ITや人工知能など理系技術の発展が著しく、工科大学・工業大学に進学するメリットがますます大きくなっています。この記事では工科大学・工業大学の特徴や向いている人の特徴、就職までに考えておきたいキャリアプランなどを解説します。これから大学受験を控えている人、工科大学・工業大学に在学中の人はチェックしてくださいね。
- この記事でわかること
-
- 国内外の工科大学・工業大学の例
- 工科大学・工業大学の学部・学科の種類
- 工科大学・工業大学のメリットとデメリット
- 工科大学・工業大学出身者のキャリアプラン
工科大学・工業大学・工学部の違い
日本国内外にたくさんの大学がありますが、工科大学は「工業大学」とも呼ばれる単科大学です。
- 工科大学・工業大学とは
- 工学の専門教育を目的として設置された高等教育機関
工科大学・工業大学は、工学部とはどのような違いがあるのでしょう。
- 工学部とは
- 大学の学部のひとつで、工学に関する学問を修得する学部
工科大学・工業大学は大学全体が工学の専門教育のためにカリキュラムを組んでいるのに対し、工学部はその大学の学部のひとつです。工学系の大学のほか、農業大学と大学の農学部にも同様の違いがあります。
次の章から工科大学・工業大学の特徴を見ていきましょう。
日本と海外の主要な工科大学・工業大学
日本と海外それぞれに、工科大学・工業大学が設置されています。
- 日本の主要な工科大学・工業大学
-
- 東京工業大学(東京都)
- 東京工科大学(東京都)
- 芝浦工業大学(東京都)
- 東京電機大学(東京都)
- 東京都市大学(東京都)
- 工学院大学(東京都)
- 電気通信大学(東京都)
- 金沢工業大学(石川県)
- 日本工業大学(埼玉県)
- 名古屋工業大学(愛知県) など
- 海外の主要な工科大学・工業大学
-
- マサチューセッツ工科大学(アメリカ)
- カリフォルニア工科大学(アメリカ)
- スイス連邦工科大学チューリッヒ校(スイス)
- ミュンヘン工科大学(ドイツ)
- ジョージア工科大学(アメリカ)
- 南洋理工大学(シンガポール)
- デルフト工科大学(オランダ)
- 中国科学技術大学(中国) など
工科大学・工業大学の学部・学科にはどんな種類がある?
工科大学・工業大学は工学系に特化した専門大学ですが、学部や学科の種類が豊富で幅広い知識を修得することも可能です。
- 工科大学・工業大学の学部の種類
-
- 基幹工学部
- 先進工学部
- 建築学部
- 応用生物学部
- メディア学部
- デザイン工学部 など
- 工科大学・工業大学の学科の種類
-
- 機械工学科
- 電気電子工学科
- 応用化学科
- ロボティクス学科
- 人工知能学科
- 情報メディア工学科
- データサイエンス学科
- 生活環境デザイン科
- 土木工学科
- 生命科学科
- 国際科 など
工科大学・工業大学の学生は、卒業後は大学院に進むことが多いです。大学院では学部で修得した知識をもとに、専門性をさらに深めていきます。
工科大学・工業大学に進学するメリットと向いている人の特徴
工科大学・工業大学は専門的な知識と技術の修得を目的とした高等教育機関ですので、進学に当たっては大きなメリットがあります。
- 工科大学・工業大学に進学するメリット
-
- 専門的な研究に触れられる
- 研究に対する投資がされており、研究環境が充実している
- 学生の頃から研究を通して収入を得ることもある
- 就職で自分の強みとなる専門性を磨くことができる
- 就職後のキャリアにつながる専門性を修得できる
- これからの時代に必要なIT知識や技術を修得できる
- ものづくりに携わることができる
- 科学や技術の発展に貢献できる など
自分の研究やキャリアに役立つだけでなく、研究活動次第では社会貢献にも寄与することができます。工科大学・工業大学に進学するのであれば、理系分野である程度の成績を修めていることが必須でしょう。さらに以下のような特徴がある人は、工科大学・工業大学に向いている可能性が高いです。
- 工科大学・工業大学に向いている人の特徴
-
- 興味・関心のある分野がすでに決まっている
- 最先端のテクノロジーに携わる仕事をしたい
- 大学や大学院では専門性を高めていきたい
- 数学や化学など理系分野が得意
- 大学院に進むことを想定し、学費を賄うことができる
- 海外の研究実績を理解するための、語学力や国際コミュニケーション力がある など
工科大学・工業大学が恥ずかしい?進学するデメリットは?
これまでに解説してきたように、工科大学・工業大学の進学にはたくさんのメリットがあります。一方で、工科大学・工業大学に進学したことを後悔する人もいます。工科大学・工業大学への進学がデメリットとなるのはどんな場合でしょう。
- 工科大学・工業大学に進学するデメリット
-
- 実習や研究、レポート・論文作成などで忙しい
- 専門性の高い大学のため、幅広く学びたい人にとってはカリキュラムに不満を感じる
- 男女比では男子学生が圧倒的に多いことがほとんど
- 授業料にかかる費用が高いことがある
- 選択した研究分野によっては、将来的な職業選択やキャリアが限定される
- 研究者や研究員の求人が少ないため、就職が困難なこともある など
工科大学・工業大学出身であることがデメリットとなるのは、その専門性の高さゆえに修得できる知識や人間関係が狭くなりやすいことでしょう。ただし工科大学・工業大学に進学しながら、幅広い分野の知識に触れたりたくさんの人と知り合うことは可能です。近年はオンライン上での交流が一般的になっていますので、研究活動で忙しい日々でもさまざまなチャンスがあります。
工科大学・工業大学では大学院に進学することがほとんどですが、その分の学費が必要です。さらに研究分野や就職を希望する職種によっては、求人の競争率が高くなり、就職が成功しにくいという懸念もあります。
工科大学・工業大学に進んだ場合、自分の研究分野を深めること、就職を見据えたキャリアプランを立てておくこと、人脈を築いておくことが重要です。
工科大学・工業大学出身者のキャリアプランや将来性は?
工科大学・工業大学は就職率が高いのが魅力です。就職率が90~95%を超える工科大学・工業大学も少なくありません。工科大学・工業大学を卒業した後、どのようなキャリアプランを描くことができるのでしょう。
企業に就職する
民間企業に就職し、機械設計やエンジニア、生産管理・品質管理として活躍する人も多いです。企業への就職は、大学院まで進まなかった工科大学・工業大学出身者からも人気です。
ITなどテクノロジーの存在感はますます増していますので、高い専門性を持った理系人材へのニーズは高まっています。自身の研究活動を評価してもらえる企業との相性が良いでしょう。
研究者になる
大学院に進んだ工科大学・工業大学出身者は、研究者を目指す場合もあります。社会人になってからも研究活動を続けられ、高収入を期待できます。大学など教育機関、民間企業の研究・開発部門などに就職することで、研究者として働くことが可能です。ただし研究者の採用枠は非常に少なく、競争率が高いのがデメリットでしょう。
教員になる
大学の教員や高校の教員を目指す人もいます。ただし高校や小学校、高校の教員を目指す場合、専攻分野とは別に教員免許を取得しなくてはいけません。大学で所定の単位を取得し、教員採用試験の合格を目指しましょう。
大学の教員になるには、各大学や学部の募集に応募して採用される必要があります。優秀な研究実績が求められる上に、採用枠が非常に少ない狭き門です。
技術職公務員になる
工科大学・工業大学で修得した知識や技術を活かし、技術職公務員を目指すというキャリアプランもあります。技術職公務員には地方公務員と国家公務員があり、自治体や国のための政策を企画・実施する能力も求められます。
技術職公務員には土木、建築、機械、電気・電子、化学、農学などの区分が設けられており、まちづくり、交通整備や通信ネットワークの整備、災害対策、再生可能エネルギーの開発などを担います。
起業する
工科大学・工業大学に進学した人が、起業することも増えてきています。学生や院生のうちに起業する人もいます。特に研究活動で修得した知識や技術を活かしたり、研究中に得た着想をビジネスとして具体化するケースが見られます。起業を成功させるためには、経営などの知識と経験も必要になるでしょう。
おわりに:工科大学・工業大学は就職に強くキャリアプランも豊富!
工科大学・工業大学に進学すると、充実した研究環境で専門性を磨くことができます。研究で培った知識や技術は、卒業後の就職や研究活動に役立つでしょう。
コメント