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【前編】家族葬やお墓じまいで親戚トラブルを回避するためのマナーって?

お墓じまいの相談をする老夫婦 人間関係の悩み
この記事は約10分で読めます。

近年は、社会的な少子高齢化や核家族化の傾向などから、お葬式に対する意識も大きく変化しています。特に人気が高いのは、ごく近しい人だけで行う「家族葬」。しかし従来の葬儀を重んじる親戚からすると、家族葬は戸惑いを覚えることも。

この記事では家族葬のメリットとデメリット、家族葬で注意したい親戚との付き合い方を紹介します。

この記事でわかること
  • 一般葬、家族葬や密葬、一日葬、火葬式の特徴やメリット
  • 葬儀の平均費用や格安プランの注意点
  • 家族葬や密葬を選ぶときの親戚への伝え方
  • 訃報の文面例や必ず入れたい内容

お葬式は一般葬から多様化の時代へ 主な9種類の葬儀

お葬式についての考え方は非常に多様化しています。生前から葬儀社・エンディングプランナーなどと相談し、自分の葬儀の演出にこだわりを持つ人もいれば、とにかく時間もお金もかけずに済ませたいと1日葬で済ませる人もいます。さらに、読経や焼香など宗教的な儀礼を行わない「無宗教葬」を行う人も増えてきました。

このように、葬儀と一口に言ってもそのスタイルはさまざまです。ここでは、人数や形式から9つのスタイルに分けて見ていきましょう。

一般葬
家族や親族以外にも、会社関係やご近所の方など、一般の方も参列する葬儀。生前にお世話になった多くの人と思い出を振り返り、故人をしのぶことができる
家族葬・密葬
親族やごく親しい友人・知人だけで見送る、通夜と葬儀・告別式の2日間で行う葬儀。一般の参列者が参加しないため、故人との別れの時間をゆっくり過ごせる
1日葬
通夜はなく、葬儀・告別式のみを1日で行うタイプの葬儀。休みがとりづらい、親族の宿泊費を抑えたいなど、時間・経済的な負担を軽減できる
火葬式(荼毘・直葬)
火葬炉前に親族や親しい友人が集まり、10分程度の短いお別れをしたのち、すぐに火葬するタイプの葬儀。通夜や葬儀・告別式を行わないため、もっとも費用を抑えられる
骨葬
火葬したのち、遺骨で葬儀を行うもの。地域によってはこちらが一般的なこともある。葬儀後にホテルやレストランで行われる「お別れ会」も骨葬で行われる
社葬・団体葬
企業や団体など、組織の発展に尽力した故人の功績をしのぶスタイルの葬儀。喪主を務めるのは遺族だが、運営は企業や団体の葬儀委員が主体となり、費用も負担する
無宗教葬
宗教・宗派の儀礼を行わないスタイルの葬儀で、自由葬と呼ばれることもある。故人や家族の希望どおりに葬儀を企画でき、音楽葬など形式にとらわれないのが特徴
自然葬(樹木葬、海洋葬、宇宙葬)
火葬後に行うスタイルで、葬儀の形式でも埋葬の形式でもある。近年増加傾向にあり、逝去後は山や海など自然に還りたいという故人の遺志を尊重することが重要
お別れ会
家族や親族だけで葬儀・火葬を行った後、友人・知人、会社関係、近所の人などを招いて行う葬儀。故人が学生だった場合、学友や知人を招いてお別れ会を行うこともある

一般葬・家族葬や密葬・一日葬・火葬式の費用目安

それぞれの葬儀スタイルによって、かかる費用も異なります。葬儀費用は主に下記の3種類で構成されます。

葬儀費用を構成する3つの要素
  • 葬儀そのものにかかる費用
  • 寺院など、宗教者に納める費用(お布施など)
  • 飲食接待費

上記のほかにも多種多様な項目があり、内訳が記載されていない一式のパックプランなどは一見簡単に見えるのですが、さまざまな過不足が生じやすいため注意が必要です。

では、一般的によく行われるスタイルである「一般葬・家族葬や密葬・一日葬・火葬式」の4つについて、おおまかな費用感を見ていきましょう。

一般葬
  • 人数にもよるが、100〜200万円程度が目安
  • 葬儀社・車両・物品・お花・返礼品・飲食・火葬場・式場・宗教者の御礼などが葬儀費用に含まれる
  • 簡略化するほど抜け・漏れが発生しやすい。必要経費が後から追加になるのを避けるためにも、一見安価に見えるプランには注意
家族葬・密葬
  • 家族葬と密葬の内容に大きな差はなく、人数や場所にもよるが60〜150万円程度が相場
  • 葬儀費用の内容(項目)は一般葬と変わらないので、物品のグレードで費用も変わる
  • 同じような条件の場合、葬儀社ごとの高い安いに大差はない
  • 激安プランに見せて後から大量の追加料金を請求される、といったトラブルにならないようよく注意する
1日葬
  • 通夜はないが葬儀はしっかり行うため、費用感の相場は家族葬とほぼ変わらない
  • 内容(項目)としては、通夜の飲食が削減される程度
  • 一般葬・家族葬と同じように、激安プランは内容に要注意
火葬式(荼毘・直葬)
  • 火葬式の相場は20〜40万円程度で、利用する火葬場によって費用が異なる
  • そのため、全国定額などとされているパックでは内容が不透明と言わざるを得ない
  • 通夜や葬儀・告別式などの式典は行わないが、希望によって火葬炉の前でお坊さんに読経をしてもらうことも
  • 火葬場の規定で難しい場合、短時間で済ますことが前提となる場合などがあるので、よく検討する

葬儀自体の全対的な平均の費用感は、全国平均額が195.7万円です。このうち、葬儀そのものにかかる費用の平均額は121.4万円です(日本消費者協会「葬儀についてのアンケート(2016年)」)。この結果を先程の費用相場に照らし合わせると、家族葬や密葬が増えているとはいえ、まだまだ一般葬を行う家庭も多いと言えるでしょう。

人気の家族葬で親戚トラブルを避けるためのポイント

近年では、少子高齢化社会が深刻化して「仕事を定年退職後、付き合いが減った」「高齢のため、葬儀に行くことが難しい」といった理由から、葬儀へのニーズが変わってきました。

さらに一般参列者の人数が減ってきていることや、自分の葬儀は簡単なもので構わない、遺される家族に負担をかけたくないといった理由もあり、少人数で行える家族葬が選ばれることが増えてきています

家族葬には、以下のようなメリットがあります。

ゆっくりと別れの時間を大切にできる
  • 一般葬では参列者への対応や準備などやることが多いが、家族葬ならやることを抑えられ、故人とゆっくりお別れができる
  • 思い出話をしたり、生前の希望を叶えたりと故人をしのぶことに集中でき、後から後悔することが少なくなる
  • 故人にとっても、近親者がじっくり落ち着いてしのんでくれるのは嬉しいことと言える
  • 喪主にとっても、慌ただしさが少なく落ち着いて臨めるので、安心して行える
参列者への対応に追われることがなく、気遣いも必要ない
  • 精神的に落ち着いた状態で故人をしのび、見送ることができる
  • 薄いつながりからの儀礼的な参列者が参加する必要もなく、参列者の負担軽減にもなる
葬儀の費用を抑えられる
  • 一般的な葬儀で負担となりやすい「参列者への香典返し」「法要が終わった後の会食費」などを軽減できる
  • 葬儀の案内状を送る人数を調整したり、グレードを抑えたりすることもできる
  • 葬儀を行うスペースや祭壇なども小さくて済むので、その費用も軽減できる
故人や遺族の希望するスタイルで葬儀を行いやすい
  • 宗教やこれまでの伝統にとらわれることなく、故人や遺族の希望を叶えやすい
  • 葬儀の最中に明るい音楽を流す、故人が生前に手がけた作品を展示する、など、他人の目を気にすることもなく自由
  • 無宗教なら無理をしてお坊さんを頼まなくても良く、仏教でも一般的な葬儀に合わせなくて良い
  • 自分たちが納得いく葬儀になるよう、自由で綿密な計画・設定ができる

しかし一方で、家族葬には以下のようなデメリットが生じる場合もあります。

近親者などに理解が得られない
  • 近親者の考え方次第では、喪主や当事者の考えと一致するとは限らない
  • 従来通りの葬儀を希望する人も多い
  • 一般的な葬儀でないと非常識と考えられてしまい、理解や説得に労力が必要なこともある
葬儀後、弔問者が増えるかもしれない
  • 葬儀後に、弔問したかったという人が自宅へ来訪する可能性がある
  • 弔問者が訪れるたびにお返しや対応を余儀なくされるので、かえって負担が増えることがある

家族葬には落ち着いて故人をしのぶことができ、費用や手間の負担が少ないという大きなメリットがありますが、一方で近親者から理解が得られるとは限らないなどのデメリットも見過ごせません。家族葬を検討する場合は近親者や関係者とよく話し合いましょう

 


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家族葬のトラブル回避は親戚への訃報の書き方が大事!

家族葬にまつわるデメリットを防ぐためには、訃報の書き方が大事なポイントとなります。参列してほしい人には具体的な日付・時間帯・会場などの説明が必要です。

参列を希望しない人に対しては、

  • 家族葬の具体的な内容を伝えないこと
  • 参列や香典をお断りすること

を意識して訃報の文面を考えましょう。ただしいずれの場合でも、故人の名前や亡くなった日時、死因は伝える必要があります。

故人が亡くなった後、悲しみにくれる中で手続きや葬儀の準備を行うのは大変ですし、慌ただしくなります。しかし直接看取っておらず亡くなったことを知らない他の家族や親族、近しい友人などには早めに訃報の連絡をしておきましょう。また、会社の関係者やその他の友人など、一般葬であれば弔問客になる人達に対して、近親者のみで葬儀を行うことを必ず伝えておかなくてはなりません。

家族葬の場合、参列者に対しても香典を辞退するケースが多い傾向にあります。少人数で行うことから、「参列者に負担をかけない」という心がけがあるためです。もし、香典をOKにする場合は受付などの対応や香典返しを用意しなくてはなりません。また、受取を辞退する際には、その理由を「故人の遺志」と伝えることもマナーです。

これらを踏まえて、参列を希望する相手としない相手への訃報連絡の文面例をそれぞれ見ていきましょう。

家族葬の訃報文面例①:参列を希望する人へ

参列を希望する人に対しては、具体的な葬儀の日程や会場を伝えましょう。

―――――――――
夫 ○○△△ かねてより病気療養中のところ、令和○○年△月△日午後○時△分逝去いたしました。
ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んでご通知申し上げます。
なお、通夜・告別式は下記の通り執り行います。

故 ○○△△ 儀 葬儀告別式
昭和○○年△月△日生まれ(満○○歳)
■通夜式:令和○○年△月△日(金) 19:00〜
■告別式:令和○○年△月△日(土) 13:00〜
■式場:××市立斎場
■住所:○○県××市〜
■喪主:○○□□ (故人との俗柄:妻)
■連絡先:090-XXX-XXXX
■儀式形態:仏式

葬儀に際しましてのご案内
・故人ならびに遺族の遺志により、近親者のみで執り行います。
・誠に勝手ながら、御香典・御供花の儀はご辞退申し上げます。

―――――――――

このように、具体的な日時はもちろん、香典や供花を辞退したい場合は、その旨もきちんと記載しておきましょう。

家族葬の訃報文面例②:参列を希望しない人へ

一方で、参列を希望しない人に対しては、具体的な葬儀の日程や会場を伝えないよう注意しましょう。

―――――――――
夫 ○○△△ かねてより病気療養中のところ、令和○○年△月△日午後○時△分逝去いたしました。
ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んでご通知申し上げます。

葬儀につきましては、故人ならびに遺族の遺志により、近親者のみで執り行う家族葬を予定しております。
そのため、大変恐縮ではありますが、一般の方々の御参列・御香典・御供花・御供物・弔問・弔電などはご辞退申し上げます。

恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

―――――――――

参列を希望しない人に対しては、故人の名前や亡くなった日時、死因などを簡潔にお知らせします。また、弔問や弔電などを辞退したいときは、上記のように訃報にきちんと記載しておきましょう。訃報連絡が上手く伝わらず、呼んでいない人が参列したり、式の予定にないのに弔問や弔電などが届いてしまったりすると、トラブルになってしまう可能性があります。余計なトラブルを防ぐためにも、訃報の文面には十分注意しましょう

後編はこちら

【後編】家族葬やお墓じまいで親戚トラブルを回避するためのマナーって?
お墓を撤去して管理の必要をなくす「墓じまい」。手間やコストを削減するために墓じまいする人が増えていますが、知識なく墓じまいをするとトラブルを招くことも。特に、本人や家族の判断で進めてしまうと親戚トラブルの原因になりがちです。 この記事では墓じまいに関する基本的知識とトラブル回避のポイントを紹介します。

おわりに:家族葬は落ち着いて故人を送ることができるが、親戚への気遣いは忘れずに

家族葬は故人と親しい人だけで行うため、落ち着いた気分で故人との別れの時間を過ごせます。費用面でもコストダウンが望めますが、プランなど選び方次第では損をすることも。また、家族葬の場合は親戚への伝え方に注意して失礼のないようにしましょう。後編では、お墓の考え方に関する「墓じまい」について紹介します。

 


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