子どもの「不登校」が社会問題のひとつですが、近年の不登校の特徴として、不安や無気力といった精神面の要因が大きくなっています。
小学校や中学校に通う子どもの成長をサポートするために大人ができることは何でしょう。この記事では、不登校児に対する親のNG行動や、通信制高校・フリースクールなどのメリットも合わせてご紹介します。
- この記事でわかること
-
- 現代の不登校の大きな要因「無気力・不安」とは
- 体の不調や食欲不振など子どもの心のSOSの症状
- 子どもの不登校に家族や学校ができるサポート
- 引きこもりと不登校はどんな違いがあるか
- 大人が気をつけたい子どもへの言葉がけ
- 不登校や引きこもりを支援する相談先や施設
令和版データ 小学校・中学校の不登校の人数や原因って?
文部科学省の調査によれば、令和元年度における小・中学校の長期欠席者の数は252,825人にのぼりました。前年度240,039人を大きく上回る数です。このうち不登校児童・生徒数は181,272人で、これも前年度の164,528人を大きく上回り、新しく増えた長期欠席者の多くが不登校児であることもわかります。不登校児童・生徒の割合は全児童の1.9%(前年度1.7%)です。
一方、高等学校の長期欠席者の数は76,755人であり、前年度の80,752人を割り込みました。不登校生徒数は50,100人であり、これも前年度52,723人と比べて減っています。全生徒数における不等校生徒の割合は1.6%で、小・中学校よりは不登校生徒の割合が少ない傾向にあります。
▼ 参考:文部科学省「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
しかし、小中学生の不登校児の割合は学年が上がるにつれて増える傾向にあり、特に小学校6年生から中学校1年生に上がると、2倍以上にも増加します。不登校の要因として10%以上を示した主なものは以下です。
- 無気力・不安(39.9%)
- いじめを除く友人関係をめぐる問題(15.1%)
- 親子の関わり方(10.2%)
不登校の予兆?学校に行きたくない子どものサインをチェック
では、子どもが学校に行きたくないと思っているとき、どんなサインが出るのでしょうか。学校で見られる要因と、家庭で見られる要因の両方を見ていきましょう。
- 学校での兆候
-
- 理由のはっきりしない欠席が多くなる
- 身体の不調を訴え、保健室に行くことが増える
- 休日の翌日や特定の教科の日に、欠席が増える
- 休み時間に友人と過ごさず、保健室や人があまりいないところへ行くようになる
- 部活動や委員会活動を休みがちになったり、辞めたがったりする
- 家庭での兆候
-
- 前日の夜には学校へ行く準備をするが、翌朝になると起きてこない
- 朝に登校を促すと、腹痛・頭痛・下痢・発熱などの体調不良を訴え、休みたがる。しかし、保護者が学校に欠席の連絡をした後には、元気になる
- 食欲がなく、顔色が悪くなる
- 朝食や身支度に時間がかかり、遅刻してしまうようになる
- 夜更かしをしたり、眠れないと言うようになる
- これまで外遊びをしていたのに急に外で遊ばなくなり、自分の部屋に閉じこもることが増える
- 家族との会話が少なくなり、避けるようになる
このように、不登校に至る前には何らかの前兆が現れます。教員や保護者など身近な大人が小さなサインを見逃すことなく、早期に適切な援助ができれば、不登校に至る前、あるいは長期化しないうちに解決することもできるでしょう。
「無気力タイプ」と「不安など情緒的混乱タイプ」の不登校って?
不登校のタイプは、主に以下の7つに分けられます。
- 学校生活上の影響
- 遊び、非行
- 無気力
- 不安などの情緒的混乱
- 意図的な拒否
- 複合型
- その他
令和の不登校の理由は、小・中学校のいずれも「無気力」「不安などの情緒的混乱」が圧倒的に多く見られました。
不安などの情緒的混乱タイプの子どもは神経症的不登校とも呼ばれ、経過の段階で無気力な状態を見せることがあり、無気力タイプの子どもとの見分けが難しい場合があります。しかし、一般的に以下のようなポイントで違いが見られますので、迷ったときには注意深く観察してみましょう。
- 不安などの情緒的混乱タイプ
-
- 登校への意欲はあるが行けない、学校への不安は強く現れる
- 休むことへの罪悪感が強く、友人にはあまり会いたがらない
- 身体的・精神的な症状もさまざまで、気分の変動が著しい
- 無気力タイプ
-
- 登校への意欲や学校への不安は乏しく、休むことへの罪悪感もあまりない
- 友人にも平気で会い、身体的・精神的症状のいずれもほとんどなく、気分の変動もあまりない
不安などの情緒的混乱タイプの特徴
さらに具体的に見ていくと、不安などの情緒的混乱タイプには、学校に行く前日や当日、休日などに以下のような傾向があります。
- 前の晩:明日は学校へ行くと言い、登校の準備をする
- 当日の朝:布団から起き出さず遅くまで寝ていたり、頭痛や腹痛を訴えたりする。無理に学校へ連れ出そうとすると、抵抗したり暴れたりする
- 午前中:登校時刻をピークに情緒不安定となり、病人のような状態が続く
- 午後:徐々に情緒が安定してくるが、下校時刻までは外出をしたがらない
- 休日:情緒が安定し、外出することも容易
情緒的混乱タイプの子どもたちは、学校に行くことに対して強い不安を持つものの、休むことへの罪悪感も強いことから、自分の感情に板挟みになってしまっています。登校を勧めたり学校のことに触れたりと学校の話題を会話に出すと、それだけで黙り込んだり不機嫌になったりしてしまいます。逆に、学校のことに触れなければ特に問題も起こさず、落ち着いた様子に見えるのです。
無気力タイプの特徴
一方の無気力タイプの場合、「なんとなく登校しない」というだけなので、登校しないことへの罪悪感も少ない傾向があります。催促したりすれば登校はするものの、積極性もないので長続きしません。このタイプの子どもは、学校や学級内にはっきりした問題も人間関係のトラブルもないか、少ないのが特徴です。近年では自尊感情が低く、自分の存在感が持てないためにやる気を失い、無気力に陥る子どもも多く見られます。
複合タイプの特徴
また、不登校の理由が複合していて、どれが主な理由なのか決めがたいという「複合」タイプの子どもも多いです。さまざまな理由が絡み合って不登校になっていることも多く、どのタイプとどのタイプが複合しているかということも簡単にはわからないケースもよく見られます。複合タイプの子どもには特に、「この子はこのタイプを持っている」と決めつけず、子ども本人のそのときの状態としっかり、柔軟に向き合っていかなくてはなりません。
親が気をつけたい子どもへの接し方って?病気や障害が原因のことも
「無気力」タイプの子どもは欠席をそのままにしておくとずるずる慢性化し、ますます学校に行きづらくなってしまいます。解決すべき問題がそもそもないため、回復までに時間がかかることも多く、家族が半ば諦めてしまうこともあります。学級担任が保護者と協力し、毎朝迎えに行ったり友人を迎えに行かせたりと、根気強く支えて行くと良いでしょう。
無気力になる原因や背景としては、発達段階での体験に偏りがあったり、充足されていなかったりすることが影響しているとされています。そのため、無気力タイプの子どもには自発性や意欲の発現を待つのではなく、むしろ周囲が積極的に関わり、体験の不足を補うような励ましと援助が重要です。
具体的には、生活に活気を持たせるよう、身体を適度に使う遊びや運動に誘ったり、家庭内で何らかの役割や仕事を分担させたりすると良いでしょう。友人や近所の子どもとの交友が続いているなら、他者との関わりを保てるような配慮も必要です。
「不安などの情緒的混乱」タイプの子どもは、学校生活に起因する何らかの不安があって通えなくなるのですが、根本的には成長の過程で問題を含んでいるケースが多いようです。まずは子どもの状態をありのまま受け止め、不安や緊張を和らげましょう。具体的に考えられるのは、以下のような問題です。
- 保護者との分離不安によるもの
-
- 保護者との分離不安が強い子どもは、無理に引き離そうとすると不安が強くなり、かえって逆効果に
- 親子関係の安定をはかりながら、子どもの興味・関心が次第に親以外に向かうようにする
- 親と一緒なら登校できる場合、まずは親子登校を認めてもらい、学校と保護者がよく話し合いながら少しずつ分離していく
- 親子登校は長期化することがあるため、本人が周囲から冷やかされたりからかわれたりしないよう、また、保護者が養育姿勢を非難されることがないよう、学校側の配慮と教育が必要
- 息切れによるもの
-
- これまで周囲に気を遣い、本来の自分の気持ちを素直に表せなかったタイプ
- 本来の自分を取り戻し、自分の力で意思決定ができるよう長期的な視点で関わる
- 保護者自身も子どもに不安や混乱が伝わらないよう、気持ちの安定をはかる
- 保護者自身の養育姿勢を批判することなく、学校側が受け止める必要がある
- 甘やかされによるもの
-
- 日常の簡単なことから、自分で最後までやり遂げる経験をさせ、自信につながるような評価を繰り返す
- 我慢する、一歩ずつ根気よく進むなど自律・自立できるような援助を
- 保護者は話し合いを通じて子どもへの接し方を振り返り、今後の対応を考えてもらうよう学校側から働きかける
- 生活基盤の不安定によるもの
-
- 家庭内の不和や、家庭の生活環境の急激な変化で不安を感じ、学校に行けなくなるもの
- 学校側は、子どもの話を聞きながら不安を和らげたり、保護者との話し合いを通じて家庭内の安定をはかったりする働きかけを
- 学校からの働きかけだけでは対応しきれない場合、関係機関と連携しながら子どもと家庭環境をサポートする
よその子は学校に行っているのに、自分の子どもだけが学校に行けないという状況は、保護者なら誰もが「精神疾患などの病気なのではないか」という心配や不安を感じて当たり前です。しかし、不登校そのものは病気ではない、とほとんどの専門家が考えています。不登校は別に存在する問題のサイン、成長過程でのつまずきの一つ、自我の変化に伴う必要な悩みなど、さまざまな意味があるのです。本人や保護者の捉え方によっても、その意味は変わってきます。
発達障害が不登校の原因だったときの対処法
不登校の背後に障害や疾患が隠れている可能性は否定できません。特に、学校生活上の影響に起因する不登校の場合、原因となる対人関係の問題や学業不振がLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム症)などに起因していたり、精神疾患の前駆症状であったりすることが考えられます。
心当たりがあれば、医療機関や相談機関で専門家の意見を聞いたり、診断を受けたりすると良いでしょう。発達障害や精神疾患であれば、療育や治療もできるからです。
子どもが外出しない…「引きこもり」の定義とは?
「引きこもり」も近年大きな社会問題となっていて、引きこもりのいる世帯数は約32万世帯とされています。厚生労働省の定義によれば、「引きこもり」とは以下のような状態のことです。
仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態
つまり、単に仕事や学校に行かないだけで友達とは元気に遊びまわっている、という人の場合は引きこもりとは呼びませんし、逆に、家族以外の人とほとんど交流がなくても、仕事や学校には行けているなら引きこもりではありません。「引きこもり」とは状態のことを指し、単一の疾患や障害を指すのではなく、さまざまな要因が背景となって生じると考えられています。
不登校イコール引きこもりというわけではありませんが、不登校の期間が長引き、家にいる時間が増えていくと引きこもりになってしまう可能性があります。不登校と引きこもりは定義は違いますが、重なる部分もあるのです。そこで、不登校や引きこもりとなってしまった子どもへの接し方として家庭で気をつけたいこと、心がけたいことをおさえておきましょう。
不登校・引きこもりの子どもに親がやってはいけないことって?
不登校や引きこもりの子どもに対して、やりがちだけれど最もやってはいけないのが「心配・期待」です。保護者としては心配でたまらないことも、いずれ学校に行けるだろうという期待を持つこともあるでしょうが、それを子どもに態度や言葉で表してしまうと、子どもの前向きな気持ちをすり減らしてしまうかもしれません。
具体的な行動としては、以下の6つを避けましょう。
- 原因や問題をしつこく尋ねる
-
- 誰にいじめられたのか、何が不満なのかと子どもが苦しんでいる原因をしつこく聞くと、罪悪感や不安感が増大してしまう
- 子どもが自ら話してくれるまで、親は待つことが重要
- 無理矢理外出させる
-
- 自分で外出できないなら親が外出させよう、とするのもNG
- 子どもはなりたくて不登校や引きこもりになるわけではないので、強制的に学校へ行かせるのは逆効果
- 必死になる親の姿を見て罪悪感を感じたり、弱音を言えないと感じたりしてしまうかも
- 「不登校は甘え」などの厳しい言葉をかける
-
- 不登校や引きこもりを「甘え」「怠け」などと責めるのはNG
- 葛藤している子どもに対し、追い打ちをかけてしまうと親子の信頼関係も崩れてしまう
- 少し改善が見られたときに「もっと頑張ろう」と言う
-
- 保健室登校が増えた、自ら外出する時間が増えたといったときに、もっともっとと声かけするのはNG
- 期待をかけられることで子どもがプレッシャーを感じ、かえって改善前の状態に戻ってしまうかも
- 他人に頼らず解決しようとする
-
- 客観的にアドバイスをくれる人や、専門知識を持っている人がいないと、子どもを無意識に追いつめてしまう
- 自分の子どもだから自分だけで、と思う親は多いが、子どものためにもむしろ周囲の意見を聞いた方が良い
- 子どもが引きこもっている間は外出しない
-
- 逆に、子どもが家にいる間は自分も、できるだけ寄り添おう、などとするのもNG
- 常に親が家にいることで、かえってストレスを感じる子どもも多い
- 親は親自身の生活をしっかり送れば、それで大丈夫
上記の6つは保護者がついやってしまいがちなことです。しかし、いずれも子どもの心を傷つけたり、罪悪感やプレッシャーを感じさせたりするため、かえって不登校や引きこもりを長引かせてしまいます。心当たりがあればすぐに控え、親は親自身の人生をしっかり過ごすようにしましょう。
不登校・引きこもりの子どもにはこんな接し方で歩み寄ろう
逆に、以下の5つのような歩み寄り方は有効です。もし方法がわからなければ、以下のことから試してみると良いでしょう。
- 専門家や支援機関に相談する
-
- 通信制高校などの教育機関も不登校・引きこもり・いじめに詳しい
- 学校と家庭と連携を取ると早期解決につながりやすい
- このとき、犯人探しなど子どもの人間関係を悪化させる可能性があることは避ける
- 感情的に接することなく、穏やかに見守る
-
- 親の心に余裕がない状態では、子どもも安心できない
- 心配・不安・焦りはなかなか自分でコントロールしにくいが、まずは親自身が冷静に
- 親として犠牲になるのではなく、自分自身の人生を充実させる
-
- 子どもが不登校や引きこもりの間、親がずっと頑張り続けていると子どもの罪悪感に
- 子どものことが心配でも、外出や趣味を楽しむなど、親の人生を好きに生きる方が大切
- 子どものために頑張らなくては、と思う人も多いが実は逆で、充実した人生を見せる方が効果的
- 子どもの気持ちややりたいことを尊重する
-
- 子どもが学校に行きたくないときはその気持ちを尊重し、やりたいことをやらせてあげる
- 無理矢理学校に行かせようとすると拒むが、自由にしていいよと言われるとすんなり行く、という子どももいる
- どれだけの期間が必要かはわからなくても、落ち着いて長い目で見ることが大切
- 親自身も子どもも、生活リズムの乱れに注意
-
- 食事や睡眠など、生活習慣が不規則になると心のバランスが崩れやすい
- 子どもが学校や外へ行かない生活をしていても、生活リズムだけはできるだけ正す
- 正しい生活リズムで過ごしていれば、学校生活に戻る時もラク
通信制高校やフリースクールで子どもの学習機会を確保するのもあり
不登校であっても、勉強は何らかの方法でしておくのが良いでしょう。そこで、まずは第一の選択肢として通信制高校のメリットをご紹介します。
- 学校側の受け入れ体制が充実している
-
- 通信制高校には、働きながら通う人や中学時代から不登校の人など、さまざまな背景を持つ人がいる
- 中には不登校児の受け入れに力を入れている学校も多くあり、専門のカウンセラーが常駐していたり、不登校の専門相談窓口を設けていたりする学校も
- サポートする教員も、多様な生徒に対応するため少人数の担任制にしたり、1対1の個別指導を実施したり、学習を通して自信を取り戻してもらうべく、自宅訪問など学校以外の場所で生徒指導を行ってくれたりと、精神面・学習面の手厚い支援が受けられる
- 登校日数や学習方法を選べる
-
- 通信制高校は登校日数が少なく、自学自習が基本
- 全日制のように毎日学校に通わなくてよく、週に1日や年間で20日程度など、自分に合った頻度を選択できる
- eスポーツ専門コース、美容専門コース、大学進学に力を入れるコースなど、生徒が自ら学んでみたいと感じられる学科が豊富に設置されている
- 同じ悩みを抱える生徒に出会いやすい
-
- 学校になじめない、いじめで悩むなど、似たような悩みを抱える生徒も多い
- 全日制の学校より、生徒同士がお互いの境遇に親近感を感じて馴染みやすい
また、フリースクールの選択肢もあります。フリースクールとは、不登校の小中学生が学校以外で学んだり、友達と過ごしたりできる居場所のことで、2015年の文部科学省の調査によれば、日本全国で474ヶ所のフリースクールがあると確認されています。主に不登校の子どもたちを受け入れていますが、学習障害などの発達障害がある人などを支援する施設も多いです。
フリースクールは公的な機関ではなく、個人・民間企業・NPO法人によって運営されていて、設立の目的によって規模・形態・活動内容はさまざまです。入学資格はなく、学校のように決まったカリキュラムが存在しないので、異なる年齢の子どもが集まるのが特徴です。しかし、義務教育卒業の資格は得られないので、小中学生の場合はもともとの小中学校に籍を置いたままフリースクールを利用します。小中学生も、高校生も在籍校の校長に認められれば、フリースクールへの登校が在籍する学校への出席という扱いにしてもらえます。
文部科学省では2018年に「教育機会確保法」が施行され、国が「不登校はどの児童・生徒にも起こりうること」としてフリースクールの重要性を認め、小中学校との連携を求めるなど、子どもたちへの支援を本格的にスタートしました。さらに、2019年には不登校児への支援の基本的な指針を「学校に復帰すること」でなく、「社会的な自立を目指すこと」に変化させています。つまり、無理に学校に復帰しなくても、それぞれの子どもたちが自分に合った居場所で自信を持って成長でき、社会に出られればそれで良いのです。
では、フリースクールをどのように選べば良いのでしょうか。前述のようにフリースクールにはさまざまな形態がありますが、ここでは8つの特徴に分類してご紹介します。
- 学校復帰ではなく、元気の回復を目指すスクール
-
- 不登校の子どもの自信と元気を取り戻すため、居場所となることが第一目的
- 学校の復帰は前提に置かず、安心できる先生・スタッフ・仲間と一緒に過ごすことで、自信や学ぶ意欲を取り戻すことが基本方針
- 学校復帰を望む子どもに対し、学習サポートが充実しているスクール
-
- いずれは学校に復帰したいと望む子どもを対象に、一時的に学校を離れ、心を休める居場所として利用できる
- 学校の授業の進度に合わせ、個別の学習指導が行われる
- 学習障害など発達障害が原因で不登校になった子どもを支援するスクール
-
- 何らかの発達障害により、学習や対人関係に困難を抱えて学校に行けなくなった子どもを専門家がサポートする
- 医療機関と連携したサポートするスクール
-
- 心身に疾患のある子どもを対象にしたスクールで、医療機関と連携したサポートを受けられる
- 自宅でサポートを受けられるスクール
-
- 不登校で、学校への登校が難しい子どもが対象。スタッフが自宅まで訪れ、一緒に時間を過ごす
- 子どもの希望・状況に応じ、興味のあることや自主的に行っていること(ゲーム、お絵描き、運動など)をともに行い、家の外に出る意欲を取り戻すのが目標
- 自然の中で共同生活するスクール
-
- 皆と同じ場所に住んで共同生活を送る中で、安心感・自立心・学ぶ意欲を育む
- 自然豊かな立地環境であることも多く、健康的な生活習慣を身につけるために決められた日課があるスクールも、子どもの自主性に任せるスクールも
- 通信制高校やサポート校が、小中等部として開設しているスクール
-
- 高校生が使う教室や施設が利用できたり、高校生を教えている先生が対応してくれたりするので、進学後の高校生活をイメージしやすい
- 時間割のあるスクール、好きなときに学びたいことを学べるスクールなどさまざま
- 「オルタナティブスクール」と呼ばれるスクール
-
- 子どもの自主性を伸ばす、新しい独自の教育方針を持つスクール
- 不登校かどうかなどは関係なく、新しい教育方針のもとで学びたい子どもと保護者に選ばれている
このように、スクールによって特徴は大きく異なります。子どもにとって本当に必要な支援を受けられる、相性の良いスクールを選びましょう。
社会で自立するための総合力を身につける「N中等部」とは?
最後に、新しい学びの場所として提供されている「N中等部」についてご紹介します。N中等部では、キャンパスライフを楽しみながら友人と学べる「通学コース」と、インターネット環境があれば日本全国どこからでも学習できる「ネットコース」の2つからなる、プログレッシブスクールと位置づけられています。
N中等部では、社会で求められる「総合力」を身につけるため、「教養(自分の考えを持つ)」「思考力(知識を使って考える)」「実践力(考えを行動に移す)」の3つを学びます。総合力とは新しいモノを生み出す力だけでなく、自由な発想で考え、主体性を持って問題に取り組む力のことです。
インターネットが普及することで、情報は誰でも簡単に手に入れられるようになりましたが、情報そのものだけでは価値が生まれません。その情報をもとに自分で考え、主体的に動ける人が価値を生み出せるのです。そんな総合力を身につけるため、N中等部には以下のような4つの特徴があります。
- やりたいことへ向かう、実践型の学習
-
- 生徒が自ら興味のある分野を探究し、気になったテーマの課題を見つけ、解決方法を考える実践型PBL
- ものごとを多角的に考える習慣を養い、好きなことをやりたいことに変える基盤を作る
- 主体的に考え、行動するためのコーチング
-
- 一方的に指導するだけでなく、生徒自身が担任や他の生徒との双方向コミュニケーションを通じて自分自身を知り、自発的に目標を定めるコーチング
- 自ら主体的に行動することで、自分の中でイノベーションを起こす
- 自分のペースで学べる、個別学習
-
- 一流のプロフェッショナル講師による映像授業で、自分のペースで学べる
- 大学進学を希望する生徒に向けた学習もできるので、時間を有効に使って志望大学への合格を目指せる
- 総合力を育む、多様な学び
-
- 社会で総合力を持って活躍する人材を育成するため、多種多様な幅広いカリキュラムを用意
- 自己認識や対人関係など、生きる力を学ぶ21世紀型スキル学習から、プログラミング、クリエイティブコンテンツ、イベント学習など
また、進学先としてN高等学校・S高等学校と共通した理念に基づく教育を展開しています。同じように「社会で求められる総合力を身につける」という方針を掲げ、固定観念を捨てて自分と世界を観察し、自己認識を深く掘り下げていきます。その中で、自分のあり方や社会との繋がりを見出していくのです。
ただし、N中等部は学校教育法第一条に定められた学校ではありませんので、やはり中学校に在籍したまま通学することになります。N中等部への登校や学びが中学校で出席として扱われるかどうかは、ぜひ在籍中の中学校と相談してください。
おわりに:不登校でも社会に出られれば良い。学校に行くことにこだわりすぎないで
令和の不登校は非行などの問題行動は少なく、学校に起因する何らかの不安や、子ども自身の無気力など、精神面での問題が圧倒的に多いです。我が子だけが学校に通えないとつい不安になってしまう保護者は多いのですが、2019年に国の指針も変わったように、無理に学校に通うことよりも社会的に自立できれば構いません。登校にこだわりすぎず、通信制高校やフリースクール、オンライン学習などの利用も検討してみましょう。
コメント