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わかりやすい業務マニュアル(手順書)の作り方って?異動や転職の引継で気をつけたいことも紹介

仕事をマニュアル化して整理する社会人 仕事がうまくいかない
この記事は約14分で読めます。

株式公開していない中小企業などにおいて、業務マニュアル(手順書)を作成しているかどうかは、企業によってまちまちです。しかし、引継のメリットやリスク管理などの面から、業務マニュアルを用意しておくことは非常に重要です。

今回は、業務マニュアル作成のメリットや作り方、使えるテンプレート、引き継ぎの注意点などを紹介します。

この記事でわかること
  • 業務マニュアル作成のメリットとは
  • わかりやすい業務マニュアルにはどんな要素が必要?
  • マニュアル作成の手順と5W1Hが大切な理由
  • 効率よくマニュアルを作りたい人におすすめのテンプレート
  • 取引先に関する情報を引き継ぐ方法

業務マニュアル(手順書)を作ると仕事の質や効率がアップする!

業務マニュアルを作ると、経験のない人でも業務を行えるようになったり、業務を標準化・効率化できたりするという大きなメリットがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

業務マニュアルのメリット①:経験の少ない人でも業務を行えるように

新入社員はもちろん、転職で入社した中途採用者などは、その会社の業務のやり方を知りません。基本的には先輩社員が業務の内容を説明しながら覚えていくことになりますが、先輩社員にも仕事がありますから、ずっと指導役としてつきっきりで教育しているわけにもいかないでしょう。そこで、業務マニュアルが役に立ちます。

業務マニュアルは基本的に「行動指示書」になっています。単に読むだけでできるようになるとは限りませんが、一通り目を通しておけば業務の流れや全体像を把握でき、先輩社員に教わるときにも覚えやすくなります。また、細かい部分を忘れてしまったとき、先輩社員の手を煩わせなくても自分でマニュアルを見て確認ができるのも大きなメリットです。

特に中小企業の場合、新入社員や中途採用社員が入社してきたとき、必ずしも先輩社員が十分な教育の機会や時間をとれるとは限りません。そんなときに業務マニュアルがあれば、先輩社員に教わるのは最小限で済むでしょう。

他にも、「この業務内容は担当者しか知らない」というように、個人に依存してしまう業務があった場合、その人が休んでしまったり突然退職してしまったりすると業務が滞ってしまう大きなリスクが考えられますが、マニュアルを整備しておくことで業務の個人依存化が減り、会社全体としてリスクを減らすことにつながります。

業務マニュアルのメリット②:業務を標準化・効率化できる

仕事の進め方は人それぞれですが、そのやり方が必ずしも効率的なものとは限りません。そこで、より効率的な方法を標準と定め、業務マニュアルを用意して社員全員で共有すれば、業務効率アップの効果が狙えます。基準となる方法ができると社員同士の意思疎通もはかりやすくなりますし、業務を行う人が交代するときにもスムーズに引き継ぎを行えます。

また、業務に必要なステップをマニュアル化して一つ一つ明記しておけば、作業の抜け漏れを防ぎ、従業員ごとのレベル感のばらつきを減らすこともできます。すると、誰が行っても仕事の品質が安定しますし、後から作業の抜け漏れを修正する手間も省けるでしょう。

業務マニュアルのメリット③:社員評価やレベルアップにつながる

他にも、業務マニュアルを作ることで以下のようなメリットが考えられます。

社員の評価基準になる
  • 業務に標準ができることで、社員の業務遂行能力を測りやすく、評価がつけやすくなる</
  • <
  • 業務マニュアルによる標準的な教育システムが作られれば、教育の程度による業務遂行方法のばらつきがなくなる</
  • <
  • 新入社員が全員同じレベルの教育を受けられるので、ばらつきがあれば個人の業務遂行能力となる</

業務マニュアルのメリット④:株式公開に向けた社内整備

現在は株式公開していない会社で、将来的に株式公開を目指している場合、マニュアル作成を進めておくと安心です。

株式公開のためにマニュアルが重要な理由
  • 株式を一般公開する場合、マニュアルの整備が必須
  • 前もって整備しておけば、株式公開時にも慌てずに済む

業務マニュアルのメリット⑤:その他

社員自身も業務マニュアルを作ることで業務への理解や意識が進み、結果的に業務品質やモチベーションアップ、ひいては顧客満足度の上昇につながることでしょう。何も初めから凝ったマニュアルを作る必要はなく、作ってからどんどんアップデートしていけば良いのです。大切なのは、マニュアルをしまいこまず日々の業務で活用し、定期的に見直して常に最新の状態に保っておくことです。ぜひ、身近な業務からマニュアルを作ってみましょう。

業務用マニュアルに入れておきたい要素とは

業務用マニュアルを作成するときは、会社としての公式な業務の方法を定めることになります。そこで、業務マニュアルの作成・更新といった管理はできれば部門全体として行い、部門長が責任者になると良いでしょう。そして、部門内での業務マニュアル整備担当者を定め、その人を中心に部門メンバー全員が作成・更新を行うのです。

業務マニュアルには、以下のような内容を記載しましょう。

  • 業務の手順(標準手順として定められたもの)
  • 業務を効率的、かつミスなく遂行するためのコツ
  • 業務で取り扱う帳票などのサンプル
  • 特別な処理が必要な、例外処理の対応方法

上記の内容をどのように表現し、どのくらい詳しく記載するかを最初に決めてから、業務マニュアルの作成にとりかかりましょう。例えば、例外処理をどこまで記載するかといったことは全員の間で共有されていないと、滅多に起こらないイレギュラーな例に大量の時間を割き、かえってマニュアルがわかりづらくなってしまう結果にもなりかねません。どのくらいの頻度で起こるイレギュラーまでをマニュアル化するのか、しっかり検討しておきましょう。

マニュアルを作成するときに意識すること
  1. より詳しく説明する
  2. よりわかりやすくするために、図や写真を使う
  3. 誰がマニュアルを使うか想定する
  4. 何のためにマニュアルを使用するか明確にする

業務マニュアルを作成するときはつい「より詳しく」「よりわかりやすく」といった漠然としたイメージだけを意識してしまいますが、そもそも「誰が使うのか」「誰にとってわかりやすくする必要があるのか」ということを想定していないと上手くいきません。

業務マニュアルを活用するのは、主にその部門に配属された新入社員や、異動してきた人です。彼らにとって使いやすい業務マニュアルでなければ意味がありません。また、更新するときのことも考え、業務マニュアルを作成した人でも更新しやすいようにあらかじめ想定しておく必要があります。

こう書くと、業務のマニュアル化は大変そうだと思ってしまう人も多いのですが、手間や時間を割いてでも業務マニュアルを作ることは、内部統制の面から見ても大きなメリットがあります。日本の企業では特に権限や職責の範囲があいまいであり、「暗黙のルール」で行われてしまう業務も多い傾向にあります。

こうした各業務の権限や職責を明確にし、業務内容をマニュアル化してチェックする体制が構築されれば、不正や誤謬の入り込む隙間がなくなり、風通しの良い組織になるでしょう。また、マニュアル作成時に改めて業務の進め方を見直せば、業務時間の短縮やノウハウの継承につながり、さらなる企業価値のアップも見込めます。

長年、暗黙で行われてきた業務フローはどうしても疑問や課題を差し挟むのがためらわれたり、振り返りにくくなったりしています。ぜひ、マニュアル作成を機にじっくりと業務フローについて見直してみてはいかがでしょうか。

わかりやすい業務マニュアルの作り方は?検証や更新など運用の注意点

業務マニュアルを作成するときは、だいたい以下のような手順で行いましょう。

1:業務マニュアルの内容を決める
  • どんな内容を盛り込むのか、大きなカテゴリに分類して精査する
  • 社内規則やコンプライアンスにも目を通し、どこまでマニュアル化するか考慮する
2:仮マニュアルを作成する
  • 構成が決まったらざっくり仮マニュアルを作り、その通りに仕事を進めてみる
  • 不足している部分や手順が前後している部分を修正し、マニュアルを仕上げる
  • 上司や他の担当者にも確認してもらい、盛り込む内容やわかりやすさを確認し、詰めていく
3:手順通りにチェックリストを作る
  • マニュアルが完成したら、手順の中で要確認となる箇所を選び、チェックリストを作成する
  • ミスしやすいところは、チェックリストが重要ポイントをおさえられる簡易マニュアルの代わりに
  • 手順を間違えることなく業務を進められ、抜け漏れが減る
4:マニュアルを配布する
  • 実際にマニュアルを必要とする人に間違いなく配布できるよう、範囲を決める
  • 配布方法は1の段階で決めておき、現場の声で内容の変更があっても簡単に修正できるy9うに作成しておく
  • 紙・データ資料・オンライン閲覧など、セキュリティも考慮して上司と配布方法や内容の確認を行う

また、わかりやすく手順が伝わりやすいマニュアルにするためには、作成の際に以下のようなポイントを心がけましょう。

5W1Hを意識する
  • 「誰が(Who)・いつ(When)・どこで(Where)・何を(What)・なぜ(Why)・どのように(How)」を意識
  • どこを見れば、自分の知りたい仕事の流れがわかるのかを見やすく配置
仕事の全体像がわかるようにする
  • 業務マニュアル作成に携わる人は、全体的な仕事の流れを把握して業務をどう進めるか伝える必要がある
  • 仕事が何のために行われ、業務全体のどんな役割を担っているのかわかれば、判断しやすく仕事の精度も上がる
判断基準を明確にする
  • 業務の基本だけでなく、さまざまなケースに対応できるよう応用を効かせて
  • 慣れないうちは、どのように判断すれば良いかといった悩みが多発する
  • 過去の事例を盛り込み、「もしも○○だったら」というパターンを複数想定して用意しておく
  • 過去に発生したクレームやトラブル例を盛り込み、読んだ人への注意喚起をすることも重要
  • なぜ起きたのか、どう対応したのかなどもコメントしておくと、同じミスを事前に防ぎ、万が一ミスが起こっても的確な対応をとりやすい
特に読んでもらいたい部分は、しっかり強調する
  • 文章だらけになりすぎないよう、適度な余白や図表・チェックリスト・フローチャートなどを活かし、ひと目で理解しやすい紙面づくりを
  • フォントや色を変えたり、文章の途中に箇条書きを盛り込んだり、マーカーなどを引いたりするのもおすすめ

このようにして作成したマニュアルですが、一度作成して終わりではなく、何度も改善を重ねていくことが重要です。マニュアル作成後、一度その作業を担当したことがない人に運用・検証してもらうのも良いでしょう。マニュアルに不足している内容や改善点があれば、すぐにマニュアルを修正します。

もちろん、作業方法や業務内容に変更があったときにはすぐ改訂を行い、いつでも最新のマニュアルが確認できる状態にしておきましょう。業務マニュアルを作成したものの、実際には運用していないということにならないためにも、マニュアルは常に作業の現場で活用し、こまめなアップデートを重ねていくことが重要です。

Word・Excel・PowerPoint別!業務マニュアルのおすすめテンプレート

業務マニュアルを作成するにあたり、どんなソフトを使うのも自由ですが、一般的には広く普及しているOfficeソフトであるWord・Excel・PowerPointのいずれかを使うのが良いでしょう。使える人が多く、インターネット上にも使い方が解説されているページが多いので、改訂時に誰もが作業しやすいからです。

上記の3つのどれを使うのかに関しては、それぞれメリットが異なりますのでよく把握し、作成する予定のマニュアルに合ったフォーマットを選びましょう。

Wordのメリット
  • 文書作成に最適なので、テキスト中心のマニュアルに向いている
  • 目次を自動作成できる
  • アウトラインを活用すると、文章の構造の確認や変更が簡単にできる
Excelのメリット
  • 表やリストが多いマニュアルに向いている
  • 画像を使う場合、手軽にレイアウトを調整できるなど、Wordと比べて自由度が高い
PowerPointのメリット
  • アニメーション効果の活用など、デザイン性が高い
  • 文字や画像だけでなく、音声を活用してマニュアル作成ができる

WordやExcelは特に誰でも使いやすく、学生時代のレポート作成などで慣れている人も多いというメリットがあります。印刷したときのプレビューも表示できますので、紙で配るマニュアルに適しています。一方、PowerPointなら、アニメーション効果や音声などデジタル閲覧ならではの効果を使ったマニュアルを作成できます。

こうした特徴を踏まえて、マニュアル作成のおすすめテンプレートサイトを4つご紹介します。

Bizroute:Word
  • 社内業務マニュアルテンプレートが無料でダウンロードできる
  • テンプレートの使い方について、細かい説明も記載されている
[文書]テンプレートの無料ダウンロード:Word、Excel
  • 業務マニュアルのほか、ビジネス文書や手紙・はがきなどの書式・様式・フォーマットを集めたサイト
  • Excelでのテンプレートも用意されている
デザイン・レイアウトで伝わる!プレゼン資料:PowerPoint
  • マニュアルに特化しているわけではないが、プレゼンや資料に使えるデザインテンプレートが多い
  • ベーステンプレートもデザインパーツも豊富で、無料でダウンロードできる

Microsoftの公式テンプレート:Word、Excel、PowerPoint

  • 公式サイトなので、Office製品を使ったたくさんのテンプレートがある
  • 作業マニュアル作成に必要な一覧・フローチャート・チェックリストなど一通りが揃う
  • Office365を購入しているなら、よりハイクオリティなプレミアムテンプレートも使える

Officeソフトの作成元であるMicrosoftの公式テンプレートには、それぞれのソフトの豊富なテンプレートが用意されています。しかしそれ以外にも、Word・Excel・PowerPointそれぞれにさまざまなテンプレートサイトがあり、無料でダウンロードできるものも多いです。ぜひ、マニュアル作成者や部署全体が使いやすいようなソフトやテンプレートで作成しましょう。

退職や転職!業務引継マニュアル作成の注意点

退職や転職の際に作る引き継ぎマニュアルも、上記でご紹介した基本的な業務マニュアル作成方法と同じです。その上で、クライアントや取引先の一覧表や担当、発生しやすいトラブルとその対処法をまとめておくとより親切でしょう。

先方の担当をまとめる
  • どこに連絡を取るかというキーパーソンは非常に重要な情報だが、抜け漏れやすい
  • しっかり情報を入れ、よりわかりやすく業務品質を保ちやすいマニュアル作成につながる
一覧表にまとめる
  • 業務マニュアル作成の中でも、絶対に抜け漏れがあってはならない項目
  • 不測の事態に備えられるよう、引き継ぎマニュアルには必ずクライアント企業一覧表を入れておく
  • 外部のクライアントとのやりとりが発生しにくい業務内容でも、スムーズな連絡のため必ず入れておく
顧客別に発生しやすいトラブルと対処法をまとめておく
  • 業務別はもちろん、顧客別に発生しやすいトラブルとその対処法も非常に貴重な情報
  • 後任担当者に必ず伝わるよう、引き継ぎマニュアルに入れる
  • 本人にとっては慣れている内容でも、後任にとっては一からのスタートになることを忘れずに

また、引き継ぎの場合は前任者がどんなに丁寧に引き継ぎマニュアルを作成したとしても、後任者と認識が違う箇所があり、マニュアルだけではどうしてもわからない箇所が出てきてしまう可能性は多いにあります。こうしたことがあると作業を中断しなくてはならないため、すぐ問題解消できるよう引き継ぎマニュアルには前任者の連絡先を記載しておきましょう。

特に、電話番号を記載するときはどの時間帯がつながりやすいかも一緒に記載しておくと、スムーズに連絡がとりやすくなります。つながらなかったときのためにも、電話番号と合わせてメールアドレスを記載しておくとより安心です。近年ではSlack、Chatworkといったビジネスコミュニケーションツールも増えてきましたので、こうしたツールの連絡先でも良いでしょう。

こうした引き継ぎ作業を行う場合も、あらかじめ業務マニュアルがあれば大幅に作業を短縮できます。例えば、経験上の注意点や顧客ごとに起こりやすいトラブルなど、マニュアルに記載されていない情報だけを伝えれば良いでしょう。突然のケガや事故など、引き継ぎできずに後任者が着任しなくてはならない可能性もあります。ぜひ、日常行っている業務はできるだけマニュアル化し、さまざまなリスクを減らしておきましょう。

おわりに:業務マニュアルを作成し、業務効率アップやリスクマネジメントに努めよう

業務マニュアルを作成することで、その業務が個人依存になってしまうリスクを下げるほか、業務の標準化・効率化にもつながります。マニュアルを作るときには一時的に手間や時間、根気が必要なことは事実なのですが、作った後のメリットはそれを補って余りあるでしょう。

また、作成する際には便利なテンプレートをダウンロードできるサイトもたくさんあります。普段から業務マニュアルが作成してあれば、引き継ぎの際にも便利です。

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