賃貸にせよ持ち家にせよ、巻き込まれる可能性があるのがご近所トラブル。自分が気を付けているつもりでも近隣住民の迷惑になる可能性はありますし、周囲にどんな人が引っ越してくるかはコントロールすることができません。
今回はご近所トラブルの事例や対処法、巻き込まれないようにするためにできることを学んでいきましょう。
騒音やバーベキューなどご近所トラブルの事例って?
まずはどの地域でも起こり得る、ご近所トラブルの具体例を見ていきましょう。
騒音トラブル
- 歩く音やドアの開け閉めなど、生活音がうるさい
- 洗濯機や掃除機の使用など、音の大きな家電を夜間に使う
- 夜間にもかかわらず大音量で音楽をかけたり、叫んだり、楽器を演奏する
- 庭先でバーベキューをしていて、遅い時間まで大人数で騒いでいる
- 携帯電話のバイブレーションが床を伝って響いてくる など
土地の境界や道路上のトラブル
- 近所に住む若者が、夜中に家の前の道路で騒ぐ
- 昼間、井戸端会議をする近隣住民が何時間も家の前で話している
- 自宅の敷地に無断で車を停めたり、植木を置くなどしている など
においに関するトラブル
- 近隣住民がベランダや庭、共有スペースで喫煙するため、においや煙が自宅へ流れてくる
- 庭先でバーベキューや焚火をする人がいて火の粉や煤、煙が流れてきて洗濯物ににおいがつく など
ゴミ関連のトラブル
- 自治体で定められた分別や曜日のルールを守らず、ゴミを出す近隣住民がいる
- 家の敷地にゴミを溜め込む住民がいて、道路や隣の私有地にあふれ出している
- 敷地に溜められたゴミが悪臭を放ったり、虫の発生源になっている など
ペット関連のトラブル
- ペット不可の物件であるにも関わらず、ペットを飼育する近隣住民がいる
- 近隣で飼育されている犬や猫、鳥などの鳴き声があまりにもうるさい
- 近隣住民が飼育する猫が家の周囲をうろつき、自宅の敷地に入ってくる
- 近隣で飼われているペットを見に来る人達がいて、騒いでうるさい など
子ども関連のトラブル
- 昼夜を問わず子どもの足音や泣き声、叫び声がうるさい
- 近隣の子どもと自分の子どもがケンカ、いじめの被害者・加害者となる
- 自宅の私有地で、近隣住民の子どもが許可なく買ってに遊んでいる
- 子ども同士のトラブルが原因で、近隣住民との関係が悪化した など
乗り物関連のトラブル
- バイクや車のエンジン音がうるさい
- 自転車やバイクが適切な場所に停められておらず、道や共有スペースをふさいでいる
- 自分の駐車スペースに、他の住民の車やバイク、自転車が停まっている など
共有スペースのトラブル
- エレベーターやベランダ、エントランスで大声を出す
- 私物を放置する
- 喫煙する
- 可燃物に火をつける など
嫌がらせを受けている
- 自分の敷地内に植えている植物を荒らされたり、盗まれる
- 自宅で大切に飼っているペットに危害を加え、ケガをさせる
- 自宅の前に車を停められ、通行を妨害される
- 敷地内にゴミを投げ入れたり、放火したり、壁に落書きなどをする
- 隣接する家の住民が覗いている など
このようなご近所トラブルが起こる背景には、以下のような理由があると考えられます。
- 御近所トラブルの原因となり得ること
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- マンションなどの集合住宅の場合、構造上どうしても生活音が近所へ伝わりやすいから
- 日本では1軒あたりの家の敷地が狭いため、けむりや騒音が近隣へ伝わりやすいから
- 自身が騒音や近隣住民への迷惑になっていると気付かず、生活している人も多いから
- 「互いに迷惑をかけるのはお互い様、持ちつ持たれつ」という感覚を持たずに生活する人が近隣に住んでいる
ご近所トラブルが起きたときの対処法
万が一、前章で見たようなご近所トラブルに巻き込まれたらどうすればいいのでしょうか。賃貸住宅や管理者のいる分譲マンションなどの場合、まず行うべきなのは物件の管理会社やオーナー、物件を紹介してくれた不動産会社などに相談することです。
誰が、いつ、どこで、なにを、なぜ、どのようにしてトラブルを起こしたのか。トラブルによる自身への被害や、解決のためにどうしてほしいかを整理し、できるだけ簡潔に伝えて、適切な対応を求めましょう。
対して住処が戸建ての分譲住宅の場合、管理会社などに相談するという方法は使えません。この場合は、まず被害を録音や録画、撮影したり、日時とともに書き留めておくなどしてトラブルの証拠を集めるのがおすすめです。十分に証拠を集め、トラブルの加害者が言い逃れできないようにしたうえで、弁護士などに相談し、冷静な第三者を通して話し合いや交渉を進めてください。
なお、トラブルになっている相手と直接話し合うことはおすすめしません。これは、トラブルを解決するための話し合いが重大なケンカや事件に発展するおそれがあるためです。
トラブルを訴えられた相手は、あなたがどんなに丁寧かつ真摯に正論を伝えても「嫌なことを言われた」と少なからず感じてしまいます。逆上されてケンカになると、今後その土地で暮らしづらくなるかもしれませんし、トラブルが激化して嫌がらせをされる可能性もあります。
自身と家族の身の安全、また暮らしを守るため、ご近所トラブルの相手とは直接話し合わず、まずは証拠を集めることを徹底してください。
マナーが大事!ご近所付き合いで守りたいこと
避けられるものなら、ご近所トラブルが起こる前に予防策を取っておきたいですよね。
ご近所トラブルで迷惑をかけられる側にも、かける側にもならないためにできる対策としては、以下が挙げられます。
- ご近所トラブルの効果的な予防策
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- 小さな子どもがいる、楽器を演奏する可能性はあらかじめ近隣に伝えておく
- 音の大きな家電の使用、楽器の演奏は8~20時くらいの間だけにする
- 夜間の水音が気になる人もいるので、お風呂も0時くらいまでに済ませる
- 騒音対策するならカーテンを閉める、大きな家具を壁際に置くなどをすると効果的
- 防音性や遮音性のあるガラスやサッシ、マットなどを使い騒音対策をする
- 嫌がらせで覗かれる可能性、盗撮される可能性を加味して入浴中は窓を閉める
- 粗大ゴミを含め、ゴミの分別やゴミ出しの曜日、時間帯のルールは徹底して守る
- 駐車場や駐輪場は、たとえ一時的であっても契約箇所以外に置かない
- 共有部分に私物を置かない
- トラブルになりそうな要素は、あらかじめ管理会社などへ伝えておく
- 植木鉢や草木の枝葉が、自身の敷地を超え近隣の敷地に侵入していなか常に見ておく
- 庭先でバーベキューをしたい場合は、近隣住民へ事前にひと言断りを入れておく
- 自治会の活動などに積極的に参加し、近隣住民との信頼関係を築く
できそうなところから、できる範囲で上記の予防策を実践しましょう。
ご近所トラブル予防に!引越の事前チェックですべきこと
引越前の段階に、ご近所トラブルに遭う可能性はあるかどうか下調べしておくと安心です。
以下に、ご近所トラブルに巻き込まれないために引越前にチェックしておくべきこと、情報収集のポイントをまとめましたので、参考にしてください。
ご近所トラブル予防のため、引越前に知っておくべきこと
- 不動産屋に対して
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- 紹介された集合住宅、または戸建ての近隣に現時点で住む住民の性別や家族構成、生活スタイルなどについて可能な限り聞きだす
- 過去にその集合住宅、または地区、町会で起きたトラブルの概要
- ペットを飼っている、楽器を演奏する、小さい子どもがいるなど自身にトラブルの要因がある場合は、関連するルールについて詳しく聞いておく
- 物件を内見するときは
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- 自身が見に来た部屋、住宅の中に加え、共用部分や掲示板、ゴミ捨てもよく見ておく
- 集合住宅の共用部分やゴミ置き場が清潔でない、駐輪場が整理されていない場合は、管理が行き届いておらずトラブルが起こる可能性が高い
- 掲示板には、何らかのトラブルに関する警告文や注意喚起が張り出されていないかを確認
- 戸建て物件の壁、家の裏側、庭などにゴミや不審火の痕跡がないかもチェックする
- 近隣住民と顔を合わせたら
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- 後々のトラブルの発端とならないよう、近隣住民と会う機会があれば笑顔で挨拶する
無理して自力解決せずに法律のプロや警察、役所に相談を
ご近所トラブルに悩み、管理会社などに相談しても解決の兆しが見えないときは、以下のような機関に相談してください。
- お住まいの役所の生活課窓口
- 町内会や自治会の会長さん、またはその地域を地盤とする議員
- 警察署、または警察相談専用電話#9110
- 弁護士
まずはトラブル解決のためのアドバイスが欲しい、力添えが欲しいと言うのなら、役所の生活課窓口や町内会・自治会の会長さんに相談すると良いでしょう。
役所や自治会の力を借りてもトラブルが解決せず、嫌がらせが始まったり、身の危険を感じるようなら最寄りの警察署に相談・通報し、相手のもとを訪問してもらってください。
それでもだめなら、集めた証拠を持って弁護士に相談するのがおすすめです。証拠をもとに被害と損害、どうしてほしいかを弁護士に伝えれば、法の専門家として冷静に相手方との話し合いや交渉、法的措置を代行してくれます。
おわりに:互いに思いやりを持って接すれば、ご近所トラブルは避けられる
ご近所トラブルの多くは、各家の生活スタイルや感覚の違いから起こります。このため悪意がなく、普通に生活をしているだけで周囲に迷惑をかけてしまい、ご近所トラブルを引き起こすケースもあるのです。しかしご近所トラブルの多くは、夜8時以降は大きな音を出さない、ゴミ出しや駐車・駐輪のルールを厳守するなど、生活するうえで最低限のマナーを守るようにするだけで避けられます。周囲への思いやりを持って生活するようにしましょう。
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