ベビ待ちの夫婦にとって、女の子と男の子どっちがいいかな…と考えるのも楽しい時間。子どもが産まれたら一緒にあんなことをしたい、こんなことをさせたい、とイメージが湧きますよね。
実際に女の子と男の子の育て方にはどんな違いやポイントがあるのでしょう。個性や個人差はあるものですが、女の子と男の子の子育ての違いを解説していきます。
- この記事でわかること
-
- 男女の育児の喜びや楽しさの違い
- 性別による脳の発達の速度や傾向に違いはあるの?
- 女の子の子育てに取り入れたいアサーションとは
- 男の子の子育てのおすすめの接し方と褒め方
- 育児中の参考や励ましになる子育て本
女の子と男の子の子育てのココが楽しい!
まずは、女の子と男の子それぞれの子育ての楽しいポイントから見ていきましょう。子どもは女の子がいいと思う人のおすすめポイントは、以下のようなことでした。
- 女の子の子育ての特徴
-
- 女の子の方がおとなしく、体力を使わずに育てやすい
- 結婚後も親と仲の良い関係をキープすることが多い
- 大きくなったら、一緒に買い物したりランチしたりする友達のような関係になりたい
逆に、男の子がいいと思う人は、以下のようなおすすめポイントがあるようです。
- 男の子の子育ての特徴
-
- 女の子より体力的に手がかかるけれど、その分かわいいと感じることがある
- 小さいうちは、ママにとって恋人のような存在でいてくれる
- パパにとって、家庭内の同志になってくれる
もちろん、親にとって我が子はどちらの性別でもかわいいものでしょうが、将来的なことまで考えるとさまざまな違いがあるようです。特によく言われるのが「女の子の方が、男の子より育てやすい」というもの。個人差はもちろんありますが、一般的に活発で力も強い男の子と比べ、比較的性格も力も穏やかな傾向にある女の子の方が、反抗期などに特に楽だと言われています。
女の子と男の子では脳の発達に違いが出るって本当?
人間の脳には「右脳」と「左脳」があり、右脳は感情や感覚といった直感的な分野を、左脳は言語や計算といった理論的な分野を司っているとされています。これら左右の脳の間には「脳梁」という架け橋のようなものが存在し、直感と理論を結びつけることで人間のさまざまな活動や思考が行われます。
女性脳、男性脳という言葉は血液型占いのように大袈裟になりがちなため、研究者の中には否定的な意見も多く見られます。実際に、脳の海馬の大きさなど、構造・形態に関しては男女差が見られないという研究結果もあります。しかし、生物学的な性差がある以上、脳の成長や発達過程で何らかの違いがあると考える人は多く、さらなる研究が待たれます。
一般的な傾向として、男女の脳の発達過程には以下のような傾向があると考えられています。
- 女の子の脳の発達過程に見られやすい特徴
-
- 感情や考えをスムーズに言葉にしやすい
- 共感力・観察力に優れ、人と言葉によるコミュニケーションを取りやすい
- お喋りをしながら他のことをするなど、複数のことを同時にこなすのが得意
- 他人への興味が強く、対人関係を築くのが上手い
- 喜怒哀楽がはっきりしている
- 後先を考えない行動は少なく、考えてから行動する傾向にある
- 五感のうち、聴覚が比較的優位
- 男の子の脳の発達過程に見られやすい特徴
-
- 口下手になりやすい
- 理論的に考え、空間認知や情報処理に優れ、一つのことに集中しやすい
- モノへの興味が強く、好きな事には没頭しやすい
- 地図を見たり、道順を覚えたりするのが得意
- 他人の感情を汲み取ったり、言語でコミュニケーションしたりするのが苦手
- 思いついたら即行動してしまうことが多い
- 五感のうち、視覚が比較的優位
これらの傾向には、人間の進化の過程で狩猟・採集生活が非常に長かったことなどが関係しているのではないかとも考えられています。いずれにしても、それが脳の構造を変化させるに至るほどの変化だったのか、生まれ育った文化などの環境にも左右される要素が大きいのではないか、といった不明な点はまだまだ多いようです。
女性脳・男性脳説の根拠として、男の子よりも女の子の方が左右の脳を繋ぐ「脳梁」が太いという研究結果がよく挙げられますが、これは対象とした人数が男性9人、女性5人と非常に少ないため、現在では多くの研究者の間で信頼性がないと考えられています。また、人数を増やして再現しようとした研究もいまだに成功していません。
これらのことから、脳の構造や形態にはやはり大きな男女差があるとは言い切れません。脳の働きや発達に性差があるかどうかは、今後の研究による解明が期待されます。
次章では、実際に女の子と男の子の子育てで注意すべきポイントについて、上記のような傾向を踏まえてご紹介します。
女の子の子育てのポイント-女の子はママの真似をしながら成長する
一般的に女の子は男の子よりも成長が早く、口も達者になりやすいです。成長が早いということは、反抗期も男の子より早く訪れやすいということで、ママ・パパにとっては難しい時期かもしれません。そんなときは、女の子の「感情」に焦点を当てて理解を示し、以下のような言葉で共感しながらコミュニケーションを行いましょう。
- 「そうなんだ、それはイヤだよね」
- 「○○ちゃんの気持ち、ママ(パパ)もよくわかるよ」
- 「勉強(部活、習い事など)頑張ってるね」
- 「大変そうだね、何か力になれることはない?」
こうした共感的なやりとりは「アサーション」と呼ばれ、より良い人間関係を構築するための対人コミュニケーションスキルの一つとしても近年、よく知られています。共感的なやりとりをした後で、もし子どもにしてほしいことがあるなら「△△してくれると、パパ(ママ)嬉しいんだけど」と、親の気持ちも素直に表現するようにしましょう。
もう一つのポイントとして、女の子は同性の親であるママをお手本にしながら成長する傾向があるということです。もちろん反抗期にはこの通りではないでしょうが、2歳〜3歳ぐらいになって自我が芽生えてくると、少しずつママの真似をし始めるでしょう。そのとき、ママ自身がいつも楽しく幸せな気分でいると、それを真似する女の子もやはり楽しく幸せに過ごしやすくなります。
また、男女問わず0〜6歳の子どもにはたっぷり愛情を注ぐことが大切です。特に厳しい家に育ったママほど、同性である女の子に同じように厳しい目を向けてしまう傾向があり、男の子と比べて評価のハードルを高くしてしまいやすいので、注意しましょう。文化的な傾向として「女の子は褒めすぎて天狗にしてはいけない」という独特の心理が働くことも、こうした傾向に一役買ってしまっているようです。
「何事もできて当たり前な大人であるママ」と、「産まれてまだ数年しか経っていない女の子」が同じようにできないのは当たり前のことです。女の子のママはぜひ「子どもが頑張ったことは惜しみなく褒める」ことを意識してあげてください。できない部分の指摘は、親が思っているより少なめでもいいのです。
男の子の子育てのポイント-男の子の言葉の発達に合わせよう
発達の傾向を見ると、男の子は口下手になりやすく、一つのことに熱中しやすく、物事を論理的に考える傾向がある、と言えそうです。そこで、男の子の子育てをするときは以下のようなポイントに注意しましょう。
- 時間をかけて傾聴する
-
- 言葉による説明が苦手なので、自分の気持ちが相手に伝わらないとつい手が出たり、物に当たったりしやすい
- 周囲の状況を見ながら行動するのが苦手なので、周囲から誤解されることもある
- 「何を考えているんだ」「勝手にしなさい」と、言葉で突き放すのはNG
- ゆっくり子どもの言葉に耳を傾け、わかるまで時間をかけて話を聞く
- 何かに没頭しているときは、声をかけない
-
- 興味あるものに没頭しやすいので、声をかけず気が済むまでやらせてあげる
- 食事やお風呂の時間になることもあるが、できるだけ臨機応変な対応を
- 本や図鑑を読む、ブロックや工作をする、何かを分解するなど、対象はさまざま
- 数字を使うなど、論理的に説明する
-
- 何かを説明するとき、行動を促すときは数字やルールを用いて理論的に
- 例:宿題になかなか取り組まないときは、「早くしなさい」と感情に訴えるのではなく「早く終わらせると、寝る前の○時間は好きなように過ごせるよ」と伝える
また、一般的に男の子に見られやすい傾向として「小さなことでも勝ち負けを気にする」「プライドが高く、注意されるのを嫌う」というものがあります。そのため、男の子に関しても褒めて伸ばすことを意識しながら育てましょう。
このとき、漠然と「えらい」「すごい」と褒めるのではなく、「テスト勉強をよく頑張ったから、○点が取れたんだね。すごいね」というように、具体的に褒めてあげましょう。女の子でもこの褒め方が有効な場合がありますが、男の子は特に喜びやすく、モチベーションアップにもつながりやすいようです。
子育てに悩んだときにおすすめの本!医師監修書籍からギャグエッセイまで紹介
上記のような傾向はあくまで一般的なものであり、すべての子どもに当てはまるとは限りません。実際の子育てでは、さまざまな子どもとの関係の中で悩むこともあるでしょう。そんなときは、先輩ママやパパたちの話を読んで共感したり、医師監修のアドバイスを読んで参考にしたりするのがおすすめです。
西原理恵子・父さん母さんズ『ああ娘』
ゆるい絵柄と思い切った表情のギャップが幅広い層に人気の漫画家、西原理恵子さんが描き下ろした親子漫画と、全国のママ・パパから寄せられたたくさんのエッセイがぎゅっと詰まった一冊です。女の子のかわいさや、わかっていてもそれに翻弄されてしまう周囲の大人の様子は、同性の親と異性の親が読むとまた違う面白さを感じられるでしょう。
西原理恵子・母さんズ『ああ息子』
こちらも同じ西原理恵子さんの書き下ろし漫画と、全国の男の子を持つママたちから寄せられたエッセイの詰まった本です。ママにとって、男の子は異性であるがゆえに自分の幼少期とは比べにくく、「これで大丈夫なの?」と不安になることも多いでしょう。しかし、この本を読めばきっと「うちだけじゃない、みんな同じなんだ」と元気になれること請け合いです。
和田秀樹『幸せな女の子の育て方―8歳までに知っておきたい!』
精神科医であり、精神分析や集団精神療法などを専門とする和田秀樹氏の手による女の子の育て方アドバイスブックです。女性の社会進出が当たり前となった現代では、「女の子は学や教養がなくても、お嫁に行けばいい」という考え方はもはや通用しません。女の子も社会の一員としてしっかり自立して生きていくために、どのようなことに気をつけて育てれば良いのか学べる一冊です。
渡辺とよ子(監修)『はじめてママ&パパの0〜6才 男の子の育て方』
産婦人科の医師を務める渡辺とよ子氏の監修による、男の子の育児本です。特に、女性であるママにとって、男の子は情緒面でも身体面でもわからないことが多く、「異次元的」「育てにくい」という感想を持ってしまうママもいます。この本は対象の年齢を0〜6歳に絞り、より具体的かつ実践的な育て方について解説していますので、「こういうときはどうすればいいんだろう?」というママ・パパの疑問にスッキリ答えてくれるでしょう。
おわりに:女の子と男の子、それぞれの育て方のポイントをおさえよう
ママやパパにとって、我が子は女の子でも男の子でもかわいいものです。しかし、身体が違えば発達の仕方にも違う傾向があるのは当然のこと。今回挙げた傾向は一般的なものですが、ぜひポイントをおさえて楽しく子育てしましょう。
とはいえ、現実の子育てはなかなか理論通りにはいかないものです。そんなときは、先輩ママ・パパのエッセイや、医師のアドバイスなどをもとに、共感したり気づきを得たりするのも良いでしょう。
コメント