不動産投資は、ある程度の自己資産ができたら投資を始める人も多い、昔からよく知られた投資の方法です。株式投資やFXなどと違い、大きく失敗して資産を急激に失う人も少ないため、比較的手堅い投資方法としても知られています。
では、不動産投資はなぜ比較的手堅く低リスクで、長期的な投資になりうるのでしょうか。不動産投資のメリットと、初心者が失敗しないためのコツをおさえておきましょう。
- この記事でわかること
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- 家賃収入(インカムゲイン)と売買益・売却益(キャピタルゲイン)とは
- 区分マンション、一棟マンション、戸建てそれぞれの投資の特徴
- 初心者が理解しておきらい不動産投資のデメリットとリスク
- 赤字になってしまう不動産投資のありがちな例
- 投資を始める前にセミナーに参加するのがおすすめな理由
初心者が理解しておきたい不動産投資の基本
不動産投資とは、文字通り宅地や建物といった不動産に対する投資のことです。
基本的には不動産を購入してそれを他人に貸し、家賃収入を得るのが目的ですが、後述する売却益によって利益を得る方法もあります。近年では老後の年金対策としても重視されていて、シニア・プレシニアの人はもちろん、20〜30代で始める人も増えてきています。
株式投資やFXなどと比較してリスクが低めなことから、生命保険代わりとして利用する人もいます。
- 投資のリスクとリターン
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- 株式投資やFXはハイリスク・ハイリターン
- 不動産はミドルリスク・ミドルリターン
- 預貯金はローリスク・ローリターン
不動産投資は、中間に位置するマナープランといえます。不動産投資によって利益が得られるのは、前述の家賃収入と売却益の2パターンです。
- 家賃収入(インカムゲイン)
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- 景気変動が少なく、コツコツと稼げるモデル
- 月々のキャッシュフローが重要
- 家賃収入に対し、経費(管理費・修繕費など)とローンの返済額がどれだけあるかで月々の赤字・黒字が変わる
- 売買益・売却益(キャピタルゲイン)
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- 不動産を購入した価格よりも高い価格で売却すれば、利益が得られる
- バブル期のように不動産価格が上り調子の時代やエリアなら、売買収益が得やすい
- 現在では利益があまり期待できないため、投資の主流ではない
また、不動産価格が下落していた時期に購入した場合、インカムゲインを受け取ってしばらくしてから売却し、キャピタルゲインを得られるというケースもあります。例えば、東京23区のマンション価格は近年でも徐々に上昇しています。つまり、購入したときの価格よりも売却するときに不動産価格が上昇する可能性があるということです。
不動産投資の種類(区分マンション・一棟マンション・戸建て投資)
一口に不動産投資と言ってもいくつかの種類があり、代表的なものとしては「区分マンション投資・一棟マンション投資・戸建て投資・J-REIT(不動産投資信託)・民泊投資・駐車場投資」の6種類があります。一般的に「不動産投資」と言う場合、多くは区分マンション投資や一棟マンション(アパート)投資、戸建て投資の3種類です。
- 区分マンション投資とは
- マンションの中の一戸単位(個別に販売される単位)で購入し、投資を行うもので、一棟マンション(アパート)投資や戸建て投資と比べて初期費用が抑えられるため初心者でも投資しやすいのが特徴です。
- 一棟マンション(アパート)投資とは
- 一棟まるごと購入して投資を行う投資です。初期費用もランニングコストも何倍・何十倍になり、リスクもその分高くなります。
- 戸建て投資とは
- 一戸建てを購入して投資する方法です。戸建てを望む人は新築を建てる人も多いため、マンションやアパートと比べるとどうしても賃貸や中古購入での需要が低いことから、空室リスクが高くなる傾向にあります。
ミドルリスク・ミドルリターンの不動産投資と株投資との違い
最初にご紹介したように、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と呼ばれます。投資に対して利益が得られるかどうかは不確実であり、どうしてもさまざまなリスクがつきまといます。逆に、成功した場合に得られる見返りのことをリターンと呼び、一般的にリターンが高ければリスクも高く、リスクが低ければリターンも低いというようにリスクとリターンは比例する傾向があります。
- ローリスク・ローリターンの投資
- ローリスク・ローリターンの代表として知られるのが銀行への預貯金で、金融機関などの破綻によって投下資金が戻ってこなくなるリスクは考えられますが、その可能性は非常に低いです。一方、リターンとして得られる金利も非常に低く設定されており、安全性が高い代わりに見返りも低い投資となっています。
- ハイリスク・ハイリターンの投資
- ハイリスク・ハイリターンの代表として知られるのは株式投資で、投資した会社の業績によっては株価が下落しますし、経営破綻によって株式の価値がゼロになる危険性もあります。その代わりに、企業価値がぐっと上昇すれば株式の価値が何倍にもなり、売却益(キャピタルゲイン)が高額になる可能性もあるのです。
- ミドルリスク・ミドルリターンの投資
- ミドルリスク・ミドルリターンとされているのが不動産投資です。賃料の下落や空室などによって予定した収入が見込めないことや、不動産の価値が下落したり地震などによって建物が倒壊したりというリスクはありますが、基本的には土地がある限り価値がゼロになる可能性は極めて低いと考えられます。
主婦などの初心者が株やFXで大儲けしたという話を聞くと、どうしても簡単そうに見えてしまいますが、大きな注目を浴びるということは、それだけハイリスクハイリターンの投資の成功例を見ない話だからです。
投資先の銘柄が非常に多く、売買のタイミングの見極めも難しいため、豊富な知識がなくてはなりません。将来の経済政策に大きく左右される可能性もありますので、確実に資産を形成できる保証はないのです。
これに対し、不動産投資による資産運用は、比較的少ないリスクで家賃という長期的な収入が得られ、節税効果も期待できます。バブル期とは異なり、高額な売却益は期待できませんが、何十年にもわたって安定した収益を得られるという点で老後のための長期投資に向いている方法だと言えます。
さらに、不動産の管理など煩雑な業務は、専門のパートナー会社に任せてしまうこともできますので、会社員や公務員などが副業として始めるのも難しくありません。
不動産投資のメリットとデメリット、注意すべきリスクとは?
ここまで不動産投資の大まかなリスク・リターンを見てきましたが、具体的に不動産投資のメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
不動産投資のメリット
- ローンを組むことで、自己資金以上の金額の投資ができる
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- 株式投資などは自己資金で行うが、不動産投資ではローンを組める
- 結果的に、自己資金以上の金額で投資ができる「レバレッジ効果」にもつながる
- 節税効果
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- 不動産投資の開始当初は、減価償却などとして節税にもなる
- 安定した収入
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- 毎月、借主からの家賃収入が得られるので、安定した収入を予測できる
- 私的年金の形成
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- ローン返済後、将来的に家賃収入が年金代わりになる
- 生命保険、死亡保険として活用できる
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- 不動産投資ローンを組む場合、団体信用生命保険に加入するため、返済期間中に本人が死亡した場合などローンの残高(残債)が0になる
- がんと診断されて残債0になることもあり、残された家族は不動産の所有を続けて家賃収入を得たり、マンションを売却して売却益を得たりできる
- 相続対策になる
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- 同額の現金を相続した場合と比べ、相続税の節税になる場合がある
- インフレへのリスクヘッジに
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- インフレで現金の価値が下がった場合でも、現物資産のマンションの価値は物価価格とともに変動するので、目減りしない
不動産投資のデメリット
- 初期費用、ランニングコストがかかる
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- 自己資金が全く必要ないわけではなく、毎月の維持費や修繕費などの経費がかかる
- 流動性リスク
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- 他の投資商品と比べ、流動性が高くないので取引したいときにできるとは限らない
- 空室リスク
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- 一戸のみ保有している場合、空室時に無収入となってしまう
- 固定費がかかる
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- 管理費、積立修繕費などの費用がかかる
- 不動産価格の下落リスク
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- 購入時よりも不動産価格が下落する可能性もある
- 天災リスク
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- 台風や地震などの被害によって、不動産がダメージを受ける可能性がある
- 金利リスク
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- 不動産投資ローンを変動金利で組んでいる場合、金利上昇の際に返済金額の負担が大きくなる
不動産投資におけるデメリットとは、主にリスク要因のことです。前述のとおり、予定の賃料収入が得られない、空室、修繕・管理経費はもちろん、借主が賃料を滞納することもあります。また、株式投資や預貯金とは異なり、すぐに現金化できないのも場合によってはリスクになりえます。その他、不動産関連の法制度や税制が変更された際にも対応しなくてはなりません。
さらに、価格変動リスクにも注意しておく必要があります。現在の基本的な不動産投資は家賃収入(インカムゲイン)であるとはいえ、投資をリタイアしたり、他に良い投資物件が見つかったりして不動産を売却するときが来るかもしれません。そのとき、物件の価格が購入時よりも大幅に低下していて、売却損が膨らみ、トータルで見ると収益が予定より大幅に少なくなったという結果になる可能性もあります。
一般的に、不動産投資で価格が下がりやすい物件としては、老朽化が進んだり利便性が損なわれたりして、空室率が高くなった物件だとされています。こうした事態を防ぐには、計画的に物件のメンテナンスを行ったり、立地や将来的な都市計画を見極めたりといった知識も必要です。少しでも価格変動リスクを軽減できるよう、ある程度は売却するときのことも意識しておきましょう。
不動産の初期費用の目安はいくら?実際の失敗例で多い原因は?
不動産投資はローンを組むことで少ない初期費用でも始められるとはいえ、全くかからないわけではありません。投資の種類によっても異なりますが、必要な初期費用は仲介手数料を含め、物件価格の8〜10%とされています。初期費用に含まれるのは、主に以下のような項目です。
- 不動産投資の初期費用の種類
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- 仲介手数料(不動産仲介業者を通す場合)
- ローン事務手数料
- ローン保証料
- 火災保険料・地震保険料
- 不動産登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
- 各種税金(不動産取得税、印紙税)
- 精算金(固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金)
仲介業者を通さず直接売主から買う方法もあり、その場合には仲介手数料は発生しません。そのため、取引の仕方によって初期費用は多少変わることがあります。
ローン返済や物件選びなどに注意!不動産投資の失敗とは?
さて、不動産投資の失敗とはどんなことを指すのでしょうか。それは、「トータルで赤字になること」です。投資用の不動産物件を購入するためには、前述のように不動産投資ローンと言われる融資を金融機関で組むのですが、この借り入れの返済には自己資金ではなく、入居者からの家賃収入をあてます。
ですから、月々のローン返済が家賃収入を上回らないよう返済計画を立てなくてはなりません。しかし、当初予定していた入居率を下回ると自己資金から返済を行わなくてはならなくなる場合もあり、入居率低下が長期間にわたると赤字が膨らみすぎて貯金や給与でも返済しきれず、自己破産に至ってしまうケースもあります。
自己破産にまで至る例は稀ですが、30年や40年といった長期間に及ぶローン返済、物件の売却益までを含めたトータルの利益がプラスにならないという場合は決して少なくありません。そこで、不動産投資の場合は特に「失敗パターン」をよく勉強し、知識を十分に仕入れたり調査をしっかり行ったりして、準備を怠らないことが重要です。
例えば、不動産投資で失敗した人の理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 不動産投資の失敗例
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- 空室が埋まらない
- 修繕費や維持費に、想定外の出費がかかった
- 相場より高く購入してしまった
- 需要の低い場所に買ってしまった
これらはいずれも、前述の準備をしっかりしておけば防げるものばかりです。不動産投資は株式投資やFXと異なり、失敗するパターンは非常にシンプルかつ決まっています。不動産投資をするときは知識と入念な調査を怠らず、事前にしっかり対策を行い、失敗をあらかじめ防ぎましょう。
初心者のための失敗しないポイントと不動産セミナーの選び方
初心者が不動産投資で失敗しないためには、やはり資金計画と不動産会社選びが大きなポイントです。また、不動産投資の知識を一気に学習できるセミナーへの参加も良いでしょう。最後に、これらのポイントやセミナーの選び方をご紹介します。
失敗しないポイント①:資金計画を綿密に
不動産は基本的に高額な買い物ですから、よほど資金が潤沢にある人でない限りはローンを組んで購入することになります。銀行から借り入れをする場合、返済時には元本だけでなく、利息を上乗せして支払わなくてはなりませんし、返済している間に金利が上がるかもしれません。こうしたさまざまなリスクを考慮し、ある程度の余裕を見込んだ綿密な資金計画を立てる必要があります。
失敗しないポイント②:不動産会社はどう選ぶ?
投資用の物件を購入するときは、基本的に不動産会社を介して購入します。このときの不動産会社選びが不動産投資の成功を左右すると言っても過言ではないほどで、不動産会社は投資の際の重要なパートナーと言えます。初めて不動産投資をする人の気持ちに寄り添い、さまざまなアドバイスをしてくれる会社を選びましょう。
具体的には、「事前にリスクをきちんと説明してくれること」「顧客の求める条件をしっかりとヒアリングしてくれること」の2点がポイントです。物件の購入はあくまでスタート地点ですから、家賃設定や建物の定期メンテナンスなど、購入後のフォローもしてくれる不動産会社が良いでしょう。
また、こちらの求める条件をしっかりヒアリングしてくれる不動産会社と出会うためには、そもそも自分自身がしっかりと不動産に対する知識や理解を深めておき、条件を明確にしておく必要があります。「なんとなく良い物件があれば」といった漠然とした情報では、不動産会社は物件を提示しようがありません。
不動産会社を探す前に、予算やタイプ、エリアなど具体的な条件を絞り込んでおきましょう。その上で、インターネットの口コミサイトなどを参考に、良い評価が多い、顧客満足度が高い不動産会社に相談するのがおすすめです。
不動産セミナーは、知識レベルや投資目的に合わせて選ぼう
不動産セミナーでは効率よく知識を吸収できますが、その内容は自分自身の投資への知識や、目的によって選ぶ必要があります。具体的には、以下のようなポイントで選ぶと良いでしょう。
- 概要・資金繰り:興味を持ち始めたばかりの初心者
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- 初心者には「不動産投資ノウハウ」がわかるセミナーがおすすめ
- 不動産投資とはどのようなものか、メリットやデメリットなどの概要をしっかり把握
- 流れや資金繰り、税金対策、相続対策なども学べるとベスト
- 不動産投資が自分に合っているかどうかの判断材料にも
- ※できるだけ、メリットだけでなく失敗事例・注意すべき点などの情報も伝えてくれるセミナーを
- 物件選び:本格的に始めたい人
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- 少額から始めたいなら、中古物件や区分マンション向けの投資に特化したもの
- 資金にゆとりがあるなら、新築物件の戸建て投資やアパート・マンションなどの一棟投資に特化したもの
- 年収別に投資の進め方を説明してくれるもの、サラリーマンを対象として狙うべき物件の種類や投資方法をレクチャーしてくれるものなども
- 市場分析、注目エリアなどを学んだり、実例から学んだり、さまざまな運用イメージをつかめる
- 管理・運用・売却:既に物件を所持している人
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- いま持っている不動産をどう運用していくか考える
- 収益の維持・増加につながる空室対策、利回りを上げる方法、リフォーム対策など
- 新たな不動産投資をしたい場合は、売却セミナーが良い
- 今後の経済の動きや展望などをおさえておくと、より有効な投資が行える
また、セミナーを運営している会社の取引・運用実績も確認しておくことが重要です。実際にマンションなどを管理・運営し、取引実績が多数ある会社なら信頼できます。特に、入居率は利益に直結するポイントなので、しっかり公表している会社を選びましょう。一時的な入居でなく、数年先までの利益が見込めるかどうかの目安になります。セミナーを長く定期的に行っていることも、そのセミナーが信頼できて役に立つことの証明と言えるでしょう。
おわりに:不動産投資は初心者でも行いやすいが、事前の準備をしっかり
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資と言われ、比較的リスクが低く、売却益はあまり見込めないものの、長期的な家賃収入が見込めます。このため、老後の私的年金や生命保険代わりに投資する人も多いです。
不動産投資も失敗のリスクはありますが、いずれもしっかり失敗パターンを学び、事前に調査をしていれば防ぎやすいものばかりです。セミナーなどを活用し、信用できる不動産会社で上手に投資を行いましょう。
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