【後編】気分にムラがある理由とは-感情の落ち着かせ方や気分屋の人への対処法

気分が変わりやすい人人間関係の悩み
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気分にムラがあると、仕事や恋愛など人付き合いにトラブルが起こりがちです。どうして感情をコントロールできなくなるのか原因を理解し、対処法を取りましょう。

この記事では、気分屋の人におすすめの感情をコントロールする方法、気分屋の人が身近にいる場合の接し方などを解説します。

この記事でわかること
  • 感情をコントロールできない気分屋の特徴
  • 家庭環境が原因で気分屋になるケース
  • 気分(感情)障害の医学的な定義とは
  • 仕事において感情的になることのリスクと対策

気分のムラは仕方ないもの?

気分屋な人がそもそも気分屋になってしまうのは、どんな原因があると考えられるでしょうか。まず最も思いつきやすいのは「甘え」です。「自分の気持ちを察してほしい」「機嫌をとってほしい」「相手の気を引いていたい」という欲求は、つまり他人に対して甘えているわけです。

もちろん、家族や恋人など心を許している相手に多少甘えが出るのは当たり前のことですが、あまりに度を超した甘えは周囲が疲れてしまいます。急に不機嫌になったり、暗くなったりしたら周囲は「どうしたの?」と聞いてきます。それに対して「なんでもない」と答えるのに、その後も機嫌が悪い態度を取り続けるなら、甘えている可能性が高いでしょう。

感情のコントロールができないのは、

  • 自制心がない
  • 自制心がききにくい

ことが原因かもしれません。

プライベートでは感情を見せる人も、職場では自制心を働かせることで、気分で人を振り回さないようにできるのです。しかし気分屋の人はこの自制心を持っていない、あるいは自制心が弱いために、自分の感情をコントロールできないのです。

自制心がないというより、自己犠牲が苦手な人もいます。自分の「こうしたい」という気持ちを抑えられず、自分の思い通りにならないとすぐに不満を抱えてしまうタイプです。自分はありのままでいたい、思い通りにならないのは納得がいかないという思いから、何としてでもそのときの気分を押し通そうとしてしまうのです。

このタイプの人は特に、周囲からどう思われるかを気にしない傾向にあります。一般的な人は「この場面では感情を出すべきでない」「周囲の人が不愉快になってしまう」といったことに気を遣うので、多少気分が下がってもそれをあからさまに表に出しません。しかし、周囲からどう思われるかを気にしない気分屋の人は、周囲がどう思おうと自分には関係ないため、感情を剥き出しにしてしまうのです。

気分屋なのは家庭環境が原因?甘すぎても厳しすぎても困りもの?

幼少期に家庭で過剰に甘やかされた人は気分屋になりやすい傾向にあります。幼い頃に両親をはじめ、周囲の大人から甘やかされ、欲しいものはなんでも買い与えられ、悪いことをしても怒られず、ワガママもすべて満たしてもらえたという人は、大人になっても自分本位なままです。

自分本位な人は、他人に配慮するということがわかりません。ですから、自分の感情のままに発言や行動を繰り返し、思い通りにならなければ不機嫌な態度を隠さず、気分屋となってしまうのです。我が子可愛さでも、子どもの癇癪を宥めるためであっても、甘やかされた子どもはこのように大人になってから社会に馴染めず、苦労する人が多く見られます

一方、幼少期に厳しくされすぎてしまった人も、気分屋になることがあります。大人になってから自立や一人暮らしで親から離れたとき、やっと自由になれたという思いから今まで無理に我慢していた感情が爆発してしまう人もいます。

うつ病など「気分障害」のせいで気分にムラが出る?

ICD-10(国際疾病分類)の第5章「精神および行動の障害」には、「F3 気分障害」というカテゴリが設けられています。気分障害に含まれるのは躁病、うつ病、双極性感情障害(躁うつ病)、反復性うつ病性障害といったうつ病に関する疾患のほか、持続性気分(感情)障害、その他の気分(感情)障害、詳細不明の気分(感情)障害が含まれます。

まず、F30〜F34の疾病分類は以下のように使い分けられます。

F30:躁病エピソード
  • 単一の躁病エピソードに関して用いられ、うつ病エピソードを含まない
F31:双極性感情障害(躁うつ病)
  • 気分の低下や意欲の減少などのうつ病エピソードと、気分の高揚・上昇、活動性の増大などの躁病エピソードが繰り返し生じるもの
F32:うつ病エピソード
  • うつ病のエピソードが主体で、症状に応じて軽症・中等症・重症に分けられる
  • 意欲の低下が著しいため、少し活動したり頑張ったりしただけでも疲労感が強く生じる
  • 場合によっては、その疲労感のためになかなか動けないこともある
F33:反復性うつ病性障害
  • 繰り返すうつ病エピソードが主体だが、うつ症状のない期間に躁病の基準を満たさないもの
  • ただし、診断を満たさない程度の軽躁症状を認めることもある
F34:持続性気分(感情)障害
  • うつ病エピソードや躁病エピソードに該当するほどの強さではないが、抑うつ感や躁気分を年単位で繰り返すもの

気分(感情)障害とは、気分あるいは感情の変化があることを指し、あるときは抑うつ気分へ変化したり、あるときは躁や高揚した気分へと変化したりします。こうした感情の変化が、気分のムラとして見えることがあるでしょう。

このとき出現する抑うつ気分は、時として不安症状を伴っていることもあります。症状の変化を伴いながら再発する傾向があり、ストレス負荷・疲労などと関連して症状が変化するという特徴も持っています。

怒りや憂うつをコントロールして気持ちを安定させる方法

気分が変わりやすい性格は、自分の努力によって改善することもできます。具体的には、以下のような方法が良いでしょう。

生活リズムを整える
  • 基本的に人間は朝起きて活動し、夜は休息するという体内リズムの生き物
  • 心身の安定のためには、朝起きて夜に寝るリズムを崩さないことが大切
  • 仕事の関係で難しい人は、休みの日だけでもOK
  • 朝起きたらなるべく太陽光を浴び、脳からセロトニンを放出させて気分を安定させる
身の回りにものをごちゃごちゃと置かない
  • 過去に熱中したけれど今は興味がないもの、などを置きっぱなしにしない
  • 散らかっていると気が散りやすいほか、気分が変わりやすい自分を思い出し、自己嫌悪の原因になる
  • 人に譲る、ネットで売る、寄付するなど、積極的に処分してスッキリさせる
不安を深堀りしない
  • 不安なことや心配なことをネットで検索しすぎたり、人に相談しすぎたりしない
  • 人の意見に流されやすい人は、特に気持ちの波が強くなって苦しくなる
  • 本当に信頼できる人にだけ相談する、医療機関や心の専門家とともに自分自身としっかり向き合う、などの適切な対処を

ただし、上記のようなことを行っても気分が変わりやすい性格が治らない、数ヶ月単位で見たとき明らかに気持ちのアップダウンが尋常でないほど激しくなっている、という場合は、何らかの疾患を発症している可能性が高いと考えられます。早めに医療機関に相談しましょう。

また、仕事のときは日頃から以下のようなことを心がけておくと、自分も仕事がしやすく、周囲にも迷惑をかけにくいでしょう。

日頃から職場に相談しておく
  • 「自分は調子を崩しやすい」など、日頃からこまめに職場に相談しておく
  • 自分の特性を話すことは、不安の緩和やストレス解消にもつながる
  • パフォーマンスが安定せず、突然業務に穴をあけるような事態になる前に
スケジュールに余裕をもたせる
  • 調子を崩すタイミングが、自分で読めない気分屋の人も多い
  • 突発的な不調もあらかじめ計算に入れ、仕事のスケジュールに余裕を持たせておくとよい
  • 間に合わせられると思った日より、数日後に締め切りを設定する
  • スケジュールの余裕は、心の余裕にもつながる
できるだけ、残業を避ける
  • 気分の波と、勤務時間や仕事量が同調することも多い
  • 疲れ切らないよう、ほどほどで仕事を切り上げる姿勢が重要
  • 繁忙期などでやむをえず遅くまで仕事をしていたことで、双極性感情障害の人が躁状態に陥るケースも少なくない
  • 躁状態にはたいてい自分で気づけないので、無理をして仕事を進める人も多い
  • 「あまりに残業が続いているようなら、声をかけてください」と周囲に頼ることも必要
定期的な休みを入れる
  • 有給休暇などを使い、定期的に休みをとる
  • 「もう少し頑張れる」という程度の、調子を崩す前の段階で休むことが有効
  • 調子が崩れたときのために有給休暇を残しておきたいという人もいるが、できるだけこまめに休みをとる方が安定しやすい

また、こうした対策をとるためには、まず気分屋という自分の特徴を受け入れることが重要です。「心の浮き沈み、揺れ動きが激しくそれが態度に出てしまう気分屋である自分」をまず認め、気分の変化に徐々に慣れていったり、波を小さくしたり、気分を出すべきではない場面で出さないようにしたりといった自主的な訓練をしていかなくてはなりません。

気分の変化に対して「どうして自分は情緒が安定しないのだろう」と原因を探ることは、気分屋な性格をコントロールする上ではあまり意味がありません。それよりも、「気分屋の特性が出たとき、どう対処すれば良いのか」「何をすれば波を小さくできるか」といった現実的な対処法を探していく方が良いでしょう。

心が疲れてしまう前に!気分屋の人との上手な付き合い方を知ろう

最後に、自分ではなく周囲に気分屋な人がいるとき、振り回されず上手に付き合っていく方法について見ていきましょう。まずは、気分屋な人がプライベートの友人仲間などにいる場合にストレスなく付き合っていく3つのポイントをご紹介します。

①機嫌が悪そうなときは、そっとしておく
  • ネガティブな気分のときは、気を使っても無視されたり冷たくされたりするので、様子を見ておくだけにする
  • 機嫌が良いときは明るく社交的なことも多いので、そのときにだけ関わる
  • 状況や態度の変化をある程度観察する必要はあるが、結果的に一番ストレスが溜まらない
②大事な約束は、念を押しておく
  • どうしても参加しなくてはならないイベントなどのときは、LINEやメール、電話などで念を押しておく
  • 「○日の△時からイベントだから、忘れないでね」と日時を確認する
  • 「大切なことだから、必ず来てね」と重要性をしっかり説明しておくのも効果的
③無理強いはしない
  • 信用できないからと「絶対に来て」というような強い言い方をしてしまうことがあるが、反発されて余計にドタキャンの可能性が高まることも
  • 本当にどうしても来てほしい大切な約束のときでも、念押しにとどめておく
  • 「強制されている」と感じさせないよう、あくまでも「大切な要件」ということを強調する

気分屋な人と一番上手く付き合っていく方法は、機嫌が良さそうなときだけ関わり、機嫌が悪そうなときは放っておくというものです。気分屋の人は他人の状況や気持ちを慮るのが苦手なので、気を遣って声をかけても無視や冷たい返答になってしまい、気を遣った人がストレスを溜めてしまうという理不尽な状況に陥ってしまいやすいです。

自立した大人であれば自分の感情はセルフコントロールするのが理想的です。機嫌が悪いのはその人の問題であり、周囲の人がわざわざ気を遣って機嫌をとってあげなくてはいけない理由はありません。こうした問題の切り離しも、気分屋の人との付き合いには有効です。

では、職場などにいる、どうしても付き合っていかなくてはならない気分屋の人に対してはどう対処すれば良いのでしょうか。これも、3つのポイントから見ていきましょう。

割り切る
  • 「こういう人」と割り切り、心理的な距離を保って付き合う
  • 一般的な考え方に当てはめてしまうと、どうしてもストレスのもとに
  • 自分や一般的な考え方とは引き離し、「この人は違う考え方をする」と受け入れておく
何かあっても、いちいち反応しない
  • 空気を読まない発言、突然のドタキャンなどに対応やフォローをしない
  • 気分屋な人の言動、行動はその人に責任があるので、放置することも必要
  • 助けてくれないと文句を言ってくるなら、「それはあなたの問題」ときっぱり伝える
  • 本人が、自分の言動で周囲にどう影響するか自覚するいい機会だと思ってOK
  • 無理に関わろうとすると、とばっちりをくらうこともあるので注意
その人に集中しない
  • 気分屋な人と関わるとき、ネガティブな結果を考慮してつい気持ちが重くなることも
  • 振り回されないよう、気分屋の人を中心に据えず、自分や他の人を中心に予定を組む
  • 気分屋な人の都合を考慮しても裏切られてストレスを溜めやすくなるので、あえて重要視しないのも一つの方法

職場に気分屋な人がいると周囲は振り回されてイライラしてしまうことも多いのですが、「この人はこういう人だから」と割り切り、気分屋な人の考え方や突飛な言動、行動にいちいち反応しないようにすることが重要です。予定なども気分屋な人にすべて合わせていると仕事が進みませんので、ある程度は気分屋な人に合わせてもらう、という工夫も良いでしょう。

気分屋な人は、ある意味で究極の自然体だとも言えます。裏表がないタイプの気分屋の人なら、態度や言動を深読みする必要がなく、警戒する必要もありません。ですから、逆に気を遣わず、こちらも自然体で接することでかえって絆が生まれることもあります。あえて、気分屋の人を味方につけてしまうのも一つの付き合い方です。

前編はこちら

【前編】気分にムラがある理由とは-気分屋の人の特徴とデメリット
気分にムラがある人は、他人から好かれにくい傾向にあります。気分が良いときは明るく振る舞えるのですが、気分が落ちているときは他人を無視したり、邪険に扱ったりと、周囲が驚くほど態度が変わってしまうからです。 こうした人は、なぜ気分屋になってしまうのでしょうか。まずは気分屋の人の特徴やデメリットを理解していきましょう。

おわりに:気分屋は自分で改善できることも。周囲も上手な付き合い方を心がけて

気分にムラがある「気分屋」の人は、気分で行動や言動が変わって周囲の人を振り回しがちです。そのため、恋愛などの人間関係でも、仕事においてもデメリットが生じやすいのですが、本人の努力や医療機関との連携で改善できることもあります。

周囲の人も、気分屋の人に無理に合わせなくて構いません。機嫌が良いときだけ付き合う、割り切って付き合うなど、お互いにストレスを溜めないような工夫をして付き合うと良いでしょう。

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