外気温やエアコンの影響で、季節を問わず冷えに悩む女性は多いですよね。男性の冷え性で辛い思いをしている人も少なくありません。そこで今回は筋トレ、ストレッチ、食事、生活習慣の見直しに至るまで、自分でできる冷え性改善の方法をまとめて解説していきます。
あわせて病院に相談したい冷え性についても紹介しているので、参考にしてください。
- この記事でわかること
-
- 下半身型、末端神経型、内蔵型、全身型の冷え性タイプチェック
- 運動と筋トレで冷え性改善するための運動時間や内容
- 効果的なストレッチのやり方
- 体を温める食べ物、冷やす食べ物
- 冷え性におすすめの漢方の種類って?
- 病気が原因かも?油断大敵の冷えと病院での治療
あなたの冷え症のタイプはどれ?
冷え性は症状の現れ方により、大きく以下4つにタイプに分けられます。
- 《1》下半身型冷え性
- 主に腰から下、下半身に冷えの症状が現れるタイプ。加齢とともに発症することが多く、お尻・ふくらはぎの血行不良が原因で起こる。冷えのぼせを併発することも多い。
- 《2》四肢末端型冷え性
- 主に手先・足先といった、体の末端に冷えの症状が現れるタイプ。10~20代の女性に多く見られ、食事量の少なさや運動不足など、生活習慣が原因で自律神経が失調し末端の血管が異常に収縮することで起こる。
- 《3》内蔵型冷え性
- 下腹部や二の腕に冷えの症状が現れるタイプ。手足は暖かいことが多い。下痢など、おなかを壊す症状を伴うのが一般的で、自律神経のうち緊張状態を司る交感神経の働きが弱いことで起こると考えられている。
- 《4》全身型冷え性
- 特定の箇所ではなく、ほぼ全身にまんべんなく冷えの症状が現れるタイプ。ストレスや生活習慣が原因で著しく基礎代謝が低下することで起こることが多いが、背景に甲状腺の病気が潜んでいることもあるので注意が必要。
いずれのタイプの冷え性であっても、血行が悪くなるという点が共通していますね。血行不良の体では、血液によって体の隅々にまで十分な栄養・酸素が行き渡りません。冷え性、ならびに血行不良によって生じる体への悪影響としては、以下が挙げられます。
【冷え性、血行不良による体への影響】
- 疲労物質がたまり、筋肉がかたくなって肩こりや腰痛が起こる
- 体内に老廃物、水分が溜まった状態になり、むくみや倦怠感が生じる
- 肌荒れ、くすみなどの肌トラブルが増える
- 免疫力が低下し、風邪をひきやすくなる
- 女性の場合は生理不順や生理痛など、婦人科系のトラブルが起こりやすくなる
「体質だから」と冷え性を放っておいては、どんどん体調が悪化していく恐れがあります。
冷えによる不快症状だけでなく、血行不良による体調不良を軽減するためにも、冷え性改善に取組むことをおすすめします。
冷え性改善法-全身運動と筋トレで血行アップ
ここからは、自分でできる冷え性改善方法を具体的に紹介していきます。
まず紹介するのは、運動をして筋肉量を増やす方法です。運動と筋肉量のアップには、冷え性に対し以下の効果が期待できます。
【筋トレがもたらす冷え性への効果】
- 筋トレ、運動中の筋肉の収縮が血流改善につながる
- 筋肉量が増えれば、体温上昇効果が期待できるようになる
- 運動によるストレス発散で、自律神経を整える作用が期待できる
冷え性改善のための運動や筋トレは、負荷が小さなものでも構いません。
散歩やウォーキングなら1日30分を目安に行い、筋トレをするなら、肩・胸周辺の大きな筋肉を使って行える軽めの腕立て伏せがおすすめです。
【机と椅子を使う、軽負荷の腕立て伏せのやり方】
- 椅子に深く座り、椅子ごと体をデスクから少し遠ざける
- 両手を広げて机の縁を手のひらで押さえ、ひじを直角に曲げる
- 背筋を伸ばしながら、そのままゆっくりと体を前に倒していく
- 腕立て伏せをイメージして、上半身を少しずつ机に近づけていく
- 胸が机に触れる直前の姿勢で5秒キープし、ひじをゆっくり直角に戻す
- 1~5の動きを、1セット当たり5~10回繰り返す
冷え性改善法-ストレッチで筋肉ほぐし
続いて、冷え性改善に効果的なストレッチを計4つ紹介していきます。
【立ったままかかとを上下させるストレッチ】
- 壁に向かって立ち、転倒しないよう両手を壁に添える
- かかとを上げてつま先立ちになり、10秒キープする
- かかとを下ろし、元の姿勢に戻る一連の動作を10回行う
このストレッチは、かかとではなくつま先を上げるようにしても効果的です。座ったままでも、つま先とかかとを交互に上げるようにすれば行えます。
【足指と足首をほぐすストレッチ】
- 椅子に座った姿勢をとる
- まずは右足首を右手で、左手で右足の指を握る
- 左手で強めに足の指を揉みながら、右手で足首を10回まわす
- 右手を足首からふくらはぎに移動させ、ふくらはぎを揉む
- 4と同時に左手で足裏を揉み、そのままさらに10回足首をまわす
- 1~5の一連の動きを、左足にも行う
【座りながらでもできる足のストレッチ】
- 椅子に座った状態で片足を持ち上げてから、床と水平になるようまっすぐ伸ばす
- つま先を体の方に引き寄せ、かかとを突き出すようにして15秒間静止する
- かかとを体に引き寄せつま先をピンと伸ばすようにし15秒間静止する
- 1~4の動作でふくらはぎと太ももの筋肉を伸ばす。これを左右の足で交互に行う
【手指の筋肉をほぐすストレッチ】
- 手のひらの真ん中を上下にもみほぐす
- 親指の付け根から手のひらの内側に向かってもみほぐす
- 小指の付け根から指先の方に向かってもみほぐす
- 1~3の手順を片手につき30秒、左右両方の手のひらに行う
冷え性改善法-体を温める食べ物
筋肉を増やす、ほぐすこと以外に冷え性改善のためにできるセルフケアとしておすすめなのが、食事と生活習慣の見直しです。
以下に体を温める作用のある「陽性」の食べ物を紹介しますので、毎日の食事のなかに意識的に取り入れてみてください。
【冷え性改善効果が期待できる陽性の食べ物】
ショウガ、ネギ、ニンニク、ゴボウ、ゴマ、黒豆、小豆、スイカの皮 など
ただし、陽性の食べ物ばかり摂るのはよくありません。さまざまな食べ物をまんべんなく食べ、栄養バランスの良い食事を続けることが冷え性改善につながります。
以下のような体を冷やす作用のある「陰性」の食べ物も、加熱して食べるようにしてくださいね。
【体を冷やす作用がある陰性の食べ物】
トマト、キュウリなど水分の多い夏野菜、砂糖や合成甘味料、バターやマーガリンなど柔らかいもの、スナック菓子、チョコレート など
冷え性改善法-生活習慣の見直し
次に、食事と合わせて実践したい生活習慣の改善方法を紹介します。
【冷え性改善に効果的な生活習慣】
- 入浴するときは38~40度のぬるめのお湯に10分以上、ゆっくり浸かるようにする
- 下半身を厚着にする。上半身は首周り以外を比較的薄着にし、頭寒足熱にする
- しっかり食事を摂り、食べる量を減らす極端なダイエットはしない
- 末梢血管を収縮させ、血行不良を引き起こすタバコはやめる
- 体を締め付けない楽な衣服、靴を身に付け、全身の血行を確保する
- 適度な運動や筋トレを取り入れる
- 十分な睡眠をとり、規則正しい生活をして、ストレスの軽減を心がける
冷え性の人の衣服の選び方や入浴方法などは、生活スタイルに合わせて無理なく取り組んでくださいね。とりかかりやすいところから、徐々に生活習慣を改めていきましょう。
冷え性改善法-漢方薬で冷え取り
運動やストレッチ、食事や生活習慣を変えてもなかなか冷え性の症状が改善しないときは、漢方の力を借りるのもひとつの方法です。
以下に、冷え性改善効果が期待できる計6種類の漢方薬の名称、効能、特徴をまとめていますので、参考にしてくださいね。
- 【当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)】
- 血の不足、滞りの改善に効果的な漢方薬。血の不足を補い、水分の代謝を高めて全身の血行を促進し、内側から体を温める作用がある。
手足など末端や下半身に冷えを感じ、肩こり、めまい、倦怠感、むくみや婦人科系トラブルのある人におすすめ。
- 【桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)】
- 下半身が冷えるのに顔周りが熱くなる「冷えのぼせ」を伴う冷え性に効果的な漢方薬。
足や下半身の冷え、肩こり、婦人科系のトラブル、めまい、肌荒れを伴う冷え性の悩み、比較的体力のある人におすすめ。
- 【加味逍遙散(カミショウヨウサン)】
- 主にストレス、自律神経の失調が原因で起こる冷え性の改善に効果的な漢方薬。
ストレスによる気の流れの異常を改善してくれるので、イライラや不安など精神症状、肩こりや疲れやすさなどを伴う冷え性に悩む人におすすめ。
- 【喜谷實母散(キダニジツボサン)】
- 江戸時代から、女性の諸症状に効くとして重用されてきた漢方薬。
体中の血行を促進するセンコツ(川骨)などが含まれ、末端の冷えや便秘、頭痛、肩こり、婦人科系トラブルなどの症状への効果が期待できる。
- 【当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)】
- 手足・足先など、特に末端冷え性の症状改善に効果的な漢方薬。
眠れないほど手足が冷えるなど末端の冷えによる不快症状のほか、肩こりや頭痛、しもやけ、下腹部痛、消化器のトラブル改善への効果が期待できる。
- 【人参湯(ニンジントウ)】
- 薬用ニンジンを主成分とした漢方薬。
特に内蔵型冷え性の改善に効果的とされ、手足の冷え、胃腸の不調、下痢、嘔吐、腹痛、疲れやすさなどの症状がある人におすすめ。
セルフケアで改善できないなら病院に相談を!
ここまでに紹介したセルフケアをすべて試しても冷え性が改善されない場合は、背景に何らかの病気が潜んでいるかもしれません。
以下のような症状が現れているときは、医療機関の受診も検討すべきでしょう。
【医療機関の受診を検討すべき冷えの症状】
- 手足だけでなく全身が極端に冷え、むくんでいる
- 空調環境にかかわらず夏でも冷えがひどく、全身が重く怠い
- 末端や全身に冷えを感じているが、はっきりした原因がわからない
- 氷や冷たい水などに触れると、体温が戻らず血の気がなくなる
閉そく性動脈硬化症、バージャー病、膠原病などにより冷えの症状が現れている場合は、原因となる病気を治療すれば冷えも改善します。
冷え性そのものは治療すべき病気ではありません。しかしあまりにも症状が辛く、何らかの病気の可能性を感じるなら、内科の医療機関に相談してみましょう。
おわりに:症状から推測される原因に合った方法で冷え性を改善しよう
冷え性は症状の現れ方や原因により下半身型、四肢末端型、内蔵型、全身型の4つに大きく分類できます。改善する方法としては運動やストレッチ、食事・生活習慣の見直しが効果的。取り組みやすいケアから始めて冷え性の改善を目指してください。なおセルフケアで症状を改善できない場合は、漢方薬や内科医師の力を借りるのがおすすめです。あなたの体に合った方法で、辛い冷えの症状や体調不良を改善していきましょう。
コメント