実家を離れてひとり暮らしをする場合、すべての家事もひとりで行う必要が出てきます。生活費の節約を考えると自炊もひとり暮らしの必須スキルといえますが、慣れないうちはなかなか難しいものです。
そこで今回は、より効率的かつ楽しく日々の食事を作るためのコツを、自炊のメリットや習慣づけていくためのポイントと一緒に紹介します。
一人暮らしの社会人に自炊がおすすめな理由って?
政府が実施し、2020年に公表された家計調査の結果によると、単身世帯の男女別の1か月あたりの食費は以下の通りです。
- 男女別、ひとり暮らし世帯の1か月あたりの平均食費
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- 男性…44,466円
- 女性…36,729円
ひとり暮らしの男性の方が、同じくひとり暮らしの女性に比べ食費がおよそ8,000円高くなっていますね。
勤労世帯と非勤労世帯、1か月あたりの平均食費比較
次に、主に社会人を指す「勤労世帯」と、学生など労働を生活のメインとしない「非勤労世帯」の1か月あたりの平均食費を比較してみましょう。
- 勤労世帯
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- 男性…48,912円
- 女性…38,393円
- 非勤労世帯
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- 男性…44,466円
- 女性…36,729円
非勤労世帯に比べ、勤労世帯の方が男性はおよそ4,000円、女性はおよそ1,600円、1か月あたりの食費が高額ですね。
勤労世帯の食費の方が、非勤労世帯の食費よりも高くなる理由は主に2つ考えられます。まずひとつめは、学生よりも社会人の方が経済的に豊かな可能性が高いこと。そしてもうひとつは、学生に比べ生活に時間的余裕が少なく、付き合いのため他者と食事する機会が増える社会人の方が外食や中食の機会が増えるためです。
ちなみに、1か月あたりの食費はその人の収入の10~15%が理想的だと言われています。例えば月収が20万円の人なら20,000~25,000円、月収が15万円の人なら15,000~22,500円の範囲になるよう、1か月あたりの食費を抑えるのが理想的です。
ただ頻繁に外食をしていては、上記範囲内に1か月の食費を抑えることは難しいでしょう。外食の機会が多く、生活費が高額になってしまいがちなひとり暮らしの社会人にこそ、食費の節約効果が高い自炊の習慣化がおすすめなのです。
なお生活費の節約以外にも、自炊の習慣化で得られるメリットには以下が挙げられますよ。
- 日常的に自炊することのメリット
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- 料理のスキルを身に付けられる
- 自分で材料や味付けを選べる
- 栄養バランスに配慮して自炊すれば健康状態の向上が期待できる
- 自炊で食費を節約するための買い物のコツ
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- 買い物は週に1~2回、行きつけの店の特売日やセール時間を狙って行う
- お金を払って手に入れた食材は、無駄にすることのないよう意識する
- 安くまとめ買いをした食材は、使いやすいよう小分けにして密閉容器で冷凍保存する
- 自炊用の食材を無駄にするNG行動
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- 1回の買い物で1日分の量しか買わず、一気に食材を食べきってしまう
- 不適切な方法で食材を保存し、まとめ買いした食材を劣化させてしまう
- 作り置きとは
- 時間のある休日などに食材を調理したり、料理の下ごしらえなどをして保存しておくこと
- 食材別、適切な冷凍方法の具体例
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- ごはん…炊き立ての状態から粗熱を取り、ラップでぴったりとくるんで冷凍する
- パン…1枚、または1個ずつラップで密閉するようにぴたっとくるみ冷凍する
- 野菜類…皮や種を除き、調理しやすい大きさにカットしてから保存袋に入れて冷凍する
- 果物類…かんきつ類ならひと房ずつ、スイカなら種を取ってカットする、その他の果物なら皮やヘタを除き食べやすいようカットしてから保存容器で冷凍する
- 料理…包んでおいた餃子は生のまま、調味したハンバーグは焼き色が付くまで焼いてから保存袋に入れ、加熱調理しやすい状態で冷凍するのがおすすめ
- 自炊を続け、習慣化するのに役立つ手抜きテクニック
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- 「混ぜるだけ」「焼くだけ」「温めるだけ」の食品や調味料を活用し、ひと手間で調理する
- フライパンにホイルシートを敷く、ワンプレートで食べられるメニューにするなどして、片付けにかかる時間や手間を最小限にする
自炊は節約にならない?まとめ買いは冷凍保存がおすすめ?
節約のために自炊をする際、まずするべきことは月収に応じた食費の上限額設定です。設定した金額の範囲内で必要なものだけを購入し、手に入った食材で自炊し日々の食事をまかなうことができれば、1か月あたりの食費を大幅に節約できます。
なお無駄な出費を減らし、食費と生活費を節約するための買い物のコツは以下の通りです。
また、割引や商品と引き換えができるお店独自のポイントを貯めていくのもおすすめ。意識的にポイントを貯めるようにすると、自身が買い物にかけている金額の可視化ができますし、毎日の買い物も割安でできるようになります。
対して、以下のように食材を無駄にする行動は、節約目的で行う自炊の大敵です。節約に効く買い物のコツと併せて、覚えておきましょう。
効率的な自炊は作り置きするのが便利
ここまでの内容で、食費節約のために自炊することの重要性は十分に理解できたでしょう。しかし、食費の節約や自炊することの重要性を十分に理解していながらも「仕事終わりは心身ともに疲れていて、料理なんてできない」と悩む社会人も多いはず。
実際、これまで外食や中食にも頼っていたのに節約のために毎日料理しなければならないとなると、かなりのストレスです。
そこでおすすめしたいのが、まとめ買いと併せて作り置きする習慣をつけることです。
作り置きを活用できれば、毎日本格的な料理をする必要はなくなります。場合によっては、冷凍・冷蔵保存しておいた料理を温めるだけで十分な食事を完成させ、全く火を使わずとも済む日も作れるはずです。また買ってすぐに調理をするため、食材を放置し無駄にするリスクも低減できますよ。
ただ、いきなり平日分すべての食事を作り置きしようとするのはおすすめしません。料理することへのモチベーションを維持し、楽しみながらできる範囲で作り置きすることが、節約のために自炊を習慣化するコツです。
自炊に慣れていないうちはまず作り慣れたもの、少ない手順で作れる簡単なものから作り置きを始めてください。週に2日、3日など、料理をせずに済む日を作ることを目標に掲げるのもおすすめです。
そして慣れてきたら食べたいもの、そのときに安く買えた食材を使って料理の作り置きに挑戦したり、作り置きする量を増やすと良いでしょう。
まとめ買いで食材が無駄に!冷凍保存方法のポイント
自炊を始めたばかりの頃に起こりやすい失敗に、作り置きや食材保存の失敗が挙げられます。これら2つの失敗の原因は、長期保存に適した調理法・保存法で食材を扱わなかったこと。
自炊の基本は安いときに食材をまとめ買いし、一週間ほどかけて効率よく調理・消費することで、食費を減らしていくことです。効率よく食材を調理・保存できないと、自炊しても食費の節約につながりません。
作り置きするときは、食べたいかどうかよりもまず「調理のしやすさ」と「一週間程度の長期保存が可能かどうか」を基準にメニューを選択しましょう。
なお食材は、それぞれに適した方法で冷凍しておくことで、長くおいしく楽しめます。以下に、身近な食材をおいしく長期保存するための冷凍方法を紹介していきますので、お役立てくださいね。
手抜きや「中食」もOK!自炊を続けるためのコツ
体力的・精神的に毎日の料理や、休日の作り置きが難しいときは、以下の方法で手抜きをして料理にかかる手間や時間を減らしてみましょう。
自身のなかで「料理すること」へのハードルが低くなれば、毎日の自炊や休日に作り置きをするためのモチベーションの維持に役立ちます。また、ひと手間の調理すら難しいときはスーパーやお弁当屋さん、コンビニなどでお惣菜を買って帰る中食(なかしょく)を活用するのもおすすめです。
外食より安い値段で、プロが作ったおいしい料理をすぐに食べられるのが中食のメリット。家を出る前に炊飯予約して主食のごはんは準備し、主菜や副菜はお店で買ってくるというのも便利です。食費節約のための自炊は毎日続けながらも手抜きをして、おいしい食事を摂ることができますよ。
しかし、どんなに工夫をしても料理をしたくない、気分が乗らないときもありますよね。そんなときは、思い切って外食してしまいましょう。たまには息抜きも必要です。
お気に入りのお店で、プロが自分のために作ってくれた料理をいただく時間は格別なもの。これまでの節約が無駄にならないよう設定した予算の範囲内で、食べたいものを、食べたい場所で食べてリフレッシュしてください。
また、飲食店でのイートインに比べ税率が安くなるテイクアウト、宅配の利用もおすすめ。中食や外食、宅配などをうまく利用し、あなたにとって負担になり過ぎように工夫しつつ、自炊を続けましょう。
おわりに:無理のない範囲で自炊を続け、習慣づけるのが節約成功のコツ!
自分で食材をまとめ買いし、毎日調理して食べるようにすれば、外食をする場合に比べかなりの食費節約になります。しかし、もともと料理の習慣がなかった人や苦手意識のある人、仕事で忙しい人にとって毎日料理をするのは大変なことです。食費の節約のために自炊をしたいなら、まずは食費にかける予算の上限を決めてください。その範囲内で買い物をし、簡単でもいいので調理するようにすると、徐々に自炊が習慣づいていきますよ。
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