映画の倍速視聴や本の要約、就活など「タイパ(タイム・パフォーマンス)」を重視すると、仕事や暮らしの効率化を図ることができますが、行き過ぎたタイパ至上主義はデメリットも伴うことも。この記事ではタイパ疲れに悩む人に向けて、時間管理のポイントを解説します。
- この記事でわかること
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- タイパの使用例やメリット
- タイパが仕事・プライベートに及ぼすデメリット
- タイパ至上主義は気が短くて表面的なのか
- 程よいバランスのタイパの取り入れ方
タイパ(タイムパフォーマンス)とは
タイパとはタイムパフォーマンスの略で、何かに費やした時間に対する効果や満足度を指します。短い時間で満足のいく結果を得られた場合はタイパが高いといえます。長い時間をかけたのに満足度の低い結果だった場合はタイパが低いといえるでしょう。
タイパが上がるってどういうこと?
タイパは比較的新しく生まれた言葉で、似た意味を持つ言葉は「費用対効果」です。タイパは、仕事でも趣味でも使われる言葉で、次のように使用されることがあります。
- タイパの言葉が使われるシーン例
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- ビジネス:「アジェンダなどの準備不足が原因で、会議のタイパが低かった」
- ビジネス:「スムーズに商談がまとまってタイパが良かった」
- 就活:「オンラインの会社説明会を早送りで見て、タイパを上げた」
- 趣味:「タイパを上げるために、映画を倍速視聴する」
- 趣味:「タイパを上げたいから、英会話レッスンをグループからマンツーマンに変える」
タイパを使用する際は、仕事でもプライベートでも費やした時間とその結果を考慮して、何かしらのジャッジをしているのが特徴です。効率性や生産性を重視する人、無駄を嫌う人はタイパを重視するといえるでしょう。
タイパのメリットとは?時間を節約して何が得られるの?
タイパという言葉が世の中に浸透したのは、時間を大切にする人や一定の時間に対する価値を置く人が増えたからです。また、タイパを意識することで得られるメリットが大きいからでもあります。
- タイパを意識する人が得られるメリット
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- タイムマネジメントスキルが高まる
- 短時間で効率よく物事を進められる
- 限られた時間を有効活用できる
- 無駄を省いた分、時間に余裕が生まれる
- 無駄を改善し、効率性や生産性を上げられる
- タイパを意識して仕事をすることが成果アップや収入アップ、投資の機会につながる
- 残業を減らすなど働き方改革が進み、会社や社会を変えていく
「時は金なり」という言葉があるように、時間を無駄にして過ごすのはもったいないですよね。特に仕事もプライベートも忙しい人なら尚更です。ただし、タイパばかりを気にするタイパ至上主義は、デメリットを引き起こすこともあるのを理解しておく必要があります。
タイパ至上主義が陥りやすいデメリットとは
タイパを徹底的に優先する、いわばタイパ至上主義は一見すると無駄の少ない効率的な考え方ですが、長い目で見るとデメリットもあります。
いつも時間に追われて余裕がない
タイパを上げるためには、時間管理や効率性の評価が必要です。タイパ至上主義になればなるほど、時間を切り詰めて物事に取り組むようになったり、効率性や生産性に厳しくなりがちです。
つまり短時間で結果を出すことが最優先になり、本当に考慮すべき事柄に意識が向かなくなるおそれがあります。たとえばタイパを優先するあまり、正確性が求められる仕事なのにダブルチェックを省いたところ、時間をかければ発見できるミスを見逃すことなどが考えられます。
「ダブルチェックしても、大体はミスが見つからないから」と思っていても、人間がする仕事であればミスは付きものです。省いていい仕事と省いていけない仕事があることを忘れてはいけません。
考え方が短期的になり、思考力や印象が下がる
タイパ至上主義の人は、思考が短期的になることもあります。タイパとは時間に対する成果や効果を指しますが、結果を重視する傾向が強まり、プロセスから得られるものを取りこぼすリスクがあります。また、長期的に継続することで得られる成果もありますが、タイパ至上主義が行き過ぎると成果や結果を急いでしまい、中途半端に終わったり最初から諦めてしまったりします。
タイパ至上主義は、「気の短い人」「短慮な人」「辛抱弱い人」と受け取られるおそれがあるというわけです。
表面的な知識や経験ばかり増える
タイパのために、映画や動画を倍速視聴したり、本は要約を読んで済ます人が増えています。たしかに概要や要点だけを知りたいならばこの方法は満足度が高いですが、その映画や本が本当に伝えたいことはあまり理解できなかったり、自分で解釈して思考を再構築する能力が磨かれないという場合もあるでしょう。
タイパを重視したつもりが、時間の浪費になっている
タイパを重視しているつもりが、ただの時間の浪費に終わっていることもあり得ます。たとえば、「あの映画をみんなが見ているから中身を知っておきたい」「流行に遅れたくないから本の要約はチェックしておきたい」という理由で、映画の倍速視聴や本の要約を利用することもあるでしょう。
ですが本当は、人の目を気にしたり流行に振り回されたりして取った行動は、自分にとって本来は必要のないことだったかもしれません。タイパを重視するならば、自分にとって本当に役立つことや必要なことに時間を集中させてもいいはず。タイパが気になって仕方ないようなら、自分にとって優先度が低いものの可能性もありますよ。
自分の価値観を他人にも押し付けてしまう
タイパ至上主義は、仕事で一緒に働く人や家族にもその価値観を押し付けてしまうことがあります。あくまでタイパは、物事を進めるうえでのひとつの考え方であり手段です。タイパを目的にしてしまうと、利害関係がさまざまな社会では衝突やトラブルを招きやすくなります。
仕事で他人の提案や行動に意見があったとしても、「それはタイパが悪いからほかの方法を考えて」という伝え方ではうまく行きません。何かを提案したり意見をいうときは、その理由や目的、期待できる結果などをしっかりと説明するのが安心です。
家族や恋人、友人との会話にも要注意。タイパ至上主義は、お出かけやデートにもタイパを求めることがあります。「出かけるならタイパを意識しなくちゃ」と言われてしまうと、雰囲気が悪くなるでしょう。
タイパ疲れを招く
タイパ至上主義の人は、「タイパ疲れ」に陥ることもあり得ます。タイパを重視し、動画の倍速視聴をしたり本の要約を読んだりしていると、たくさんの情報に短時間で接することになります。すると頭に疲労が蓄積したり、眼精疲労や腰痛を引き起こすことも。
倍速や要約では本質を把握できなかったり、自分の頭で考えることなく次々と情報に追われたりしますので、後々になって通常速度で見直すことになったり、しっかりと読書しなくてはいけない状況にもなりやすいでしょう。
タイパを重視したつもりが、生産性や効率性が落ち、疲れとやり直しが溜まっていくのを避けるためにも、タイパ疲れを回避しなくてはいけません。
タイパ疲れを改善する方法
タイパを重視することで時間の使い方が上手になるメリットがありますが、行き過ぎたタイパ至上主義にはデメリットが多いことを説明してきました。何ごとも行き過ぎにはリスクが伴いがちですので、バランスの良いタイパの取り入れ方のポイントを紹介します。
- バランスの良いタイパの考え方
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- 時間をかけたいもの・かけたくないものの棚卸しをする
- タイパを他人に押し付けないよう注意する
- 他人と自分を比べたり、他人に合わせようとし過ぎない
- 手段と目的を混同しない
- 「自分への投資」という視点を持ち、物事の長期的な損得や価値を考える
- ライフプランやキャリアプランを長期的に練る
タイパを上げるのは、「プライベートの時間を増やしたい」「無駄な時間を減らして、その分を勉強に当てたい」など目的があるからですよね。自分軸で長期的なライフプランやキャリアプランを考えてみると、自分にとって優先すべきことがはっきりしてくるはず。その上で、タイパを武器に時間を有効活用してくださいね。
おわりに:無駄に見えることにもチャンスや楽しみが期待できる!
忙しい現代人はタイパを重視することで、限られた時間を有効活用できるようになります。ただし行き過ぎたタイパ至上主義には要注意!手段と目的を混同させずに、自分にとって優先すべきことや価値のあることを大切にしてくださいね。
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