40〜50代のミドル世代は、20〜30代の比較的若年層に比べると転職や再就職が難しいとされています。前職を退職した、キャリアアップを図りたいなど、ミドル世代が転職・再就職を希望するとき、どのように就職活動を進めればいいのでしょう。
そこで、今回はそもそもミドル世代の就職が難しいとされてしまう理由や転職・再就職のコツについてご紹介します。
- この記事でわかること
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- 40代、50代が陥りやすい転職活動のつまづきって?
- 履歴書の写真や自己アピールの書き方って?
- 長くなりがちな職務経歴書の書き方の工夫
- 「リファラル採用」はコネと違うの?
40代からの転職・就職が難しいといわれるのはなぜ?
一般的に、20代や30代に比べると40代から転職や就職をするのは難しいとされています。株式会社マイナビ「中途採用業務の実績調査」によれば、正社員以外の雇用はどの年代でも大きな差はありませんでしたが、正社員としての雇用は30代が74.4%と最も高く、20代で57.8%、40代で52.6%という結果になりました。
従業員が300人以上の大企業に限っては、30代が82.6%に対し40代は58.0%と25ポイント近くの差が生じています。このような差が出る要因として、企業は職務能力が同等なら給与の条件面で採用しやすく、かつ適応力やポテンシャルが見込める20代・30代を採用することが多いからです。組織の年齢構成などの問題から、新卒採用で充足できなかった人材を第二新卒で積極的に採用する企業もあります。
こうしたことから、ヘッドハンティングの対象となるような専門性や、業界内での実績があるなどといった一部の人を除けば、40代で転職・就職するのは一般的には厳しいと言わざるを得ません。しかし、ニーズとしては少ないものの、経験豊富な40代をこそ即戦力として迎えたいという企業もあります。
- 即戦力を求める傾向が高い企業
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- 社歴が浅い企業
- 中小企業
- 新規プロジェクトを短期間で立ち上げたい企業
こうした企業は実践力のある人材を求めていることが多く、人材を一から育てるためのコストをかけないように採用活動を進めています。
また、管理部門を強化する場合にはやはり経験豊富な人材を採用したいと考える企業もあります。
ですから、「40代だから転職は絶対に難しい」と杓子定規に考えてしまうのではなく、「即戦力として活躍できる世代だ」とアピールしていくことが、40代からの転職・就職を成功させるカギと言えるでしょう。
また、以下のような陥りやすいつまずきポイントにハマっていないかチェックしてみましょう。
- 「年齢が高いから無理」と固定概念にとらわれている
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- 40代の転職希望者は、数社不採用になるとどうしても年齢を理由にすぐ転職や再就職活動を諦めてしまいがち
- 年齢を気にしすぎるあまり、応募企業で発揮できる能力を十分にアピールできていない
- 企業が求めている人材とのマッチングを見極めていない
- 企業が求めるスキル・経験をふまえた積極的なアピールができていない
- 過去の経歴や実績にこだわりすぎる
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- 前職で培った経歴や実績のプライドが邪魔をしてしまう
- 新人としていちからスタートする気持ちを作れない
- 前職が大企業であるために、同規模の企業への転職・再就職にこだわる
- 年収ダウンを恐れている
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- 初任給や初年度年収へのこだわりが強く、採用に至りにくい
- 40代では転職・再就職時に年収が下がることもあることを受け入れられない
- これまでの年収は「前職での実績」であり、転職・再就職先の企業ではまだ実績がゼロであることを理解できていない
- 企業が求める人材像を見極めきれていない
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- 管理業務ではなく実務担当者として勤務したい人もいるかもしれないが、職務能力が20〜30代と同等の実務担当者であれば、企業は当然若年層(給与・年収の低い方)を採用する
- 40代であれば、若い世代にはない職務能力や実績を具体的にアピールする必要がある
- マネジメント能力を問われることも多くなるので、その場合は役職経験がなくてもリーダーシップや後輩の指導・育成力、チームやプロジェクトのマネジメント力をアピールできているか
- 会社に馴染める人物だとアピールしきれていない
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- 職務能力のほか、良好な人間関係を築けるかどうかという組織適応力も重要
- 人間関係の質問に答えるとき、明るい表情ができているか
- 上司が自分より若いケースも出てくるので、応募企業に馴染める人材であることがアピールできているか
- 履歴書の書き方にひと工夫が必要
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- 経験が多いので、職務経歴書が長くなってしまい、見にくくなっていないか
- 応募先企業で活かせる経験・実績を強調して記載できているか
このように、つまずきやすいポイントはいくつかあります。いずれも無意識にやってしまいがちなことですから、転職や再就職を考える場合にはよくチェックし、思い当たる部分は積極的に考え方やアピールの仕方を変えていきましょう。
ミドル世代の転職のコツ-履歴書と職務経歴書の書き方
ミドル世代になってから転職・再就職を考える人は、以前履歴書を書いたのは数十年前という人も少なくありません。そこで、注力すべきポイントを改めて整理しましょう。
履歴書の書き方のポイント
- 写真
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- 3ヶ月以内に撮影した証明写真(プリクラやスナップ写真はNG)
- 服装は基本的にスーツで、裏面には氏名を書いておく(万が一剥がれてしまったときのため)
- 学歴・職歴
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- 学歴の最終行から一行開けて、中央に「職歴」と記す
- これまで入社した会社をすべて時系列順に記入し、退社時には退社理由も一緒に記入する(一身上の都合により退社、出産により退社など)
- 最終行の次の行に「以上」と記入する
- 免許・資格
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- 取得した順に、持っている免許や資格をすべて記入する(※略さず、正式名称で)
- 現在、取得のため勉強中の資格があれば、その旨も記入しておくと良い
- 自己PR
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- これまでの実績、アピールしたい能力、仕事に対する思いなどを記入する
- 志望動機
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- なぜこの会社を選び、どこに惹かれたのか、自分がどのように会社に貢献できるかなどを記入する
- 記入例や参考例から引用せず、きちんと自分の言葉で具体的に表現する
- 本人希望記入欄(備考など)
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- 希望の職種や勤務地などがあれば、記入してもOK
- 希望する連絡曜日や時間帯、方法(携帯電話と自宅電話がある場合など)があれば記入しておくとよい
学歴や職歴で虚偽情報を記載することはもちろん厳禁ですが、うっかり間違えてしまうのもよくありません。
記入の際は学部・学科の正式名称はもちろん、勤めていた企業や部署の正式名称もきちんと間違えず記載しましょう。
職務経歴書の書き方のポイント
また、転職や再就職では職務経歴書の提出も必要です。
- 職務経歴書とは
- 自分の過去の職務に関する経歴や資格・スキルを伝える書類。応募者の氏名、在職期間は、在籍していた会社名・会社の規模、事業内容、応募者が行ってきた業務内容や成果などを記載する。
職務経歴書は、履歴書のようにフォーマットが決まっていません。書く内容は自分の伝えたいことによってある程度カスタマイズが可能です。
採用担当者は職務経歴書を読んでこれまでの職務経験や自社の業務において活かせるスキル・資格を確認しますので、職務経歴書は履歴書よりもさらに細かく自分のスキルについてアピールできる絶好のチャンスと言えます。
職務経歴書の一般的な表記スタイルとしては、「編年体式」と「キャリア式」の2種類があります。自分の経歴で伝えたい内容によって、適したスタイルを選びましょう。
- 編年体式
- 時系列順に業務内容を記入していく形式で、応募企業と同じ職種や業務に携わった経験を持つ人におすすめ
- キャリア式
- 職務内容やプロジェクトごとに経歴を記入していく形式。多岐にわたる職務をこなしてきた人や、高い専門性のある仕事をしてきた人におすすめ
職務経歴書も履歴書同様、これまでは手書きで書く人が多かったのですが、近年ではどちらもパソコンで作成する人が増えてきました。パソコンで作成する場合、一度作成して保存しておけば、あとは企業ごとに内容に修正を加えるだけで済みますので、手書きと比べて作業時間を大幅に短縮することができます。
ただし、応募企業から「手書き」などの指定があればそれに従いましょう。
ミドル世代の転職のコツ-紹介や複業でキャリアアップ
ミドル世代が若年層よりも優れているポイントとして、それまで築いてきた人間関係やスキルが挙げられます。例えば、最近では30代〜40代のハイキャリア転職にも使われている「リファラル採用」という採用方法があります。
リファラル採用とは
- リファラル採用とは
- 在職中の職員が紹介・推薦した人を選考するという方法
昔はコネと呼ばれて良い印象が持たれないこともありましたが、今では社風や職場の雰囲気、企業文化などについて事前に伝えられるため、採用後のミスマッチが抑えられるとして好意的に捉えられています。
転職を検討しているわけではないが、話を聞いてみたら興味が湧いたといった潜在的な転職層にもアプローチでき、優秀な人材を採用しやすいとも言われています。
また、これまで培ってきたさまざまなスキルを元に、複業を行うのもおすすめです。
複業ってどんな働き方?
以前は「本業」「副業」というように、メインの仕事を一つ持ち、他の仕事をいわばサブ的に行うという就業形態が当然とされていましたが、現在は「複業」という形で複数の収入源を持ち、すべてを本業として行えるようになってきました。
逆に言えば、会社に雇用されていれば絶対に安全、終身雇用が受けられる、という時代ではなくなってきているとも言えます。
ですから、自分に合った働き方や仕事を見つけるためには、興味があることにどんどん挑戦してみるのも良いでしょう。例えば、リスクなく小さなことで好きなことを始めてみて、楽しく続けられそうなもの、夢中になれるものを見出していく方法です。
この手軽さやハードルの低さが複業のメリットと言えるでしょう。進めていく上で自分なりの強みが出てきたら、自分と同等の立場の人ではなく、強みを引き出してくれる人、同じ悩みを抱えていながら乗り越えたことがある人に相談するのもおすすめです。
後編はこちら
おわりに:ミドル世代の転職成功は気持ちの切り替えが大切!
ミドル世代は仕事の経験が豊富で、実力も備わっている人が多くいる世代です。転職先でも活躍が期待されますが、今までの仕事内容や待遇にこだわり続けていると転職がうまく行かないこともあります。チャレンジャーになった気持ちで、会社とのマッチングを大切にしましょう。
後編ではミドル世代の女性の転職などについて役立つ情報を紹介します。
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