社会人になると、周囲から読書の習慣化をすすめられる機会が多くなります。本からは情報を得られるほか、考える力が刺激されるなどメリットが多くあります。
しかし、これまで好んで本を読んでこなかった人はどの本を選べばいいか迷ってしまいますよね。そこで今回は国内外から、大人が教養を身に付けられる10のおすすめ本を紹介します。
- この記事でわかること
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- 大人の教養で企画力や段取り力が伸びる理由
- 気軽に読みたい大人の教養本
- ビジネスパーソンのスキルアップにつながる本
- 国際的なビジネス感覚が身につくおすすめ本
仕事にも人生にも役立つ「大人の教養」って?
そもそも「教養」とは、どんなことを意味する言葉なのでしょうか。中世ヨーロッパで誕生した教養、英語で「リベラルアーツ」と表現される言葉は、もともとは大学で学ぶべき「自由七科」の総称でした。
- 中世ヨーロッパの大学「自由七科」
- 大学で学べる文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽のことだとされる
現代日本では学問を学ぶことで身に付く心の豊かさ、学び得た知識に基づいた行いのことなどと解釈される教養を、大人が身に付けるメリットとしては以下が挙げられます。
- 大人が教養を身に付けるメリット
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- 個人では到達できないさまざまな考え方、視点、価値観を知ることができる
- 自分のなかの固定概念や偏見に捉われることなく、多角的に物事を見られるようになる
- 仕事においても、複眼的に思考することで斬新なアイデアが浮かぶ可能性が高まる
- 仕事を要領よくこなし、高い成果を上げるのに役立つ論理的思考力や語彙力、表現力、コミュニケーション能力が高まる
偉大な作家や学者、経営者をはじめ、その時代を懸命に生きた人達がのこした本を読むことは、大人に求める教養を身に付けるのに有効的な方法のひとつなのです。
読書の必要性を理解し、教養を身に付けるために読書をしたいけど何を読めばいいかわからない、と言う人にはビジネスパーソンに人気のベストセラーがおすすめ。
次章からはカテゴリ別に、大人の教養を身に付けるのに役立つ本を具体的に紹介します。
大人の教養の入門書!基本を固めたい人はまずコレ
まず、教養を身に付けるために始める読書の入門書としては以下2冊が挙げられます。
1:池上彰著「おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」
日本において大人の教養、大人こそ教養を身に付けるべきという考えが浸透するきっかけとなった一冊です。
「自分がどういう存在なのか」知ることをテーマとしています。著者の池上氏は宗教、宇宙、人類の旅路、人間と病気、経済学、歴史、日本と日本人の7科目を現代日本人が学ぶべき自由七科とし、講義形式でわかりやすく解説していきます。
すべて読み終わる頃には現代人として生き抜く力、教養の本質が身に付くとされるます。
2:児玉克順著「世界でいちばんやさしい 教養の教科書」
たっぷりのイラスト、図解を通して楽しく教養を身に付けられる教養の入門書です。
本書で解説される歴史、哲学、言語、心理、文化、経済、社会、日本、芸術の全9テーマから、思考の枠組みや事象の解釈方法、そこからアイデアを生み出す方法などを習得できるでしょう。
また、より難しい本を読み、ニュースを理解するための思考の練習にもなります。
ビジネスパーソンの思考力向上におすすめ本
続いて、特に大人としての思考力を鍛え、高めるのにおすすめなのが以下の5冊です。
1:リンダ・クラットン著「ワーク・シフト」「ライフ・シフト」
テクノロジーの進歩に伴い、急激に変化する現代の働き方・暮らし方に焦点を当て、自分らしく生きられる未来を描く助けとなる書籍です。
「ワーク・シフト」「ライフ・シフト」はそれぞれ同じ著者のシリーズです。
異なるタイミングで出版された本ですが、2冊で仕事と暮らしの変化について述べていることから、セットで語られることが多くあります。
現代の常識では異なるであろう近未来の働き方、暮らし方を予測し、変化の速い世界で人生100年時代を能動的に生きていくためにいまからできること、考えるべきことを学べます。
2:ジム・コリンズ、ジェリー・ボラス著「ビジョナリー・カンパニー」
ビジョナリーカンパニーとは、その会社の主力製品のライフサイクルを超え、数十年に渡り繁栄を続けている企業のことを指します。
本書では以下18のビジョナリー・カンパニーについて、共通項や特徴を実例を交え分析していきます。
- 書籍内で紹介される18のビジョナリー・カンパニー
- 3M、アメックス、ボーイング、シティーコープ、フォード、GE、HP、IBM、ジョンソン&ジョンソン、マリオット、メルク、モトローラ、ノードストローム、P&G、フィリップモリス、ソニー、ウォルマート、ディズニー
コンサルタントにとっての教養書でもあり、企業組織が消費者やステークホルダーから長く愛され、健全に存続するために満たすべき条件が理解できる内容となっています。
3:出口治明著「仕事に効く教養としての世界史」
ライフネット生命会長兼CEOである出口氏が、歴史書を読み解く中で得た知識とビジネスシーンでの経験を結び付け、書き上げた一冊です。
本書では出口氏がグローバル経済のなかで日本人が活躍するのに必要と考える、以下の教養について解説されています。
- 日本の歴史や文化を知り、世界の中の日本の立場を知ったうえでの発言と行動
- 世界史を学び、広い視野を持って物事をとらえ、世界のビジネスシーンを知ること
世界を相手に認められたい、リーダーシップを取って活躍したいと考えている人には、特におすすめの教書と言えるでしょう。
4:堀内勉著「読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊」
元森ビル取締役専務執行役員であり、諸評価の肩書も持つ堀内氏が書いた名著の書評集です。
特に世界のビジネスリーダーが教養を身に付けるため、自身の成功のために読んでいる経済、哲学、歴史、科学分野の200冊もの書籍の書評がつづられています。
紹介する書籍のジャンルは以下の7つです。自力で200冊読むことはできなくても、世界のビジネスリーダーがどんな本を読んでいるのか、ざっと知ることができます。
- 読書大全で取り上げる、名著のジャンル
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- 資本主義、経済、経営
- 宗教、哲学、思想
- 国家、政治、社会
- 歴史、文明、人類
- 自然、科学
- 人生、教育、芸術
- 日本論
- 紹介されている書籍名の具体例
- アダム・スミス著の「国富論」、「道徳感情論」
社会保障や社会問題の理解を促すおすすめ本
最後に現代の社会問題、社会保障の現実について知ることのできる3冊を紹介します。
1:香取照幸著「教養としての社会保障」
現代日本社会の基盤のひとつである、社会保障制度について解説した一冊。
介護保険法や国民年金法など、数々の制度の創設や改姓を担当し、キャリアを通して社会保障改革に取り組み続けた著者が、社会保障制度の仕組み、現状について書き下ろしました。
ひとりの日本人として、税金や社会保険料を納める大人として目を通しておきたい内容と言えるでしょう。
2:田瀬和夫、SDGパートナーズ著「SDGs思考 2030年のその先へ 17の目標を超えて目指す世界」
国連サミットにおいて、2016~2030年までで達成すべきとして目標として採択されたSDGsは、日本語では「持続可能な開発目標」と訳される世界的な指標です。
SDGsを正しく理解し、その達成の一助となる取り組みや経営方針を設定することは、現代において大企業が担うべき責任のひとつと認識されています。
本書はSDGsについて、またSDGsを企業経営に組み込むための考え方を学べる一冊ですので、社会人として理解したい知識が学べます。
3:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著「FACT FULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」
データや事実に基づき世界を読み解く習慣、ファクトフルネスについて解説する書籍です。
教育や貧困、環境、エネルギーなど世界を取り巻く幅広い問題を例に、これらを統計データ等をもとに分析します。社会問題に対して抱きがちな思い込みをほぐしながら、理解を促すことができるでしょう。
本書最大の魅力は、非常に難解そうなテーマをおもしろく、わかりやすく解説しているところです。難しいビジネス用語はGDPくらいで、数式も使われていません。ニュースを見るよりも楽しく、世界の今とその読み解き方を身に付けることができます。
おわりに:読書は、大人に必要な教養を身に付けるための有効策
本は、私たちが直接会うことが叶わない歴史上の偉人や経営者、学者の視点や価値観、考え方が詰まった玉手箱のようなもの。このため読書をすれば、ネットやテレビよりも深く幅広い情報を得て世界で今起きていることを理解し、自分なりの解釈でアウトプットできるだけの教養を身に付けるのに役立ちます。ぜひ、本記事で紹介したなかからあなたの興味・関心に合う本を選び、教養を身に付けるのに役立ててください。
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