食後の息苦しさは食べ物アレルギーかも?アレルゲンの種類や治療法って?

食べ物アレルギーと食べ物からだの悩み
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何らかの食物を食べた後にじんましんなどの症状が出る「アレルギー」。一般的にはじんましんやかゆみのイメージが強いアレルギー反応ですが、息苦しさや呼吸困難となって現れることもあります。

今回はそんなアレルギー反応のうち、食べてすぐに発症する「即時型食物アレルギー」について、アレルゲンの種類や治療法も含めてご紹介します。本人はもちろん、お子さんなど家族、同僚で食物アレルギーがある人は参考にしてください。

この記事でわかること
  • 皮膚以外のアレルギー症状って?粘膜や消化器にも?
  • アナフィラキシー症状の原因物質とは
  • 三大アレルゲンはどの食品?そのほかのアレルゲンって?
  • アレルギーを未然に防ぐための食品表示の見方や注意点
  • 抗ヒスタミン薬やステロイド薬の効果や使い分け
  • 経口免疫療法の安全性や理解しておきたいこと

皮膚や呼吸器の異変など即時型食物アレルギーの症状

食物アレルギーにはいくつかのタイプがありますが、中でも一般的に問題視されるのは「即時型食物アレルギー」という、摂取後2時間以内に現れるアレルギーです。即時型食物アレルギーではさまざまな症状が出ますが、概ね以下のような症状がよく見られます。

最も多い:皮膚症状
  • じんましんやそれに伴う痒み、血管運動性浮腫、発赤、湿疹
  • 患者全体の80〜90%が発症
二番目:呼吸器症状(下気道症状)
  • 呼吸困難、咳、喘鳴(呼吸のときにゼイゼイ、ヒューヒューと雑音を発する)など
  • 患者全体の20〜30%が発症
三番目:粘膜症状
  • 外表的症状と気道粘膜症状を合わせて患者全体の20〜30%
  • 主にまぶたや唇などの腫れ、眼粘膜充血、かゆみ、流涙、眼瞼浮腫といった外表的症状が出る
  • 上気道症状:口腔粘膜・咽頭の掻痒感、違和感(イガイガする)、腫脹(腫れ)、咽喉頭浮腫(喉の奥がむくむ)、くしゃみ、鼻水、鼻閉(鼻がつまる)
四番目:消化器症状
  • 腹痛、胃などのむかつき、嘔吐、下痢など:患者全体の10%くらいが発症
最も少ない:ショック症状(全身症状)
  • 最重症で、医学的には生死をさまよう状態。アナフィラキシー症状とも
  • 頻脈(脈が速くなる)、血圧低下、活動性低下(ぐったりする)、意識低下
  • 患者全体の7〜10%

通常、一番多い皮膚症状や外表的な粘膜症状は、程度がひどくなったとしても生命に関わるものではありません。しかし、気道の粘膜に症状が起こった場合、気道の軟骨に囲まれて腫れは内側に出っ張りますので気道が狭くなり、最悪の場合は窒息することもあります。また、生死をさまようショック症状に約1割の人が陥るということは、食物アレルギーは非常に重篤になりやすい病態だと言えます。

摂取するアレルゲン(原因物質)量や年齢によっても症状の出方は異なります。例えば、授乳期には発赤・湿疹など、離乳期から幼児期にはじんましんや湿疹などの皮膚症状に加えて眼粘膜症状・鼻症状・消化器症状・下気道症状などの形をとることが多くなり、最重症の場合にはアナフィラキシー症状を呈することもあります。

アナフィラキシー症状(アナフィラキシーショック)とは
食物のほか薬物・虫刺され(主に蜂の毒)・ラテックス(天然ゴム)・ワクチン・運動などが原因で誘発される全身性の急性アレルギー症状。急激な症状悪化から死に至ることもあるため、非常に危険で重篤なアレルギー反応

アナフィラキシー症状でよく見られるのは、以下のようなものです。

初期症状
口内の違和感、唇のしびれ、四肢のしびれ、気分不快、吐き気、腹痛、じんましん
中程度の症状
のどが詰まった感じ、胸の苦しさ、めまい、嘔吐、全身のじんましん、ゼイゼイとした息苦しさ
強い症状
呼吸困難、血圧低下、意識障害

これらの症状は人によっても、アレルゲンによっても異なりますが、特にじんましんなどの皮膚症状は症状の出始めに見られるケースが多いとされています。

食物アレルギーの原因となるアレルゲンの種類

食物アレルギーを引き起こす(原因物質=アレルゲン)としてよく知られているものに、卵・牛乳・小麦が挙げられます。

これらは「三大アレルゲン」と呼ばれるほど発症数が多く、さらに患者数は比較的少ないものの、症状が重篤になりやすい物質としてそばとピーナッツがあります。以上の5品目は、食品衛生法においても「特定原材料」として表示が義務付けられています。

特定原材料
  1. 牛乳
  2. 小麦
  3. そば
  4. ピーナッツ

アレルギー反応を引き起こす原因物質としては他にもさまざまなものがあり、例えば平成14年度に医療機関を救急受診して食物アレルギーと診断された人を対象とした調査では、前述の5品目のほか、下記の品目が挙げられました。

  • 甲殻類
  • 果物類
  • 魚類
  • 魚卵
  • 大豆
  • ナッツ
  • 肉類 など

特に魚卵ではイクラが注目されていて、アレルギー反応を引き起こす食品はその時代の食生活や食文化を反映すると考えられています。

さて、三大アレルゲンとして知られる牛乳や卵ですが、これらは乳児期や小児期に判明することが多い反面、成長とともにアレルギー反応が消失することも多いです。ある調査によれば、卵は3歳までに約40%が、牛乳は約60%がアレルギー反応を起こさなくなっていきます。これは、消化能力が上がることで卵や牛乳のタンパク質をアミノ酸に分解できるようになるためです。同様に、小麦や大豆も比較的成長とともにアレルギー反応がなくなりやすいとされています。

一方、ピーナッツなどのナッツ類、甲殻類、貝類、魚類、果物類などが引き起こすアレルギー反応は成長しても治りにくい傾向にあります。ピーナッツアレルギーなどは乳幼児期に発症すると治ることもあるようですが、アレルギー反応を引き起こす食品が多い、他のアレルギー疾患を発症している、特異的IgE抗体が高値、アナフィラキシーの経験があるなどの場合は治りにくいとされています。

また、いったん治った後に食物アレルギーが再発したという報告もあります。アレルギー反応を持つ人は、定期的に病院を受診し、食物アレルギーの経過を診察してもらうようにしましょう。

食物アレルギー予防は食品表示チェックが必須!

先ほど、三大アレルゲンとピーナッツ・そばに関しては「特定原材料」として表示が義務付けられているとご紹介しました。これは平成13年から食品衛生法に基づいて定められたもので、加工食品にアレルゲンとなりやすい食品を使っている(発症頻度が高い三大アレルゲン、または重篤な症状を引き起こしやすいそば・ピーナッツなど)場合に表示の義務が生じます。

特定原材料(7品目):表示は義務
卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ(落花生)、えび、かに
特定原材料に準ずるもの(21品目):表示が推奨される
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、牛肉、キウイフルーツ、くるみ、ごま、鮭、鯖、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、山芋、りんご、ゼラチン、アーモンド

特定原材料は表示が義務ですが、準ずるものの表示はあくまでも推奨ですから、加工食品に含まれていても表示されないことがあります。また、加工食品にアレルゲンが含まれていても表示されていない例があるため注意が必要です。主に「コンビニエンスストアで店内調理したもの」や、「飲食店や露店などお店の加工食品」などが挙げられます。

これは、特定原材料で表示が義務づけられる商品はあくまでも「容器包装された加工食品や添加物」のみだからです。つまり、包装されたお弁当やお菓子類にはアレルギー表示がされていますが、店内調理のおでんやお惣菜などは特定原材料を使っていてもアレルギー表示がされていない場合があります。こうした商品を購入するときには、店員の方にアレルゲンが使われていないかどうか口頭で確認しましょう。

また、飲食店においても同様に、アレルゲンの表示をしている飲食店も多いのですが、あくまでサービスであり、アレルギー表示法における精度の高い管理が行われているとは限りません。飲食店のアレルギー表示はあくまでも参考程度にとどめ、店員の方に必ず原材料などの確認を行いましょう。特に、微量でも症状が誘発されてしまうという人は、表示の有無に関わらず飲食店の料理や容器包装されていない加工食品を食べるのは避けておくのが無難です。

さらに、食品表示でアレルゲンと表示が酷似しているが、アレルゲンとは別物で食べられるという成分が存在します。主に以下のような表示が当たります。

卵に似た表示
卵殻カルシウム(卵殻焼成カルシウム、卵殻未焼成カルシウム)
牛乳に似た表示
乳化剤、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸菌
小麦に似た表示
麦芽糖

例えば「卵殻カルシウム」とは卵の殻を加工したもので、焼成・未焼成ともに卵タンパクの残存は無視できる程度にしか付着しませんので、卵にアレルギーを持つ人でも基本的には除去せず食べられます。ただし心配な人は医師に相談しておきましょう。

家や外出先で食物アレルギーが出たときの対処法

家や外出先で食物アレルギー(即時型食物アレルギー)が出たときは、症状が進行するのを防ぐため、速やかに以下のような薬物療法を行います。日頃から保管場所や使用期限に注意し、緊急時のための薬剤を準備しておきましょう。

抗ヒスタミン薬:30分〜1時間で効果発揮
  • 皮膚のかゆみ、赤み、じんましんなどに有効だが、アナフィラキシーには効果が不十分
  • 抗ヒスタミン薬には多くの種類があるので、眠気などの鎮静作用の有無、錠剤・ドライシロップ・シロップなどの剤型を考慮して主治医と相談する
気管支拡張薬:内服は30分以上、吸入は速やかに効果発揮
  • 気管支を広げて咳や喘鳴を和らげるもので、喉の腫れによる咳や呼吸困難には無効
  • 吸入薬・内服薬・貼付薬があり、貼付薬は効果が現れるのに数時間かかるため、即時型食物アレルギーの治療薬としては使わない
  • 吸入薬では吸入器や吸入補助具が必要になることもあるので、使いやすさと作用時間を主治医と相談して決める
ステロイド薬:4〜6時間で効果発揮
  • 時間をかけてゆっくり効果が発揮される
  • 即効性はないが、数時間後に症状が再発する遅発型アレルギーを予防する効果もある
アドレナリン自己注射製剤(エピペン®︎):速やかに効果発揮
  • アナフィラキシーのすべての症状を和らげる
  • 心臓の動きを強めたり、血管を収縮したりして血圧を上げる
  • 皮膚の赤み(紅斑)や喉の腫れ(喉頭浮腫)を軽減する
  • 気管支を広げ、呼吸困難を軽減する

アドレナリン自己注射製剤は、効果が5分以内に認められるという即効性を発揮するものの、体内で分解(代謝)されやすい薬剤でもありますので、効果の持続時間は約20分程度です。そのため、アドレナリン自己注射製剤を使うのは基本的にアナフィラキシー(またはアナフィラキシー・ショック)で緊急性の高い症状が1つ以上見られた場合とし、使用後は速やかに救急車で医療機関を受診しましょう。

食物アレルギーの診断法と治療法

食物アレルギーの診断は、問診(聞き取り)とさまざまな検査を組み合わせて行われます。基本となるのは問診で、具体的な症状や食べた食品の種類や時間、これまでかかった病気、普段の生活の様子、家族のアレルギーの有無や症状などを確認します。また、食べた食品の種類・食べた時間・そのときの症状を記入した「食事日記」をつけておくと日頃の食生活がわかり、診断の参考になります。

検査としては抗IgE抗体の有無を調べる血液検査、皮膚スクラッチテストなどを行います。場合によっては食物除去試験(アレルゲンと思われる食物を2週間食べないことで症状が改善されるかどうか確認する)や、食物負荷試験(アレルギー反応がない状態で、アレルゲンと思われる食物をもう一度食べ、悪化するかどうか確認する)を行うこともあります。

アレルゲンが特定できたら、アレルギーの原因になっている食物を除去する食事療法を行います。もし、アレルギーを起こす食品が多くて成長に必要な栄養素が足りなくなってしまいそうなときは、代替食品を取り入れて栄養バランスが偏らないよう気をつけましょう。また、食物を完全に除去できないときは抗ヒスタミン薬やインタール(抗アレルギー薬)の内服を補助療法として利用することもあります。

食物アレルギーでアナフィラキシー症状を引き起こしてしまう人は、前述のアドレナリン自己注射製剤(エピペン®︎)を携帯します。アドレナリン自己注射製剤は昇圧・気管支拡張作用がありますので、アナフィラキシーによる血圧低下や呼吸困難を和らげます。

じんましんを起こした後、咽頭浮腫や喘鳴、呼吸困難などが起こったときにはすぐ自分で大腿部に注射します。子どもの場合は保護者など大人に注射してもらいましょう。注射後は速やかに救急車で医療機関を受診し、副腎皮質ホルモンを注射してアレルギーの治療を行います。

経口免疫療法の進め方

経口免疫療法とは
連日原因食物を少しずつ食べていくことでアレルギー反応を減らす治療法。減感作療法とも呼ばれ、専門の医師の管理のもとで行えば十分に効果が見られたという報告が国内外でされている。

基本的に経口免疫療法は「食物負荷試験において明らかな誘発症状があり、経口免疫療法の治療適応がある」と判断した患者さんに対して行います。

経口免疫療法はアレルゲンをあえて体内に取り入れる治療法ですから、アナフィラキシーショックを含めた症状を誘発する危険性を含め、思いもよらない副作用が生じるリスクがあります。ですから、経口免疫療法は安易に行うべきではなく、さまざまなリスクに対して適切かつ迅速に対応できる専門医のもとで慎重に行わなくてはなりません

日本小児アレルギー学会や世界各国の治療方針においても、経口免疫療法は「研究的な段階にあり、専門の知識を持った医師のもとで行われるべき」とされています。ですから、自宅で患者さんとその家族のみの管理で少しずつアレルゲンを食べていく、ということは絶対にやめましょう。必ず専門医による診察や検査、負荷試験などを行ったのち、医師の判断で進めていかなくてはなりません。

とはいえ、これまで耐性獲得を待つか、あるいは耐性獲得を諦めざるを得なかった重い食物アレルギー患者さんにとって、経口免疫療法が画期的な治療法であることは間違いありません。専門の医師とよく話し合い、十分な説明や検査を受けた上で正しく治療を行いましょう。

おわりに:食物アレルギーで呼吸器症状が起こることもある。対処が重要

食物アレルギーではじんましんやかゆみなどの皮膚症状がよく知られていますが、全体の2〜3割の人では咳、喘鳴、呼吸困難などの呼吸器症状が起こることも知られています。食後に息苦しさが生じる場合、即時型食物アレルギーの可能性があります。

即時型食物アレルギーの対処には主に薬物療法が用いられます。原因物質が特定できれば、その食物を避けるのが基本ですが、場合によっては経口免疫療法を用いることもあります。

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