近年は会社のルール整備やコンプライアンス遵守など、正義感や責任感が求められる時代になりましたが、行き過ぎた正義感は困りもの。職場に正義感が強すぎる人がいると、疲れやストレスを感じたり、人間関係のトラブルに巻き込まれることもあります。この記事では、正義感が強すぎる人への対処法を紹介します。
- この記事でわかること
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- 正義感が強すぎる人のメリット・デメリット
- 正義感が強すぎる人が巻き起こすトラブル
- ロジハラ(ロジックハラスメント)とは
- 正義感が強すぎる人への対処法
職場にいる正義感が強すぎる人の特徴
職場に「あの人、正義感が強いな」と感じる人はいませんか?正義感が強い人は職場の模範として尊敬されることがありますが、あまりにも正義感が強すぎる人にはちょっと疲れてしまうことも。
正義感が強すぎる人には、次のような特徴が見られます。
- 正義感が強すぎる人の特徴
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- 自分にも他人にも厳しい
- 責任感が強い
- 自信がある
- 法律や規則、マナーを遵守する
- 自分の意見をはっきりを表明する
- 自分が絶対に正しいと思っている
- 他人の考えや意見に譲らない
- 正論を主張することが多い
- 困っている人を見過ごせない
- ハラスメントや不条理な対応を見過ごせない
- 嘘を言うことが嫌い
- 柔軟性が低く、融通が利かない
- ルールを守らない人に対する態度が厳しい
上記のような特徴を多く持っている人は、正義感が強すぎることがあるでしょう。そして強すぎる正義感のために、職場でトラブルを引き起こすリスクもあります。
職場にいる正義感が強すぎる人が起こすトラブルって?
正義感が強すぎる人は、人に迷惑をかける行為や責任感のない仕事ぶり、嘘や不正が許せないことが多いですよね。また、「これが正しい!」「これこそ理想!」というように、感じたことに対して真っすぐで、周囲にもその考えを浸透させようとすることもあります。
そうした正義感が強すぎる人は、下記のような職場トラブルを引き起こすこともあるのです。
- 正義感が強すぎる人が原因で起きる職場トラブル
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- 自分の掲げる正義を優先し、ルールやマナーを曲げさせようとすることがある
- 価値観や主張が合わない人と衝突・対立しやすい
- 自分の価値観や考えを、周囲にも押し付けてしまう
- 正論は主張できるが、状況に応じた対応が苦手
- はっきりとした物言いで、人を傷つけることがある
- 「みんなのためを思って」と、強気に主義・主張を通そうとする
- 言い方が厳しく、発言がハラスメントとして受け止められることがある
- 仕事のやり方やポリシーにこだわりが強く、効率が悪いときがある
- 目上の人や初対面の人にも遠慮がなく、人間関係のトラブルを招く
- 国籍や文化など多様な環境で軋轢を生みやすい
具体的な例としては、次のような職場トラブルが考えられます。
「上司に対しても嫌なことは嫌だと言うべき!」と主張する
言うことがコロコロと変わる上司、嫌味なことを行ってくる上司がいても、その場を穏便に済ますために不満を飲み込む人は少なくありません。
ところが正義感が強すぎる人はそのような状況を目にしたとき、「上司に対しても嫌なことは嫌だと言うべき!」「私が代わりに上司に訴えてあげる」と主張することも。たしかに言っていることが正論ですし、結果として上司が良い方向に態度を変えてくれたら理想的です。
ただし上司の怒りを買うだけ買って終わりになることもありえます。すると部署全体の雰囲気が悪くなったり、上司の態度がさらにキツくなるおそれもあるでしょう。
「仕事中に雑談は必要ない」など極端な考えを主張する
正義感が強すぎる人は、本来のルールや規則にはない「マイルール」を主張することがあります。たとえば「雑談を不快に思う人の気持ちも考えよう」と主張し、仕事中はいかなる雑談も禁止とすることを提案する人もいます。
ほかにも「遅刻しないために始業15分前には着席しておくべき」「昼休憩は1分でもオーバーしてはいけない」など極端なマイルールを作るなど、職場のみんなを締め付ける方向へ努力してしまうこともあるのです。
自分の価値観や考えに合わない人を責める
近年はグローバル化がますます発展したり、働き方が多様化してきています。ところが社会の変化に対して、会社のルール整備などが追いついていないこともあります。正義感が強くルール順守の意識も強い人は、明言されたルールを順守しようとする傾向が見られます。
そのため、文化的バックグラウンドが異なる人や実験的に新しい働き方をしている人に対しても、従来のルール遵守を強く求めることもあります。すると、せっかく会社が時代に合わせて変化しようとしていても、その流れを止めてしまうことも。
重要なのは、正義感が強すぎる人が会社のルールを作る権限を持っているとは限らないことです。正義感が強い人の言うことが正しいとは限りません。正義感が強すぎるあまり、変化に対応できずに不当な要求をしているおそれもあるでしょう。
正義感が強い人のおかげで助かることも!
正義感が強すぎる人の特徴やデメリットを説明してきましたが、正義感が強い人のおかげで職場にメリットがもたらされることもあります。
- 正義感が強い人が役立つシーン
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- 職場のハラスメントや不条理に悩んでいる人を助けようとする
- コンプライアンスやルールの遵守を促進する
- 職場に緊張感を与えてくれる(行き過ぎると悪影響に)
- 正義感の強さからリーダーシップを発揮することがある
- 誠実な人柄で周囲から慕われる
やはりルールや規則を守る意識が強いため、会社の模範として規律を正す役割が期待されます。不正や情報漏洩は、人間が起こすものです。そのため、正義感が強い人がいることで、職場に程よい緊張感が生まれます。
誠実で曲がったことが嫌いな人柄を慕う人もいるでしょう。近年は企業にコンプライアンス遵守が求められますので、正義感はヒューマンスキルのひとつとして重視されます。
正義感の強さがハラスメントになることはあるの?
正義感が強すぎる人は、言い方や注意の仕方が厳しくなることもあります。そうした正義感の強さが、パワハラなどのハラスメントへと発展するケースも考えられるでしょう。
たとえば、始業時間に5分遅刻してきた部下に対して、理由も聞かずに「社会人として最低だ!恥ずかしくないのか」など、人格を否定する言葉を言ったり、机を叩きながら叱ったりすることは、パワハラに該当する可能性があります。
そのほか、正義感が強すぎる人が陥りがちなのが「ロジハラ(ロジックハラスメント)」です。
正論ばかりで責め立てる「ロジハラ」って?
「ロジハラ(ロジックハラスメント)」とは、正論をかざして相手を過剰に追い詰めたり、自分が優位に立とうとするハラスメント行為です。本来、業務についてロジカルに説明することは悪いことではありません。ロジハラでは、正論を盾にして相手の人格を否定したり、不当な業務を課したりすることが問題です。
ただし、「正論=ロジハラである」と訴えるのは難しいともいえます。正論で説明された側の受け取り方が敏感なあまり、ハラスメントを受けたと感じることもあるからです。「論破された」からといってロジハラとは限りません。「正論で来られたから言い返すことができなかった」としても、そもそも指導上必要なことであり、言い返す必要がなかったケースもあるでしょう。
職場の正義感が強すぎる人に困ったときの対処法
正義感が強すぎる人と仕事をしているとき、困りごとやストレスを感じることもあります。そうしたときは、下記のことを試してみましょう。
過度に同意・賞賛しない
正義感が強すぎる人は自分の意見を主張するだけでなく、「その通りですね」「さすがです」と同意・賞賛を求める人もいます。正義感が強すぎる人の主張が正しかった場合は問題ないのですが、行き過ぎている場合は過度の同意・賞賛をするのは控えましょう。誤解を与えてしまったり、増長させてしまうおそれがあります。
ただし正義感が強すぎる人に助けてもらったときなどは、深く考えすぎずに感謝するのがマナーですよ。
「それは違う」と否定するのは逆効果!
正義感が強すぎる人に困っているとき、つい「それは違うじゃないですか」と真っ向から否定したくなることも。ですが正義感が強すぎる人は、自分の考えが正しいと思い込んでいるケースが多いため、かえってかたくなになったり、あなたのことを強く責め始めるおそれがあります。
正義感が強すぎる人の主張が間違っている場合でも、「〇〇さんの考えは伝わってきました」「そういう考え方もありますよね」など、クッション言葉を置いてから、「実は今回はそうじゃなくて」「残念ですが、今回はそのケースに当てはまらなくて」など、やんわりとなだめるようにしてみましょう。
いろいろな価値観があることを説明する
正義感が強すぎる人の中には、今までは自分と似た考えの人とばかり過ごしてきた人もいます。あるいは、誰も正義感が強すぎる人に対して意見を言えなかったのかもしれません。
そのため、正義感が強すぎる人に柔軟になってもらうには、世の中にはさまざまなバックグラウンドを持つ人がいること、育った国や地域、年代などによって、多様な価値観があることを理解してもらう必要があります。「ダイバーシティ」や「働き方の多様化」をキーワードに、会社で研修やセミナーを開催するという方法もあるでしょう。
距離を取る
正義感が強すぎる人に疲れたときは、可能であれば距離を取るのもおすすめです。正義感が強すぎるというのは、その人の性格や個性に原因があり、変えようとしても変えられるとは限りません。他人の性格を変えることに力を注ぎたくない人もいるでしょう。
もしも業務上で大きな問題がない場合、できるだけ距離を取って、コミュニケーションは必要最低限にとどめてみてはいかがでしょう。
上司や人事部に相談する
正義感が強すぎる人が職場をかき乱していたり、業務に悪影響を与えている場合は、上司や人事部に相談しましょう。前述したように、過度な正義感はハラスメントに発展する可能性もあります。
「正義感が強いのは悪いことではないから…」と我慢しているうちに、ストレスや疲労が限界に来てしまうことも考えられます。正義感が強いからといって、仕事上の絶対的権限を持っているわけではありません。困ったときは、信頼できる人や相談窓口を頼りましょう。
おわりに:正義感が強すぎる人へのストレスは放置しなくて大丈夫
正義感が強すぎる人への対処法はいかがでしたか? 正義感は悪いものではないからこそ、行き過ぎた正義感に疲れることはあるはず。ストレスや疲労を感じたときは、今回紹介した対処法を試してみてくださいね。
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