オフィスで仕事中に不快なにおいにストレスを感じたことはありませんか?食事のにおいや体臭、柔軟剤の香りなどにおいによる「スメル・ハラスメント」が近年問題視されています。この記事ではスメハラに悩む人に向けて、におい対策やにおいに関する注意・指摘のポイントを解説します。
- この記事でわかること
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- 職場のにおいが強い人への対処法
- 相手を傷つけないにおいに関する伝え方
- セクハラ・パワハラにならない注意・指摘の方法
- スメハラ防止のために会社ができること
職場にいるにおいが強い人の特徴
職場で仕事をしていると、同僚や上司が発するにおいにストレスを感じることは少なくありません。たとえば次のようなにおいが気になることはありませんか?
- 職場の気になるにおいの例
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- カップ麺やお弁当
- お菓子・間食
- ロッカー
- 衣服・柔軟剤
- 香水・整髪料
- 体臭・汗
- 口臭
- たばこ
- お酒
職場のオフィスなどは共用の空間ですので、においによる悩みは解消されない限りつきまとうことでしょう。においによる被害は「スメハラ」と呼ばれることもあります。
「スメハラ」とは?どんな問題が発生するの?
においに関する問題は、「スメル・ハラスメント(スメハラ)」と呼ばれており、近年はスメハラを問題視する声も増えてきました。スメハラとは体臭や口臭、柔軟剤などのにおいによって、周囲に迷惑をかける行為を指します。
- スメハラが原因で起きる職場トラブル
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- においを原因とする頭痛など体調不調を起こす人がいる
- 苦手なにおいによって不快になる人がいる
- においによって、仕事への集中が妨げられる
- においが人間関係の不和を引き起こす
スメハラは解決が難しい問題と考えられています。なぜかというと、スメハラには次のような特徴があるからです。
- スメハラの原因である本人は、においに無自覚であることが多い
- においに関して、相手を傷つけたり不快な気持ちにさせずに注意・指摘するのが難しい
- においに関する問題は、本人の気付きや努力で解決できるものとできないものがある
スメハラは解決が簡単ではありませんが、周囲や本人の取組次第で改善も可能です。次章からはスメハラによるストレスや負担を軽減するためのポイントを解説していきます。
スメハラ加害者にならないためのセルフチェック
他人のにおいが気になり始めると、自分もスメハラをしていないか不安になるものですよね。スメハラの加害者になることを予防するために、下記のセルフチェックを心がけることもおすすめです。
- 食事のスメハラ防止
- オフィスで食事する場合、においの強い食品(ラーメンやカレー、納豆、キムチなど)は控える
- 衣服のスメハラ防止
- 洗濯物は天日干しや乾燥機を活用し、生乾きを防ぐ
- 柔軟剤のスメハラ防止
- 柔軟剤を使うときは用量を守り、入れ過ぎを避ける。刺激が強い香料を避ける
- 香水・整髪料のスメハラ防止
- 香水や化粧品、整髪料の付け過ぎを避ける
- 体臭・汗のスメハラ防止
- 制汗剤や消臭スプレーでにおいを防ぐ
- 口臭のスメハラ防止
- 毎食後の歯磨きとフロスを怠らない。水分補給やガムなどで口の渇きを予防する
- タバコのスメハラ防止
- 仕事中は減煙・禁煙する。喫煙した場合は消臭スプレーや口臭スプレーを使う
- お酒のスメハラ防止
- 仕事の前日は飲み過ぎない。飲んだ後は水分補給をして代謝を促す
- 基本的なスメハラ防止
- 家族などに自分のにおいをチェックしてもらう。入浴など清潔を心がける
職場にいるにおいが強い人への賢い対処法
においが強い人が職場にいる場合、できるだけにおいによる被害を和らげるように工夫してみましょう。
- 職場の気になるにおいを軽減するポイント
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- マスクにアロマオイルを付ける
- 活性炭マスクの消臭効果を活用する
- 席替えをする
- オフィスに消臭グッズを置く
こうした工夫によって、においが気にならなくなったりにおいが和らぐでしょう。ただし本人がにおいの改善をしない限り、周囲の人を悩ませ続ける場合もあります。その場合はいかにして本人に伝えるかが重要です。
職場のにおいがキツイ人に注意・指摘する方法
においの元となる本人は、自分のにおいに気付かないことが多いのが特徴です。たとえにおいが強いとしても、人間の嗅覚は「順応」をしますのでにおいに慣れます。この慣れを「馴化」と呼び、特に自分のにおいに関しては馴化を起こしやすいと考えられています。
そのため、においに関する問題は周囲から指摘されるまで本人は気付かないことが多いのです。ただし本人ににおいに関して注意・指摘する場合、本人を傷つけたり怒らせてしまうこともあり得ます。
においについて注意・指摘するときは、下記のことを試してみましょう。
信頼関係を構築している人が伝える
においはとてもデリケートな話題です。そのため注意・指摘するときは、信頼関係がしっかりと構築されている人が適任です。信頼関係がない人が注意・指摘した場合、言われた人としてはどう受け止めればいいか悩んでしまいます。
また、信頼関係が構築されているとしても言い方には細心の注意を払いましょう。においを揶揄したりジョークにして笑うような言い方をした場合、信頼を失うだけでなくパワハラやセクハラと受け止められてしまいます。相手を気遣う気持ちを忘れずに、さりげなく伝えるのが理想です。
- においを注意・指摘するときの言い方
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- 「会社でスメルハラスメントの取り組みの話が出ていて…」と会社の姿勢として切り出す
- 「最近、においのマナーが重要視されているけど…」と一般論から切り出す
- 「部署内でにおいに関する相談が出ているんだけど…」と仕事上の必要性をアピールして切り出す
個人的な意見や好き嫌いで注意・指摘しているのではなく、「仕事上必要だから」というかたちで伝えるのもおすすめです。
みんなの前ではなく、1対1の状況で伝える
においに関して注意・指摘するときは大勢の前ではなく、1対1の状況で伝えるのが安心です。そうすることで言われた人の心が傷つくのを避けられます。
ただし1対1で伝えるときに懸念されるのが、においに関する注意・指摘を相手がセクハラやパワハラとして受け止めかねないことです。こうした事態が心配な場合は、信頼のおける第三者を交えて話し合うという方法もあります。
人事部から伝える
においに関する注意・指摘は、伝え方や相手との信頼関係次第でセクハラやパワハラ問題に発展するおそれがあります。そのため上司や先輩、同僚が伝えるよりも人事部から伝えた方がハラスメントのリスクを抑えられることもありますよ。
においに関する注意・指摘をどのように伝えるべきか悩んでいるときは、人事部に相談してみましょう。
社内の貼り紙や広報誌で注意喚起する
個人への注意ではなく、貼り紙や社内広報誌で全体に注意喚起するという方法もおすすめです。近年はスメハラの認知度が上がっていますので、ハラスメント防止としてスメハラ対策に取り組む会社も増えつつあります。
この場合、貼り紙の許可を会社にもらう必要があるかもしれません。総務部や広報部などに相談し、スメハラ周知に協力してもらうようにお願いするとスムーズでしょう。
においの原因となっている本人を気遣う
体臭や口臭は、病気または体調不良が原因であることもあります。そのため、においを注意・指摘するときは相手の体調を気遣ったり、何か悩みはないか聞いてみるというのも親切です。
職場のにおいに悩んでいるときの相談先は?
職場のにおいやにおいが強い人に悩んでいる場合、そのまま我慢したり放置するのではなく誰かに相談してみるのもおすすめです。本人同士で解決しようとした結果、人間関係のトラブルやセクハラ、パワハラに発展してしまうおそれがあります。
上司や人事部・総務部などに相談することで、会社が次のような対策を取ることもあるでしょう。
- 会社によるスメハラ防止の取組例
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- 人事研修などで、スメルハラスメントについての周知を行う
- ビジネスマナー研修などで、におい・香りのマナー教育を行う
- 会社の衛生委員会で会社全体に向けて注意喚起する
- 人事部や広報部が社内報での注意喚起する
- 就労規約・服装規定に、身だしなみやにおいケアの項目を入れる
- オフィスに空調機器を充実させる
おわりに:相手の心を思いやりながらにおい問題を解決しよう
においに関する問題はデリケートなため、注意・指摘するときも相手への思いやりが大切です。伝え方に悩んだときは上司や人事部など会社に相談しましょう。互いに良好な関係でこれからも仕事をするためにも、最善の方法を探してみてくださいね。
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