LGBTの人が生きやすい社会や職場をつくることがどんどん重要になっていますよね。この記事では職場のLGBTの人からカミングアウトを受けたときの対応、お互いが自分らしく生きるために気をつけたいことなどを解説します。
- この記事でわかること
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- LGBTのそれぞれの意味
- カミングアウトを受けたときの対応
- 職場のLGBTの人に対する接し方
- みんなが生きやすい社会にするためのコツ
LGBTとは?それぞれをおさらいしよう
LGBTとは、「Lesbian」、「Gay」、「Bisexual」、「Transgender」の頭文字を取った言葉で、性的マイノリティの方々を総称します。LGBTの人たちは、性的指向や性自認で次のような個性を持っています。
- L:Lesbian
- 女性の同性愛者
- G:Gay
- 男性の同性愛者
- B:Bisexual
- 両性愛者
- T:Transgender
- 体の性と自認する性が一致しない人
性的指向や性自認は、本人の意思でコントロールできるものではありません。また周囲が性的指向や性自認を矯正したり治療したりするものでもありません。人それぞれの個性であり、自由であり、お互いに尊重するのが理想的です。
LGBTの生きづらさや困りごとって?
LGBTの人は、「自分は普通とは違うのかな」と不安を抱えることが少なくありません。男性は女性を好きになる、女性は男性を好きになる、という感覚が常識だと考えられてきた時代は長く、LGBTの人が生きづらさや困りごとを抱えていることも。
- LGBTの生きづらさ・困りごと
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- 友だちと恋愛の話をしたくても打ち明けられない
- 進路や就職で「男らしさ」「女らしさ」に悩む
- 結婚していないことへのプレッシャーを感じる
- 職場や商業施設など公共のトイレを使うのがツラい
- 更衣室や共同風呂を利用するのがツラい など
異性愛者にとっては当たり前のことでも、LGBTの人からすると違和感や苦痛を覚えることはあります。自分にとっての普通や当たり前がみんなに当てはまるわけではないということを理解していきましょう。
LGBTのカミングアウトとは?性的思考は個人情報なの?
LGBTの人が、自分の性的指向や性自認について他者に伝えることを「カミングアウト」といいます。カミングアウトせずに性的指向や性自認を隠しているLGBTの人は少なくありません。ただし隠しながら生きていくと、人から距離を取ったり嘘をついたりする必要も出てくるため、LGBTの人が心にダメージやストレスを溜め込むことも。
そのため、カミングアウトはLGBTの人が自分らしく生きるための方法であり、勇気あるチャレンジであるともいえます。なお、カミングアウトは本人の意思によってなされなくてはいけません。カミングアウトを強要したり、カミングアウトしたい人のことを抑圧しようとすることはおすすめできません。
カミングアウトしたということは信頼されているということ!
LGBTの人からカミングアウトを受けたとき、「どうして打ち明けてくれたんだろう」と驚くこともあるかもしれません。カミングアウトをしてくれたということは、あなたのことを信頼していると考えられます。
勇気をもってカミングアウトしてくれたことに、まずは感謝の言葉をかけると相手もほっとしてくれるはず。職場のLGBTの人からカミングアウトを受けた場合は、落ち着いて話に耳を傾けましょう。その上で、仕事をしていて困ることはないかヒアリングしてみてください。何か協力できることがあれば力になりましょう。
かといって無理に背負い込んだり、「力にならなきゃ!」とプレッシャーを感じ過ぎないよう、カミングアウトを受け止める側もリラックスすることが大切です。
性的指向や性自認は、心の深いところにも関わる個人情報です。カミングアウトしてくれたからといって、周囲に勝手に話さないようにしてください。自分のほかに誰にカミングアウトをしているか聞いておくと安心でしょう。
絶対にやってはいけない「アウティング」とは
LGBTの人の性的指向や性自認について、本人の断りなしに第三者に暴露することを「アウティング」といいます。職場の人からカミングアウトされた場合に、勝手に上司や先輩、経営者などに話してはいけません。
アウティングは個人情報の漏洩であると同時に、本人を深く傷つける行為です。勝手に暴露されたことで職場に居づらくなり、休職や退職に追い込まれる人もいます。さらにうつ病を発症したり自殺をしてしまう人も……。アウティングは絶対にしてはいけないことだと理解しましょう。
職場のLGBTの人への接し方のポイント
職場のLGBTの人たちへの接し方に戸惑う人もいますよね。「どんな風に接すれば傷つけないのだろう」「困りごとがあるんじゃないか」と悩んでいる場合、下記のことを意識してみましょう。
「男らしく」「女らしく」という表現は控える
LGBTといっても、個性はさまざまです。中には体は男性だけれど女性らしい人もいれば、体は女性だけど男性的な思考や言動をするのが自然体という人もいます。そうした人からすると、「男らしくしなさい」「女らしくないよね」という言葉はツラいものです。LGBTでない人でも、男らしさ・女らしさの押し付けに苦しんでいる人は少なくありません。
「筋肉がついていなくて男らしくないなぁ!」「女性なのに気遣いが足りないね」など、ちょっとしたジョークのつもりで言った一言が、誰かを傷つけているかもしれません。こうしたジョークやいじりはしないように心がけましょう。
LGBTに関する表現に気をつける
LGBTの人たちは、心ない差別を受けてきた時代が長く続いてきました。たとえば、ゲイの人たちを「ホモ」「おかま」「オネエ」と呼ぶことは蔑称とみなされることも。悪意がなかったとしても、言われた人の気持ちをひどく傷つけることがあります。
あえてLGBTというくくりで呼ぶ必要がない場合は、ひとりの人間としていつも通り「〇〇さん」と呼ぶことが自然ですよ。
「恋愛対象は異性」だと決めつけない
LGBTの人の性的指向や性自認、さらに恋愛の対象はさまざまです。そのため、職場で恋愛の話になったときに「彼女」「彼氏」といった性別を限定した言い方をしていると、LGBTの人が困ってしまうことがあります。性別を限定しない「パートナー」という言い方にすると、誰でも分け隔てなく恋愛の話をしやすくなるでしょう。
シングルの人をいじったり馬鹿にしたりしない
LGBTといっても、カミングアウトしたい人もいればしたくない人もいます。シングルや独身の人の中には、LGBTの人もいるでしょう。そのため、シングルや独身の人のことをいじったり馬鹿にしたりしてはいけません。もちろん、LGBTではないシングルや独身の人に対しても同様です。
意識しすぎて恋愛やプライベートについて質問しすぎない
LGBTの人とどのように接するのが良いか考えすぎて、「恋愛トークやプライベートについて理解しなきゃ!たくさん質問しなくちゃ!」と思う人もいるかもしれません。ですが、あまり意識しすぎなくても問題ありません。個性を認識し合うことが大切です。恋愛事情やプライベートについては、相手が話したいなら聞くという姿勢で大丈夫でしょう。
普段通りに接する・仕事はいつも通りに!
何より大切なのは、LGBTであることを知る前と知った後でも変わらずに接することです。きちんとコミュニケーションを取り、協力して仕事をしていきましょう。
LGBTを支援する「アライ」とは
LGBTの人への接し方を考えるとき、「アライ」について知っておくことをおすすめします。
- アライ(Ally)
- 性的マイノリティの人を理解し、支援しようとする人。「アライ」とは、支援者という意味
アライは性的指向や性自認についての正しい知識を習得している人で、カミングアウトされたり困りごとを相談されたときは、話を聞くなどをします。周囲の人がLGBTに対して差別的な発言や対応をしていた場合、そうした状況を止めるよう働きかけることも期待されます。
LGBTの人もそうでない人も安心して働くことができ、自分らしく人生を楽しんでいけるよう、自分がアライになるべく知識を習得していってはいかがでしょう。
おわりに:LGBTの人もそうでない人も自分らしく生きるために!
企業や団体がLGBTの人たちが働きやすい環境づくりの推進をしていることもあります。ただし一人ひとりの意識の変化がとても重要ですので、今回の記事をきっかけにLGBTに対する考えを深めてくださいね。
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