年齢とともに食欲が出ない!高齢者の食欲回復におすすめの介護食品や口腔ケア

食欲が出ないため、食事を嫌がっている高齢者の女性からだの悩み
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若い頃ほど肉やごはんを食べられなくなったと感じてはいませんか?私たちの体の機能は、年齢を重ねるにつれ緩やかに低下していくもので、消化機能や食欲が低くなることもあります。

そこで今回は年齢による食欲低下について、その原因やリスク、食欲低下に負けず食事から栄養摂取を続けるためにできる工夫や、使えるグッズなどを紹介していきます。

この記事でわかること
  • 年をとるとやりがちな習慣と食欲への影響
  • 栄養不足は免疫力低下などデメリットを招く?
  • 食事を食べやすくする調理法や料理
  • 市販の介護食品の選び方
  • 歯みがきなど口腔ケアのポイント
  • 消化系疾患や感染症など食欲低下を引き起こす病気の種類

加齢で食欲が低下する原因は?

年齢を重ねるごとに食欲低下が起こりやすくなる理由としては、以下が挙げられます。

【食事にかかわる器官の機能低下】
食べ物を噛み、飲み込み、栄養として吸収するには唾液や胃液をはじめ、さまざまな消化器・消化酵素の働きが欠かせません。

しかし年齢を重ねると、食べ物の消化に必要な消化酵素の分泌量が減り、胃や腸の働きも低下するため、空腹を感じにくくなるのです。

【生活習慣の影響】
若い頃に比べ、高齢になるほど体の自由が利かなくなり、外出や運動が億劫になってきます。

《年齢を重ねてから陥りがちな生活習慣》

  • 体を動かしたくなくなり、運動をしなくなる
  • 食事中かどうかを問わず、1日中ずっと腰や背中を曲げた姿勢でいる

運動不足によるエネルギー消費量の低減は、食欲低下に直結します。

また、1日中同じような姿勢でいることも全身の血行を阻害し、食事中にせきこんでしまう誤嚥(ごえん)のリスクを高めるため、食事への意欲を削ぐ原因となります。

このような年齢による生活習慣の変化も、食欲の低下に大きく関わっているのです。

【食欲にかかわるセンサーの機能低下】

食欲は、摂食中枢と満腹中枢の2つの器官でコントロールされています。
接触中枢は空腹感を、満腹中枢は満腹感をそれぞれ司っており、満腹中枢は咀嚼することで刺激を受け満腹感を感知するのです。

しかし高齢になると、咀嚼する力も弱まってきます。

すると満腹感を感じにくくなり、満腹感・空腹感を司る両器官の機能も徐々に衰えて、食欲低下の原因となります。

【生活習慣病など、持病の影響】

年齢を重ねると糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病をはじめ、持病を抱える人も増えてきますよね。

持病の内容によっては、特定の調味料や栄養素の摂取を制限する必要も出てくるでしょう。

そうなると、これまでに慣れ親しんできた食事との違いから持病に良い食事を「おいしくない」と感じ、食欲低下の一因となることがあります。

しかし食欲が低下すると、ただでさえ年齢とともに衰えている咀嚼力、消化・吸収能力がさらに低下し、低栄養から体力・免疫力の低下を招くことになります。

体力・免疫力が低下すると、感染症にかかるリスクが増大するばかりか、筋肉量が減って寝たきり状態になるリスクも非常に高くなってきます。

加齢による食欲低下は、年齢を重ねたことによる体の機能低下が要因で起こります。

そして体の機能低下は、運動不足や食事への意欲の低下を引き起こし、さらなる食欲の低下や体力・免疫力の低下、そして高齢者の衰弱の要因となるのです。

食欲低下の対策-食事や調理の工夫法

高齢者本人にとって食べやすいよう食事を工夫すれば、食欲が低下していても、食事を口へ運びやすくなるでしょう。

以下に、高齢者にとって食べやすい食事の条件をまとめましたので、確認してください。

【高齢者が食べやすい食事とは?】

咀嚼力が弱くても負担なく食べられる、柔らかめの食事
⇒例)うどん、煮物、具沢山の汁物 など
喉への負担が少なく、誤嚥を起こしにくい、飲み込みやすいもの
⇒例)茶碗蒸し、ゼリー寄せ、コンポート、蒸し物 など
水分が多くて飲み込みやすく、味と風味を楽しめるもの
⇒例)野菜のポタージュスープ、出汁のきいた汁物 など
薄味でも、しっかりとした風味を感じられて食べやすいもの
⇒例)こしょうなどの香辛料、ゆずやショウガ、梅の風味を利かせた料理
食欲がわいたときに、パッと口に入れられるもの
⇒例)サンドイッチ、小さなおにぎり、そうめん など

上記を意識したメニュー構成にすれば、食欲が低下した高齢者でも、食事を摂りやすくなるでしょう。

なお高齢者の栄養不足を心配するあまり、無理にでも決まった時間に食事を摂らせようとするのは逆効果です。

本来なら楽しい時間であるはずの食事も、無理強いすればストレスとなります。
ゆくゆくは食事自体を拒否される可能性も出てくるので、注意しましょう。
近年では和食や洋食、野菜や肉・魚を使ったものまで、バラエティ豊かな介護食品も市販されています。

市販の介護食品を使えば、高齢者にとって食事のバリエーションが豊かになるだけでなく、介護者の調理負担もかなり軽減できるはずです。

食欲が低下した高齢者向けの食事の工夫には、市販の介護食品も多いに活用してください。

食欲低下の対策-介護食品(ユニバーサルデザインフード)って?

市販の介護食品を購入する際には、ユニバーサルデザインフードを選ぶのがおすすめです。

ユニバーサルデザインフードは「食べやすさに配慮した食品」を定義とする食品表示制度であり、レトルトから冷凍食品、とろみをつけるための調味料に近いものまで各種あります。

認定を受けた食品のパッケージには必ず固有のロゴが入っていますが、この認定を受けるには、日本介護食品協議会が設定した規格をクリアしなければなりません。

またロゴとともに、かたさや粘度の規格により分類された以下の区分が表示されていて、高齢者の状態に合わせ食品を選びやすいよう配慮がされています。

【ユニバーサルデザインフードの区分】

《食品の場合》

  • 容易にかめる…かたいものや大きいものはやや食べづらいが、普通に飲みこめる人向け
  • 歯ぐきでつぶせる…かたいものや大きいものが食べづらく、ものによっては飲み込みづらいことがある人向け
  • 舌でつぶせる…細かくてやわらかければ食べられるが、水やお茶が飲みこみづらいことがある人向け
  • かまなくてもよい…固形物が食べづらく、水やお茶が飲みこみづらい人向け

《とろみ調整食品の場合》

  • 1gまでの使用で、フレンチドレッシング状のとろみをつけられる
  • 1~2gまでの使用で、とんかつソース状のとろみをつけられる
  • 2~3gまでの使用で、ケチャップ状のとろみをつけられる
  • 3g以上の使用で、マヨネーズ状のとろみをつけられる

以下に主食・おかずそれぞれ、おすすめのユニバーサルデザインフードを紹介します。

いずれも電子レンジ、または鍋で温めるだけで食べられる食品ばかりなので、参考にしてくださいね。

【おすすめのユニバーサルデザインフード「主食」編】

【おすすめのユニバーサルデザインフード「おかず」編】

・アサヒグループ食品 バランス献立 おかずシリーズ
・キューピー やさしい献立 おかずシリーズ

食欲低下の対策-家でできる口腔ケア

入れ歯が合わないことによる違和感や口の中の痛み、唾液の分泌量低下による口の中の渇き、喉の痛みも食欲低下の要因となります。

口のなかの痛み・不快感が続けば、口を動かす食事が苦痛になるのも無理はありません。

そこで以下からは、市販されているケアグッズを使えば家庭で簡単にできる、食欲低下予防に役立つ口腔ケアの方法を紹介していきます。

【1:歯ブラシ】
年齢を問わず、口腔ケアの基本となる方法です。さまざまな形状のもの、電動で唾液を吸い出す機能があるものもあるので、高齢者の状態にあった種類・方法を選んでください。
【2:義歯用ブラシ】
入れ歯や部分入れ歯など、義歯を磨くために開発された歯ブラシもあります。大きなブラシ部分では歯や歯茎を、小さなブラシ部分では歯間・金属箇所を磨きやすいよう設計されています。
【3:デンタルフロス】
歯と歯の間に出し入れして、挟まった食べ物や歯垢を除去します。歯ブラシだけでは行き届かなかったところまで、すっきりきれいに掃除できますよ。
【4:口腔粘膜、舌用のブラシ】
歯だけでなく、頬の内側を清掃・刺激するためのスポンジブラシ、舌に付着した白い苔を剥がすための舌用ブラシも市販されています。歯ブラシと一緒に使用し、口腔ケアに役立てましょう。
【5:その他、口腔ケアを補助するグッズ】
「バイトロック」とは、口を開けること、開け続けるのが困難な人の口腔ケアに役立つグッズです。奥歯に噛ませておけば口を開けた状態を維持できるため、口腔ケアのための視野とケアする人の安全の確保に効果的です。
「うがい受け」は、うがいの後、洗面所に行かなくても水を吐き出すための小さな洗面器のようなものです。洗面所や水場まで行くのが困難な人の口腔ケアを助けてくれます。

道具を揃え、自身のケアの延長として高齢者の口腔ケアも行っていきましょう。

食欲低下の対策-適度な運動と十分な睡眠

食事と口腔ケア以外に、高齢者の食欲低下を予防・改善するためにできる工夫としては、生活習慣の見直しが挙げられます。

以下を参考に、家族も協力して高齢者の生活習慣を改めていきましょう。

【意識的に体を動かし、運動習慣を付けよう】

先述したように、体を動かすのが億劫になった高齢者のエネルギー消費量は低下するため、食欲低下の要因となります。

家のなかでも構いませんので、散歩やラジオ体操などを毎日行う習慣を付けてください。

たとえ少ない時間でも、毎日一定量の運動を続けているだけで、筋肉・体力がついて消費エネルギーが増え、食欲も回復してくるはずです。

【規則正しく眠れるようにしよう】

年齢を重ねると、眠りの質にかかわる体内時計や血圧、体温、ホルモン分泌などの機能やリズムも変化するため、睡眠障害をおこしやすくなります。

寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中や早朝に目が覚めてしまうようなら、以下の工夫をして睡眠の質を上げる努力をしてきましょう。

  • 寝る直前に満腹、または空腹の状態になるのを避ける
  • 遅くとも、就寝の2~3時間前には食事を終わらせておく
  • 就寝予定時刻の5時間前には、カフェインの摂取をやめる
  • 入浴はぬるめのお湯に、5分程度ゆっくり浸かる
  • 午前中に日光を浴びて体内時計をリセットし、夜に眠くなる生活リズムを作る

規則正しい生活を送れるようになれば、自然と行動意欲も食欲も高まってきますよ。

食欲低下は体からのSOSかも!こんな症状は病院へ相談を

加齢だけでなく、以下のような病気の症状として食欲低下が現れているケースもあります。

【食欲低下の症状を表す、疾患の例】

  • 胃の粘膜が弱まり、炎症を繰り返してしまう「慢性胃炎」
  • 胃や十二指腸の粘膜が欠損してしまう「胃潰瘍・十二指腸潰瘍」
  • みぞおちの痛みや膨満感、吐血や下血も併発する「胃がん」
  • ウイルスへ対抗するため、関節痛や呼吸器症状なども併発させる「風邪・インフルエンザ」
  • 甲状腺ホルモンの分泌量が低下し、発汗や疲労感なども伴う「甲状腺機能低下症」
  • 太ること、食べることへの恐怖から起こる「神経性食欲不振症、拒食症」
  • 体に特別の疾患がないのに、気分が落ち込むなど諸症状が現れる「うつ病
  • 亜鉛不足により味覚障害が起こり、食事が摂れなくなる「亜鉛欠乏症」
  • 結核、自己免疫異常などにより副腎皮質ホルモンの分泌量が低下して起こる「アジソン病」

さまざまな工夫をこらしたにもかかわらず、食欲低下が改善しない場合は上記いずれかの病気が潜んでいるかもしれません。

早めに主治医に相談するか、内科の医師のいる医療機関を受診しましょう。

おわりに:いろいろ工夫して、高齢者の食欲回復をサポートしよう

私たちの身体機能は年齢とともに低下しますから、高齢者に食欲低下が起こりやすいのも当然と言えます。しかし食欲低下は栄養不足を、栄養不足は体力・免疫力の低下と寝たきりになるリスクを高めるため、可能な限り食欲を回復することが望ましいでしょう。まずは市販の介護食品も使って、食事を高齢者が食べやすい内容に変えてみてください。適切な口腔ケア、生活習慣の見直しを併用しても改善しなければ、医師に相談しましょう。

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