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【前編】顔のほてりや赤みが恥ずかしい…赤ら顔の原因と治療法

顔の赤みがコンプレックスの女性 からだの悩み
この記事は約10分で読めます。

緊張したり恥ずかしくなったりすると顔がほてったり、赤くなったりすることは誰にでもあることです。しかし、そうした特殊な状況でなくてもいつでも顔が赤いのは「赤ら顔」と呼ばれることもあり、恥ずかしいと気にする人もいます。

顔のほてりや赤みが起こるのは、精神的な要因以外にどんな原因があるのでしょうか。症状を引き起こす病気と治療法を合わせてご紹介します。

この記事でわかること
  • 顔が真っ赤になるほてりは起こる原因や状況って?
  • どんな病気で顔に赤みが出るか、受診の目安
  • 酒さの治療法の漢方薬・外用薬・レーザー

顔のほてりとは?病院に相談するときは何科を受診する?

一般的に、異常な熱感のことを「ほてり」と言い、それが頭や顔に起こったものを「のぼせ」と言います。精神的に緊張した、恥ずかしい思いをしたといったときのほか、熱があるときにも現れやすい症状ですが、自律神経のバランスが乱れたときや更年期障害などが原因で慢性的なほてりが起こることもあります。

顔のほてりの症状は、原因によって多岐にわたります。

  1. 顔や胸など体の一部が熱くなるタイプ
  2. 全身がいきなり熱を帯びるタイプ
  3. ほてりだけが発生するタイプ
  4. 冷えとほてりの両方を感じる「冷えのぼせ」タイプ
  5. 更年期障害でホットフラッシュが起きるタイプ
  6. 多汗や発汗など汗を伴うタイプ

こうしたほてりを引き起こす疾患としては、高血圧症・甲状腺機能亢進症・真性多血症・更年期障害・自律神経失調症などが挙げられます。

精神的に緊張したり恥ずかしい思いをしたりしたときに顔がほてるのは誰にでもあることですが、下記の症状が現れる場合は病院を受診してみてください。

  • 熱を帯びている
  • 冷えのぼせを感じる
  • 明らかに異常な量の汗が出る

受診する科は「内科・循環器内科・内分泌内科・血液内科・婦人科・心療内科」のいずれかが良いでしょう。もし、どこに行けば良いかわからない場合は、まず内科に行って相談するのがおすすめです。

病院やクリニックでは、疑われる疾患によって以下のような検査を行う場合があります。

高血圧症
問診、血圧測定、血液検査、尿検査、画像検査(CT/MRI)など
甲状腺機能亢進症
問診、血液検査、心電図、超音波検査など
真性多血症
問診、血液検査、骨髄検査、超音波検査、遺伝子検査など
更年期障害
問診、内診、血液検査など
自律神経失調症
問診、除外診断、自律神経機能検査、心理テストなど

顔のほてりがあらわれる病気って?

顔にほてりがある場合、以下のような疾患や病状の可能性があります。

自律神経失調症

概要
過度のストレスや生活習慣の乱れにより、自律神経のバランスが乱れます。
代表的な症状
顔のほてりのほか、疲労感、頭痛、めまい、しびれ、息切れ、動悸、めまい、便秘、下痢など。

甲状腺機能亢進症

概要
ホルモンバランスが崩れ、甲状腺機能の亢進が現れます。
代表的な症状
全身のほてり、発汗、動悸、頻脈など。

高血圧症

概要
血圧が正常値を超える高血圧となり、体の不調を引き起こします。
代表的な症状
頭痛、めまい、むくみ、動悸、顔のほてりなど。

感染症(風邪、インフルエンザなど)

概要ウイルスや細菌に感染することで、発熱に伴って顔が熱いと感じることがあります。代表的な症状いわゆる風邪の原因のほとんどはウイルス感染で、症状は発熱の他に鼻水・咳・くしゃみ・たんなど。インフルエンザは特に冬に流行することが多く、症状な急激な38〜40度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、倦怠感、ぞくぞくとする寒気など。

熱中症

概要高温多湿な場所で過ごすことで体温調節機能が狂ったり、水分や塩分のバランスが崩れたりして全身にさまざまな症状を起こします。発汗がうまくいかず身体に熱が溜まるので、体温が上がったり顔が熱いと感じたりします。代表的な症状頭痛、立ちくらみ、筋肉痛、筋肉のけいれん、身体のだるさ、吐き気、嘔吐、倦怠感など

熱中症は周囲の人が異変に気づき、適切な対処を取ることも重要です。大量の汗、全く汗をかかないなど、汗のかき方がおかしいときは熱中症を発症している可能性があります。熱中症の重度になると、呼びかけへの反応がおかしい、動きがおかしいなど意識障害や運動障害が起こり、生命に関わります。

大切な会議でのプレゼン、面接など、緊張する場面でほてりを感じることは誰にでもありますから、心配はいりません。しかし、それ以外の状況でほてりを感じる場合は上記のような疾患や病状の可能性があります。意識障害や運動障害、呼吸困難などの緊急性を要する症状があればすぐに病院を受診しましょう。

緊急性を要する症状がない場合は、まず体温を測ってみましょう。人によって平熱は異なるので絶対ではありませんが、一般的に38度を超えると高熱が出ていると判断されます。こうした高熱がある、ほてり以外にも心配な症状があるという場合は、なるべく早めに病院で診察を受けましょう。

顔のほてりと赤ら顔は「酒さ・毛細血管拡張症」の症状かも?

子どもの顔が赤いのは微笑ましいものですし、多くの場合心配はいりませんが、成人になっても顔が常に赤かったり、わずかな刺激でも顔が人一倍赤くなってしまったりする「赤ら顔」の場合、「毛細血管拡張症」や「酒さ」を発症している可能性があります。まずは、毛細血管拡張症から見ていきましょう。

毛細血管拡張症の原因と症状

毛細血管は、通常皮膚の表面から見えるものではありません。しかし、何らかの原因で毛細血管が拡張すると、皮膚表面近くの組織中に血液が滞って赤く見えることがあります。血管拡張の原因となるのは主に以下の2つです。

血管周辺の自律神経が過敏に反応するため
  • 寒暖差や緊張で顔が赤くなる
  • 神経が原因のため、皮膚科での治療は困難
血管が異常を起こしているため
  • 拡張して元に戻らなくなったり、血管が隆起したりしている

酒さの原因と症状

酒さとは主に中高年の顔、特に鼻によく生じる症状で、赤みと血管拡張が数ヶ月以上続きます。赤みだけでなくニキビのような丘疹や膿疱も混じってできることがあり、第1度〜3度、眼型の4つのタイプがあります。

第1度酒さ:紅斑毛細血管拡張症
  • 鼻・頬・眉間・下顎に赤みが出現し、次第に毛細血管拡張と脂漏を伴うようになる
  • 寒暖差や飲酒で症状が強まり、かゆみやほてりの症状が出る
第2度酒さ:紅斑毛細血管拡張症がさらに進行したもの
  • 第1度の症状が進行し、部分的でなく顔全体に症状が広がる
  • ニキビのような赤い丘疹や膿疱が出現し、脂漏が強くなる
第3度酒さ:瘤腫型
  • 丘疹が増え合わさって腫瘤状になり、特に鼻は凸凹に盛り上がる(鼻瘤)
  • 鼻はだんだんと赤紫色になってくるのが特徴
眼型
  • 眼の周りの腫れ、結膜炎、角膜炎などを生じる

また、酒さに似ている疾患として「酒さ様皮膚炎(ステロイド誘発性皮膚炎)」や、「顔面播種状粟粒性狼瘡(がんめんはしゅじょうぞくりゅうせいろうそう)」があります。

酒さ様皮膚炎
ステロイドを顔に長期外用して生じるもので、酒さと同様に赤みや丘疹、膿疱が生じる疾患。
顔面播種状粟粒性狼瘡
20〜30代によく見られ、顔・頬・鼻、特に目の下に左右対称に小さい丘疹が多発し、膿疱や少しのかゆみを伴う疾患。

毛細血管拡張症のうち、酒さを原因とするものは治療したり、セルフケアで症状を軽減したりできます。まずは内服薬・外用薬の治療法を見ていきましょう。

酒さの治療に使われる内服薬って?

酒さの治療に内服薬を使う場合、抗生剤や漢方薬を使います。

酒さの抗生剤

抗生剤の種類
ビブラマイシン、ミノマイシンなどの抗炎症作用があり、赤みを抑えてニキビのような赤い丘疹や膿疱を伴う酒さに効果的な薬剤が使われます。
抗生剤を使った治療の注意
酒さの治療は長期にわたりますので、抗生剤を長期内服することで稀に起こる肝機能障害のリスクを下げるため、定期的に採血して悪化する場合は量を減らしたり、中止したりします。ビブラマイシンには吐き気、ミノマイシンにはめまいやふらつきなどの副作用が現れることもありますので、注意しましょう。

酒さの漢方薬

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
  • 身体の毒素を排出し、水分や膿を吐き出す
  • 酒さのほか、ニキビや皮膚炎にも効果が期待できる
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • のぼせによる赤ら顔に処方されることがある
  • ほてりの他、冷え・むくみ・女性ホルモンの変化に伴うイライラにも効果が期待できる
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
  • 赤ら顔で、ときにのぼせを伴うものに処方されることがある
  • 酒さの他、ニキビ・顔面や頭部の湿疹、皮膚炎などにも効果が期待できる
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
  • 身体の解毒作用や炎症を抑える
  • にきび、冷え、皮膚炎などに効果が期待できる
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょくとう)
  • 細菌の増殖を抑えたり、熱や腫れを発散させたりする
  • にきびや皮膚炎に効果が期待できる

また、自費診療となりますが「ロアキュタン」という薬剤を処方してもらえる場合もあります。アメリカでは一般的な内服薬で、重症度のニキビに使われるビタミンAに似た薬です。皮膚上の「皮脂腺」から分泌される皮脂を抑え、細菌を減らして炎症を軽減し、毛穴の詰まりを開く効果が期待できます。

酒さにも効果があるとされていますが、日本ではまだ厚生労働省の認可が下りていないことから、保険適応となっていません。服用中に妊娠した場合は胎児に催奇性がある、皮膚粘膜の荒れや肝障害などをもたらすことがあるなど副作用のリスクもありますので、開始の際には医師とよく話し合いや説明を受けた上で、同意書を書く必要があります。

酒さの治療に使われる外用薬って?

外用薬としては、主に「プロトピック軟膏」が使われます。もともとはアトピー性皮膚炎のお薬で、ステロイドではありませんが同様に赤みや炎症を抑える作用があります。ステロイドとは異なり、長期的に外用しても皮膚が薄くならない、毛細血管が拡張しないというメリットがありますので、酒さの予防として長期的に外用できます。ただし、妊娠中・授乳中の場合は使えません。

また、自費診療ですが「ロゼックス」という薬剤があります。ロゼックスの有効成分には「メトロニダゾール」があり、菌の分裂や増殖を抑え、殺菌作用を発揮することからニキビの治療にも使われます。そのため、ニキビダニや寄生虫などが原因の酒さや赤ら顔に効果を発揮します。他にも抗炎症作用・免疫抑制作用・活性酸素除去作用などがありますが、プロトピック軟膏と同様に妊娠中や授乳中の場合は使えませんので注意しましょう。

酒さの治療にレーザーを使うこともある?

毛細血管拡張症に対して効果が強い「VビームIIレーザー」は保険適応となり、治療として用いられることがあります。保険で照射できるレーザーの頻度は3ヶ月に1回です。その間、Vビームフェイシャルなど顔全体に当てる自費の治療を行う人もいます。保険であっても照射範囲によって料金は異なり、約6,500円〜32,000円ほどかかりますので、照射前に医師と十分相談して範囲を決めましょう。自費診療のVビームフェイシャルは、顔全体で約18,000円くらいです。

範囲が小さかったり、早めの時間の受診だったりすると、当日すぐに施術できる場合も多いです。照射後は一時的に赤みが増しますが徐々に落ち着きます。当日からお化粧をすることもできます。基本的には内服薬でも外用薬でも効果がない人に対して適用されますが、照射している最中も内服薬や外用薬の治療は継続し、併用して治療を行うのが一般的です。

後編はこちら

【後編】顔のほてりや赤みが恥ずかしい…赤ら顔のセルフケアの方法
顔のほてりや赤みは人から指摘されることもあり、コンプレックスとして悩んでいる人は少なくありません。 前編では病院の治療法を説明しましたが、この記事ではセルフケアを紹介します。40代~50代の更年期障害が気になる女性や、日焼けによる赤みに悩んでいる人も参考にしてみてくださいね。

おわりに:顔のほてりや赤みは更年期障害や疾患かも。気になる症状があれば病院へ

顔のほてりや赤みの原因は、更年期障害のホットフラッシュや甲状腺機能亢進症、自律神経失調症、感染症や熱中症、日焼けや気温の変化などが挙げられます。呼吸困難や意識障害、高熱などの症状があればすぐに病院を受診しましょう。後編では顔の赤みやほてりに対するセルフケアの方法を紹介します。

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