介護資金の平均額や介護保険負担額の決定法って?活用したい公共介護費用軽減制度を紹介

介護のための老後の資金計画お金の悩み
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加齢に伴い足腰が衰えなどが進み、日常生活を支えてもらわなくてはならない「介護」の状態になったとき、どのくらいの費用がかかるのかを意識している人は少ないのではないでしょうか。

今回は、いざというとき慌てずに済むよう、介護保険で受ける介護サービスを中心に、老後に必要とされる介護費用や負担軽減制度について詳しく見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 介護サービスの自己負担の割合の目安や介護費用の相場
  • 介護のための初期費用はいくらくらいを見積もるべきか
  • 有料老人ホーム入居にかかる費用
  • 公的介護保険サービスの受給要件と受給額の関係
  • 「高額介護合算療養制度」と「高額介護サービス費支給制度」の活用法

介護費用は500万円にも及ぶ?月額の介護費用の平均は?

介護保険制度により、介護サービスの自己負担は介護を受ける本人の所得に応じて1〜3割となっています。9割以上の人は1割負担ですが、全体の約6%が2割負担、全体の約3%が3割負担であるという介護保険受給者のデータもあります。このように、ほとんどの人が1割負担で介護サービスを利用できるものの、使える金額は介護度に応じて限度があります。

生命保険文化センターが行った「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」によれば、実際に月々の介護費用として支払った金額の平均は78,000円でした。また、最も高額となった「15万円以上」も15.8%存在します。これは、介護保険の範囲内で賄いきれない分を全額自己負担で受けたことによると考えられます。

さらにかかった費用を詳しく見ていくと、以下のようになっています。

  • 0〜2.5万円未満…23.7%
  • 2.5〜5万円未満…11.0%
  • 5〜10万円未満…20.0%
  • 10〜15万円未満…14.9%
  • 15万円以上…15.8%
  • 不明…14.6%

介護保険の限度額内でやりくりできれば支払額は1〜3割負担で済みますが、超えた分は全額自己負担になってしまうため、介護費用が少なく済むケースと高額になるケースの割合が均等に分布していると考えられます。

また、介護が始まる際に初期費用がかかることもあります。自宅をリフォームしたり、介護用ベッドを購入したりすると、それなりにまとまったお金が必要です。このように、介護を始めるときにかかった初期費用の平均は69万円で、その内訳は以下のようになりました。

  • なし…15.8%
  • 15万円未満…19.0%
  • 15〜50万円未満…15.4%
  • 50〜100万円未満…9.1%
  • 100万円以上…14%
  • 不明…26.7%

100万円以上かかったというケースは14%とわかっていますが、さらにそのうち200万円以上の費用がかかったというケースも6.1%存在します。介護というと寝たきり状態で、食事の準備や床ずれの防止などに注意するのが中心だと思っている人も多いのですが、実際には足腰が弱くなってきた人への見守り、洋服の着替えの介助など、徐々に弱っていく身体能力やその個人差に合わせてさまざまな対応が必要です。

同じく生命保健文化センターの調べによれば、介護期間は平均54.5ヶ月(4年7ヶ月)ということがわかっています。この期間に前述の月額費用や初期費用を合わせると、平均的な介護費用の総額は500万円近くなります。さらに、介護期間は個人差がより大きくなりますので、実際にはさらに長期間に及び、その分介護費用も増える可能性があることを考慮しなくてはなりません。

要介護状態になる原因で多いものは?介護保険の支給限度額って?

介護保険サービスを利用するときには、要支援・要介護といった「要介護度」の認定が必要です。介護サービスの必要度合いによって「要支援1〜2」または「要介護1〜5」に分類されますが、こうした要介護状態になってしまう直接的な原因としてはどのようなものが考えられるのでしょうか。主な原因を見ていくと、要支援・要介護別に以下のようになりました。

<要支援者>

  • 関節疾患…17.2%
  • 高齢による衰弱…16.2%

<要介護者>

  • 認知症…24.8%
  • 脳血管疾患(脳卒中)…18.4%

「要支援者」となる原因である「関節疾患」や「高齢による衰弱」の場合、加齢によるところが大きいので、どんなに身体に自信があっても、健康に気をつけていても完全に避けることは難しいと考えられます。さらに、不慮の事故や疾患も完全に可能性をゼロにすることはできません。こうした場合にも、ある程度の備えはしておいた方が良いでしょう。

介護が必要になった場合、介護サービスだけでなく有料老人ホームなどの利用を検討するケースもあり、その場合は利用の費用も必要です。多くの介護つき有料老人ホームの場合、入居時に一時金を支払わなくてはならず、50万円未満で済むケースもありますが、中には1,000〜2,000万円が必要となる施設もあります。入居経験者を対象に行った調査で、一時金の平均額は508万円になったという結果も報告されています。

一時金はあくまでも利用者が老人ホームに預けるものですから、途中で退去となれば償却期間に応じた分を除いて返還されます。しかし、最初に手元に用意がなければそもそも入居できません。ですから、最初にご紹介した500万円で安心せず、余裕をもって介護費用を用意しておくと良いでしょう。

介護度による給付限度額ってどのくらい?

公的介護保険のサービスを受けられるのは、「要介護認定」を受けて「要支援1〜2」または「要介護1〜5」に分類された人だけです。認定を受けると、ケアマネジャーが毎月の介護計画を作成し、介護度別に給付限度額の範囲内で介護サービスを受けられます。最初にご紹介したように、多くの人は1割負担ですが、所得が多い場合は2割負担や3割負担になることもあります。

2019年10月から消費税率が引き上げになったことで、給付限度額も改正されました。以下がそれぞれの要介護状態による給付限度額です。

  • 要支援1…50,320円
  • 要支援2…105,310円
  • 要介護1…167,650円
  • 要介護2…197,050円
  • 要介護3…270,480円
  • 要介護4…309,380円
  • 要介護5…362,170円

※実際の支給限度額は金額ではなく単位で決められていて、サービスの種類によって1単位あたりの金額が異なります。ここでは、目安として1単位=10円で計算しています。

このように、介護度が高くなるほど給付の限度額も高くなるのですが、要介護度が上がるほど受けられるサービスの料金もやはり高くなります。ですから、要介護度を高く認定してもらえれば費用が安く済むとは限りません。

また、少子高齢化が進む中で、介護保険の給付額はどんどん増加し、ますます現役世代の介護保険料の負担が増えています。そのため今後は、所得に応じてさらに介護保険料の利用者負担が増えることが予想されます。

介護保険の負担額はどうやって決まるの?

前述のように、介護保険サービスを受ける際の自己負担額は1〜3割です。介護サービスを受けるときには介護事業者に「介護報酬」を支払う必要がありますが、この報酬のうち、「自己負担額」以外は「介護給付」から支払われています。介護給付部分を負担するのは介護保険制度であり、財源の構成は介護保険料50%、国の負担25%、都道府県の負担12.5%、市区町村の負担12.5%となっています。

この介護保険制度を維持し、かつ公平性を確保するため、現役世代並みの所得がある高齢者については介護保険サービスの自己負担額が2割、さらに所得に応じて自己負担額が3割となるよう制度が改定されてきました。例えば、65歳以上で一人暮らしを営み、「年金収入とその他の収入の合計所得が年間340万円以上ある」という場合、自己負担は3割となります。

このように、保険料の負担割合は世帯に65歳以上の高齢者が何人いるかによって以下のように決まります。

世帯に65歳以上の人が1人(単身者を含む)の場合

3割負担になる場合
年金収入+その他の合計所得が340万円以上
2割負担になる場合
年金収入+その他の合計所得が280万円以上340万円未満
1割負担になる場合
年金収入+その他の合計所得が280万円未満
合計所得が160万円未満

世帯に65歳以上の人が2人以上(夫婦世帯など)の場合

3割負担になる場合
年金収入+その他の合計所得が463万円以上
2割負担になる場合
年金収入+その他の合計所得が346万円以上463万円未満
1割負担になる場合
年金収入+その他の合計所得が346万円未満
合計所得が160万円未満

また、40歳以上65歳未満の第2号被保険者、市区町村税非課税、生活保護受給者の場合は上記に関わらず、1割負担となります。このように、世帯によって保険料の負担割合が異なりますので、自分や世帯でどのくらい負担しなくてはならないのかあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

公共制度で介護費用を軽減させよう!どんな種類がある?

ここまでご紹介してきたように、介護費用は意外と高額になってしまう場合があります。しかし、そんな場合でも介護保険以外の公共制度を利用し、介護費用の自己負担を抑えられるケースがあります。まずは、「高額介護合算療養制度」と「高額介護サービス費支給制度」について見ていきましょう。

高額介護合算療養制度」とは、1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、基準額を超えた場合はその超えた分の金額が支給される、という制度です。例えば、老人ホームや介護施設に入居している要介護者が介護保険を使って介護サービスを利用したり、国民健康保険などで医療機関にかかったりした場合、この制度が適用されます。

基準額は要介護者の年齢と収入(年金or現役所得者)によって細かく設定されていますが、ざっくり以下のような基準額が設定されています。

70歳未満
34、60、67、141、212万円のいずれか
70歳以上
19、31、56、67、141、212万円のいずれか

高額介護サービス費制度」とは、介護サービスを利用して支払った自己負担額に対し、1ヶ月の合計が一定の金額を超えた場合、申請をすると超えた分が払い戻されるという制度のことです。このサービスは国の制度に基づいて各市町村が実施するもので、個人の所得や世帯の所得に対して以下のように上限額が異なります。

現役並み所得者に相当する人がいる世帯の場合
世帯全体で44,400円
世帯内の誰かが市町村民税を課税されている世帯の場合
世帯全体で44,400円
世帯全員が市区町村民税を課税されていない世帯(前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間80万円以下、など)の場合
世帯全体で24,600円
介護サービスを利用した個人で15,000円
生活保護を受給している人の場合
個人で15,000円

老人ホームなどの居住費、食費、差額ベッド代、生活費などは高額介護サービスの対象となりませんので、注意しましょう。また、在宅で介護サービスを受ける場合の福祉用具購入費、住宅改修費などについても同様に支給対象とはならないため、注意が必要です。

施設を利用しても介護費用の負担を減らせる場合がある?

介護保険施設やショートステイなどを利用する場合、食費・居住費(滞在費)は原則として全額自己負担ですが、所得や預貯金の額が一定以下の人の場合、市町村から「介護保険負担限度額認定証」の交付を受ければ自己負担の限度額を以下のように減額されます。減額された分は介護報酬によって介護事業者に支払われるので、補足給付とも呼ばれます。

第1段階:老齢福祉年金受給者で、世帯全員が住民税非課税または生活保護受給者の場合
食費:300円
居住費・滞在費:居室の種類によって0〜820円
第2段階:世帯全員が非課税者で、合計所得金額と課税年金額、非課税年金収入額の合計が80万円以下の場合
食費:390円
居住費・滞在費:居室の種類によって370〜820円
第3段階:世帯全員が非課税者で、第2段階に当てはまらない場合
食費:650円
居住費・滞在費:居室の種類によって370円〜1,310円

ただし、上記に該当しなくても、2人以上の世帯で1人が施設に入所し、その住居費・食費を負担するのが困難であると認められる場合、ショートステイを除いて特別減額措置が受けられる場合もあります。介護費用で困っている場合は、一度市区町村の介護保険担当課やケアマネジャー、入所する施設などに相談してみましょう。

また、施設を運営する社会福祉法人が利用できる国の制度として「利用者負担軽減措置」というものもあります。生計が困難な低所得者や生活保護受給者の負担を軽減する制度で、サービスを提供する社会福祉法人がこの制度の実施を地方自治体に申告していれば利用できます。軽減措置を実行している法人については、各自治体の福祉課で確認しましょう。

その他に利用できる公的制度って?

他にも、市区町村などの自治体が独自の助成制度を設けている場合もあります。各制度があるかどうか、またその詳細についてはお住まいの自治隊に問い合わせてみましょう。

家族介護慰労金
介護サービスを受けていない中重度の要介護者を介護している家族を慰労するための制度
(対象の一例)要介護3以上の認定を受けた方と同居して介護をしている、ともに住民税の非課税世帯である、など
ホームヘルプサービスなど、利用者負担の助成
住民税非課税世帯などの人で、対象者と認定されれば助成(訪問介護や看護、介護予防訪問介護、夜間対応型訪問介護などの利用者負担をさらに軽減する)を受けられる
条件は生活保護を受けていない、本人及び世帯全員が住民税非課税である、世帯の預貯金や国債・株券などの総額が500万円以下である、住民税が課税されている親族などに扶養されていない、など

介護のために会社を休んだときは「介護休業給付金」制度を使おう

介護を必要とする家族のために会社を休んだ場合、その休みは「介護休業」とされ、「介護休業給付金」を受給できます。この場合の「介護を必要とする家族」とは、上記のように要介護認定を受けた人を含む「病気やけが、身体上または精神上の障害で、2週間以上にわたって常時、歩行・排泄・食事などの日常生活に必要な行為に対する介護を必要とする家族」のことです。

介護休業給付金の給付条件は、以下のようになっています。

  • 1年以上、雇用保険の被保険者として勤務している
  • 家族の常時介護のため、2週間以上の休業が必要である
  • 職場復帰を前提として、介護休業を取得する

これらの条件を満たせば、対象の家族1人につき通算93日間まで、3回を上限として分割して介護休業を取得でき、休業中は給与の67%を受給できます。ただし、介護休業は労使協定などによって除外者の条件などが変わる場合がありますので、取得したい場合は必ず勤務先に確認しましょう

おわりに:介護資金の平均額は500万円!余裕を持って準備し、軽減制度を利用しよう

介護に必要な総費用は、要介護度や介護期間によっても異なりますが、平均で約500万円と計算されます。しかもこれは老人ホームなどに入居しない場合ですから、余裕を持って費用を用意しておいた方が安心です。

高額になりやすい介護費用を軽減する制度として、介護保険制度以外にも国や自治体がさまざまな制度を設けています。介護費用について気になる場合は、ぜひお住まいの市区町村など自治体に問い合わせてみてください。

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