EQ(こころの知能指数)は、感情・情動という面に着目して人間の能力をはかる尺度のことです。プライベートだけでなく、ビジネスでも必要な能力と考えられています。今回はEQの定義やIQとの違い、EQが高い人の特徴、EQの伸ばし方について解説します。
EQについて詳しく知りたい人、トレーニングしたい人に向けたおすすめの本もご紹介しますので、ぜひチェックしてください。
- この記事でわかること
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- EQが測る心の能力とIQとの違い
- 現代のビジネスマンにEQ向上が求められる理由
- EQが低い人が人間関係で引き起こすトラブル
- 後天的な能力であるEQの伸ばし方
- 思い込みのもととなる「認知バイアス」とEQの関係
IQ(知能指数)とは異なる「EQ」の定義
「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」は日本語で「心の知能指数」と訳される言葉で、近年ビジネスシーンなど幅広い分野で使用されています。
- EQとは
- 心の知能と言われる「EI(Emotional Intelligence)」を測定する指標
EIとは、「自分や他者の感情を理解する」「自分の感情をコントロールする」といった心の動きに関する能力のことを指します。
従来、知性の尺度として「IQ=知能指数」が使われてきましたが、多くの心理学者はこれだけで人間の知能を判断するのは不適切だと考え、「EQ=心の知能指数」という指標を生み出しました。その先駆けとなったのが心理学者のハワード・ガードナー氏です。同氏は「人生で有用な知性は、広範囲かつ多岐にわたるもので、ある種の画一的な知性(IQ)に恵まれなければ人生で成功できないと考えるのは間違いだ」と主張しました。
これにより、IQ以外の「知性」とはどんなものか、ということに注目が集まりました。その後、ニューヨーク・タイムズの記者かつ心理学者であるダニエル・ゴールマン氏が「EQ(こころの知能指数)」という本を出版し、「EQ=心の知能指数」という言葉と概念が一般的に広く知られるようになったのです。
IQがヒトの知能を測る上で有益な尺度として用いられることには変わりませんが、誰もが理性的な思考だけで物事を判断しているわけではありません。そこで、より総合的に人間の能力を測る基準として「EQ」が発達してきたといえます。「感情」の面に焦点を合わせているという点で、EQはIQと並び、非常に意義のある尺度なのです。
EQは、以下の4つのブランチ(個別能力)によって測られます。
- EQの4つのブランチ
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- 感情の識別:自分や他者の情動を正確に知覚する
- 感情の利用:目的達成のためにふさわしい感情を作る、他者に共感する
- 感情の理解:情動の特性や意味を理解し、変化させる。感情がどのように移行するか推測する
- 感情の調整:自分の情動を管理し、適切に調整したり判断に活用したりする。他者の情動に対して対応する
これらは、ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士が1997年に再定義したものです。彼らは「EQとは、これら4つの能力の複合的な働きによって発揮される総合的な能力である」とし、それぞれの働きや相互関連性について分析・解明しました。つまり、適切にEQを機能させるためには、4つの能力をバランスよく発揮しなくてはなりません。自分のEQを知るとは、この4つの能力がどのようなバランスになっているか知るということでもあります。
感情を認知し、理解する能力であるEQを活用することで、次のようなメリットが期待できます。
- やる気・根気・向上心・創造性がアップするなどポジティブな変化を得られる
- 怒りを爆発させることがなくなるなど感情のコントロールができる
- 生活や仕事、人生の目標を実現するために心を整えられる
言い換えれば、EQとは目指すべき成果を生むために自分や他者の感情に対する認識や自己管理能力を高め、感情と思考のバランスを適切にとる能力である、とも言えるでしょう。
IQはどちらかというと遺伝的な資質によるところが大きい学習能力ですが、EQは主に後天的に獲得する能力です。つまり、誰でも今日からEQを鍛え、有効活用することができます。ぜひ、EQを鍛えてスキルとして有効活用しましょう。
EQが高い人がIQも高いとは限らない
ビジネスにおけるEQは「この人なら信頼できる、一緒に仕事がしたい」と思わせる、人間的魅力のことだと考えられています。ビジネスにおいてEQが注目された背景として、アメリカの社会は実力主義であると同時にその能力を裏付けるという意味での学歴社会であるにも関わらず、ビジネスで成功する人が必ずしもIQの高い人とは限らない、という調査結果が出たことがあります。
これはEQの提唱者であるサロベイ・メイヤー両博士がビジネスパーソンに対して行ったフィールドワークの結果で、これまでの「IQが高い人がビジネスで成功する」という固定概念をひっくり返すものでした。そこで、ビジネスで一定の成果をおさめた人たちを対象として、IQ以外に共通する能力があるのではないか、と調査したのです。
その結果、「ビジネスで成功している人は、対人関係能力に極めて優れている」ということがわかりました。具体的には、ビジネスで成功している人は自分や相手の感情を理解し、自分の感情は上手くコントロールしつつ、相手の感情に働きかけられる人だったということです。このような人物の周りには多くの協力者が集まり、結果として高い業績を残すことができたというわけです。
「AQ」も大事な能力?
EQへの注目が高まる一方、ビジネスにおいてもう一つ重要な能力が指摘されています。それが「AQ(Adversity Quotient)=逆境指数」です。AQはハーバード・ビジネススクール客員教授であるポール・G・ストルツ博士によって提案され、以下のように定義されました。
現代のビジネスマンは、否応なく日々さまざまな「逆境」と対峙しながら生きている。AQ(逆境指数)は、大きな悲劇から小さな怒りまで、あらゆる種類、レベルの「逆境」に対応するために、あなた自身に組み込まれた行動パターンのことである。
つまり、AQとは個人や組織が逆境に直面したときの対応力を数値として表した尺度、と言い換えられるでしょう。きつい仕事やストレス、人間関係の悩みなど暮らしの中には大なり小なりの逆境がありますが、AQはこれらに対する反応を表します。AQが低ければ逃避し、高ければ解決したり成長の糧にしたりできる、と考えられています。
ただし、AQと略される能力には他にも「Achievement Quotient=達成指数、成就指数」もあります。この場合のAQはIQの研究過程で生まれた指標で、「その子の現段階の知能に対し、学校教育はどのくらいの到達度にあるか」を測るものです。つまり、「IQが高い=学力も高い」という発想に基づいています。
IQはもともと遺伝のみで決まる生得的なものだと考えられていましたが、研究が進むにつれ、学習状況や住まいの環境で変動することがわかってきました。そこで、IQは学校教育と密接な関係があると考えられ、生まれたのが「AQ=達成指数、成就指数」という尺度です。文脈や話の流れによって、どちらの「AQ」が使われているのか間違えないようにしましょう。
こんな特徴を持つ上司や部下、友達はEQが高いかも!
では、実際にEQが高い人、低い人にはどんな特徴があるのでしょうか。それぞれ、具体的に見ていきましょう。
EQが高い人にはどんな特徴がある?ビジネスシーンでEQが高い人とは
EQが高い人は、以下のような特徴を持っています。
- 仕事の業績や、勉強の成績が良い
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- その時々の感情に流されることなく最善を尽くすことができるので、無駄のない働き方や学び方ができる
- 自分の中に仕事や勉強における明確な目標があり、モチベーションを保てるため、集中力が長時間続きやすい
- 人を否定しない
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- 自己認識がしっかりできているため、他者に対しても寛容になれる
- 相手の立場や感情を受け入れながら、自分の考えを伝えられるので、対立する相手との交渉も得意
- 人や物事を冷静かつ、客観的に見ることができる
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- 自分や他人の情動に流されず、今すべきことを冷静に見出し、遂行できる
- 自分の行動や発言で他人がどう動くか推理し、自分が望む結果に導くことができる
- コミュニケーション能力が高く、聞き上手
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- 人やものごとに好奇心を持ち、知りたいと思う気持ちが強い傾向にある
- 相手を知り、感情を共有しようとするため、聞き上手で話を引き出すのが得意
- 相手を喜ばせる反応や行動ができるため、周囲に人が集まりやすい
- 常に前向きで生産的、あるいはそうなるようコントロールできる
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- 失敗や挫折を経験しても、いつまでも悩まず改善点を見つけ、すぐ次の人間関係や仕事、学習に取り組める
- 落ち込んで投げ出したくなるようなことがあっても、自己肯定感が高いため、諦めない
EQの高い人は、相手の立場に立って考えることができます。人は、他人が考えていることはどうしても表面的に捉えてしまいがちで、そこから温度差が生まれて人間関係がぎくしゃくしてしまうことも多いのです。しかしEQが高いと相手の立場から何が起こっているか、どう感じるかきちんと整理しながら理解することができます。
一方で、EQが高い人は自他の境界線がはっきりしている、という特徴も持っています。他人の話は他人の話として参考程度に聞くことができ、自分の意見を他人に無理に押しつけることもありません。他者と積極的に関わりはするものの、他人の領分を侵すことなく、あくまでも別々の人間であり、他人の人生であるということを尊重してくれます。つまり、お互いに気持ちの良い距離感を保つことができるので、EQが高い人との付き合いは疲れず、ちょうど良いのです。
特に、ビジネスシーンでEQが高い人は「完璧を目指さない」「ワークライフバランスの実現ができる」傾向が見られます。EQが高い人は、世の中のほとんどのことは完璧に行かないことをわかっているので、物事を前に進められ、もし間違ったときでもそこから必要なことを学び、調整しながら最終的にはなんとかすることができます。
仕事をすべきときとプライベートを充実させる時間をはっきりと分け、集中して仕事をするときと週末のプライベートタイムをわかりやすく切り離しています。そのため、タイムスケジュールも無理なくバランスのとれたものにできるのです。さらに、EQの高い人が同じ職場やプロジェクトメンバーにいることで、以下のようなメリットがあると考えられています。
- 自分の感情を抑えて俯瞰的な立場で物事を見られるため、仕事や話し合いが早くなる
- 人間関係がよくなり、業務効率アップにつながる
- 冷静な判断ができるので、トラブルがあったときにも最小限の被害にとどめられる
- 失敗したとき、それを活かして次の仕事の成功の糧にできる
このように、EQが高い人が職場にいると、生産性を高めることにつながるのです。そのため、EQは企業の採用・人材育成などの判断材料にもなっています。
EQが低い人はどんな特徴を持っているの?
逆に、EQが低い人はどんな特徴を持っているのでしょうか。まず挙げられるのは、共感性や協調性が低いこと、そのため一般常識やルールを理解できないということです。
- 共感性が低い
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- 相手の気持ちに寄り添えず、自分の感情だけを優先させてしまう
- 相手の話が終わらないうちに、自分の「話したい」という感情だけで否定的な意見を話し始めるなど
- 他人の持つ「話したい」という感情に気づかない、または無視してしまうため、相手を傷つけてしまう
- 協調性が低い
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- 周囲の感情を顧みることなく、自己中心的でわがまま、傲慢な行動を取りやすい
- 感情のコントロールがうまくできず、自分の思う通りに周囲が動かないとイライラしてしまうなど
- イライラしたら人やものに八つ当たりする、やりたくない仕事は平気で断るなど、周囲に迷惑をかける
- 「自分さえ良ければそれで良い」と、自分の思ったことをそのまま口にしてしまう
- 一般常識、ルールを理解できない
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- 周囲の状況を冷静かつ客観的に観察できず、一般的な常識やルールとかけ離れてしまう
- 社会的な常識やルールより、自分で決めたことを優先して考える傾向がある
- 「自分は仕事ができるから、手を抜いていい」「法で禁止されていないから、うるさくしてもいい」などと思い込む
- ルールから外れた行動をとっても、周囲に迷惑をかけているという自覚を持てない
このような人は、結局のところ、周囲から「空気が読めない」「場を乱す」「自己中心的」といった大きなマイナス評価を受けてしまい、周囲との間に軋轢を生んでしまいます。すると、周囲から信用されず人が集まらないだけでなく、重要な仕事を任せてもらえない、商談を成功させられないなど、ビジネスシーンでも実力を発揮できない状況に陥ってしまいやすいのです。
さらに、EQの低い人は怒りを中心としたネガティブな感情を抑えることが苦手です。これは、以下のような特徴となって現れることがあります。
- 他人のミスを許せない
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- 決められた反応や自分にとっての常識の範囲内でしか発言や行動ができないため、柔軟性や寛容さに乏しい
- 自分の予想していた結果にならないと、脳が許容できないほどのストレスを抱え込んでしまい、感情をコントロールできなくなってしまう
- 自分のミスはうやむやにするなど何事もなかったかのように振る舞うが、相手のミスは批判する
- 自分のミスを棚に上げて相手のミスを執拗に非難するため、良好な人間関係を保ちにくくなる
- 愚痴が多い
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- 違和感のある状態を耐えるのが苦手で、自分の言動に対する責任感に欠けている
- 何かトラブルがあったときに自省せず、他人に不平不満をぶつける
- 他人の気持ちを傷つけたり、信頼を失ったりする結果になりやすい
- すぐに怒る
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- 感情のコントロールが上手くできないため、感情的に怒る傾向にある
- 理性を司る脳の部位の活動が低いため、自分の感情の違和感を処理できずネガティブな感情を吹き出してしまう
- ちょっとしたことでイライラして周囲に攻撃的な言動をしたり、ものに八つ当たりして周囲に威圧感・恐怖感を与えたりする
- 自分の欲求を満たすため、周囲に迷惑をかけてでも叶えようとすることも
- プライドが高い
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- 周囲は自分より劣っていると思い込み、自分の意見を絶対視して押し通そうとする
- 他人から自分の意見を否定されると、プライドが傷つけられたと感じてしまう
- 自分が常に一番でないと気が済まず、自分と他人を比較していつも勝ち負けで人を評価する
- 自分より能力や地位が低い人に対しては露骨に見下した態度をとるため、「いつも相手を見下している」「自信過剰」というイメージを持たれやすい
EQが低い人は自分の感情を客観視したり、コントロールしたりという理性的な判断が苦手です。すると、すぐに怒ったり愚痴を吐いたりとネガティブな感情を周囲にぶつけてしまいます。しかも、それによって周囲がどんな影響を受けるか、将来的にどんな影響が生じるかといったことは考えられません。そのため、人間関係も仕事も上手く行かなくなりやすいのです。
EQは大人になってからも伸ばせる!EQの能力アップのポイントとは
EQは、IQと比べると遺伝的な要素は少なく、後天的に獲得し高めていける能力だとされています。先天的に持つ能力の度合いの差もありますが、日常生活の中に適切な訓練を組み込み、実践していけば徐々に伸ばしていけるでしょう。まずは「EQとは能力であり、EQを発揮するとは自分のスキルを発揮することだ」としっかり意識することが大切です。
「コミュ力」すなわちコミュニケーション能力という言葉が広く浸透していますが、コミュニケーション能力とは、すなわち状況に合わせて4つのEQのブランチ(個別能力)を上手に使い分け、発揮できる能力のことに他なりません。自分に足りないのはどのブランチなのか、まずしっかり把握しましょう。そのためには、以下のような質問を自問自答してみるのがヒントになります。
- 自分は、相手がいまどんな気持ちか正しく把握できているか
- 相手が、自分をどう見ているか感じ取れているか
- 目的のために、自分の感情を適切に利用できているか
- 相手の立場に立って考え、相手に共感しているか
- 相手がどう感じるか先読みし、先手を取る言動ができているか
- 自分の感情に振り回されてしまうことはないか
自分の感情を識別できなければ、それを利用したりコントロールしたりできませんし、他者の感情の原因やその後の変化を類推できなければ、適切な働きかけも行えません。このように、EQの4つのブランチは互いに補完し合うように連動しています。自分のEQを知るとは、4つの能力がどのようなバランスになっているか知るということでもあります。
EQを高めるためには、自分に関する視点だけでなく他者に関する視点も加えた2つの面からアプローチしていかなくてはなりません。まずは、自分に関する視点でできることを見ていきましょう。
- 自分の内面を深く見つめる
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- 自分はどんな人間なのか、好き嫌いや得意不得意、短所や長所はなんなのかを知る
- EQの高い人は、自分や他人の感情を嘘偽りなく感じ取っている
- 日記を書いて「なぜ行動が生まれ、感情を発したのか」を客観的に分析するのも有効
- 日記では出来事だけを書くのではなく、その理由やその時の感情を可視化し、冷静かつ前向きな視点で見直すことが重要
- 感情を可視化して見直すことは、感情のコントロール力や表現力にもつながる
- 自他の境界線を意識する
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- 自分の意見を他人に押しつけていなかったか、胸に手を当てて考える
- 自他の境界線が曖昧だと、他人に傲慢だと思われたり、自分の意見がないと思われたり、マイナスな印象に
- 議論や会話が熱くなってきたら、相手の境界線に自分が侵入していないか注意
- 自分の認知バイアス(色眼鏡)に気づく
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- 人間は知らず知らず思い込み(認知バイアス、色眼鏡)をしやすい
- クリティカルシンキング(批判的思考)を行い、「当たり前」を疑うようにすると気づきやすい
- EQが高い人ほど、認知バイアスに気づくのが上手いとされる
- 言動の意図に気を配る
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- 他人の感情は些細なところに現れるので、言動の意図を注意深く見極めるようにすると、相手の感情が見えやすくなる
- 言葉の表面的な部分だけを捉えず、文脈や声の調子、テンポなどから情報を拾う
- 適切な言葉で伝える
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- ミスリードされない言葉遣いを心がけ、コミュニケーションを円滑でスムーズに
- 適切な言葉を使うためには、単純な語彙力だけでなく言葉を選ぶ能力が重要になる
- 周囲に感謝の気持ちを抱く
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- 相手の感情に耳を傾けるためには、自分の感情を整えることも重要
- 周囲の人や環境に感謝する気持ちがあると、自然と自他の感情へのアンテナが育ちやすい
- 他人の良いところに目を向ける
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- 相手の良い部分を見つけて認める習慣を持つと、EQを高めやすい
- 無理に褒めるということではなく、相手の持つ素敵な部分、真似したい部分などポジティブな特徴に目を向け、尊敬につなげる
- 相手の良い部分を素直に認めて尊敬することこそが、EQを高める秘訣と言える
- 純文学を読む
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- 純文学は「フィクションの中で複雑な心の機微を描いている」ため、読む人の心の機微も動かしやすい
- 大衆小説やノンフィクションなど他ジャンルと比べて他者への共感力が飛躍的に上がったという調査結果も
- 共感力、他者への気持ちを理解する力はEQにおいて重要な要素の一つ
上記に挙げたことは、いずれも自分自身の考え方や視点を少し変えるだけで始められます。まずは、日記をつけたり周囲に感謝の気持ちを抱いたり、純文学を読んだりすることから始めてみてはいかがでしょうか。
EQを伸ばしたいなら、人の話に耳を傾けてみて
自分に関する視点からある程度EQを高めるのに慣れてきたら、徐々に他者に関する視点も取り入れていきましょう。まずは、他者の話をしっかり聴く姿勢が重要です。その際、相手が話しているときの気持ちを考えるようにしましょう。また、自分がかけるべき言葉、逆にかけてはいけない言葉を意識することも大切です。会話はコミュニケーションですが、相手の話を聴くだけの方が良いのか、あるいは意見やアドバイスを言うべきかどうか、といったことに注意を払いましょう。
また、しっかり聴いていることを相手にそれとなく伝える態度も大切です。具体的には、以下のような姿勢を心がけましょう。
- 適切なタイミングで相槌を打つ
- 理解していることを示すために、言葉を繰り返す
- 適度に相手の目を見る
これらはいずれも「非言語コミュニケーション」と呼ばれるコミュニケーションの一種で、言葉を使わず相手に自分の気持ちや姿勢を伝える方法です。非言語コミュニケーションにおいても相手の気持ちに共感している姿勢を示すことができれば、相手に「自分の話をしっかり聞いてくれている」という安心感や好感を持ってもらいやすくなります。
良好な人間関係のための「アサーション」って?
自分の意見や気持ちを伝えるときは「アサーション」を習得すると良いでしょう。
- アサーションとは
- 「相手に不快な思いをさせず、立場を尊重しながらも、自分の主張はしっかり伝える」というコミュニケーションスキル
アサーションは、自己主張が苦手な人でも「ノー」をきちんと伝えるのに役立ちます。相手の頼み事を断るのは、本来、相手の人格を拒絶することではありません。自分の意に反する依頼や、承諾が躊躇われることは「ノー」と素直に言って良いのです。断るときは「自分にとって大切なものは何か」「何を断るのか」を明確にし、「本当は断りたくないのですが」といったワンクッションの前置きをしてから断る理由を伝えれば、相手の気分を害することなく理解を得られるでしょう。
また、信頼できて尊敬できる人がいれば、その人にコーチとなってもらうのも良い方法です。コーチングや認知療法など、自分という人間を客観的に分析してもらうことは、自分が思っている自分と外から見える自分のギャップを埋めるのに役立ちます。EQの高い人は、上司・部下・友人・家族など、身近な人から定期的に自分がどういう人間に見えるかという情報をもらい、インプットしているのです。
EQを上げたい人におすすめの書籍5選
最後に、EQを上げたい人におすすめの本を5冊ご紹介します。じっくり読んで、ぜひEQスキルアップに役立ててください。
EQアップにおすすめの書籍①:『EQ こころの知能指数』
「EQ」という言葉を広く知らしめた本の日本語訳が本著です。1995年の出版以来、全米で60万部を超えるベストセラーとなった原書は「人間の真の能力は、IQではわからない」とし、それまでの学力至上主義の常識を大きく覆しました。
EQとは何か、EQは実生活においてどのくらい役に立つのか、といった基本的な解説が充実しているので、EQには興味があるけれどまず知識を身につけたい、という人に特におすすめです。EQの入門書として、ぜひ読んでおきたい一冊です。
EQアップにおすすめの書籍②:『EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方』
こちらもダニエル・ゴールマン氏による全米ベストセラーで、ビジネスにおけるEQに特化して書かれた一冊です。ビジネスの世界は感情を排し、知性のみを重視すると思われがちですが、本来、人間の感情は知性よりも強く人を動かすとされています。
つまり、ビジネスリーダーになるためには、知性や思考力だけでなくEQも必要なのです。本著では、EQの高い人が自然と使いこなしているリーダーシップ・スタイルを6つに分け、それぞれのタイプについて紹介しています。EQをビジネスに活かしたい人に向けた、実践的なリーダーシップ論です。
EQアップにおすすめの書籍③:『EQ 2.0 (「心の知能指数」を高める66のテクニック) 』
自分を知り、EQスキルを伸ばすためには本書がおすすめです。まず、巻末についているパスコードを使ってオンラインテストを受け、自分のEQを診断するところからスタートするのがおすすめです。「自己認識力」「自己管理力」「社会的認識力」「人間関係管理力」というEQの4つのスキル(ブランチ)を理解し、自分にとって足りないスキルを確認しましょう。
その後、66の実践的なテクニックから、自分に適したEQアップの戦略を立てていきます。何ヶ月かトレーニングを行ったのち、再びテストを受ければ、どのくらい改善できたかがわかるでしょう。EQを今すぐ伸ばしたい、結果を目に見える形で知り、達成感を得たい、という人にぴったりの一冊です。
EQアップにおすすめの書籍④:『EQトレーニング』
EQの提唱者であるサロベイ・メイヤー両博士との共同研究を行い、EQ理論に基づいた「個人の自立と成長を支援する」プログラムを開発した、日本におけるEQ開発の第一人者である著者によるEQトレーニング本です。
前述の「EQ 2.0」と同様、まずWebテストを受けて自分の得意スキルと苦手スキルを理解し、苦手スキルに対して重点的に本書のトレーニングを行いましょう。ある程度実践できたところで再度テストを受ければ、その効果が確認できます。2020年に出版された、比較的新しい本であることもおすすめポイントです。
EQアップにおすすめの書籍⑤:『EQ こころの鍛え方』
「EQトレーニング」と同様、日本におけるEQ開発の第一人者である著者が記した一冊です。EQも読み書きと同様、訓練や学習で伸ばせることに着目し、具体的なメソッドやビジネスシーンでのEQ活用法が示されています。
アメリカで出版された本の翻訳は、どうしてもアメリカ人向けの内容となり、日本人には合わない内容も少なくありませんでしたが、本著ではそうしたミスマッチを解消すべく、日本人である著者が日本人向けに解釈しなおしています。英語で出版された本の訳著には合わなかった人にこそ、ぜひ読んで欲しい一冊です。
おわりに:EQは後天的に鍛えられる!EQを鍛えてビジネススキルをアップしよう
EQ(こころの知能指数)とは、自分や他人の感情を理解し、類推し、自分の感情をコントロールしたり、他者の感情に効果的に働きかけたりする能力のことです。IQとは異なり先天的な要素は少なく、後天的に鍛えられるとされています。
EQを高めるには、日記を書いたり純文学を読んだりするところからスタートするのがおすすめです。今回ご紹介したような本を読み、テストで自分を知って実践的なトレーニングを行うのも良いでしょう。
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