社会人がリカレント教育で学び直しをするメリットとは?企業の取組事例やサービスを紹介

社会人のリカレント教育キャリアアップ・求職
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人生100年と言われる時代、長い時間を有意義に生きていくためには常に学び、変化していかなければなりません。社会の変化も激しく、常に自分をアップデートすることは強みにもなります。

今回は大人になってからの学び方のひとつ「リカレント教育」とは何か、受けるための方法や企業による取り組みの実例に至るまで、わかりやすく説明していきます。

この記事でわかること
  • 離職中の人もリカレント教育の対象となる?
  • リカレント教育が少子高齢化社会で重視される理由
  • 明治大・筑波大・日本女子大・大阪府立大の事例
  • オンラインの学び直しにおすすめのリカレント教育サービス
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リカレント教育が注目されるのはなぜ?個人にも企業にもメリットがある

生涯にわたって、就業と学習の期間を繰り返し設けていく教育制度、またその理念のことをリカレント教育と呼びます。「リカレント(recurrent)」に「反復」「回帰」「循環」という意味があることから、日本語では「回帰教育」や「循環教育」とも表現されます。

なお、欧米などで行われる本来のリカレント教育とは、フルタイムで働いていた人が一旦離職し、現職または転職に必要な知識・技術を学校で学びなおすことです。このため、終身雇用が一般的であった日本社会では、あまり受け入れられてきませんでした。

そこで日本はリカレント教育の定義をより幅広くとらえ、文部科学省では以下3つの動機・場所で社会人が学ぶこともリカレント教育に含める、と定義しています。

文部科学省によるリカレント教育の定義
  • 働きながら学ぶ場合
  • 心の豊かさや生きがいのために学ぶ場合
  • 学校以外の場で学ぶ場合

そして、リカレント教育の対象となるのは社会人として働いた経験のあるすべての人です。年齢や性別、職歴、学歴は関係なく、現在離職中の人も対象に含まれます。どんな年齢や社会的立場の人でも、周囲の協力を得られさえすればリカレント教育の対象となり得るのです。

近年、学び直しの機会を得られるリカレント教育が日本で注目され、必要とされている背景には以下のような社会的事情があります。

企業が従業員に対し、新たなスキル獲得を推奨するようになってきたから

ここ10年ほどのIT分野の技術進歩は凄まじく、企業各社は時代に合わせた対応を迫られています。しかし、先進的なIT技術に精通した人材は、そう多くは存在しません。そこで従業員にリカレント教育の機会を与え、時代に合わせた技術革新や自社の変革に貢献してもらおう、という企業が増えているのです。

従業員側も、学びなおしの重要性を痛感しやすくなってきたから

終身雇用、年功序列による昇給が保障された日本特有の雇用システムは、2021年現在では過去の遺物になりつつあります。自身のスキルや、人柄がより高く評価される企業への転職を経験する人も増えてきました。しかしより良い条件の企業、やりたい仕事への転職を成功させるには、転職市場で評価されるだけの知識やスキルを身に付けておく必要がありますよね。

一人ひとりの労働者が自身のキャリアを真剣に考え、学ぶべき内容や時間について考える機会が増えたことも、リカレント教育が推進される理由のひとつでしょう。

労働人口が減り、定年後も就業する可能性が高くなってきたから

「人生100年時代」は、ここ何年かで聞かれるようになった新しい言葉です。そんな言葉が作られるくらい日本人の平均寿命は長くなっていますし、その分、一般的な定年を迎える60歳を超えてから生きていくべき時間も、長くなっているのです。

また少子高齢化の影響を受ける日本では、常に働き手の不足が叫ばれています。生きていくにはお金がかかり、働き手も求められています。このため結婚や妊娠、出産、育児、介護、定年などの理由で退職した人たちにも、再び就業する必要性に迫られるケースが増えてくると考えられるでしょう。

そして、満足のいく待遇で活躍するには、復職の前にリカレント教育を行い相応の知識と技術を身に付ける必要がでてきます。リカレント教育は、少子高齢化という社会問題を抱える日本において、企業にも労働者にも必要であり、実践していくべき考え方なのです。

リカレント教育と生涯学習に違いはある?

リカレント教育と似た意味合いの言葉として「生涯学習」が挙げられるでしょう。日本では他国よりもリカレント教育が幅広く定義されているため、生涯学習と重複する部分もありますが、両者は特に学習の目的で区別できます。

リカレント教育と生涯学習の違い

リカレント教育と生涯学習の違いは、主に次のような項目です。

リカレント教育
現在または未来の仕事に活かすことを目的とし、主に仕事に活かせる学習内容
生涯学習
より有意義で、豊かな人生を送るために知識・技術を増やすことを目的とし、仕事に限らず、趣味、スポーツなど多岐にわたる学習内容

前項で述べたように、日本のリカレント教育の定義には「心の豊かさや生きがいのために学ぶ場合」も含まれています。生涯学習との違いとしては「仕事に活かせる知識・スキルを手に入れることを主たる目的とし、学習機会を作る場合がリカレント教育にあたる」と、理解しておきましょう。

大学や大学院などリカレント教育を受ける方法

日本においてリカレント教育を受ける方法としては、何らかのかたちで大学・大学院で学ぶ機会を得るか、地域リカレント教育推進事業を利用する方法が考えられます。

大学・大学院で学ぶ場合

  • 2019年現在、およそ3,000の大学が実施する「社会人特別選抜制度」を活用し、大学や大学院へ入学する
  • 最終学歴が短期大学、高等専門学校卒業以上であれば、4年制大学へ編入学する
  • 時間のない社会人でも学びやすい「科目等履修生」として大学に入学し、特定の分野について学び、単位などを取得する
  • 働き方に合わせ、無理なく通える夜間部または昼間部の大学に入学する
  • 地域住民等を対象に大学が行う公開講座のうち、自分の興味のある内容の会へ足を運ぶ
  • 最終学歴が中学校、高校卒業の場合はまず「大学入学資格検定制度」、いわゆる大検の取得をめざし、その後に将来的な大学入学をめざす

教育推進事業を活用する場合

「リカレント教育推進事業」とは、文部科学省が高等教育機関、地方公共団体、産業界等の関係者で構成する地域リカレント教育推進協議会を通して行っている事業のことです。社会人に対し産業構造就業構造の変化、技術革新に対応するための組織的な学習機会を提供することを目的として、以下のような活動をしています。

  • 社会人、職業人の学習ニーズなどの情報収集と提供
  • 学習プログラムの研究と開発
  • 学習コースの解説

お住まいの地域のリカレント教育推進協議会主催の講座等に申し込めば、一般的な方法で大学に通うよりも低予算・短期間で学習の機会を得られます。また上記以外にも、英語検定や簿記など仕事に役立つ資格取得のために講座等に通い、勉強することも立派なリカレント教育です。

このように自身の能力開発、キャリアアップに自主的に取り組んだ場合、講座受講料の20~70%が補助される「教育訓練給付金」制度もありますので、積極的に活用してくださいね。

なお、日本の各大学で行われたリカレント教育の実例としては、以下が挙げられます。参考のうえ、お住まいの地域でリカレント教育を行う大学がないか調べてみましょう。

明治大学の場合
  • 国内4カ所において、生涯学習拠点として「リバティアカデミー」を設置
  • 大学の知的財産を社会に還元することを目的としており、誰でも受講できる
  • また、企業や団体から依頼を受けて行われる研修や、寄付を受けて行う寄付講座もある
  • 寄付講座では、寄付してくれた企業や団体にちなんだプログラムを受けることができ、産業界と地域社会の交流の場にもなっている
筑波大学の場合
  • 日本国内ではじめて、夜間大学院を創設したことで知られる
  • 社内業務での研究実績をベースに、最短1年間で博士号を取得出来る「博士課程早期終了プログラム」がある
  • 所属する企業の課題を研究テーマとし、夜間と土日に通学して修士、博士の学位取得をめざす「社会人大学」がある
  • 新たなテーマではなく、現職に即した内容で研究を進められるのが大きな特徴
日本女子大学の場合
  • 進路変更や結婚、育児で離職した女性のため1年間のリカレントプログラムを提供
  • 授業内容は再就職、ビジネスに特化したもので「再教育課程」と「再就職過程」の2種類
  • 具体的には英語、ITリテラシーなどを必修科目とし、さらに企業会計などを選択科目として、手厚い再就職支援も行っている
大阪府立大学の場合
  • 大学院の経済学研究科、大阪市内のサテライト教室にて社会人向けカリキュラムを実施
  • 目的は実践的な学び、論理的な研究を通じて専門的ビジネスパーソンを育成すること
  • 企業活動や組織活動を研究対象と市、経営学と邦楽を総合的かつ学際的に学べる内容
  • 授業は平日の夜間、土曜日に実施され、およそ2年間かけて修士の学位獲得をめざす
  • 授業のある曜日以外にも、日曜や祝日に同サテライト教室で自習することも可能

企業のリカレント教育につながる制度事例

続いて、日本企業でのリカレント教育への取り組み実例を見ていきましょう。

ヤフー株式会社の場合
  • 「勉学休職制度」があり、最長で2年もの間勉強のための求職が可能
  • 休職の対象となる学習内容は、専門知識や語学習得の機会を確保する場合
  • この制度を利用し、大学院へ入学したケースも
サイボウズ株式会社
  • 「育自分休暇制度」を導入し、最大6年間は同社へ復職できるという前提で退職し、学びなおしの時間を作れる仕組みを作っている
株式会社ミクシィ
  • スキルアップ支援プログラムの一環として、特別優待制度を設置
  • 業務成果に関わる分野の外部講師の講義、研修を特別優待で利用できる
  • 具体的には、従業員が英語やプログラミング学習などの機会を得るきっかけとなっている
ワークスアプリケーションズ
  • 「カムバック・パス制度」を導入
  • 理由にかかわらず1度のみ、同社を退職した従業員の復職を受け入れている
  • 復職が保証されることで、安心してリカレント教育に励めるようになる
キャノン株式会社
  • 幅広くeラーニング講座を用意し、従業員に学びの機会を提供
  • 終業後に学ぶ時間を十分に取れるよう、就業時間をおよそ30分前倒しにしてワークライフバランスを向上させる取り組みも行っている
Zホールディングス株式会社
  • 勤続10年以上の従業員に対し、自身のキャリアを見つめなおすための2~3か月間の休暇を付与している
  • 勤続3年以上の正社員に対し最長で2年間、勉強のために休暇を取れる「勉学休職制度」を提供している

IT企業を中心に、日本国内でも一部企業においてリカレント教育を推進するための制度が実施されていることがわかりますね。

MOOCsなどリカレント教育サービス

リカレント教育に興味があるけど、大学に通って学びなおすお金も時間も取れないという人には、「リカレント教育サービス」の利用がおすすめです。リカレント教育サービスとは、主にオンラインで学びの機会を提供するサービスのことをいいます。

例えば、以下のようなリカレント教育サービスが簡単に利用可能です。

JMOOCs
  • 大学の第一線で活躍する講師陣による、オンライン講座を無料で受講できるサービス
  • 東京大学、早稲田大学など国内の有名大学の他、イエール大学など海外大学の講座もある
  • 要件を満たせば、終了証の交付を受けたり大学の学位取得もできる仕組みが魅力
Schoo
  • 参加型の生放送授業、動画教材で仕事に役立つ知識やスキルを得られるサービス
  • 授業は働き方、お金、健康の3分野を軸にした内容で、録画授業の視聴も可能
  • 生放送授業の視聴は原則無料で、月額料金を支払えば受講可能な授業が増える仕組み
gacoo
  • 誰でも無料で、大学講師などによるハイレベルな講義を受けることのできるサービス
  • 動画ひとつあたりの視聴時間は10分程度なので、忙しい社会人も継続的に学びやすい
  • 対面授業と組み合わせたもの、レポートを提出することで電子修了証を発行してもらえる講座もある
グロービス学び放題
  • 定額を支払うことで、300コース2,700本もの動画を視聴し学べるサービス
  • ビジネスパーソンに必要な思考力、想像力を身に付けるための各種コースがある
  • ひとつあたりの動画の視聴時間は3分程度なので見やすく、勉強会への参加特典も付いてくるので、楽しく学習を続けられる
仕事旅行
  • 社会人に向けた、職業体験の機会を提供するサービス
  • 仕事旅行、おためし転職のサービスを利用すれば、興味のある仕事を実際に体験したうえで転職するかどうかを決めたり、今後のキャリア形成に役立てられる
  • 料金は利用するサービス内容により異なるが、職業体験以外にさまざまな人の仕事観、働き方をインタビューした読み物も参考にできる

なお日本だけでなく、海外でも活躍できる人材をめざしてリカレント教育を受けたいなら、「Coursera(コ―セラ)」がおすすめです。スタンフォード大学やトロント大学、インテルやグーグルと言った世界中の有名大学・企業とパートナー契約を結ぶCourseraでは、世界で通用する知識の習得が可能。

留学へ行かずとも、オンラインで海外大学の学位を取得することも可能なので、グローバル人材になるためのリカレント教育の機会を求めているなら、ぜひ利用しましょう。

おわりに:社会人にも企業にも、リカレント教育にはメリットがいっぱい!

リカレント教育とは、一度就業した人が再び学びの機会を得ることです。この言葉ができた海外では、社会人が仕事を辞めて再び学生となり、将来の仕事に役立つ知識やスキルを獲得することを意味します。そして日本では一度以上就業した人が、仕事に役立てることを目的に学びなおすこと、と定義するのが一般的です。変化の早い現代において、リカレント教育の機会は労働者と企業、そして社会全体にメリットをもたらしてくれるでしょう。

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