【前編】幼児期に自立心を伸ばす方法は?子どもの発達の段階とは

幼児の自立心を育てる人間関係の悩み
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生まれたばかりの乳幼児は、身の周りのことを自分でできません。身近な大人がお世話をすることになりますが、いつまでも手助けしていては甘やかしになる恐れも。

子どもに生活の基礎を教えるときは、子ども自身の自立心を伸ばすような関わりが必要です。今回は、子どもの自立心に焦点を当て、大人がどのように見守り、どんな言葉かけをしていくのが良いかご紹介します。

この記事でわかること
  • 食事・着脱衣・清潔・排泄・睡眠の生活習慣が身につく年齢
  • 食べ物の好き嫌いなど年齢ごとの食事の傾向
  • 年齢ごとの着替えでできるようになること
  • 歯磨きや入浴を自分でできるようになるまでのステップ
  • 赤ちゃんや子どもに長い睡眠時間が必要な理由

幼児の自立心とは?どんな意味や行動を指すの?

厚生労働省の「保育所保育指針解説」によれば、自立心という言葉は以下のように定義されています。

身近な環境に主体的に関わりさまざまな活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信を持って行動するようになる。

つまり、子どもにとって自立心とは「生活や遊びの中で、自信を持って主体的に行動する力」だと言えます。例えば、「色々な遊びから自分がやりたいことを自分で選んで遊ぶ」「少し難しいと思うことに挑戦して、できた満足感を味わう」「考えたり工夫したりしながら、諦めずやり遂げる」といった体験を積み重ねながら、子どもは達成感や自信を得て自立心を育てていくのです。

実際に子ども(乳幼児)の自立した行動が現れる事柄として、基本的な生活習慣の自立が挙げられます。そもそも「生活習慣」とは、毎日の生活をする中で日常的に繰り返される、習慣化された生活の基本行動であり、生活に必要な物事あるいは自分の身体のコントロールが特別な努力なくできるようになる、というのが「生活習慣の自立」です。

  1. 食事
  2. 着脱衣
  3. 清潔
  4. 排泄
  5. 睡眠

上記の5項目が基本とされています。これら生活習慣の形成は身体の健康を維持し、順調な発達を促すために必要な行動です。幼稚園・保育所・施設などでは誕生月や年齢、個人差などに即して指導を行っていますが、家庭でも適切なタイミングで自らやろうとする環境作りや保護者の見守り、付き合う努力などが大切です。

食事や衣服の着脱、トイレは何歳からできる?幼児の発育の目安

では、前述の基本的な生活習慣について、何歳ごろから自立できるのでしょうか。発育の目安をそれぞれの生活習慣ごとに見ていきましょう。

幼児の発育の目安①:食事

子どもにとっての食事栄養を摂取すると同時に他者と交流する時間であり、子どもの成長・発達において非常に重要な位置を占めます。例えば、乳児は授乳のときに母親など大人との触れ合いを通じ、優しい声や表情を感じることで安心感や信頼関係を築いていきます。こうした原初の人間関係がその後の子どもの情緒的な安定や知的・社会的発達を促すのです。

大脳生理学的には、「食べる」という行為は大脳辺縁系に属する人間の本能(食欲のほか、性欲・睡眠欲など)に基づいて行われます。誕生直後の新生児でさえも、母親の乳を求めて吸うという反射行動がプログラムされていますし、その後も一度食べたり飲んだりして「美味しかった」という体験があると、そのものに近づいて食べようとします。

年齢に応じた食事習慣の発達は、だいたい以下が目安です。

5・6ヶ月〜1歳ごろ
  • 離乳食が始まり、徐々にコップで飲み物を飲めるようになったり、スプーンを持たせると持つようになったりする
1歳ごろ
  • 離乳が完了し、幼児食になる。基本的に手づかみだが、スプーンで少しすくえることも
  • 食事中に食べ歩くことが多い
1〜2歳ごろ
  • 茶碗などの食器を片手で掴めるようになり、スプーンやストローを使えるようになる
2〜3歳ごろ
  • コップやスプーンを上手に使えるようになり、食べ物の好き嫌いが出てくる
  • 簡単な食事の手伝いに関心を持つようになる
3〜5歳ごろ
  • 箸を使えるようになり、噛む力が早くなる。食べ方が早く集中するように
  • 食事の用意を自分でしたがるようになる
5〜7歳ごろ
  • 友人や家族とお喋りしながらも、食事を中断せず食べられる。ただし、マナーは不完全なことも多い
  • 食事前後の挨拶や、食前の手洗い・食後のうがいができる

子どもは、9〜18ヶ月ごろから周囲の人の要求に応える能力を身につけはじめ、大人の指示によって行動をコントロールしたり、我慢したりすることもできるようになっていきます。2〜4歳になると自己表現や習得に関する強い欲求が見られますので、食事に関しても周囲の人の模倣という手段で身につけることが増えていきます。

そのため、これらの時期は大人が家庭生活や社会のルールで許される範囲、条件をもって子どもの行動を方向づけたり、教えたり、制限したりして食事のマナーや習慣の基本的な部分を獲得させなくてはなりません。特に、大人とのきめ細かく温かな情緒的な交流をもとに教育を行うことは、子どもの自立の大きな助けにつながるでしょう。

幼児の発育の目安②:着脱衣

食事に続いて、衣服を着たり脱いだりすることを一人で行うのは基本的な生活習慣の形成の一つです。個人差はありますが、だいたい4歳ごろまでに一人で衣服を着られるようになり、体育やプールの授業が始まる小学校入学までには、一人で脱ぎ着してその後の整理整頓までできることが望ましいと考えられます。

年齢に応じた着脱衣習慣の発達は、だいたい以下が目安です。

〜1歳ごろ
  • 昼夜の区別ができるようになり、日常着とパジャマの着替えはやってもらう
1歳ごろ
  • 靴下を自分で脱ごうとしたり、両手をあげて服を脱がせやすくしたりする
〜1歳6ヶ月ごろ
  • ファスナーを上げたり、下げたりできるようになる
  • 指なしの手袋、帽子、靴下を脱ぐことができるようになる
2歳ごろ
  • スナップがとめられるようになり、手伝ってもらえれば服を着られるようになる
2歳6ヶ月ごろ
  • 脱ぎ着を一人でしたがるようになり、紐のない靴は一人で履けるようになる
3歳ごろ
  • ボタンを外せるようになり、着ているものが脱げるようになる
  • 着るときに、前と後ろの区別はつかないことが多い
4歳ごろ
  • 着るものを順番に並べておくと、一人でも服を着ることができる
  • 前についているボタンは、一人で止められる

1歳児ごろは、衣服の型にもよりますが袖に腕を通したり、首周りに頭を通したり、ボタンをはめたりといった行動は難しいため、子ども自身が苛立ちを示すことも多いでしょう。こうした苛立ちは大人がしっかり受け止め、できるようになったことを認めたり、練習を手伝ったりすることでだんだんとできるようになっていきます。

服を着ることは単なる寒暖調整や身体保護だけでなく、自己表現にもつながっていきます。身だしなみを整えたり、その場面に相応しい服を選んだりすることに加え、清潔観念にも関わってきます。後述する清潔の習慣は本能的に身についているものではありませんので、清潔な衣類や下着を身につけさせることは、子どもの清潔に関する意識を育てる第一歩なのです。

幼児の発育の目安③:清潔

身体を清潔に保つことは、自分自身の身体の保護や健康増進のためにも、他人に不快感を与えないためにも必要なことです。つまり、清潔とは単に病気にかからないため、身の回りの衛生を保つためというだけでなく、他人と暮らしていくためにも、社会生活を送るためにも大切な習慣なのです。

清潔習慣は、だいたい年齢に応じて以下を目安に行っていきましょう。

〜1歳
  • お手拭きで顔・手・指の間を拭いてもらう。コップからこぼさず飲めるようになってくる
1歳ごろ
  • うがいをしようとブクブクさせる、手伝ってもらいながら水で手を洗える
1歳6ヶ月ごろ
  • 自分の口のまわりが汚れていると、拭こうとする
2歳ごろ
  • 自分がこぼしたり汚したりすると、それを拭こうとする
  • 歯磨きや洗顔などを一人でやりたがるようになる
2歳6ヶ月ごろ
  • 飲み込まず、ブクブクとうがいをした後でうがい液を吐き出せる
  • 一人で手を洗い始め、両手を合わせて水を切れるようになってくる
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3歳〜3歳6ヶ月ごろ
  • 歯を磨く習慣が、やや不完全なこともあるが身についてくる
  • 口をすすいだり、うがいしたりを一人でできるようになる
  • 頭を洗っても、泣かないようになる
4歳ごろ
  • ガラガラといううがい、しっかりした歯磨きができるようになる
  • 鼻をかんだり、手や顔を洗って拭いたりできる
5歳ごろ
  • 入浴後、身体をタオルで拭くことができる
  • うがいを一人でしたり、使ったハンカチの後始末をしたりできる
6歳ごろ
  • 手ぬぐいや雑巾をしぼれるようになる
  • 食事やおやつの前、トイレの後に手を洗う習慣がつく
7歳ごろ
  • ベッドに入る前に、自分からトイレに行き、歯を磨く習慣がつく

こうしたごく基本的な清潔習慣を身につけるためには、保護者をはじめとした周囲の大人が手をかけて教えたり、最初は子どもが気づくまで声をかけたりする援助が重要です。また、一人で清潔が保てないときは、汚れたことを保護者や周囲の大人に知らせる習慣も必要です。自分でできるまで大人が子どもの前でやってみせ、やり方を教え、実際に子どもにやらせてみて、できたら褒める、という地道な成功体験の繰り返しをしていきましょう。

清潔にする習慣はなかなか口で教えたり、やり方をレクチャーしたりするだけでは身につきません。子ども本人が清潔にして「実際に気持ちよかった」という経験を積むことが重要です。例えば、歯磨きしたり鼻をかんだり、汚れたり濡れたりした手や指を拭いたり、入浴後にバスタオルで身体を拭いたりすることも大人が手伝いながらやっていかなくては身につきません。

外出から帰ったときには、「目に見えなくてもバイ菌がついている」という話をしたり、実際に汚れた手を見せたりして手洗いをする習慣をつけましょう。また、習慣づけのためには主だった大人だけでなく、同じ家に暮らす家族全員に手洗いの習慣があることも環境的に大切です。病原体となるウイルスや細菌は手から口へ感染するため、うがいも行いましょう。

幼児の発育の目安④:排泄

排泄の自立は、乳幼児の子どもの成長や自立を大人が最も強く感じる出来事かもしれません。オムツが取れ、自分でトイレに行き、一人で処理もできるようになるという過程は感慨深いものですが、その成長速度には個人差があります。多少の時期のズレは気にせず、子どもの学習を焦らず見守っていきましょう

排泄の習慣は、だいたい以下のように発達していきます。

〜6ヶ月ごろ
  • 授乳保などに排尿があり、オムツが濡れて気持ち悪くなると泣いて知らせる
〜1歳
  • 排尿の間隔があいてきて、オムツが濡れると表情が変わったりする
1〜2歳ごろ
  • 排泄の前、または排泄中に知らせることができるようになる
  • 自分の排泄物に興味を示すようになる
3〜4歳ごろ
  • 日中起きているときの排泄の失敗が徐々に減ってくる
  • 自分からトイレに行けて、排泄後はトイレットペーパーを使えるようになる
5〜7歳
  • 多くの場合、排泄が完全に自立する
  • ときどき、夜尿がある場合もあるが、心配するほどではない

乳児は授乳中・後や泣いたときに反射的な排尿をするため、日に15〜20回も排尿があります。このとき、乳児に声をかけるとともにオムツを取り替えることでだんだんと快・不快の皮膚感覚が育っていきます。

1歳近くになると膀胱の容積が増えるとともに排尿の感覚もできていくため、排尿・排便が起こるときに表情でサインを出せるようになります。しかし、排泄を子ども自身がコントロールするには筋肉が十分に発達していなくてはならず、排泄に関わる「括約筋」は1〜2歳にならないと成熟しません。

トイレをコントロールできるのは何歳くらいから?

排尿や排便を自らコントロールできるようになり、尿意や便意を感じたらそれに従って適切な場所で排泄できるようになるのは、だいたい2歳前後とされています。大人が早く自立させたい、してほしいと思うのは当然のことですが、早く自立させたいあまり子どもを過剰に叱りつけてしまうと排泄行為が不安定になることもあるので、注意が必要です。

排泄習慣の自立ができると、子どもと保護者の間にひとつの大きな信頼関係が育ち、その後の人間関係の確立についても影響を及ぼすと考えられています。日常生活はもちろん、社会生活を営むためにも、人間性を育むためにも、排泄習慣の自立のプロセスは大切なことなのです。

幼児の発育の目安⑤:睡眠

睡眠は脳の活動を一時的に低下させ、心身の疲労回復をはかる重要な習慣です。大脳自身の代謝にとっても重要であり、人間の成長・発達の基礎となるのが睡眠とも言えますが、その形態や量は年齢によっても、個人差も大きいです。昼間は覚醒していて夜眠る、1日1回の睡眠タイプを「単層睡眠」、昼寝など1日に頻回眠るタイプを「多層睡眠」と言います。

一般的に乳児期には「多層睡眠」であり、1日に10時間以上の睡眠を小分けにしてとっています。しかし、成長とともにだんだんと覚醒している時間も、眠り続けていられる時間も長くなり、昼間は起きて夜に眠る「単層睡眠」へと移行していきます。この変化は、脳を中心に身体全体が成長していることを示す重要な目安とも考えられます。

年齢に応じた睡眠習慣の自立として、以下のような目安があります。

〜6ヶ月ごろ
  • 睡眠と覚醒を1日に何回も繰り返しながら、やがてぐっすり眠る
  • 昼夜の区別が少しずつはっきりしてきて、寝返りがうてるようになってくる
〜1歳ごろ
  • 自我が芽生え、興奮するとなかなか寝つけなくなるなど寝つきの悪い子も出てくる
1〜2歳ごろ
  • 昼寝は午後1回くらいで済むようになる
  • ときどき昼寝を嫌がったり、寝つきが悪かったりすることもある
3〜4歳ごろ
  • 夜尿の心配が減り、夜のオムツを外せるようになってくる
  • おやすみ、おはようの挨拶ができるようになる
5〜7歳ごろ
  • 小学校低学年ぐらいまでには、一人で眠れるようになる子どもが多い
  • 睡眠のリズムはほぼ成人同様に整い、基本的に昼寝を必要としなくなる

幼児期の重要な習慣に「昼寝」があります。乳児期には1日に18時間もの睡眠時間を多層睡眠でとっていますが、徐々に覚醒の時間が増え、まとまった睡眠がとれるようになっていきます。1歳ごろになると、午前と午後に1回ずつの昼寝で十分になり、さらには午後に1回の昼寝でも覚醒していられるようになってきます。

睡眠には心身の疲労回復の役割がありますので、逆に眠りが足りないと機嫌が悪くなり、ぐずってしまうことが多々あります。このとき昼寝をさせると1日の生活にメリハリがつきますが、逆に機嫌良く遊んでいるときにまで「昼寝の時間だから」と睡眠を強制するのは望ましくありません。

昼寝や夜の睡眠をしっかりとるためには、目覚めているときに心身が十分に満足できるような活動的な遊びをするのが良いでしょう。乳幼児の場合は特にスキンシップや声かけ、外遊び、散歩などで心身を眠りに向けてリラックスさせていくことが重要です。眠る前に静かな音楽をかけたり、ゆっくりしたリズムでおとぎ話を聞かせたりすると一人で眠れるようになります。

また、一緒に暮らす家族が夜型の生活をしている場合、子どもの朝の起床が遅くなり、生活リズムが崩れてきます。すると、朝ご飯を抜いて登園・登校することになり、子どもの心身の健康に悪影響を及ぼしますので注意しましょう。

【後編】はこちら

【後編】幼児期に自立心を伸ばす方法は?過干渉がNGとされるのはなぜ?
子どもの自立心は、乳幼児期には食事・着脱衣・清潔・排泄・睡眠の生活習慣の自立を通して育まれます。そんなとき、親など周囲の大人がどのように子どもと接するかも重要です。 この記事では、子どもの自立心を育むためのポイントや避けたい行動を紹介します。親が陥りがちな過干渉を予防するための方法も一緒に理解しましょう。

おわりに:幼児の生活習慣の自立は5つの基本が大切!

幼児にとって重要な学びの一つとして、生活習慣の自立があります。大人から生活習慣を学び、できるだけ小学校就学までの間に「食事・着脱衣・清潔・排泄・睡眠」の5つを身につけておかなくてはなりません。発達の段階は一人ひとりに違いがありますので、ゆっくり成長を見守りましょう。

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