共感力が高く、周囲の人に優しく接することができるのはステキな対人スキルです。その一方で、共感力が高いことで感じる「生きづらさ」や、人間関係でのストレスを感じることもあるかもしれません。今回は、共感力が高い人の特徴、直面しやすい悩み、心を軽くするための「いい意味での無関心」について紹介します。
- この記事でわかること
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- 共感力が高いことのメリット・デメリット
- 共感力が高い人がぶち当たる壁
- 共感力が高い人にとっての要注意人物
- 「いい意味での無関心」で心を軽くするコツ
共感力が高い人の特徴とは?
共感力が高い人とは、他人の感情や状況を思いやり、理解する能力が優れている人のことを指します。相手の立場に立って物事を考えることができ、相手の気持ちや感情をまるで自分のことのように感じ取ることができます。
共感力が高い人には以下のような特徴があります。
相手の気持ちを察する
共感力が高い人は、相手がはっきりと言葉にしなくても、表情や仕草、声のトーンなどからその人の感情を敏感に察知することができます。相手が悩んでいることや困っていることにすぐ気づき、適切なサポートをしたいと感じることも多いでしょう。
聞き上手
相手の話にしっかり耳を傾け、共感的に受け答えをすることができるなど、共感力が高い人は聞き上手であることが多いものです。人は自分の感情や思いを理解してくれる人には、心を許したくなる傾向がありますので、共感力が高い人の周りには多くの悩める人が集まることがあります。
自己犠牲的
共感力が高い人は、人を傷つけたくないという気持ちを持ち合わせていることも多いです。常に優しさを持って他人に接し、力になりたいと考えています。相手が困っているときはすぐに手を差し伸べ、時には自分のことを後回しにしてまで他人を助けることもあります。
調和を大切にする
共感力の高さから、争いごとを避けて周囲との調和を重視する傾向も。誰かが不快に感じる出来事や態度、人間関係のトラブルを極力避けようとします。場の空気を和らげたり、他者をなだめたりすることが得意です。
共感力の高さゆえの「生きづらさ」に悩みがち……
共感力が高いことは素晴らしい性質です。人望が集まりやすく、信頼されることも多いでしょう。その反面、以下のような「生きづらさ」を感じることもあります。
他人の感情に振り回される
共感力が高いと、他人の感情を自分のことのように感じてしまいがちです。誰かが悲しんでいたり、怒っていたりすると、その感情に強く影響されてしまうことがあります。たとえば、友人が落ち込んでいると、自分も同じように気分が落ち込んでしまい、自分には直接的に何も起こっていないのにかかわらず精神的に疲れてしまうことがあります。
自分らしさがわからなくなる
他人の感情に寄り添いすぎることで、自分自身の感情や欲求を後回しすることがあります。「自分がどう感じているのか」「本当はどうしたいのか」がわからなくなり、結果的に自分を見失ってしまうこともあります。いわゆる「他人軸で生きる」状態で、自分らしさとは何かわからずメンタルが不安定になるおそれも考えられます。
期待に応えようと無理をしてしまう
共感力が高いと、周囲の期待に応えたいという気持ちが強くなりがちです。人から頼まれると断れなかったり、相手を喜ばせるために無理をしてしまうことが多く、疲れ果ててしまうことがあります。
境界線が曖昧になる
共感力が高いと、他人と自分との間にしっかりとした境界線を引くことが難しくなります。相手の問題や感情を自分のことのように感じすぎてしまい、どこで手を引くべきかがわからなくなることがあります。程よいサポートならば問題はあまり発生しませんが、「お節介」「八方美人」という印象を抱かれることもあります。
共感力が高い人が巻き込まれやすいトラブル
共感力が高い人は、周囲から頼られることが多いのも特徴です。「いつも味方してくれる」「助けてくれる」という信頼が高いあまり、トラブルに巻き込まれることも……。特に、以下のようなトラブルに引き寄せられる人も多いでしょう。
事実を勘違いしてしまう
相手の気持ちに寄り添うことができるのは素晴らしい感性ですが、それが事実として正しいかを見極めることが難しくなることもあります。たとえば「最近、自分だけ仲間はずれにされている。辛くて悲しい」という悩みがあったとしても、実際はその人が思い込みが激しかったり、周囲への要求が高過ぎたりするケースもあります。客観的な視点が抜け落ちたまま、「なんてひどいことをされたんだろう」「あなたは悪くない」と結論付けるのは早合点かもしれません。
「やさしい人」として利用される
共感力が高いと、周囲の人に「何を頼んでも大丈夫」と思われ、無理なお願いをされることが多くなります。延々と愚痴を聞かされる、ミスの尻拭いを押し付けられるなど、自分の時間やエネルギーを奪われることが増え、結果的にストレスがたまることがあります。
他人の問題を背負い込んでしまう
共感力が高い人は、他人の問題にもかかわらず「なんとかしてあげなくちゃ!」と受け止める傾向も見られます。本来は無関係のトラブルであったとしても、一人で抱え込むこともあるでしょう。ストレスや負担になるだけでなく、トラブルを複雑化させたり、「なぜあなたが首を突っ込んでくるんだ」と批判されることもあり得ます。
共感力が高い人が身に付けたい「いい意味での無関心」
共感力が高い人にとって、自分の感情を守るために大切なのが「いい意味での無関心」です。無関心というと冷たい印象を持たれるかもしれませんが、「いい意味での無関心」とは自分を守るための、他人との適切な距離感を保つことを意味します。
「いい意味での」というのは、礼節やマナー、親切心は残すということ。他人を無視したり、ご自身の気持ちに蓋をするという意味ではありません。人として最低限のコミュニケーションは保ちつつ、自分らしさを保つために、他人との間にしっかりと線を引くイメージです。
具体的には、以下のようなイメージを持ちましょう。
他人の感情と自分の感情を区別する
他人の感情に寄り添うことは大切ですが、他人の感情を自分のものとして引き受けないことが重要です。これは、他人の感情と自分の感情を混同せず、区別するということです。相手が悩んでいるときに共感しつつも、「その感情は相手のものであり、自分のものではない」という意識を持つようにしましょう。そうすることで相手をサポートしつつ、自分の感情を守ることができます。
「全てを解決しなくてもいい」
共感力が高いと、他人の問題を解決したいという気持ちが強くなりがち。ですが、全ての問題に対処する必要はありません。相手の問題を自分がすべて引き受けるのではなく、相手自身が解決する力を信じることも大切です。「自分にできる範囲でサポートする」というスタンスを持つことで、無理をせずに関わることができます。
自分の時間とエネルギーを大切にする
他人に優しくすることは素晴らしいですが、自分の時間やエネルギーを犠牲にしてまでサポートする必要はありません。自分自身を大切にし、無理をしない範囲で他人に接することが重要です。特に疲れているときやストレスを感じているときは、相手に過度に共感しすぎないことを意識しましょう。少し距離を置くことも一つの方法です。
「ありがとう」をクッション言葉に距離を取る
「いい意味での無関心」を保つためには、相手との距離感が大切。ですがいつもやさしく人に寄り添うのが共感力が高い人ですので、急に距離を取り始めると周囲を驚かせないか心配ですよね。相手に感謝しつつも距離を取るには、「ありがとう」のクッション言葉がポイントです。「相談してくれてありがとう」「頼ってくれてありがとう」と伝えつつ、客観的な態度を貫きましょう。
おわりに:共感力の高さの良い面は残しつつ、自分らしさを大切に!
共感力が高いことは、プラスに働くことも多いコミュニケーションスキルです。しかし、他人に寄り添ってばかりいると、ご自身の気持ちを見失うこともあります。今回紹介した「いい意味での無関心」をイメージしながら、他人との距離感を取ってみてくださいね。
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