ドライブが趣味な人、自動車通勤をしているという人にとって、煽り運転に遭遇することは避けたいトラブルの一つです。煽り運転は重大な事故を引き起こす危険な行為。もしも煽り運転ドライバーを発見したら、どんなことに気をつけるのがよいのでしょう。この記事では、煽り運転の危険性、その際に行うべき対処法、そして避けるべき行動について解説します。
- この記事でわかること
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- 危険な煽り運転の具体例
- 煽り運転に対する罰則
- 煽り運転から身を守るポイント
煽り運転とは?具体例と危険性を解説
煽り運転とは、他の車両に対して威圧的・攻撃的な運転行為を行い、安全な交通を妨害したり恐怖感やプレッシャーを与える運転のことを指します。危険で悪質な運転行為であり、交通事故を招くケースとして問題視されています。
煽り運転には明確な基準はありませんが、具体的な行動としては、以下のような例を一部が紹介します。
車間距離を極端に詰める
車の運転中は安全を確保できる車間距離を取らなくてはいけません。ところが安全な車間距離を取らず、相手車両のすぐ後ろまで接近して走行する煽り運転があります。追突の危険性が高まり、とても危険です。
急加速・急減速
わざと急な加速や減速を繰り返し、相手を威嚇する運転行為です。煽り運転の加害者が突然の急ブレーキをかけたことによって、後続車が追突する可能性もあります。高速道路で低速走行することも危険行為であり、煽り運転としてこうした走行をするケースもみられます。
無理な追い越し・幅寄せ
強引に追い越しを試みたり、車線変更を繰り返して相手車両の進行を妨げる行為も煽り運転といえます。特に高速道路で行われると、大事故の原因になります。
必要性のないハイビーム
道路交通法では、夜間走行時はハイビームで運転することが基本ですが、対向車や前走車が存在する場合にはロービームを使用します。これはハイビームが非常に強い光のため、相手の目がくらんで危険を誘発するからです。煽り運転として、ハイビームが不要な状況なのに使用しているケースもあります。
不必要なパッシングやクラクション
ヘッドライトを点滅させるパッシング、クラクションは、安全運転のための意思疎通として使用されることがあります。ただし必要性のないのに過剰にパッシングをしたりクラクションを鳴らすことは、煽り運転とみなされることがあるでしょう。
煽り運転は妨害運転罪に該当!
煽り運転は単なる迷惑行為にとどまらず、重大な事故を引き起こします。実際に重大な事故が煽り運転によって引き起こされ、大きな社会問題にもなりました。2020年6月10日には、道路交通法の一部が改正されました。
これによって煽り運転に対する罰則が創設され、「他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うことは、厳正な取締りの対象となり、最大で懲役3年の刑に処せられる」こととなりました。さらに、煽り運転によって著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられます。
危険運転致死傷罪の対象となる行為も追加され、悪質・危険な行為により人を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等にも当たり、厳罰に処せられるケースもあります。
煽り運転はきわめて危険!
煽り運転をされた側は、安全な運転をすることが難しくなってしまいます。煽られたドライバーが焦ってハンドルを切りすぎてガードレールに衝突する、無理なブレーキ操作により後続車両に追突される、煽り運転を原因として玉突き事故が発生するなど、その危険性はきわめて高いものです。
煽り運転をされた側が抱く精神的な恐怖感も小さくありません。特に長時間煽り運転をされると、被害者は車に乗ることそのものに恐怖心を抱くようになることも少なくありません。ドライバー同士のトラブルだけにとどまらず、同乗者の子どもや赤ちゃんにまで被害が及ぶこともあります。
煽り運転に遭遇したときの対処法
煽り運転に遭遇した際は、ご自身や同乗者の身を守ることを考えましょう。パニックにならず冷静に対処することが大切です。以下に、具体的な対処法をご紹介します。
1. 煽り運転をする車と距離を取る
煽り運転されていると感じた場合、まずは車間距離を取り、できるだけ離れることを意識しましょう。例えば、片側2車線以上ある道路であれば、安全を確認して速やかに車線を変更し、相手が進行できるようにします。このとき、無理にスピードを上げる必要はありません。あくまで安全運転を心がけましょう。
2. 安全な場所に避難する
煽り運転が執拗である場合や不安・恐怖を感じた場合、サービスエリアやパーキングエリアなどの安全な場所に避難しましょう。煽り運転をしている人は、頭に血がのぼっていたり、感情をコントロールできない状態になっています。「これ以上危険な運転はしてこないだろう」という期待は裏切られることもありえるのです。
3. ドライブレコーダーで記録を取る
ドライブレコーダーは、煽り運転の証拠を記録するために非常に有効です。映像や音声が記録されることで、警察に相談する際の証拠となります。トラブルに発展したとき、相手に責任を問える可能性が高まります。「ドライブレコーダー録画中」といったステッカーを貼ることもおすすめです。煽り運転の抑止効果も期待できるでしょう。
4. 警察に通報する
煽り運転をされて危険を感じたり、相手が過度に執拗な行為を繰り返す場合は、警察への通報を検討しましょう。スマートフォンの位置情報機能を活用して、現在の場所を警察に伝えることも有効です。高速道路ではサービスエリアなどで一時停車し、警察の指示を仰ぐのも良いでしょう。
煽り運転されたときにやってはいけないこと
煽り運転に遭遇すると、恐怖や怒りで冷静さを失うこともありえますよね。ただし対処法を誤ると、状況がさらに悪化してしまうことも。煽り運転に遭遇した際、以下の行動は避けるようにしましょう。
1. 相手に仕返ししようとする
煽り運転されたことに対して、仕返しをしてはいけません。ブレーキを踏んで減速したり、逆に急加速したりするのは絶対に避けましょう。相手の運転行為がさらにエスカレートする原因になるだけでなく、自らも加害者となる可能性が出てしまいます。無関係の他のドライバーや歩行者を巻き込むリスクも高まります。安全運転に徹し、相手の挑発には乗らないよう心掛けましょう。
2. 降車し、相手に話しかける
煽り運転の相手に対して、直接対話を試みるのは非常に危険です。相手が冷静でない場合や、暴力的な行為に出る可能性もあるため、必ず車内で安全を確保しつつ、落ち着いて対処することが重要です。車外に出ずドアはロックし、安全で人目のある場所に停車し、車内から警察に連絡をすることが基本となります。
3. スマホで撮影しながら運転を続ける
証拠を残すために撮影をしたいと思うこともありますが、運転中にスマートフォンを操作するのは道路交通法で禁止されており、違反行為となります。煽り運転をされて気持ちが高ぶっていると、運転を誤るリスクも高まっています。
同乗者がいる場合は、撮影を同乗者に頼みましょう。ドライブレコーダーがない場合でも、無理にスマートフォンで撮影しようとせず、安全な場所で停車してから証拠撮影をするなど、安全を最優先に考えて行動しましょう。
おわりに:ドライブレコーダーなどを活用し、身を守ることを第一に!
煽り運転は誰もが遭遇する可能性があります。事前に適切な対処法を知っておくことで、もしものときに冷静な判断と慎重な行動を取れるはず。自分や同乗者の安全を守り、ドライブを楽しむためにも、ドライブレコーダーやステッカーを活用することを検討してくださいね。
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