離感がわからないまま付き合いを続けてしまい、後年になってからトラブルになることもあるでしょう。
大切な配偶者の家族であり、自らの親族でもある義理の姉妹兄弟とのトラブルを避けるために、普段から以下の対策をとることをおすすめします。
【義理の姉妹兄弟とのトラブル回避のためにできること】
- 配偶者の前で、義理の姉妹・兄弟の悪口は言わない
- お互いの家庭や仕事のことについて深入りせず、強く意見しない
- 上下関係をわかりにくいときは、「さん」付けで呼んで関係に一線を引く
- 自分達の家庭と、義理の姉妹・兄弟の家庭を比較しない
- 義理の姉妹・兄弟の言動をあまり深読みせず、受け流すくらいの気持ちで接する
- 苦手意識があっても、会うたびに挨拶をしっかりとし、失礼のないようにする
- 同じ妻、または夫の立場として、困りごとを相談できるくらいの親しさを目指す
精神的な姉妹兄弟問題にはカウンセリングもおすすめ!料金の目安は?
親からの態度や、互いが持つ個性・能力の違いから、姉妹兄弟間で長年にわたり嫉妬や不公平感、劣等感や怒りが募り、関係がこじれてしまうこともあります。
数十年にわたり蓄積されてきた姉妹兄弟への感情は、共に育ち長く一緒に過ごしてきたからこそ、なかなか払拭できないものです。
互いに複雑な感情を抱えたまま遺産相続、親の介護問題に直面すると、長年の確執が顕在化して大きなトラブルになってしまうかもしれません。
姉妹兄弟に複雑な感情を抱えているなら、相手と一対一と話し合うのではなく、感情を引き出し、コントロールする専門家であるカウンセラーに早めに相談しましょう。
保険適用外でカウンセリングを受ける場合、かかる費用は1回あたり50~90分の相談時間で5,000~30,000円と言われています。
ただ、カウンセリングに必要な料金はお住まいの地域やカウンセラーによっても異なりますので、詳しくは相談を検討するカウンセラーに確認してくださいね。
おわりに:話し合いで解決できない姉妹兄弟間トラブルは、弁護士やカウンセラーなど専門家に相談しよう
親の介護や遺産相続、配偶者の姉妹兄弟との不仲や、姉妹兄弟間のトラブルの種となります。互いに支え合っていくことが家族・親族の理想形ですよね。話し合いがベストなトラブル解決方法ですが、うまく解決できないときは法律や専門知識を根拠に冷静に、客観的に話し合いをサポートしてくれる弁護士やカウンセラーの力を借り、トラブル解決をめざしてくださいね。
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