仕事ができる人や職場で好かれる人は、コミュニケーション能力が高いことが多いですよね。社会人が大切にしたいコミュ力のひとつが「褒め上手」です。
この記事では、褒め上手な社会人の特徴や使いやすい誉め言葉の例文、相手を不快にさせるおそれがある誉め言葉などを解説していきます。
職場で好かれる褒め上手な人の特徴って?
子育てにおいては、褒めることで子どもの自己肯定感や自立を促すなどポジティブな効果が期待されますよね。
大人の社会である職場においても、褒めることによって下記のような効果が期待できます。
- 仕事の理解や成果を向上させる
- 教育心理学では「他者から期待されると学習や作業の成果が上がる」という心理学の効果「ピグマリオン効果」が提唱されています。
この効果は教育現場だけでなく、職場での人間関係や仕事の指導にも通ずるものがあるでしょう。褒めることで仕事の理解や成果の向上を促します。 - ポジティブな感情や意欲が湧いてくる
- 褒められた人の脳内では、神経伝達物質ドーパミンが放出されます。ドーパミンが増えると、快感や多幸感、意欲などが高まります。
- 信頼や安心感が生まれる
- 部下は上司に褒められると、「この人は自分のことを見てくれている」と感じられます。反応の薄い上司や厳しい言葉の多い上司には、不安や緊張を覚えやすいものですが、褒めてくれる上司には信頼や安心感が生まれやすくなります。
- 承認欲求が満たされる
- 「承認欲求」は、人が本能的に持っている欲求のひとつとされています。仕事の頑張りを認められたいという気持ちも承認欲求です。褒められると承認欲求が満たされますので、心の余裕につながります。
- 褒めた側にもプラスの効果がある
- 誰かを褒めたときに、相手が喜んでくれたり「褒めてくれてありがとう」と感謝されることがあります。すると褒めた人も気持ちが温かくなります。お互いの印象もアップしますので、良好な人間関係構築につながるでしょう。
褒め上手な人に見られる特徴
褒めることには、仕事でもたくさんのメリットがあります。
人から好かれている人や人望が厚い人は、褒め上手な傾向があります。褒め上手な人の行動や話し方にはには、次のような特徴が見られます。
- 人に関心があり、よく観察している
- 人の長所や気遣い、工夫などによく気が付く
- 恥ずかしがらず、人を素直に褒める
- 褒めるときに嘘やお世辞を言わない
- 相手の短所をポジティブに捉えることができる
こうした特徴を持っていると、周囲の人のちょっとした気遣いや思いやり、仕事の頑張りに気が付き、褒めることにつながります。
褒め上手になると、職場の雰囲気や人間関係の向上、チームの生産性アップに貢献できますので、人を褒めるスキルは是非身に付けたいものです。
次章からは、職場の立場別の誉め方のポイントを紹介していきます。
部下や新人を褒めてやる気を出させるポイント
管理職やチームリーダー、新入社員のメンターなどは、部下や新人への接し方に悩むこともあるでしょう。
部下や新人は成長・吸収段階にいますので、上手に誉めながらやる気をアップさせましょう。
- オーバーではなく、さらっと褒める
- 褒めることを過剰に意識し、大げさに褒めたり同じことで何度も褒めたりすると、わざとらしく見えてしまいます。良かったところはさらっと褒めましょう。
- 何が良いのか具体的に褒める
- 誉めながら相手を成長させたいなら、どんなところが良かったかを説明しながら誉めてください。
- 人前で褒める
- チーム全体の生産性やモチベーションをアップさせたい場合は、会議など複数人が集まっているときに褒めましょう。人が褒められているのを見て刺激を受けたり、どんな仕事のやり方をすれば良いのか情報共有できたりします。
- 自分の気持ちも伝える
- 「いいね」「すごいね」などの誉め言葉はオーソドックスで使いやすいですが、気持ちも一緒に伝えてみましょう。相手の気遣いのおかげで助かった、仕事の進め方に工夫が見られて関心したなどの気持ちは、是非伝えてください。
- 些細なことや目立たないことを褒める
- 新人など若手社員は大きな成果を挙げにくく、つい褒めることを忘れがちです。ただし褒めるポイントは些細なことでも構いません。企画書の作成時間が早くなった、書類が見やすいなど、ベテランにとっては当たり前のことでも成長を感じられたときなど褒めるポイントには気づいてあげましょう。
- メールなどに誉め言葉を添える
- メールやチャットでやり取りしているときに、褒め言葉をメッセージで送るのもおすすめです。面と向かって言えないときは、メッセージを活用しましょう。
- 誰かに紹介しながら褒める
- 面と向かって褒めるのが苦手な場合、誰かに紹介するときに褒めてみてください。取引先や他部署の社員に部下を紹介するとき、どんなことが得意なのか、どんな風にみんなの役に立ってくれているかなどを言葉にすると、第三者からの評価も上がりますよ。
- 褒める時は相手の名前を呼ぶ
- 褒め言葉の効果を上げるために、褒めるときに相手の名前を文章に入れる方法があります「〇〇さんのおかげで仕事が捗りましたよ」など、名前を入れてみましょう。「あなたのことを褒めていますよ。あなたの頑張りが伝わっていますよ」ということが伝わります。
同期や上司を褒めるときのポイント
同期を褒めるときは照れくさくなることがありますよね。また、目上の人である上司を褒めるにはどんな方法をとればいいか迷うでしょう。同期や上司を褒めるときには、下記の褒め方がおすすめです。
- 質問しながら褒める
- 「どうすれば〇〇さんのように、仕事の効率が上げられますか?」などのように、相手のスキルについて質問しながら褒めましょう。相手への尊敬の気持ちも伝わります。
- 憧れている、うらやましいと伝える
- 相手の仕事振りをすごいと持っている場合、憧れの気持ちを素直に伝えましょう。目上の人はもちろんですが、同期に対しても自然に使えますよ。
- 本人がいないときに褒めて、第三者から伝わるのを待つ
- 直接褒められるのもうれしいものですが、第三者をつたって褒められていることを知るのもうれしくなります。自分のことを話題にしてくれていて、しかも評価を挙げてくれていたとなると、誉め言葉の信憑性が増します。
職場で使いたい誉め言葉の例文
実際に使いやすい誉め言葉の文例を紹介します。あなたの身近な部下や上司、同僚を当てはめて、自然に使えそうな文例を探してみてください。
さらっとしていていつでも使える誉め言葉例文
- 「〇〇さんのデスクは、忙しいときでも整頓されていますね」
- 「〇〇さんの挨拶はいつも元気だから、こちらも元気をもらっていますよ」
相手の仕事のスキルに注目した誉め言葉例文
- 「〇〇さんが作るデータは、いつも情報が整理整頓されていて見やすいですよ」
- 「〇〇さんは必ず締切を守るので、信頼して仕事を任せられます」
- 「〇〇さんは、どうやってそんなに見やすい資料を作っているんですか?」
本人がいないときの誉め言葉例文
- 「〇〇さんのおかげで、取引先も満足してくれていました」
- 「いつも〇〇さんが仕事をフォローしてくれて、助かりますよね」
褒め慣れしていない人は誉め言葉の「さしすせそ」がおすすめ
誉め言葉の「さしすせそ」は誉め言葉の基本とされていますので、人を褒めることに慣れていない方におすすめです。
- 「さ」さすがです。
- 「し」知りませんでした。(驚きや感心、感謝を込める)
- 「す」すごいです。
- 「せ」センスがありますね。
- 「そ」そうなんですね。そうだったんですか。(驚きや感心、感謝を込める)
誉め言葉の「さしすせそ」は、会話に散りばめると効果的です。ただし褒め方のテクニックとしても有名ですので、多用すると相手からはわざとらしく見えてしまう可能性があることに注意してください。
褒めたつもりがセクハラやプレッシャーに?リスクのある褒め方
これまで紹介したように、誉め言葉には仕事の生産性や職場の人間関係をより良いものにする効果が期待できます。
ただし言葉のコミュニケーションは、一歩間違うと相手を不快な気分にさせてしまいます。相手を褒めるときは、下記のポイントに注意して言葉を選びましょう。
- 外見について話題にされたくない人もいる
- スーツやネクタイ、髪型、体型など外見について褒めるのは控えましょう。仕事に直接関係ない部分に触れられることを好ましく思わない人もいます。また、外見への誉め言葉をセクハラとして受け止められるおそれも。職場の人を褒めるときは、基本的には仕事に関する事柄にするのが安心です。
- 1対1で褒めるか、人前で褒めるか
- 褒めるときのシチュエーションは、相手の性格や自分との関係性を考慮してください。人前に立ったり注目されたりするのが苦手な人は、人前で褒められるとプレッシャーを感じてしまうかもしれません。また競争意識の高い人が多い部署の場合、人前で褒めた結果、嫉妬やねたみを生む可能性があります。1対1で褒められるよりも人前で褒められた方がモチベーションが上がる人もいますので、相手や状況も考慮しましょう。
- わざとらしい褒め方を避ける
- オーバーリアクションや何度も誉め言葉を連呼していると、相手は誉め言葉を本音として受け取れなくなってしまいます。「バカにされているのかも」とネガティブに受け取るおそれもあります。
- 他者と比較して褒めるのはNG
- 相手を褒めるときに「〇〇さんは仕事が遅いけど、あなたは速い」など、他者と比較して褒めるのはおすすめできません。褒められて本人が素直に喜べない、競争意識を過剰に煽るなどのデメリットがあります。
おわりに:相手を敬う素直な気持ちを忘れずに、褒める習慣をつけよう
褒め上手な人は、普段から周囲の人の良いところを見過ごしません。他人の良いところや長所を見つけたら、素直に褒めるのが習慣になっています。今回紹介した誉め言葉の例文を参考にしながら、人を褒めることを習慣にしていきましょう。
コメント