自社の商材や提案の理解を促し、魅力を十分に伝えるため、営業活動では口頭での説明と営業資料を併用するのが一般的ですよね。
そこで今回は基本的な作成方や、より自社商材の魅力を伝えるためのポイント、外注をする場合の予算相場まで、営業のための資料作りについて解説していきます。
- この記事でわかること
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- 口頭だけでは営業成功につながりにくい理由
- 営業初心者におすすめ基本的な営業資料の構成
- 表やグラフ、文章量のバランスの考え方
- ネット発注ができる営業資料作成サービス
営業資料を作成する目的とは?オンライン営業でも活用したい!
自社の商材、提案の営業に当たり資料を作成する目的としては、以下が挙げられます。
- 個々人の能力に関わらず、営業や説明のクオリティを一定に保つため
- 営業先での検討時、何度でも自社の商材や提案内容、その魅力を確認してもらうため
自社の商材を売り込み、アピールするためのスキルにはかなり個人差があります。
持ち前の人間的魅力を武器に仕事を勝ち取ってくる営業担当もいれば、論理的な思考・説明で顧客を納得させ、顧客の信頼を得る営業担当もいますよね。
そのため営業スキルを共有すること、営業クオリティを均一化することは非常に難しいのです。
しかし同じ営業資料を使えば、営業力の個人差をある程度補って自社や商材の魅力を顧客に伝えることができます。
また、せっかく営業の機会を得ても、いきなり代表者や決裁者に会えるとは限りません。直接の営業を受けるのは一般的には窓口担当者ですので、すぐには決裁権を持つ人物には会えず、顧客の窓口担当者から資料と口頭で内容を伝えられる場合も多いでしょう。
口頭説明だけでは記憶違いが起きたり、窓口担当者の伝え方で十分に商材の魅力が伝わらないこともありますが、わかりやすい資料があれば自社商材について正確に伝えられます。
このように営業資料は、営業担当にとって強力な武器となり得る重要な存在なのです。
なお、新型コロナウイルス感染症流行の影響により直接の営業活動が難しく、オンラインでの営業が増えている点でも営業資料は非常に重要と言えます。
オンライン営業では、音声よりも視覚的な要素へ意識が集中します。口頭での説明を補完し、説明内容を視覚的にわかりやすく伝えてくれる営業資料は、オンライン営業の強い味方です。
営業資料に盛り込む基本的な内容
営業資料に盛り込むべき基本的な項目、内容、流れは以下の通りです。
- 営業資料に盛り込むべき項目
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- 表紙
- サマリー
- 課題や問題の提起
- 自社サービスの紹介
- 導入後に期待できる効果
- 自社サービスが選ばれる理由
- 過去の事例、実績紹介
- 業界や分野ごとの、自社サービス導入企業の一覧
- 自社サービスの利用にかかる料金一覧表
- ご利用の流れ
- 自社の会社概要
- メディアへの掲載歴、執筆歴
- 問い合わせ先について
- 基本的な営業資料の流れ
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- 表紙とタイトル、資料の趣旨説明
- これから提案する商材が、誰に向けたどんなものかの要約
- 営業先が直面し、自社のサービスで解決が見込める課題を3つほど具体的に提示
- 自社のサービス内容を交えながら、3で挙げた課題を解決できることを紹介
- 自社サービスの導入後、営業先にどのような効果があるかグラフなどで紹介
- 自社サービスの魅力をより深く伝えるため、強みを「選ばれる理由」として紹介
- 過去の実例から、自社サービスの導入前・導入後の効果を具体的に紹介
- 自社への信頼感を高めてもらうため、自社サービス導入企業の一覧を表示
- 自社サービスの購入価格、複数プランがあるならプラン別の価格も表示
- 仮に自社サービスを利用する場合、どのような流れで導入に至るかを説明
- 自社サービスの申し込みや利用について、よくある質問に回答し疑問を解消
- サービスを提供する自社について、資本金や所在地など基本情報を開示
- 過去にメディアで紹介されたり、何らかの賞を受けたことがある場合は紹介
- 問い合わせや申し込みの窓口について記載
上記の構成・内容をベースに、自分以外の誰が見ても自社のサービス内容や魅力について理解できる、わかりやすい内容になるよう営業資料を作成してください。
また、文字数や文字の大きさについても、資料の使用シーンについて変えることが望ましいです。
営業資料の文字や内容について
- 少ない文字数、大きなフォントにすべきケース
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- 大きな会議室などで、プロジェクター等に映し出される予定の資料。配布して読んでもらう前提だが、渡す相手が高齢の役職者と想定される
- 小さい文字を使ってでも、情報量を増やすべきケース
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- 配布することを前提としていて、検討のため企業内で回し読みされる可能性が高い
- 営業スキルにあまり自信がなく、資料で口頭での説明をしっかりカバーしたい
- わかりやすい言い回しにすべきケース
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- 営業先の担当者、読み手が自社の業界やサービス内容に詳しくないと想定される
- 表やグラフを多用し、完結にした方が良いケース
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- 営業先の担当者がせっかちで、流し読み程度でも理解できる資料を求めている
相手やサービス内容、状況に応じて内容を変え、より効果的な営業資料を作成しましょう。
AIDMAプロセスをもとに購買意欲を促す営業資料を!
営業資料を作るうえで知っておくと良いとされるのが「AIDMA」プロセスです。
AIDMAとは、顧客が商品を吸入するまでに経る過程を現す頭文字から成る言葉。
- A…「Attention(注意)」まだサービスを知らず、知ってもらわなければならない状態
- I…「Interest(興味)」サービスは知っているが興味はなく、説明の機会を設けるべき状態
- D…「Desire(欲求)」まだサービスを欲してはいないが、必要性を知ってもらうべき状態
- M…「Memory(記憶)」サービスを欲しいと思ったことがあり、そのことを思い出してもらうべき状態
- A…「Action(行動)」サービスの魅力を理解し、必要性も感じているが、買う機会がないと考えている状態
上記のうち最初のAは認知段階、I・D・Mは感情段階、最後のAは行動段階と呼ばれ、顧客が商品やサービスを購入するまでにはこのプロセスを経ると考えられています。
そして営業資料を作る際には、営業先の顧客がAIDMAのうちどの段階にいるのか見極め、各段階に合わせた内容にすることで購買意欲を促せると言うのです。
以下に、AIDMAプロセスを意識し営業資料を作るためのポイントをまとめていますので、参考にしてくださいね。
AIDMAを考慮した営業資料作りのポイント
- A
- まずは商品、サービスを知ってもらうことを目標とすべき段階。まったくの新規顧客。自社のWebサイトや展示イベント、簡単な資料や自社や自社サービスについて知ってもらい、潜在的ニーズの喚起を狙う。
- I
- 商品、サービスに興味を持ってもらい、具体的に説明する機会をもらう。短い時間でもしっかり商材の魅力を理解してもらえるよう、ポイントを抑えた簡潔な営業資料を用意して説明し、前向きに利用を検討してもらえそうか探ると良い。
- D
- 商品、サービスの魅力を理解したうえで、もっと知りたいと思わせる。顧客の困りごとや状況を聞いたうえで、具体的な説明と提案の機会をもらえるよう、サービス内容や導入実績などを記載した具体性のある資料を用意する。
- M
- 他の類似した商品、サービスではなく、自社の商材を選んでもらえるよう売り込む。顧客と担当者に合わせた個別の資料を用意していき、詳細に説明するとともに質疑応答し、サービス利用にあたっての疑問点や不安点を解消してもらう。
- A
- 担当者の購買意欲を確固たるものとし、上役に購入決済してもらうためのサポートをする。個別の提案書に加え見積書など、決済に必要と担当者が言うものをできる範囲で用意し、顧客である企業全体を購入に向け動かしていく。
売上や成果を上げたい!伝わる営業資料作成のコツ
成果につながる営業資料とは、具体性があり顧客にとってわかりやすい資料のことです。
しかし自社の商材を知り尽くし、その良さをアピールして買ってもらおうと一生懸命に考えるほど、営業資料は細かくわかりにくい内容になりがち。
そこで以下からは、伝えたいことが伝わる営業資料を作るために知っておくべき色やデータ、文字の使い方、構成のポイントをまとめて紹介します。
文字以外の要素を多用し、見てわかる資料をめざそう
イラストやグラフ、写真、チャートや数値など、パッと見て視覚に訴えられる要素を盛り込んだ方が、わかりやすい営業資料になります。
柔らかくわかりやすい色合いに分けられたグラフの他、「〇%のコスト削減に成功」など、伝えたい数値は大きく色を変えて表示するよう意識してください。
口頭で言いたいことを、文章にして羅列するのは避ける
小さい文字でびっしりと書かれた本のページを見て、読む気が失せた経験はありませんか。
営業資料においても、小さなフォントで作られた文字中心の資料は歓迎されません。
イラストや図表、チャートと文字の割合は8:2くらいを意識し、詳細な説明は文字ではなく口頭で伝えてください。
伝えることは、1スライドあたり1つだけにする
1枚のページから、人間はそう多くの情報を受け取れません。「自社や商材の良いところを伝えたい!」と1ページのスライドに情報を詰め込みすぎると、顧客に伝えたいことが伝わらずぼんやりとした印象だけがのこってしまいます。
1スライドあたり、顧客に伝えることは1つだけと決めてページを作っていき、それでもわかりにくいようなら重要な部分の文字色を変えてみましょう。
興味や購買意欲を持った顧客に、どうして欲しいかを明示しておく
ビジネスは商材と欲しいという顧客のニーズと、商材を売りたい企業の熱意があって初めて成立するものです。
このため、一方的に売り込みだけをしても成果にはつながりません。
自社や商材の魅力を理解してくれた顧客にどうして欲しいのか、より深く商材を知ったり、購買意欲を固めるためにどうして欲しいのかのネクストアクションを提示しましょう。
営業資料の基本内容として、問い合わせ先や盛り込まれているのは上記の理由からです。
デザインが難しい…外注で営業資料を作るメリット
どうしても営業資料の作成が苦手で、本来の業務である営業活動に支障をきたすようなら、資料の作成を外注してしまうのもひとつの方法です。
外注で営業資料を作ってもらうことのメリット
- 資料作成にかかっていた時間を、他の重要業務に割くことができる
- 資料の作成経験がない、パソコンスキルに不安がある人でも見やすい資料で営業できる
- いつもとはまったく雰囲気の異なる資料も、プロのデザイナーや他の営業が作ってくれる
以下に、営業資料作成に対応してくれるサービスを3つ紹介しますので、外注先探しにお役立てください。なお、必要な費用や対応してもらえるサービスの内容は依頼する内容、依頼先の条件などによって異なります。
以下に挙げる価格帯はあくまで目安ですので、必ず依頼時に先方へ確認しましょう。
- 1:バーチャルプランナー
- パワーポイントを使った、ビジネス資料の作成だけを請け負っているサービス。営業資料の作成にも対応しており、基本的なページデザイン費用は10,000~15,000円。銀行振り込みの他、クレジット決済にも対応している。
全国からメールと電話の他、東京23区内なら訪問での依頼受け付けにも対応。ただし、最低発注金額は10万円なので、使用できる予算とコストを要確認。 - 2:ランサーズ
- 大手クラウドソーシングサービスのひとつ。サイトに登録する個人が、パワーポイントでの資料作成やエクセルでのデータ入力・集計、リストの作成などに対応してくれる。
価格は10ページまでで3~10万円、エクセルのデータ整理なら50,000円前後が目安。クレジットカードの他にPayPal、銀行振り込みでの代金支払いも可能で、依頼から納品までインターネット上だけで完結できる。 - 3:DDpartners
- パワーポイントに特化した、資料作成代行アウトソーシングサービス。プランはライト、クリエイティブ、コンサルティングの3種類で、料金は1ページあたり3,000~7,000円、基本料金は一律で10,000円。なお最短で翌日納品してもらえるが、支払方法は銀行振り込みのみ。依頼は電話かメールを選択。
おわりに:視覚的にわかりやすく、具体性のある営業資料を作ろう!
自社やサービスの良さを的確に顧客へ伝えるには、視覚的にわかりやすく簡潔な営業資料と、口頭での詳細な説明を併用するのが効果的です。小さな文字で情報を羅列した営業資料は非常にわかりにくく、顧客にとって魅力的とは言えません。数値と図表、データ、イラストなども積極的に用いて、簡潔でわかりやすい営業資料を作成しましょう。なお資料作成がどうしても苦手なら、お金を払って外部のプロに作ってもらうのもおすすめですよ。
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