良い商品やサービスを世の中に提供したいと思ったとき、法人起業するという方法があります。どんなビジネスでも、軌道に乗せるまでは簡単ということはありませんが、法人として起業するにあたって失敗のリスクが低い業種は存在します。
そこで、今回はそんなリスクの低い業種や、初心者が起業するまでの流れ、手続きについてご紹介します。起業を考えている人は、ぜひチェックしてください。
- この記事でわかること
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- 業界未経験者が起業するときにクリアにしておきたいポイント
- 起業に向けた人脈を増やすのがよい理由とその方法
- 初心者や未経験者でも起業しやすい業種とは
- 従業員数や提出期限に注意!起業に伴う各種手続き
- 賃貸やレンタルなど多様になったオフィスの選択肢
起業のリスクとは?起業前にやっておきたいこと
起業をするのはどんなプロセスでも決して楽なことではありませんが、その業界の未経験者がゼロから起業する場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 業界に関する情報収集、知識の習得などのため、労力・費用・準備期間がかかる
- 人脈を意識的に作っていかないと、なかなか新規顧客の獲得に結びつきにくい
- 日本政策金融公庫から受けられる「創業融資」が受けづらい
未経験で起業する場合、もともとその業界に興味を持っていたり、趣味として行っていたりしたわけでないなら、一つ一つ勉強していかなくてはなりません。また、同じ業界の知り合いが少ない、またはいない状態からビジネスを開始することになりますから、紹介による顧客獲得のためにも、人脈をいちから切り開いていく必要があります。
創業融資は魅力的な制度ですが、どうしても未経験からの新規起業となると審査に通りにくいデメリットがあります。申請前にわずかな額でも売上実績を作る、起業するビジネスに協力してくれる人の情報をリストアップし、確実に販路があることをアピールする、などの対策をしっかり講じておきましょう。
起業リスクをできるだけ軽減するためには、起業しようと思った時点で以下の3つのポイントを詰めておく必要があります。
- 何をしたいのか、明確にする
- 起業することがゴールではなく、起業はスタートだと意識する
- 起業して何をしたいのか明確にしておくことで、後悔や失敗を防ぐ
- ビジネスとして成功させるため、最も重要なこととも言える
- ビジネスについて勉強する
- WebやSNSマーケティング、コンテンツ制作、ブランディングなど、まず集客に直結する部分を学ぶ
- 可能であれば、実績があって信頼できる人から教えてもらうのが一番確実
- ビジネスの基本をおさえた本を購入して学ぶのもおすすめ
- 人脈を構築する
- サポートしてくれたり、一緒に頑張ってくれたりする人とできるだけ知り合っておく
- 自分より先に起業してある程度軌道に乗っている人、同じ目的を持って行動している人などの話を聞く
- 自分を応援してくれる家族やファンを少しずつ増やしていくことも重要
起業したいと思ったら、まずは以下の4つの目的を明確にしましょう。
- なぜ起業したいのか
- 起業することで、どんな問題を解決したいか
- 起業することで、何を提供し、誰(どんな層)に対してメリットが見込めるか
- 最終的に、何を成し遂げたいか
起業はビジネスですから、起業した後に事業を軌道に乗せ、成功させなくては意味がありません。起業することで満足してしまわないためにも、起業する理由やターゲットとする層、最終的に目指すところを明確にしておきましょう。そのためには、ビジネスについてある程度勉強しておくことも必要です。
ビジネスについて勉強するとき、セミナーなどの講演会に参加する方法もありますが、高額なコンサルタント費用がかかることもあるほか、中には悪質なセミナーもあります。まずはビジネスの基本をおさえた本を読んだり、実績があって信頼できる人が近くにいればその人に聞いたりすることから始めてみましょう。
また、ビジネスをする上で人脈は非常に重要です。起業を成功させている人は周囲の人に恵まれていることが多く、ビジネスが軌道に乗り、安定的に進められるようになるまでには何度も周囲の人に正しい方向に導いてもらったり、励ましてもらったりしているものです。ぜひ、ビジネスでつながる人脈を少しずつでも増やしていきましょう。
フランチャイズやネットショップはローリスク?
上記のように未経験者の起業にはリスクがつきものですが、初心者や業界未経験者でも比較的ローリスクな起業方法として「フランチャイズ系」と「ネットショップ(ECショップ)経営」の2つがあります。それぞれ、どんなビジネスなのか見ていきましょう。
- フランチャイズ系
- 本部に加盟すると、そのお店の看板を背負うことができるため、ブランド力が利用できる
- 既に成功をおさめて確立されている経営ノウハウ、戦略を伝授してもらえる
- コンビニエンスストア、ファストフード、居酒屋などの飲食店、ハウスクリーニングや学習塾などのサービス系をはじめ、業種は多岐にわたる
- ネットショップ(ECショップ)経営
- EC(Electronic Commerce)ショップとは、インターネット上で商品を売り買いするお店のこと
- 店舗も在庫もなくてもビジネスを始められるため、少ない投資で起業できる
- 既に卸業者との人脈がある、扱いたい商品があるという場合は実店舗より経営しやすいことも
フランチャイズ系は既によく知られているブランドの看板を背負って起業できるため、集客に困りにくいという大きなメリットがあります。業種も多岐にわたるので、自分が興味を持てるジャンルで楽しくビジネスを行えるでしょう。ただし、開業時の建物や設備費用、店舗の物件探しなどを本部が負担してくれるか、自分で負担するかなど、本部のサポート体制は企業によってさまざまです。事前によく比較検討して選びましょう。
ネットショップは実店舗を探す手間や資金も、商品の陳列や在庫管理もいらないので、少ない投資で起業しやすいという大きなメリットがあります。しかし、その分商品写真や説明文を充実させたり、24時間365日届く顧客への問い合わせにできる限り迅速に対応したり、ネットショップならではの決済方法、集客方法に柔軟に対応していかなくてはなりません。常にオンラインの進化に対応し、サイトを改善したり、システムを見直したりしていきましょう。
このように、初心者や未経験者でも起業しやすい業種には、以下の3つの条件があります。もし、上記以外の業種で起業したいと思ったときは、この条件を満たしているかどうか確認してみましょう。できるだけ多くの条件を満たす業種ほど、少ないリスクで起業できる可能性が高いと言えます。
- 在庫や初期投資が不要
- 起業するときは資金力が不十分なので、最初から多くのコストはかけられない
- 在庫を抱えると、売れなかったとき負債となったり、在庫管理のスペースや手間のコストが生じたりする
- どこにいても仕事ができる
- 場所に縛られないビジネスほど自由度が高いので、本業を続けながら副業としてスタートできる可能性も高い
- コンサルティング、カウンセリング、コーチングなどで、かつオンラインがおすすめ
- 対面は信頼性が高いが、移動時間や商圏エリアが限られる
- オンラインは場所や移動時間の縛りがなく、在宅で起業できるので主婦や育児中でも仕事ができる
- 本業が忙しいサラリーマンでも、自宅にいながらビジネスを行える
- 市場のニーズが高まっている
- 商品やサービスを必要とする人がいなければ、起業しても売上につながらない
- 英語学習、福祉系の資格取得など、時代のニーズに合ったものを選ぶ
- 自分が始めようとするビジネスで、顧客になる人が多いかどうかしっかり見極める
法人起業に必要な手続きとは?
法人として起業するためには、さまざまな申請と手続きが必要です。法人は個人事業主と異なり、法人として納税したり、社会保険に加入したりしなくてはなりませんので、個人事業主として開業するときと比べて多くの手続きが必要になります。そこで、設立に必要な手続き、税務署への手続き、社会保険に関する手続きの3種類について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
法人の設立に必要な手続きとは?
法人を設立するために必要な手続きとは、大きく分けて「定款(ていかん)の認証」「登記」の2種類です。
- 定款の認証
- 会社の組織や運営に関する基本的な規則を定めたもので、会社の憲法とも呼ばれる
- 会社の称号(社名)、目的(事業の内容)、本店所在地、株式、会社の機関(株主総会・取締役会など)、事業年度などの事項が定められている
- 作成後は、本店所在地を管轄する公証役場の公証人による認証を受ける
- 登記
- 会社に関する、取引上で重要な事項を法務局に登録し、一般に開示できるようにする
- 認証を受けた定款、登記申請書、登録免許税納付用台紙、払込証明書、発起人の決定書、就任承諾書、取締役の印鑑証明書、印鑑届書などを用意し、法務局で行う
- 会社の概要を公表することで信用維持をはかるとともに、安心して取引できるようにすることが目的
法人を設立するときは、まず「定款」と呼ばれる基本的な規則を定め、公証人に認証を受けます。認証を受けることで、定款が正式な手続きで作成されたものであると公的機関である公証役場が証明してくれたということになります。定款の認証を受けたら、次は本店所在地の管轄法務局で「登記」を行います。
法務局に提出する書類は多岐にわたり、例えば以下の登記申請書、払込証明書、印鑑届書などがあります。
- 登記申請書
- パソコンで作成するか、黒インクのボールペンなどを使って作成する
- 法務局のホームページに書式や記載例もあり、これに従って作成する
- 払込証明書
- 会社の資本金を払い込んだことを証明する書類
- 資本金の払込がなされた、発起人代表者の通帳のコピーが必要
- 印鑑届書
- 会社の実印を登録するために必要な書類
- 設立の際に登録が必須というわけではないが、いずれは必要となるため、設立と一緒に登録しておくと間違いない
- 法人の印鑑を用意し、法務局に用意されている用紙に必要事項を記入する
税務署にどんな手続きをすればいい?
法人を設立し、登記を済ませたら、本店所在地の管轄税務署に各種税金関連の届出を行いましょう。まず、設立してから2ヶ月以内に「法人設立届出書」を管轄の税務署に届け出ます。提出の際には、他にも「定款・登記事項証明書・株主名簿・設立趣意書・設立時賃借対象表」が必要です。
法人税の申告にあたっては、青色申告を行うと赤字を最長10年間繰り越せる、特別償却や税額控除によって税負担を軽減できるなどのメリットがあります。その代わり、個人事業主の青色申告と同様、複式簿記による帳簿を作成しなければなりません。青色申告を行う場合は、法人設立後3ヶ月、もしくは設立事業年度終了日のいずれか早い日の前日までに「青色申告の承認申請書」を税務署に提出しましょう。
最後に、法人が従業員や役員に給与や報酬を支払うための届出が必要です。給与や報酬を支払うときには源泉所得税を徴収する必要があり、徴収した源泉所得税はその翌月の10日までに納付しなくてはなりません。この一連の手続きを行うためには、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を税務署に提出する必要があります。また、従業員を雇う予定はなくても自分に対する報酬を支払うために必要なので、提出忘れがないよう注意しましょう。
給与や報酬を支払う対象者が10人未満の場合は、源泉所得税の納付を毎月でなく、1月・7月の半年に1回とすることもできます。従業員の人数が少ない場合、毎月納付書を作成して税務署や金融機関の窓口で納付するのは大変ですから、利用できる場合は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、ぜひ活用しましょう。
社会保険に関する手続きにはどんなものがある?
社会保険に関する手続きは、「健康保険や厚生年金に加入する手続き」と「労働保険に加入する手続き」の2つがあります。これも、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
健康保険や厚生年金に加入する手続き
法人は規模の大小に関係なく、健康保険と厚生年金に加入しなくてはなりません。最寄りの年金事務所または郵送で、会社の設立から5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」「健康保険被扶養者(異動)届」を提出しましょう。これらの届出書は日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 初めて健康保険や厚生年金への加入手続きを行う際に提出する
- 同時に、会社の登記事項証明書の原本を提出する必要がある
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 法人の役員や従業員として健康保険や厚生年金の被保険者となる人について、その詳細を記載して提出する
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 役員や従業員について、その配偶者・子ども・父母などの扶養親族がいる場合、その詳細を記載して提出する
- 被保険者の健康保険被保険者証を添付する必要がある
いずれの書類も提出期限が会社設立から5日以内と短いので、準備できそうなものは設立前からあらかじめ準備しておきましょう。これも、従業員を雇用する予定がなくても、自分に対して報酬を支払うために必要な手続きの一つですから、必ず行わなくてはなりません。
労働保険に加入する手続き
労働保険とは「労災保険」と「雇用保険」をまとめたもので、それぞれ以下のような制度です。
- 労災保険
- 従業員が業務中や通勤中に怪我をしたり、病気になったりしたときに治療費などを補填する制度
- 亡くなった場合はその遺族に保険給付を行うケースも
- 正式名称は「労働者災害補償保険」
- 雇用保険
- 従業員が失業した際にも生活を安定させ、再就職先を探せるように給付を行う制度
- 失業保険と呼ばれることも多いが、正式名称は「雇用保険」
いずれも、従業員雇用した日の翌日から10日以内に「保険関係成立届」を労働基準監督署に、「雇用保険適用事業所設置届」をハローワーク(公共職業安定所)に提出する必要があります。それぞれ以下の書類が添付書類として必要なので、過不足なく準備しておきましょう。
- 保険関係成立届
- 会社の登記事項証明書、会社あてに届いた郵便物または公共料金の請求書か領収書、会社の事業内容が分かる営業許可証または納品書・請求書・領収書などの書類、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿またはタイムカードなど
- 従業員が10名以上いる場合は、「就業規則届」もあわせて提出
- 雇用保険適用事業所設置届
- 労災保険の保険関係成立届、会社の登記事項証明書、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿またはタイムカードなど、雇用契約書
労災保険の保険関係が成立したら、その日から50日以内に「労働保険概算保険料申告書」を労働基準監督署に提出する必要があります。この申告書は一般的に「保険関係成立届」と一緒に提出し、その後50日以内に保険料を納付する、という流れで手続きを行いますので、労働基準監督署に行くときは両方の書類を忘れないようにしましょう。
また、雇用保険適用事業所設置届の提出時には「労災保険の保険関係成立届」が必要となりますので、先に労災保険の手続きを済ませておきましょう。さらに、従業員を雇用した月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出する必要があります。従業員を雇用保険に加入させるためのもので、添付書類は「雇用保険適用事業所設置届」と同じです。ですから、設立当初から雇用する従業員の雇用保険関連の手続きは同時に行ってしまいましょう。
法人起業にかかる費用はどのくらい?最近話題のクラウドファンディングって?
では、実際に法人として起業しようとしたとき、費用はどのくらいかかるのでしょうか。まずは、起業する前に必要となる費用から見ていきましょう。
- 定款に貼る収入印紙代:4万円
- 定款の認証手数料:5万円
- 定款の謄本手数料:約2,000円
- 登記の際の登録免許税:15万円〜
このように、定款を作成・認証する際にも、登記の手続きをする際にも費用が必要です。登録免許税は資本金額によって変わりますが、最低でも15万円が必要となりますので、起業するときには最低でも合計25万円を用意しなくてはなりません。
電子定款とすれば収入印紙代の4万円が不要となりますが、自宅で作成するためにはICカードリーダーや電子署名のためのAdobe Acrobatなどのソフトが必要となりますので、代行業者に頼む方が結果的に安く済み、手間もかからないケースが多いです。
設立・登記を終えたら、オフィスと事務用品が必要です。また、集客のためには最低限であっても広告関連費用をかけなくてはなりません。まずは、オフィスの選択肢から見ていきましょう。
- 賃貸オフィス
- 一般的なオフィスの選択肢で、賃貸住宅と同様に契約を交わしてオフィスとする
- 住宅同様、大きさによって費用はまちまち
- 仲介手数料・敷金礼金・保証金・前払家賃などが必要
- レンタルオフィス
- レンタルオフィスは、賃貸オフィスよりも家賃が安い傾向に
- 賃貸同様、仲介手数料・敷金礼金・保証金・前払家賃などが必要(家賃6ヶ月分程度)
- バーチャルオフィス
- 実際のオフィスを借りず、登記するときに必要となる住所だけを借りる、というもの
- 東京都内など、オフィス街のバーチャルオフィスで月に1〜5万円程度
- バーチャルオフィスによっては、使用料を払えば会議室を一定時間借りられるところも
- 常に会議室が必要というわけでなければ、大幅にコストを抑えられる
- 自宅
- 会社を設立した当初は、初期費用節約のため自宅をオフィスにする人も多い
- バーチャルオフィスも自宅も、銀行口座開設時に不利になったり、取引先から信用されなかったりすることがあるので注意
事務用品関連の費用は「事務机・椅子・パソコン・業務用PCソフト・プリンター・オフィス用固定電話」などオフィス家具のほか、文房具や事務用品、必要に応じて携帯電話などです。また、企業ロゴを作成したり、名刺を印刷したりする広告関連費用も必要です。一般的にロゴ作成は数万円〜5万円程度、名刺作成は3〜4名分で1万円程度です。
また、近年ではインターネット回線やモバイル端末の進歩により、ホームページ検索で情報を得る人が多いです。そのため、ホームページをいかに見やすく、かつ効果的に購買行動につなげられるよう制作するかはビジネスの成功にも関わってきます。外注する場合の相場は20万円ほどですが、信頼できる相手に外注するようにしましょう。
上記の費用をまとめると、会社の設立から起業にかかる費用は安くてもだいたい200万円程度です。事業内容によっては他にも設備が必要となるケースも考えられ、実際に総務省の統計によれば、起業に際してかかる費用の平均は500万円前後だというデータもあります。
起業に関する資金、どう調達する?
では、上記の資金をどう調達すれば良いのでしょうか。具体的には、以下のように自己資金・他企業からの出資・ベンチャーキャピタルからの出資の3つが考えられます。
- 自己資金
- 起業家自身が出資するもので、経営権を保持でき、使い道が自由で金利の負担もない
- 一方、数百万の資金を自分で捻出するのは難しく、事業が失敗して清算することになれば自分の財産を失う
- 他企業からの出資
- 株式を発行し、他企業から出資してもらうことで、他企業の協力も得られる
- 他企業の出資比率が3分の1を超えると、重要な経営判断はその企業の了解なく進められない
- さらに、他企業の出資比率が50%を超えると、事実上経営権を渡したことに
- ベンチャーキャピタルからの出資
- ベンチャーキャピタルとは、高い成長が期待される未上場企業に対して出資する投資会社のこと
- 上場の可能性がある将来有望な企業であれば、ベンチャーキャピタルからの出資を募れるかも
- 出資を受けられれば、顧客を見つけることにつながったり、経営のアドバイスをもらえたりする
- 他企業から出資を受ける場合と同様、保有株比率が低くなりすぎることに注意が必要
経営権を盤石にし、すべて自己判断で進めたい場合は自己資金が確実ですが、万が一事業が軌道に乗らず清算することになった場合のリスクが高いことに注意しましょう。一方、他企業やベンチャーキャピタルからの出資の場合、保有株比率によっては経営判断を単独で行えなくなります。どの資金調達方法が良いのか、それぞれのメリット・デメリットをよく検討しましょう。
話題のクラウドファンディングにはどんなメリットがあるの?
近年、SNSなどを中心に注目を集めている「クラウドファンディング」は、「Crowd=群衆」と「Funding=資金調達」という英語を組み合わせた造語です。インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める「クラウドファンディング」は、主に中小企業が市場開拓や新規事業を目的として活用し、成功を収めています。
クラウドファンディングは、その性質上「世の中に受け入れられるかどうか」というマーケティングを兼ねた資金調達ができます。そのため、不確実性の高い新規事業を始めようと思ったときでも、リスクを背負って自己資金を投入したり、やっとの思いで実績を作って融資を依頼したりしなくても、幅広い賛同者から資金を集められます。
クラウドファンディングには、他にも以下のようなメリットがあります。
- 現金以外のリターンもOK
- 金融機関やベンチャーキャピタルとは異なり、支援者に対するリターンを現金以外で設定してもよい
- 購入型クラウドファンディングなら、制作予定のモノやサービスの他、権利など
- 寄付型クラウドファンディングなら、リターン非設定でもOK
- いずれの場合も、プロジェクトの内容に魅力がなければ賛同者が集まりにくいことに注意
- 完全成功報酬制
- クラウドファンディングを提供しているサービスは、原則として完全成功報酬制
- サイトにプロジェクトを公開し、出資を募る段階では一切料金がかからない
- 利用申し込みに関する条件もなく、自己資金や事業経験がない、少ない人でもOK
- 宣伝効果
- まだ世の中に認められていないサービスや商品の開発に取り組む場合、プロジェクト公開による宣伝効果が見込める
- ファンを獲得できる
- 支援者はプロジェクトへの賛同者でもあるので、商品やサービスのファンとしてその後も支援してくれる可能性が高い
- 事業が軌道に乗った後は、顧客になってくれる可能性も
- 商品やサービスを通じて会社自体のファンになってもらえれば、他の事業に対してもプラスの波及効果があるかも
- 多額の資金調達につながる
- プレゼンやリターンの内容によっては、多くの支援者に魅力的だと思われ、結果的に多額の資金を調達できるかも
- 数十万円程度の小規模なプロジェクトから、できるだけ多く資金を集めたい大規模なプロジェクトまで幅広く対応できる
クラウドファンディングの魅力として、自己資金が全くなくても始められること、プロジェクトへの賛同者はすなわち商品やサービスのファンになってくれやすいことが挙げられます。つまり、誰でもプロジェクトをスタートでき、クラウドファンディングで資金を集められれば、実際に商品やサービスの提供を始めた後も継続的な顧客の確保が見込めるということです。
ビジネスに対して顧客がつくかどうかわからない、商品やサービスに自信はあっても自己資金がない、まだ知られていない新しい商品やサービスの認知度を上げたい、という場合は、クラウドファンディングの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
個人事業主として独立開業する道も!スキルがあれば今すぐ始められる職業
自分ひとりで事業を行うのであれば、個人事業主として独立開業する方法もあります。具体的には、以下のような業種であれば、自分のスキル次第で資金集めに多大な労力を割かなくても独立開業できるかもしれません。無理に法人起業にこだわらず、個人事業主として開業するのも良いでしょう。
- コピーライター
- 仕事だけでなく書籍出版・企画・得意分野でのコンサルなどもできるとより収益につながりやすい
- 競争力の高いライターになるためには、常に提供価値を切磋琢磨していく必要がある
- 起業のハードルは低いが、提供価値と交渉力がないと事業として軌道に乗せるのが難しいことも
- WEBデザイナー
- デザインスキルがあれば、ライター同様フリーランスも多く、起業のハードルは低い
- ライバルが多いため、自分のクリエイティビティをいかにアピールするかが鍵
- 基本の業務はもちろん、レクチャーや大きなプロジェクトに関わらないと軌道に乗りにくい
- ホームページ制作
- HTML、CSS、Photoshop、Illustrator、Firework、JS、PHP&SQLなどの知識が必要
- 加えて、Web集客・マーケティング施策に関する知識や情報、スキルもないと依頼主の要望に応えにくい
- 発注側の方が上記の知識に長けている場合も多く、プラスアルファの付加価値が重要
- コンサルタント
- コンサルで重要なのは、何をコンサルタントするか、相手に利益をもたらせるか
- 成果報酬やプロジェクトフィーで稼げるようになれば、ビジネスとして成功と言える
- 集客力、コンサルとしてのスキルが問われる
- ネットショップ
- 誰でもできるハードルの低いビジネスだが、継続できない人も多い
- まずは不用品販売や、オークションサイトでの「せどり」などからスタートして慣れる
- ただし、本業として収益を上げるにはそれなりの仕入れが必要
- スキル販売
- 自分の得意なことを人に教えたり、知識や情報を教材化して販売したりする業種
- どう教えるか、どうスキルを商品化するかが重要
- 開業のハードルは低いが、事業として軌道に乗せるには難易度が低くない
- アフィリエイター
- ブログなどに広告を載せ、クリック数や販売に結びついた数などで収益を得る方法
- 時間と手間をかけて価値のあるコンテンツを提供でき、独自のしかけやシステムを開発できれば、破格の収益を得られる可能性も
- そのためには、粘り強いコツコツとした試行錯誤、さまざまな創意工夫が必要
- インフルエンサー
- YouTuber、Instagramerなど、SNSで自分のコンテンツを披露して収益化する人
- どれだけ注目を集め、集客し、それをマネタイズするかをしっかり考えなくてはならない
- ただ単に「自分を晒す」「突飛な行動で悪目立ちする」というだけではダメ
- 動画制作
- ARやVRの知識やノウハウがあり、来るべき5Gの大容量時代に備えられればおすすめ
- とはいえ、現役の映画監督も参入してくるほど、既にレッドオーシャンの業界
- 参入するなら、覚悟が必要
- マジシャン、パフォーマーなど
- 起業の元手はかからないが、仕掛けにお金はかかることに注意
- コロナ過では感染症拡大を防ぐ理由から、イベント需要が少なくなってきている現状も
- マッサージ、整体
- 店舗を構えるのではなく、自宅のスペースやコアワーキングスペースを使って訪問型にする、などなら元手があまりかからない
- 体力勝負なことに加え、お客さんに選んでもらえる技量はもちろん、集客・PR・販促などの工夫が必要
- 営業代行
- 営業行為そのものがノイズととらえられやすいため、ニーズは少なくない
- ただし、成果報酬で契約した場合は売り切らなければ収益をあげられない
- 飛び込みやテレアポは嫌われるので、それ以外でモノを売るための営業力が必要
おわりに:初心者や業界未経験者なら、在庫や初期投資が不要な業種がおすすめ
初心者や業界未経験者の場合、いちから業界を勉強しなくてはならないこと、人脈が少ないことなどがリスクとして挙げられます。そこで、フランチャイズ系やネットショップ経営など、ブランド力を借りて集客できたり、在庫を抱え込まなくても済んだりするビジネスなら比較的リスクを軽減できるでしょう。資金が足りないときは、クラウドファンディングや個人事業主として開業する方法もありますので、よく検討しましょう。
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