災害が起きた後など「自分もボランティアに参加したい!」と思う人もいますよね。ただしボランティアは準備も必要。誰かのためになるには、スキルや知識が求められることも。この記事では災害ボランティアだけでなく、社会人が気軽にボランティアに参加する方法をご紹介します。
- この記事でわかること
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- ボランティアで団体や保険に加入すべき必要性
- ボランティアが目指す社会貢献の種類
- シニア世代の経験や人間性を活かせるボランティア
- 自分に合ったボランティアの探し方
働く社会人がボランティアに参加するメリット
働く社会人がボランティアに参加する最も大きなメリット・魅力は、世代を超えたさまざまな交流があることです。高校生や大学生、専業主婦、定年後のシニア世代などは、働いているとあまり日常的に交流がないものですが、ボランティアの場には立場も年齢もさまざまな人が参加しています。スキルも経験も関係ありませんので、これまでとは全く違う出会いや発見があるでしょう。
- ボランティアに参加するメリット
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- 年齢や性別を超えた人との交流を楽しめる
- ボランティアを通して新しい発見がある
- スキルや経験を必要としないボランティアは参加しやすい
ボランティアをするときは、自分が興味を持っている分野から選びましょう。興味・関心のある分野で、長く続けられそうだと思うものから選ぶと継続しやすく、達成感や充実感も得られやすいです。どんなものに興味を持てるか、どんな分野があるかわからないという人は、まず市報などで募集されている活動に目を通し、その中から選んで申し込むと良いでしょう。
特に、市報では社会人でも活動しやすい休日イベントなどの簡単なボランティアを募集していることが多いです。さらに、介護や介助などの福祉ボランティアなら特に資格や研修の必要もなく、シフト勤務でも空いている日に参加できます。
地域によっては、社会福祉協議会にボランティアセンターという場所を設け、随時登録を受け付けているところもあります。お住まいの地域にボランティアセンターがあれば、ぜひ登録してみましょう。地域の福祉イベントやボランティア活動に関する広報誌が届いたり、ホームページから簡単なボランティアを探して応募できるようになったりしますので、非常に便利です。
また、ボランティアをするときには、以下の3つのポイントに注意しましょう。
- ルールを守る
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- 一緒にボランティアに参加する人、支援を受ける人などさまざまな人と関わるので、ルールを守りながら協力し合うことが重要
- ボランティアは人を助けるためのもの。自分勝手な行動で迷惑をかけるのは本末転倒
- その場その場で正しく行動するためのルールを守り、周囲と協力してボランティア活動を行う
- 保険に入る
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- 災害支援などのボランティアに携わる場合、事故が起こることも想定される
- 最寄りの市区町村社会福祉協議会で、低額で加入できるボランティア用の保険に入るのがおすすめ
- 団体に所属する
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- ボランティアセンターでは、NPOを通じてボランティアに参加することもできる
- どこかの団体に所属しておけば、自分一人だけではできない活動もできる
- ボランティア活動がスムーズになるほか、不安があれば団体に相談することもできる
福祉や教育、まちづくりなどさまざま!ボランティアの種類
ボランティアの種類は、福祉から教育、まちづくりまで非常に多岐にわたります。ここでは、大まかに4つのジャンルに分けてご紹介します。
保健医療、社会福祉など
保健医療や社会福祉などのボランティアでは、例えば以下のようなものがあります。
- 保健・医療・福祉の増進を図る
- 高齢者・障害者を対象とした活動、健康・医療サービスに関する活動(高齢者への友愛訪問、点訳・朗読・手話・献血活動への呼びかけ)など
- 社会教育の推進を図る
- 社会人のための生涯学習、特定分野の研究会・勉強会など
- 環境保全を図る
- 川・海・山などの清掃、道路・公園などの清掃、生ごみの堆肥化、野生動物の保護など
- 災害救援活動
- 被災地での救援・支援、防災知識の周知や勉強会、災害復旧のための募金活動、復興支援イベントの企画・運営など
- 地域安全活動
- 交通安全パトロール、犯罪防止につながる活動、事故や事件後のメンタルケアなど
まちづくり、観光など
まちづくりや観光など、経済活動に関するボランティアには、以下のようなものがあります。
- まちづくりの推進を図る
- 村おこし・地域おこしの活動、公共交通機関の研究・運営、地域団体のリーダーとしての活動、環境整備活動など
- 観光の振興を図る
- お祭りやイベントの開催、各所案内ガイド養成講座、地元キャラクターの開発・普及など
- 農山漁村または中山間地域の振興を図る
- 里山・森づくりの活動、農林漁業体験、子ども農村体験学習など
- 経済活動の活性化を図る
- 事業主のための経営相談、起業家育成セミナー、地域特産品の開発・販売支援、商店街の活性化など
文化活動など
文化・芸術に関係するボランティアでは、以下のようなものが挙げられます。
- 学術・文化・芸術またはスポーツの振興を図る
- 市民劇団や楽団の支援、スポーツの指導、スポーツ大会の運営、文化財の保存、伝統文化の継承・普及など
- 国際協力
- 難民救援、海外への食料援助、海外との異文化交流、留学生支援、多言語での生活・医療相談、在日外国人のサポートなど
- 情報化社会の発展を図る
- 高齢者のためのパソコン教室、子どもを対象としたインターネット教育など
- 科学技術の振興を図る
- 子どもたちの研究・実験体験、新技術普及活動、IoT勉強会など
人権保護、職業支援など
人権保護や職業支援などに関するボランティアには、例えば以下のようなものがあります。
- 人権の擁護または、平和の推進を図る
- 児童虐待・DVの相談や防止活動、戦争や核兵器の反対活動、差別をなくすための活動など
- 男女共同参画社会の形成促進を図る
- セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントの相談、男女共同参画の理解を広める活動など
- 子どもの健全な育成を図る
- 不登校やひきこもりの相談・支援、子ども食堂や職場体験プログラム、いじめ電話相談、子どもを対象としたレクリエーションの実施など
- 職業能力の開発、または雇用期間拡充を支援する
- 求職者への就労支援、キャリアカウンセリングなど
- 消費者保護を図る
- 悪徳商法などの防止活動、多重債務者の相談・支援、商品の品質や安全の研究など
- 団体の運営または活動に関する連絡・助言・援助
- 各種ボランティア団体や、ボランティアをする個人からの相談受付や支援をする活動
50代以上も活躍!おすすめのボランティアの種類
50代やその上のシニア世代は、ボランティア活動の中でも体力勝負の活動は難しいなど、ある程度行う活動を選ばなくてはなりません。そこで、まずは比較的体力を必要としない以下のようなボランティアがおすすめです。
- 傾聴ボランティア
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- 話を聞いてほしいと思っている高齢者の話をひたすら熱心に聴く、というボランティア活動
- 60代から人気のボランティアで、話をしっかり聴くことで辛さや寂しさを解消する手助けをするもの
- 点字翻訳ボランティア
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- 視覚障害を持つ人のために、活字で書かれた本や雑誌、新聞、広報誌などの内容を点字にするボランティア活動
- 視覚障害者にとって生きるために不可欠な点字というツールを扱うことで、やりがいを感じられる
- 点字シールを貼ったり、テキストを校正したりするほか、対面朗読を行うことも
- 緑のおばさん
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- 小学生の交通整理をしたり、登下校を見守ったりするボランティア活動
- 正式名称は「学童擁護員」で、子どもの安全に貢献できるほか、地域の子どもと触れ合うことで生活に活気も生まれる
- 観光ガイド
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- 観光地に訪れた人に、その場所の魅力や歴史的背景などを紹介するボランティア活動
- 地域の魅力をたくさんの人に知ってもらえるほか、海外の人とコミュニケーションを取れることも
また、環境問題や清掃活動に関心が高い人なら、以下のようなボランティアもおすすめです。
- 皇居勤労奉仕
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- 皇居や赤坂御用地で、草むしりや掃除などの手伝いをするボランティア活動
- 広い敷地なので、個人では申し込めず、15〜60人の団体で応募する必要がある
- 一般開放では立ち入れない場所にも入れるので、皇室ファンの方にもおすすめ
- クリーンキャンペーン
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- 日本のあちこちで定期的に行われ、海・川・公園などの清掃活動をするボランティア
- 一見シンプルで最も想像されやすいボランティアですが、地域に貢献でき、実際にキレイになっていくのが目に見えるため、やりがいを感じやすい
- 清掃活動を通じて、自然の豊かさを感じることもできる
- 環境ボランティア
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- ゴミ拾いや清掃だけでなく、カブトムシ繁殖などの生態系管理まで、自然を守るボランティア活動
- 近年問題視されている、外来種の駆除などを行っている団体もある
- 災害ボランティア
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- 水害や地震、火山の噴火などの災害が発生したとき、被災地での復旧活動や、地域住民の方々のサポートを行うボランティア活動
- 災害により心身ともにダメージを受けた被災者に対し、寄り添うようなサポートが求められる
上記のようなボランティアはやや体力を必要としますので、体調や季節とも相談しながら活動しましょう。他にも、よりアクティブな方や海外での活動を目指す方には、以下のようなボランティアもあります。
- イベントボランティア
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- イベントの運営・サポートなどを行うボランティア
- 国際的なスポーツの祭典に関わるイベントボランティアは、時期的なこともあり注目を集めている
- 大会ボランティア(フィールドキャスト)と、都市ボランティア(シティキャスト)の2種類がある
- フィールドキャスト:選手村や競技会場などの施設で活動。競技の運営、メディアなどのサポート、観客サービスなどを行う
- シティキャスト:空港や主要駅などで、国内外から訪れる旅行者に対し、交通案内や観光案内、競技会場付近の案内などを行う
- 盲導犬関連ボランティア
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- 盲導犬の飼育や、その他の盲導犬に関する活動を行うボランティア
- 盲導犬の飼育については、引退犬や盲導犬になれないと判断された「キャリアチェンジ犬」を引き取り、一緒に生活するもの
- 「繁殖犬」や子犬を約1年間自宅に迎え入れて育てる「パピーウォーカー」というボランティア活動も
- 体力や家庭の理由で盲導犬と暮らすのが難しいが盲導犬に携わりたい、という人には啓発イベントや募金活動などを行う「イベントボランティア」も
- 盲導犬の手入れや散歩などをお手伝いする「ケンネルボランティア」もおすすめ
- 日本語教師ボランティア
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- 外国人の方が日本語を習得するためのサポートを行うボランティア活動
- 海外のスクールで日本語を教える活動、日本語教師の助手を行う活動など
- シニア海外ボランティア
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- 定年まで行ってきた仕事の技術を、発展途上国などで活かすボランティア活動
- 野菜栽培、コンピュータ技術、小学校教育、看護師、経営管理など内容はさまざま
- 長期的なボランティアになるので、資金面での負担が大きくなることに注意
日本語教師ボランティアの場合、必須の資格はありません。ただし、2017年から規定が変わり、国内の日本語学校で教える場合は「大学や大学院で日本語教育専攻を修了する」「日本語教育能力試験に合格する」などの条件を満たさなくてはならなくなりました。日本語教師ボランティアをしたいと思っている方は、この点に注意が必要です。
単発や一日でOKの社会人向けボランティアを探せるサービス
ボランティア初心者の方や、まだどんなボランティアが自分に合うかわからない、といった方には単発や1日からスタートできる社会人向けボランティアがおすすめです。ここでは、2つのボランティア募集サービスをご紹介します。
おすすめボランティア募集サービス①:ボランティアプラットフォーム
「ボランティアプラットフォーム」は、ボランティアを募集したい団体と参加したい人をつなぐマッチングサービスです。地域別・カテゴリ別の検索ができるほか、ワンポイントというこだわり検索もできます。ワンポイントでは、例えば以下のような条件で検索できます。
- 土日のみ参加可能
- 午後6時以降からでもOK
- 自宅でできる活動
- 初心者歓迎
- 外国語と触れ合える
このように、自分のスケジュールややりたいことに合わせて検索すれば、より自分に合ったボランティアを見つけやすいでしょう。新型コロナウイルスの影響で外出するのはためらわれるという人は、自宅でできる活動から検索するのがおすすめです。
おすすめボランティア募集サービス②:activo
「activo」は、国内外のさまざまなボランティアを検索できるポータルサイトです。活動テーマからでも年齢からでも、活動エリアからでも細かく検索できます。こだわり検索ではより詳細な条件を設定でき、「短期間でも可」や「1日限り」などの条件を選べば、単発のボランティアだけを効率的に見つけられます。
雰囲気や特徴では、以下のような条件でも検索できます。
- 土日中心
- 友達が増える
- 成長意欲が高い
- 活動外交流が多い
- 外国人もいる
テーマや条件で細かく絞り込めば、自分に合ったボランティアを探しやすくなります。こちらも新型コロナウイルスなどの影響に配慮がなされており、オンライン開催やフルリモートでの参加OKなボランティアを検索することもできます。
交通費や保険は自己負担?ボランティアへの参加の仕方
ボランティアに参加する前に、まずボランティアについての情報収集をすると良いでしょう。最初にご紹介した通り、地域の社会福祉協議会が運営するボランティアセンターなどの相談窓口を利用するのが最も手軽な方法です。ネットなどで検索し、活動内容や所在地を確認したら、直接窓口に赴いて募集情報を確認したり、相談してみたりしましょう。
また、外国語が得意な人は通訳ボランティアの団体、スポーツが好きな人はスポーツボランティアの団体、など特定の団体に登録しておくと、募集情報が届きやすくなります。ボランティア団体のウェブサイトを検索し、登録条件や方法を確認して問題がなければ、個別に手続きを行いましょう。
災害ボランティアの場合、災害発生時に「災害ボランティアセンター」という組織が開設されますので、ウェブサイトやSNSなどで情報を見つけたら、連絡をとって参加してみましょう。ボランティアセンターを通さず、突然個人で被災地に向かってしまうと、場合によっては迷惑をかけてしまうことも多いので注意が必要です。
ボランティアに参加するとき、当然給与は発生せず無償で活動をすることになりますが、交通費や食費などの経費は活動によってさまざまです。また、災害ボランティアについてはボランティア活動保険への加入が必須となるケースも多く、その場合は保険料を自己負担しなくてはなりません。
- 交通費
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- 基本は自己負担。ただし、場合によっては1日1,000円までなど、上限つきで交通費が支給されることも
- 災害ボランティアに対し上限20万円までの交通費・宿泊費助成を行うと発表した兵庫県など、自治体が公費助成するケースも
- 食費
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- 募集要項に書かれていない限り、基本的にはお弁当や食事などの支給はない
- 自分でお弁当を持参したり、現地で調達したりする必要がある
- 保険(ボランティア活動保険)
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- ボランティア活動中に起こる自分自身のケガの補償、対人・対物の賠償責任の補償などをカバーしてくれる
- 年間350円程度から保険料が必要。災害ボランティアなど、参加にあたって保険加入が必須のボランティアも
基本的には、活動にかかる経費以外のお金を受け取ると本来の意味でのボランティアとは呼べません。謝礼が出るものなどは有償ボランティアなどと慣例的に呼ばれることもありますが、定義は曖昧です。もし、ボランティア活動で謝礼が出る場合、上記のような経費を実費で支払う代わりに支払ってもらっている、と考えるのが良いでしょう。
ボランティア活動保険とは?どうやって加入すればいいの?
ボランティア活動時の偶然の事故で自身がケガをしたときや、相手にケガをさせてしまい損害賠償責任を負ったとき、それを補償してくれる保険です。補償されるのは「自発的な意思により、他人や社会に貢献する無償のボランティア活動」や、「社会福祉協議会に届け出た活動、もしくは委託された活動」など、と規定されています。
災害ボランティアは保険加入必須なことが多いですが、その場合、基本タイプの補償範囲に加えて地震・噴火・津波によるケガも補償してくれる「天災タイプ」に加入するのが一般的です。実際に、多い事故である「転倒」でケガをした場合、補償金として通院保険金が日額4,000円〜、手術保険金が32,500円〜を受け取れます。その他、死亡保険金・入院保険金などの補償もあります。
- ボランティア活動保険に加入したい場合
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- 最寄りの社会福祉協議会の窓口で「加入申込書」と「保険料払込用紙」をもらう
- 必要事項を記入する
- 金融機関で保険料を振り込む
- 記入済みの「加入申込書」と「保険料の支払証明書」を社会福祉協議会の窓口に提出する
- 手続き完了
災害ボランティアに参加するため加入する場合、必ず現地に行く前に住んでいる地域で申し込みを済ませておきましょう。現地で加入できる場合もありますが、災害を受けた地域では申し込みを受け付けられない、余裕がなくて迷惑をかけてしまうという場合も少なくありません。
加入時の手続きは委任を受けた代理人でも構いませんし、団体で申し込みする場合、加入者の名簿を作成して持参すれば代表者がまとめて手続きできます。必ず、ボランティアの現地に向かう前に加入の手続きを済ませておきましょう。
おわりに:社会人のボランティア活動には、センター登録やサイトを活用しよう
社会人が効率よくボランティアを探して活動するためには、地域のボランティアセンターに登録したり、単発や1日でもOKのボランティア募集サイトを活用したりするのがおすすめです。
また、50代からのシニア世代はできるボランティア活動が限られる傾向にありますので、ぜひサイトやセンターを活用して上手に探しましょう。災害ボランティアなどの場合はボランティア保険加入が必須条件であることもありますので、注意が必要です。
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