20代になると、友人の結婚式に出る機会が増えてきます。さらに30代・40代となると、収入が増えたり社会的地位が高くなったりする人も増え、ご祝儀の額もやや変わってきます。
この記事では友人の結婚式に出席する際の一般的なご祝儀マナーをまとめました。包み方や夫婦で出席するとき、キャンセル・欠席するときの参考にしてください。
友人の結婚のご祝儀の相場や数字のマナー
友人の結婚式で贈るご祝儀は、基本的に「料理・飲み物・引き出物+気持ち」代、として3万円程度が相場とされています。ビュッフェ・コース・立食・着席など、パーティのスタイルにもよりますが、一般的なご祝儀制の結婚式で新郎新婦が負担するのは「披露宴で振る舞われる料理・飲み物代:1〜2万円」「引き出物:5,000円程度」で、ゲスト1人につき1.5〜2万円ほどです。
負担してもらった額にお祝いの気持ちを上乗せしてキリの良い数字にすると、おおよそ3万円が一つの目安になります。また、ご祝儀の金額は奇数が良いとされている慣習もあります。これは、割り切れる偶数にしてしまうと「別れ」をイメージさせてしまうため、結婚式という縁結びの席では割り切れない奇数にして縁起をかついでいるのです。
とはいえ、数字の「2」については「ペア」という意味もありますので、ご祝儀なら偶数であっても2万円を贈るのは構わないとされることも多いです。特に、20代などまだ収入が少ない人が友人や上司・先輩の結婚式に出席する場合、2万円を贈るのは非常識なことではありません。また、偶数でも「8」は末広がりを意味し、これも縁起が良いので歓迎されます。
一方で、「4」と「9」はそれぞれ読み方が「死」や「苦」を連想させて忌み嫌われる傾向にあります。ご祝儀として贈る金額にはふさわしくありませんので、避けましょう。
授かり婚の場合、ご祝儀は多めにした方がいいの?
新婦が妊娠している「授かり婚」の場合、まず「結婚」と「出産」は別々のお祝いごととして考えましょう。その上で、結婚式では「結婚」のお祝いとして、相場どおりのご祝儀を包めば失礼に当たりません。
つまり、授かり婚だからとあえてご祝儀を増やす必要はないのです。出産のお祝いは、結婚のお祝いとは別に、出産が無事済んだことが確認できてから「出産祝い」として贈りましょう。
20代・30代・40代の友人へのご祝儀の金額相場
では、年代別のご祝儀の相場はどのくらいなのでしょうか。
- 20代…2万円、3万円
- 30代…3万円、5万円
- 40代…3万円、5万円
親しさの度合いにもよりますが、友人のご祝儀は一般的に3万円か5万円が目安です。ただし、20代でまだ収入が少ない人の場合、2万円でも構いません。もし、ご祝儀が少なめになってしまって申し訳ない、と感じるようなら、以下のようにご祝儀以外の方法を合わせてお祝いの気持ちを伝える方法もあります。
- ご祝儀の他に、5,000〜6,000円くらいのギフトを贈る
- 結婚式の後、友人と一緒に新郎新婦を食事に招待する
- 友人一同からの贈り物として、少し高価なキッチン用品やインテリア家電を贈る
- 結婚式の手伝いに心をこめる
ご祝儀の他にお祝いの品を贈るときは、ご祝儀と合わせて目安の範囲内におさまるようにしましょう。例えば、2万円のご祝儀を包み、5,000〜6,000円の品を贈るのであれば目安の範囲を大きく超えることはありません。とはいえ、大切なのはお祝いの気持ちです。事情があるならご祝儀が少なくなってしまうことだけにとらわれず、新郎新婦に喜んでもらえるようなお祝いを考えれば良いでしょう。
ご祝儀の包み方のマナー「上包」「中袋」って?
ご祝儀を入れる袋は一般的なビジネス封筒とは異なり、「ご祝儀袋」という専用の袋を使います。ご祝儀袋は「上包み」と「中袋、または中包み」のセットでできていて、中袋や中包みにお金を入れ、上包みで包みます。これは「慶びが重なるように」という意味を持っていますので、中袋や中包みを省略しないようにしましょう。
中袋は封筒、中包みは半紙でできていますが、どちらの方が良いということはありませんので、どちらを使っても構いません。市販のご祝儀袋の中には、まれに中袋や中包みがついていないものもあり、その場合は白地のしっかりした和紙で包みましょう。和紙がないときは、白いコピー用紙で包んでも構わないとされています。半紙のサイズはだいたいB4なので、B4のコピー用紙を使うと良いでしょう。
中袋・中包みにお札をどう入れればいいの?
では、実際に中袋・中包みにお札を入れるときの手順を見ていきましょう。基本の流れは「お札を用意し、表裏と向きを確認し、お札を入れる」というものです。順番に確認していきましょう。
- 1:新札を用意する
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- 新札とは、発行されてから一度も使われていないお札のこと
- 銀行や郵便局で両替できるが、基本的に平日のみ。余裕をもって早めの両替を
- 結婚式までに用意できなかったからといって、新札でないお札を使うと失礼に当たる
- 2:お札の表裏と向きを揃える
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- お札を複数枚入れるときは、表裏と向きを揃えるのに注意
- 人物の肖像画がある方が表、肖像画がない方が裏
- ご祝儀に2万円を包む場合、1万円札1枚+5千円札2枚にして包む方法も
- お札の種類が複数になるときは、金額の大きいお札から順に表になるよう重ねる
- 3:中袋や中包みにお札を入れる
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- 中袋または中包みの表側にお札の表が来るよう、袋とお札の表裏を合わせる
- また、上下は肖像画の部分が上に来るように入れる
- 中包みが既に入っている場合はほとんど折られているので、お札を入れて元通りに折り直せばOK
ご祝儀に新札を使うのは、「新しい生活を迎える新郎新婦を、折り目のないまっさらな気持ちでお祝いする」「結婚式を心待ちにし、きちんと準備していたという気持ちを新郎新婦に表す」という意味があります。逆に、お悔やみごとのときには「知らせを聞いて、とるものもとりあえず駆けつけました」という意味で、新札ではないお札を使うのがマナーとされています。
このような慣習があるため、お祝いごとに新札でないお札を使うのは失礼に当たるのです。
ご祝儀袋にお金を入れるときの注意点
ご祝儀袋にお金を入れるとき、以下の2つのポイントに注意しましょう。
- 中袋や中包みに封はする?
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- 一般的には必要ないが、金額が大きい場合には糊付けすることも
- 糊付けする場合、した後に「封」や「〆」の字を書く
- 水引が印刷されたご祝儀袋のときは
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- 結婚式を欠席する場合などで1万円程度包むときは、印刷されたご祝儀袋を使うことも多い
- このタイプであれば、中袋や中包みは使わずそのまま入れてOK。ただし、お札の表裏や入れる方向は合わせる
- もちろん、封はしなくてOK
また、中袋にご祝儀の金額を記入するときは以下のように、漢数字(大字)で記入します。さらに、「円」を「圓」と記入すると、より丁寧な印象になります。
- 1万円…壱萬円
- 2万円…弐萬円
- 3万円…参萬円
- 5万円…伍・五萬円
- 7万円…七萬円
- 8万円…八萬円
- 10万円…拾萬円
大字(だいじ)とは、簡単な漢数字が改ざんされないように使うものです。例えば「一」という漢数字はサッと線を書き加えて「二」や「三」にされてしまう可能性があるため、いたずらなどを防ぐため、または混同や見間違いを防ぐため、このような難しい漢数字を使うのがマナーとさています。
夫婦や家族で出席する場合のご祝儀は連名?
既に自分が家族を築いている場合、あるいは結婚している場合には夫婦や子ども連れで結婚式に出席することもあるでしょう。そんなとき、ご祝儀の贈り方はどのように変わるのでしょうか。
ケース①:夫婦で出席するとき
夫婦で出席する場合、ご祝儀は連名で包みます。ただし、金額を単純に相場の2倍にしようとすると3万円×2=6万円と偶数になってしまうため、奇数の5万円か7万円にするのが妥当です。とはいえ、同年代など立場が同等の人であれば、「お互い様」ということで5万円を包む場合が多いようです。
「5万円にすると少ない気がするものの、7万円は事情で難しい、どうしても6万円を渡したい」と考える場合、2万円の場合と同じように6万円のうちの1万円分を5千円札2枚に両替し、お札の枚数を奇数にして包む方法もあります。また、ご祝儀は5万円にし、それとは別に結婚祝いとして商品券やお祝いの品を贈るのも良いでしょう。
ケース②:子ども連れで出席するとき
子ども連れで出席するときには、人数分の料理代や席料を目安とし、ご祝儀も上乗せして包むと良いでしょう。中学生以上になると、大人と同じ料理を頼むことになりますので、これも一つの目安になります。逆に乳幼児は料理自体が不要なものの、ベビーベッドや授乳室の手配、離乳食の相談などさまざまな気遣いがされていることが多いので、こうした気持ちを上乗せして包むのが一般的です。
ケース③:親と一緒に出席するとき
家族ぐるみで仲が良い人の結婚式に出席する場合、親と一緒に出席することもあるでしょう。この場合のご祝儀は、地域のしきたりや慣習、親族間のルールなどによって考え方が異なりますので、まずは親や既婚の兄弟姉妹に確認してみましょう。
「同居しても別世帯でも、子どもが独身なら同じ家族」としてご祝儀を親がまとめて包むケース、「独身でも、家を出て独立して生計を立てているなら別世帯」としてご祝儀を別々に包むケースなど、家庭によっても地域によっても異なります。行き違いやトラブルを防ぐためにも、しっかり確認しておくのを忘れないようにしましょう。
結婚式をキャンセル・欠席する場合もご祝儀は贈るの?
結婚式を欠席やキャンセルするとき、ご祝儀はどのように考えれば良いのでしょうか。まず、招待状に返信する段階で既に「欠席」とわかっていたときは、料理・飲み物代の相応分を差し引いた、お祝いの気持ちとして1万円程度を包むのが目安です。できれば式の1週間前までに、郵送か手渡しすると良いでしょう。
ただし、最初から欠席することがわかっているときにご祝儀を包むかどうかは相手との間柄や付き合いの程度にもよります。そこまで親密な間柄でないのに招待され、欠席するというときには、結婚祝いとして軽くプレゼントや電報を送るだけでも失礼には当たりません。
逆に、出席する予定だったのに急遽欠席するキャンセルの場合はどうでしょうか。やむを得ない事情で欠席する場合、もともと予定していたご祝儀の金額(料理や飲み物代を含む)をそのまま包むようにしましょう。料理のキャンセル料などは式の10〜20日くらい前から発生するため、その分を新郎新婦が負担することに変わりはないからです。
とはいえ、これより前に連絡した場合であっても、せっかく新郎新婦が楽しみにしている結婚式に水をさしてしまう、というお詫びの意味を込めて同じ額を包むのが一般的なマナーとされています。これもできれば相手に負担をかけないよう、最低でも結婚式の1週間前に郵送か手渡ししておきましょう。
もし、当日やむを得ない急用で欠席することになった場合、なるべく早いうちに郵送するか、お詫びを兼ねて直接訪問してご祝儀を手渡ししましょう。
披露宴に出席しないときや会費制の結婚式のご祝儀は?
披露宴を行わない、披露宴には招待されていない、あるいは結婚式には参加するものの、披露宴を欠席するといった場合は食事代・引き出物代などがかからないため、前述のように相応分を差し引いた1万円程度のご祝儀で構いません。
ほとんど交流がない人には、数名でご祝儀を集めて連名で贈るという方法があります。ご祝儀袋の表書きは3名までは連著、4名以上なら「友人一同」などとし、ご祝儀袋の中に全員の住所・氏名を記した紙を入れればOKです。
また、近年では「アットホームな結婚式をしたい」という希望から、会費制でパーティ形式の結婚式を行うカップルも増えています。誰でも気軽に参加してほしいという新郎新婦の思いから来るものですから、この場合は会費以外にご祝儀を包む必要はありません。会費をご祝儀袋に入れるのも、勘違いを招いてしまうので避けましょう。
会費制の結婚式では、受付の人にそのまま会費を渡せばOKです。このとき、会費制の結婚式では受付が混雑しやすいため、スムーズに進めるためには会費にお釣りが出ないようぴったりの金額を用意しておきましょう。
おわりに:結婚式のご祝儀を友人に贈るときは、3万円か5万円が目安
結婚式のご祝儀は、「料理・飲み物・引き出物+気持ち」代です。このうち、料理・飲み物・引き出物で新郎新婦は1.5〜2万円程度を負担していますので、お祝いの気持ちを上乗せしてキリの良い奇数の3万円か5万円にして渡すのが一般的です。
ただし、20代でまだ収入が少ない場合などは、2万円でも構いません。結婚式のご祝儀はお祝いの気持ちを表すもの。新郎新婦に失礼がなく、喜んでもらえるようなお祝いをするのが良いでしょう。
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