キャリアはスキルや経験を積みながら築いていくものです。キャリアを形成するもののひとつが勤続年数。着々と経験や信頼を積み、いつの間にか「若手」から「中堅」「ベテラン」と呼ばれるようになり、周囲からの見る目が変わっていることも少なくありません。
そこで今回は、中堅やベテランの定義や強み、年齢とキャリアを重ねたからこその弱みや、昇進や転職のチャンスをつかみ続けるためのスキルアップの方法などを紹介します。
- この記事でわかること
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- 中堅・ベテランに求められるプレーヤーと管理職としての二面性
- 中堅・ベテラン社員が自覚したい自分の弱み
- 語学、経理・事務、ITなどスキルアップにおすすめの資格
- 転職活動の自己分析とアピールのポイント
中堅社員やベテラン社員は入社何年目からの人?
一般的には、新人は入社2年目まで、若手は3~5年目から、ベテランと呼ばれるようになるには10年近い月日がかかります。入社年数のみならず、社会人としての経験年数にも同様のことが言えるでしょう。
たとえば、@DIME(アットダイム)が実施した「「新入社員」「若手」「ベテラン」それぞれ入社何年ぐらいの人を指す?」では、世間が思う新人と若手、ベテランの入社年数について調査しています。
- 入社年数による、人材の呼び方についての調査結果まとめ
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- 新人、新入社員と認識されるのは入社してから1.6~2.1年まで
- 若手と呼ばれる期間は、入社してから3.8~5.1年まで
- ベテランと呼ばれるのは、入社してから8.8~10.9年ごろから
中堅社員は役職に就いていない人のこと?
続いて中堅社員の定義ですが、リクルートマネジメントスクールの記事「中堅社員って何年目から?求められる中堅社員の役割とその立場」によると、以下のように定義されています。
- 中堅社員とは
- 入社から3年以上経過していた社員であり、かつ役職に就いていない人材のこと。指示された仕事をこなすだけの新人とは異なり、自分で考えて仕事を進めることができる社員を指すことが多い。また入社年数にかかわらず、前職から総合して3年以上のキャリアを積んできた人も一般的に中堅社員として扱われる
ただし、企業によっては「入社3~7年目までの社員」「20代後半の社員」など、ローカルの定義がつけられていることもあります。
積み重ねが大事!中堅・ベテランの強みとは
3年以上の経験を積んだ中堅社員と、10年前後の経験を積んできたベテラン社員。それぞれに企業や周囲から期待される働き、年齢とともに積み重ねてきた経験からくる人材としての強みには、以下のような項目が挙げられます。
中堅、ベテランの社員に期待される働きや強み
- プレーヤーとして、与えられた仕事を一人でも問題なく完遂させること
- 目の前の業務で頭がいっぱいになりがちな若手社員をサポートする
- 新入社員をはじめ、後輩への業務の指導、人材育成を通して管理スキルを身に付ける
- 意見できる機会の少ない若手に代わり、彼らの意見を吸い上げ役職者へ伝える
- チームや部署全体で円滑に仕事がまわるよう、目配りと気配りをすること
- プレーヤーとしてはもちろん、将来的な管理職候補としても活躍できるよう、必要な知識や技術を身に付けるための自己研鑽をすること
中堅社員とベテラン社員には、仕事能力はもちろん人材の育成や管理をする能力、培ってきた知識と経験をもとに若手をサポートしていくことも求められているのですね。
中堅社員のキャリア形成の悩み解決はこちらもチェック
中堅社員ならではの仕事の悩みを抱えたときは、キャリアの充実や自身のワークライフバランスなどを考えてみるのがおすすめです。たとえばこちらの記事では、キャリア形成に関するポイントを紹介しています。興味がある人はチェックしてくださいね。
中堅社員やベテラン社員がミスしたらどう対処する?
若手に比べて経験豊富で、どんなこともそつなくこなすイメージを持たれる中堅やベテランの社員ですが、だからこそミスをする場面もあります。社会人になってから年数を重ねると、仕事として携わる分野が徐々に限定されてきます。
これは専門性の向上につながり、中堅やベテランの知識・技術を高めることにもつながりますが、一方で以下のような弊害も生み出すのです。
- 特定の分野だけに業務の経験や知識が偏り、別の分野の仕事はほとんどできない
- 専門とする分野の業務スキルしか持てず、仕事にマンネリを感じて労働意欲が低下する
- 目の前の仕事にだけ没頭してしまい、視野が狭く若手や他部署の人と話が合わなくなる
- 異動など、諸事情で新しい仕事を任されるようになっても順応できず、ミスを連発する
どんな人にも得手不得手はありますし、特定のことだけやっていては、どうしても見える世界が狭くなっていきます。年齢と経験を重ねても仕事のミスをすることはあります。所属する業界や企業の規模に関わらず、仕事をするうえでの苦悩は働く限り一生ついて回るでしょう。
ただし、自分が陥る可能性のある弱点やリスクを知っていれば、気づきを得やすく軌道修正がスムーズです。上記の例を参考に、時には自分の仕事ぶりを振り返ってみましょう。
中堅社員・ベテラン社員に必要なスキルやマインドって?
長く同じ企業に努め、特定の分野でのみ働いてきた中堅やベテラン社員は、自らが経歴とともに積み上げてきた地位や知識、スキルに強く執着するようになるケースもあります。
しかし、分野に関わらず現代の技術進歩のペースは非常に早いものです。過去に身に付けて役に立ったから、気に入っているからと言って古い知識やスキルに固執し、新しく学びなおすことをしなければ最大の強みである経験を活かすことができません。
中堅、ベテランゆえの弱みを克服するためには、知識とスキルを時代に合わせてアップグレードし続ける必要があるのです。まずは企業の研修などを通してこれまでのキャリア、強み・弱みを棚卸して、自身を客観的に評価することから始めてください。
そしてそこから、今後どのようにキャリアを重ねていきたいか、過去に身に付けた知識やスキルに新しいものを掛け合わせ、どんな人材になりたいかをイメージしてみましょう。こうすることで仕事やキャリアへの意識が変わり、長く活躍できる人材であるために積極的に学習機会を持つ必要がある、と納得できるはずです。
なお中堅、ベテランになってから身に付けるべき知識の種類や資格は、過去の経歴や今後の展望により変わってきます。
以下に、中堅・ベテランのスキルアップに役立つ資格をいくつか紹介しますので、勉強する分野選びや目標設定にお役立てください。
- 語学系資格
- 経理、事務関係
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- 簿記検定
- 電卓技能検定
- ビジネスキーボード認定試験
- 秘書検定
- ITパスポート試験
- Webデザイン技能検定
- 接客、販売、営業関係
- その他のおすすめ資格
中堅・ベテラン社員が転職するときの自己アピールのポイント
今後のキャリアを真剣に考えた結果、転職を選択する中堅・ベテラン人材もいるでしょう。そこで最後に、ひとつの組織で長く働いてきた中堅・ベテラン人材の転職活動に役立つ、自己アピールのポイントを紹介します。
中堅・ベテラン人材の転職活動において、一番の武器となるのは過去の経験と知識、スキルを根拠とした即戦力性です。
自身の即戦力性が伝わるよう、自己アピールには以下の要素を盛り込んでください。
中堅・ベテラン人材が、転職活動の自己アピールに盛り込むべき内容
- プレーヤーとして、どんな経験を積み知識、スキルを身に付けてきたか
- 管理職経験がある場合は、人材の育成と管理をするなかで身に付けたこと
- これまでどんな想いで仕事に取り組み、どんな成果を上げてきたのか
- 海外で働いた経験がある場合は、その経験から得たことや語学力もアピール
- 転職したい業界や企業がはっきりしているときは、それらへの愛を語るのもアリ
- 新しい環境で、新入社員としてさまざまな年齢の人と働いていく決意と柔軟性
自己アピールをする際のポイントは、具体的な数値やエピソードを交えて簡潔に、わかりやすくまとめること。これは文章でも、口頭で述べる場合のどちらの場合にも共通の有効です。
そのうえで、あなたの強みが入社後どのように役立つのか、応募先企業の採用担当へ的確に伝えることができればかなり好印象となるでしょう。
また、中堅・ベテラン人材の採用を企業が敬遠する理由のひとつとして、年齢ゆえのプライドの高さや扱いづらさを懸念するケースがあります。年齢を重ねてから転職するなら、現職での役職や立ち位置に関わらず、年下の上司や同僚とも円満な人間関係を築く柔軟性が不可欠です。
自身の人材としての強みと一緒に、人としての魅力もしっかりアピールしてくださいね。
おわりに:中堅は入社して3年、ベテランは10年目くらいから!スキルのアップグレードを続けずっと活躍できる人材でいよう
一般的に、社会人として働き始めて3年以上すると「中堅」、10年前後になると「ベテラン」と呼ばれるようになります。中堅・ベテランは年齢と経験からくる知識量、スキルの高さを武器としますが、一方で変化や新しい仕事・技術に弱くなる傾向があるのも事実です。中堅やベテランになっても魅力的な人材であり続けるには、変化を恐れず、時代に合わせてスキルを更新していく必要があります。覚えておきましょう。
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