子どもが思春期を迎えると親に対して反抗的になったり素っ気なくなったり、親子の会話が減ることがありますよね。この記事では思春期の女の子と男の子との会話を増やすためのポイントや子どもの心を傷つけてしまいがちな言葉や話題を解説します。
- この記事でわかること
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- 思春期の子どもの心が不安定になる理由
- 思春期の子どもとコミュニケーションする方法
- 【男女別】思春期の子どもとの会話における注意点
- 思春期の子どもに嫌われる親の特徴
思春期の子どもに見られる心の変化
思春期の子どもとは大体、小学校高学年〜中学生、高校生が当てはまります。思春期が始まる時期や落ち着く時期は個人差があります。
思春期は体が大きく発達する時期とも重なりますが、心の変化も大きくなる傾向があります。
- 思春期の子どもの心の変化
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- 親から自立したい気持ちが強まる
- 一方で、親から離れることに不安を感じる
- 友達や仲間と一緒にいると安心感を得られる
- 自我同一性(自分は自分、他者は他者)の感覚が育つ
- これまでの性格や行動と真逆のことをする
- 反抗したかと思えば甘えてくるなど、矛盾に見える行動をとる(両価生:アンビバレンツ)
思春期に問題行動や親への反抗が現れる子どもがいますが、こうした行動や態度も発達の現れの場合があります。親の言うことを聞く良い子だった子どもが反抗的な態度をとるようになったときは、大人への成長段階として自主性(自律性と自発性)を獲得しようとしている反動の可能性が考えられます。(参考:厚生労働省e-ヘルスネット「思春期のこころの発達と問題行動の理解」)
もちろん、思春期に当てはまる年齢の子どもの行動や態度すべてが思春期を原因とするわけではありません。ひとつの傾向として、小学校高学年〜高校生にかけて思春期ならではの心の変化が現れることがあるのです。
思春期の子どもと親子の会話が減る理由
前述したように、思春期の心の変化として親からの自立心が強まることがあります。家族といる時間よりも学校の友人や仲間と過ごすことに安心や楽しみを感じる子どももいます。
そのため、思春期を迎える以前と比べると親子の会話やコミュニケーションが減ってきたと感じる親もいるでしょう。
このほか、思春期に該当する小学校高学年〜高校生の時期は子どもの生活も忙しくなってきます。学校の卒業や入学を経て、環境が目まぐるしく変わる時期です。部活動や習い事、受験勉強に打ち込む子どもが少なくありません。子どもの世界が広がり、自分の居場所を家の外にも作っていく時期を迎えていきます。すると特に親に対して反抗心を抱いているわけでなくとも、親と会話したりコミュニケーションしたりする時間やエネルギーを確保しにくくなるのです。
ただし親としては子どもとの会話が減ると、次のような不安や心配が増えてしまいますよね。
- 子どもとの時間が減って寂しい
- 大学進学や就職で家を出る前に、もっと親子の会話やコミュニケーションをしておきたい
- 思春期で急に子どもの態度や行動が変わり、戸惑ってしまう
- 会話が少ないため、部活や塾などのサポートがし辛い
- 悩みや困っていることがないか知りたい
- どんな友達と付き合っているか知りたい
- 子どもの行動範囲がわからず、安全に過ごせているか不安 など
こうした心配を解消するために子どもに対して無理に会話を迫ったり、過剰なコミュニケーションを求めたりすると、ますます子どもから距離を置かれてしまいかねません。子どもの自立心を守りつつ、親子の会話やコミュニケーションを確保するためには工夫が必要です。
次章からは、思春期の子どもとの会話のポイント、女の子と男の子それぞれと会話を増やす方法を解説していきます。すべての子どもとの会話に当てはまるものではありませんが、親子のコミュニケーションの参考にしてください。
思春期の子どもとの会話を増やす方法
思春期の子どもとの会話を増やす場合、下記のことを意識してみましょう。
- 思春期の子どもとの親子コミュニケーションの基本
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- 「おはよう」「おやすみ」など挨拶を欠かさない
- 親子で一緒に食事をする時間を確保する
- 子どもが素っ気ない態度でも、親は子どもに関心を示す
- 子どもが友達について話しているとき、関心をもって耳を傾ける
- 子どもが悩みや不安を打ち明けたとき、しっかりと時間を取って話を聞く
- 進路や勉強以外の、リラックスしながら会話できるような雑談を増やす
- 旅行やアクティビティなど、親子で共有できる活動をする
- 「今日はどんなことをしたの?」など、一日の様子を聞いてみる
- 会話中は、子どもの気持ちや考えていることを聞くようにする(親は聞き手にまわる)
- 親子のコミュニケーションで過干渉になり過ぎず、見守ることも意識する
思春期の子どもとの会話やコミュニケーションでは、自宅に子どもの居場所があることを理解してもらえるように意識するのがポイントです。親は子どもの話を真剣に聞いてくれる存在や悩んだときに頼れる存在であること、親に甘えていいということを、会話や態度を通して子どもに伝えましょう(参考:「中学生の家庭における居場所感と家族とのコミュニケーションの関連-会話の内容及び家族からの一貫した関わりに着目して-」(福岡県立大学心理臨床研究,小野田瑠璃・吉岡和子))。
思春期の女の子との会話を増やす方法
思春期の女の子の場合、男の子と比べると家族への依存度が高い傾向があると考えられています(参考:「中学生の家庭における居場所感と家族とのコミュニケーションの関連-会話の内容及び家族からの一貫した関わりに着目して-」)。そのため、思春期の女の子との会話では、悩みや不安、恋愛の話、家族同士のことなど、心に入り込んだ会話をすることで安心感を与える効果が期待されます。
- 思春期の女の子との会話のポイント
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- 子どもが親と会話をしたがっているときは快く相手になる
- 子どもが抱えている悩みや不安について、聞き役になって話に耳を傾ける
- 恋愛の話を避けずに、一緒に楽しむ気持ちで会話する
- 家族での外出や旅行などの思い出話を楽しむ
- 子どもの容姿に対してネガティブな発言を避ける
注意したいのは、親の言葉をきっかけとした拒食症の発症です。思春期の女の子は、自分の見た目について悩む子も多いものです。思春期は体が女性らしく変化する時期でもあり、体重が増えたり体型が変わったりすることがあります。そうした変化に対して「太ったんじゃない?」「痩せた方がかわいいよ」などの言葉をかけてしまうと、子どもが過剰なダイエットにのめりこんだり、拒食症に陥るおそれがあります。
思春期の男の子との会話を増やす方法
思春期の男の子の場合、プライベートな話題に深く踏み込まれるよりは雑談を好むと考えられています(参考:「中学生の家庭における居場所感と家族とのコミュニケーションの関連-会話の内容及び家族からの一貫した関わりに着目して-」)。
また、女の子と比べるとより自分から親に話しかける頻度が低くなるとも考えられており、親から意識的に会話の糸口を作ってあげることも大切です。
- 思春期の男の子との会話のポイント
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- 深刻な話題だけでなく、雑談を意識的に増やす
- 自分から話をあまりしない男の子に対して、親から話しかける
- 子どもの趣味や好きなことについて、親が質問したり一緒に取り組んでみる
- 友達とどんなことをして遊んでいるか聞いてみる
思春期の子どもが傷つくNGワード
思春期の子どもとの会話の中で、子どもを傷つける可能性がある言葉や話題があることを理解しましょう。
- 子どもを傷つけやすい言葉
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- 「男の子なんだから」「女の子なんだから」という決めつけをする言葉
- 見た目の変化や特徴を指摘することや笑うこと
- 勉強や部活の成績ばかりを気にする言葉やプレッシャーをかける言葉
- 子どもの進路や将来を決めつける会話や進路決定を急かしすぎる言葉
- 「どうせ無理」「失敗するに決まってる」などチャレンジ精神を挫く言葉
- 「あの子と仲良くしないで」など子どもの友達や仲間を否定する言葉
上記のような言葉は、思春期でなくとも子どもの心を傷つけるおそれがあります。近年はジェンダーフリーや反ルッキズムの考えが浸透してきており、従来の価値観で発言したことがきっかけで親子仲にヒビが入ることもあり得ます。
思春期は親から自立しようとチャレンジする時期でもありますので、親が子どもを抑えつけるような言動に敏感です。子どものチャレンジ精神を大切にしつつ、危険なことに取り組もうとしている場合は「親として心配している」「チャレンジしようとしていることは危険を伴う」ということをしっかりと伝えましょう。
また、子どもにとってかけがえのない友達や仲間のことを悪く言うのも要注意です。子ども同士だからこそわかる良さもありますので、親が子どもの人間関係に口を出すと反抗心が生まれやすくなります。
上記の言葉や会話は、状況によっては必要です。子どもはまだ発達段階にいますので、子どもの判断が正しいとは限りません。親として、子どもが危険な状況にいると判断したときは、子どもの人間関係に親が介入しなくてはいけないこともあるでしょう。
おわりに:親子の会話で思春期の子どもに心のやすらぎを感じてもらおう
思春期の子どもとの会話を増やすためのポイントを解説してきました。もちろん、今回ご紹介したポイントに当てはまる子どももいれば当てはまらない子どももいます。子どもは一人ひとり個性を持っているように、家族の在り方もさまざまです。今回の記事を参考に、親子の会話を楽しんでみてくださいね。
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