【後編】時間にルーズだとプライベートも仕事もトラブル続出?

時間を守れない社会人こころの悩み
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時間にルーズな人は、出勤時間や人との約束を守るのが苦手な傾向があります。前編では時間にルーズな人の特徴を紹介しました。この記事では遅刻に悩む人が知っておきたい「フレックス制度」や「時差出勤」を解説します。

また、遅刻の原因として考えられるADHDという障害について紹介していきます。

この記事でわかること
  • フレックスや時差出勤など会社の制度の活用法
  • 時間にルーズが直らないのはADHDが原因の可能性もある?
  • ADHDの人が遅刻を改善するためにできること

会社の出勤形態を確認!フレックスタイム制や時差出勤って?

会社の中には、出勤形態としてフレックスタイム制や時差出勤を採用しているところもあります。どうしても出勤の時間が守れない人で、会社がフレックスタイム制や時差出勤制度を採用している場合は、こうした制度の利用を会社に相談してみると良いかもしれません。それぞれの制度の概要やメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

フレックスタイム制ってどんな制度?

フレックスタイム制とは、決められた期間の総労働時間内であれば、会社に従事している社員が自ら労働時間の配分を調整できるという制度のことです。決められた期間の設定単位は会社によって1週間、1ヶ月などさまざまです。日本では労働時間や週休日数が決まっていることから、社員の判断だけで労働時間を決めるのは難しいのですが、フレックスタイム制では個人の裁量で始業時刻と就業時刻を決めることが許可されています。

フレックスタイム制には「コアタイム」と「フレキシブルタイム」があります。

コアタイムとは
1日の中で必ず働かなくてはならない時間帯が設定されている形態
フレキシブルタイムとは
必ず働かなくてはならない時間帯がなく、社員自身が就業時間帯を自由に決められる形態

フレックスタイム制を採用するメリットには、主に以下の3つがあります。

私生活との両立がしやすい
  • プライベートに比重を置き、仕事とプライベートをうまく両立したい人に
  • 社員にとって、ワークライフバランスを保ちながら働きやすい環境に
仕事の効率化になる
  • 仕事のない日は休む、ある日はきっちり労働するというメリハリのある時間配分ができる
  • 社員のモチベーションが上がり、仕事の効率化につながる
社員の自由度を高めることで、人材を留められる
  • がっちりと会社側が労働時間を設定しないことで、自由度が高く好きなことに打ち込む時間を増やせる
  • 社員が仕事をやりやすいと感じられることは、働きやすさにつながる
  • 会社に留まりたいという人を増やし、人材確保しやすくなる

フレックスタイムのメリットとしては、やはりワークライフバランスを保ちやすく、社員にとって働きやすい環境になることが挙げられます。働きやすい環境になることで、社員のモチベーションが上がったり、優秀な人材を確保したりすることにもつながるでしょう。

一方で、フレックスタイムのデメリットとしては以下の2点が挙げられます。

現在採用していない場合、実用化に時間がかかる
  • フレックスタイムを導入するためには、就業規則を変更する必要がある
  • どこまで導入するか、会社の中でどう活かすかといった調整が必要
  • 導入の検討・相談・就業規則の作成という手順を踏み、会社と労働者代表の間で労使協定の同意を得なくてはならない
社内や外部との連携で不備が出る可能性がある
  • 自由度が高いのは魅力だが、働く時間が社員ごとにバラバラになる
  • 社内連携に不備が出たり、外部との話し合いがスムーズにいかなかったりする可能性が
  • 何か起こったとき、対応できる人がいない可能性も考え、必ず対応策を決めておく
  • 自己管理が苦手な社員はルーズな働き方になる可能性もあるため、悪い方向に傾いていかないよう注意が必要

フレックスタイムのデメリットは、実用化前の規則変更に関する問題と、連携に関する問題の2点が挙げられます。特に、何か起こったときに必ずしも対応できる人が出勤しているとは限らないため、ある社員が出勤していないとできないことに関しては、必ず対応策を講じておかなくてはなりません。

また、「フレックスタイム制を導入すると残業代が出ない」と思い込んでいる人もいますが、それは違います。事前に決めた1週間、1ヶ月といった精算期間の総労働時間を超えて労働を行なった場合には、超過した分の残業代を支給する必要があります。例えば、1週間に40時間労働すると決めていた場合、7時間労働を6日行えば、2時間の残業代が発生します。

経営者・管理者の視点から「社員が自分で労働時間を決めるのだから、残業はないだろう」と軽く考えていると、大きな問題になりかねません。特に、深夜や休日に従事した場合の割増賃金も労働基準法に基づいて適用されることがあります。つまり、フレックスタイム制であっても、労働者としての権利がなくなるわけではありませんので、社員としては安心して働けるでしょう。

時差出勤にはどんなメリット・デメリットがあるの?

時差出勤とは始業時刻を変更し、通勤に伴う諸問題の解決を目的とした制度のことです。満員電車によるストレスや、通勤時刻が重なることによる渋滞の発生などの解決手段として有効と考えられています。近年では、新型コロナウイルスの影響を鑑みて、公共交通機関における感染拡大を防ぐためにも時差出勤が注目されています。

フレックスタイムとの大きな違いとして、始業時刻と終業時刻、その間の労働時間を自由に設定できるわけではないということが挙げられます。時差出勤は始業時刻と終業時刻を同じだけ後ろにずらすものなので、労働時間そのものが社員ごとにバラバラになるわけではありません

時差出勤のメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

満員電車を避けられる
  • 満員電車を避けられるので、特に数時間かかるような社員のストレス軽減に有効
  • ウイルス・細菌などの感染症リスクを下げられる
  • 忙しくなりやすい朝の時間に余裕ができるので、精神的にも肉体的にも余裕ができ、業務効率や生産性アップにつながる
ワークライフバランスを保ちやすい
  • 子どもの送り迎えやお弁当作りなど、プライベートの満足度をアップできる
  • 始業時刻を早めて終業時刻を早めれば、夜に家族の時間を持てる

時差出勤は、満員電車を避けてストレスを軽減したり、感染症リスクを下げたりできるだけでなく、朝の忙しい時間に余裕を持ちたい人や、仕事を早く終えて夜は家族の団欒に使いたいという人にも大きなメリットがあります。

一方で、以下の2点のデメリットもあります。

帰りの時間が遅くなる
  • 出勤時刻を遅くすれば、その分退勤時刻も遅くなる
  • 朝の時間に余力を持たせられるメリットがあることから、一長一短とも言える
  • 夜の時間を確保したい従業員もいるため、導入前にアンケートなどで希望を確認しておくとよい
スケジュール調整が難しくなる
  • 顧客との打ち合わせ、時差出勤を行わない部署との連携などにスケジュール調整が必要
  • 外部との打ち合わせが多い従業員の場合、始業時間が遅すぎると準備が間に合わないことも
  • ミーティングを行うときは、全員が出勤している時間帯に行う必要がある

時差出勤のデメリットは、始業時刻を遅らせた分、終業時刻も遅くなるところです。この点に注意して時差出勤の希望を出さないと、帰宅が遅くなることで疲れが溜まり、起きる時間も遅くなってしまう可能性がありますので、注意しましょう。

時間を守れないのはADHDが原因かも?治療薬の効果って?

ADHD(注意欠如・多動性障害/注意欠如・多動症)と呼ばれる発達障害を持つ人は、時間や期日を守れないという特性が出やすい傾向にあります。ADHDの特性の出方は人によって異なりますが、主に以下の3つの特性が中心となっています。

不注意(気が散ってしまう)
  • 家庭:部屋が片付けられない、外出の準備がいつも間に合わない、家事を効率よくこなせない、金銭管理が苦手
  • 人間関係:約束の時間に間に合わない、約束を忘れる、人の話を集中して聞けない
  • 職場:仕事に必要なものをなくす・忘れる、期日を守れない、最後まできちんと終えられない、ケアレスミスが多い
多動性(じっとしていられない)
  • 家庭:家事の途中で別のことに気をとられやすい、おしゃべりに夢中になって家事を忘れる
  • 人間関係:おしゃべりを始めるととまらない、自分のことばかり話してしまう
  • 職場:会議中や仕事中に落ち着かずそわそわする、貧乏ゆすりや机を指先で叩くのがやめられない
衝動性(思いついたらすぐに行動してしまう)
  • 家庭:衝動買い、言いたいことを我慢してイライラする
  • 人間関係:衝動的に人を傷つけるような発言をする、ささいなことで叱責してしまう
  • 職場:会議中に不用意な発言をする、周囲に相談せず独断で重要なことを決めてしまう

こうした特徴に心当たりがあり、日常生活や人間関係でさまざまな困難がある状態なら、ADHDの可能性があると考えられます。ぜひ一度、専門医に診察・診断してもらいましょう。また、ADHDの症状がつらい場合は、緩和するために神経伝達物質(ホルモン)の量を調整する以下のような薬を使うことも検討します。

ストラテラ(アモキサンチン)
  • ノルアドレナリンの量を増やす薬で、インチュニブやコンサータと比べて副作用が出にくい
  • 不注意・多動性・衝動性の全てに効果が期待でき、子どもから大人まで服用できるので使いやすい
  • 一般的に飲み始めてから2〜4週間で効果が見られるが、遅いと8週間程度かかることも
  • 副作用:眠気、吐き気、腹痛など
インチュニブ(グアンファシン)
  • ADHDの治療薬で最も新しく、ノルアドレナリンが働きやすい環境を整える
  • 効果が出るまでの期間が約1〜2週間と早いが、効き目はストラテラより穏やか
  • 小児期におけるADHDにしか適応がなく、18歳以上の人は自費となってしまう
  • 副作用:眠気、頭痛、血圧低下など(※もともと血圧降下薬として開発されていた)
コンサータ(メチルフェニデート)
  • 中枢を刺激し、ノルアドレナリンとドーパミンの働きを増加させる
  • ADHDへの効果が認められてはいるが、使用には注意が必要なため、十分な知識を持つ医師や看護師がいる環境でしか処方できない
  • 副作用:寝つきが悪くなる(朝に飲む)、食欲減退(特に、昼食があまり食べられなくなる)など

ADHDの人におすすめ!時間管理方法

ADHDを持つ人も、特性を自分でしっかり理解していれば以下のような遅刻対策を行えます。とはいえ、発達障害は脳の特性の偏りによって症状が出ているため、セルフケアだけですべてをカバーするのは難しいと考えられています。家族・友人・職場の同僚や上司など、周囲の人に理解や助けを求めることも必要です。

特に、絶対に遅刻できない状況のときにはセルフケアだけに頼らず、できるだけ周囲の人に事情を話して理解と助けを求めましょう。その上で、自分でできそうなことはセルフケアでカバーしていくと、自立もできた上で理解や助けを求められるので、周囲の信頼や助けも得られやすくなります。

遅刻対策①:作業ごとにアラームを設定

ADHDの「時間経過を体感的に把握しにくい」という人だけでなく、ASD(自閉症スペクトラム)の「特定の分野に対して強い興味を持つ」という人にも有効な方法で、いずれも作業に過集中してしまいやすく、寝食を忘れて取り組んでしまうという場合、作業ごとや予定ごとにアラームを設定しておきましょう。

予定をしっかり守るため、支度を開始する時間までアラームとして設定しておくと、後から慌てて準備して遅刻したり忘れ物をしたりする、というリスクを下げられます。人によっては「アラーム音が不快」という場合もありますが、そういった場合には通知音を変えられるアプリを使うのが良いでしょう。

周囲にアラーム音を聞かれたくない、作業に集中するためにイヤホンをしている、という人の場合もイヤホンに通知できるアラームアプリがあります。いずれも手軽に利用できますので、ぜひ活用してみましょう。

遅刻対策②:できるだけ前日に準備する

当日の支度に時間がかかって遅刻しやすいという人や、つい忘れ物をして取りに戻ることが多いという人には、「持ち物や服を前日に準備する」という方法が有効です。特に、持ち物を準備するときはできるだけ一つのバッグにまとめましょう。複数に分けてしまうとバッグごと忘れてしまうこともありますので、特に普段から持ち歩くものは一つのバッグにまとめておきましょう。

バッグを複数に分けて、目につくところにまとめて置いておくという対策も考えられますが、ADHDの人にとっては「注意が他の場所に向いた結果、バッグごと忘れてしまう」というリスクが高いため、あまり推奨できません。

遅刻対策③:毎日の起床・就寝時刻を決めておく

ADHDやASDの人は、集中力の高さから夜更かしをしやすい傾向にありますが、起床と就寝の時間を厳格に定めて習慣とすることで、生活リズムを安定させられます。自分の生活上のルールとして「起床・就寝時刻を厳守する」ということを明確にしましょう。

いきなり起床・就寝の両方の時刻を固定するのは難しいという人は、まず起床の時刻を固定化し、習慣にしましょう。家族など同居している人がいれば、就寝の30分前に声をかけてもらうなど、協力を仰ぐのもおすすめです。

遅刻対策④:日頃から所要時間を計測する

特に時間処理が難しい特性を持つ人に有効で、食事・歯磨きなどの日常動作、定期的に行う業務などを遂行するのにどれだけの時間がかかっているのか計測する方法です。その日のコンディションなどで多少の違いはありますが、だいたいの目安は計測できるでしょう。計測したらメモしたり記憶したりしておき、所要時間の見積もりに利用します。

時間を計測するクセをつけておくと、体感時間と実際の所要時間のズレを意識し、修正するのにも役立ちます。時間を逆算するのが苦手で遅刻しやすいという発達特性を持っている人は、ぜひ生活に取り入れてみましょう。

遅刻対策⑤:前倒しで行動する

待ち合わせ場所を勘違いしやすい、遅延や運休が出ていても交通情報を調べる習慣がなく遅刻しやすい、という人におすすめの方法です。事前準備や下調べが苦手でも、日頃から予定より早く行動するクセをつけておけば、計算外の事態が発生してもリカバリーできる可能性が高くなります。

特に、遅刻した時に「あと何分あれば遅刻しなかったか」を考え、前倒しで行動するときの前倒し時間の目安にすると良いでしょう。「20分前に到着する予定で行く」など、マイルールを作って前倒しで行動するクセをつけましょう。

遅刻対策⑥:予定時刻を早めに設定してもらう

自分自身ではなく、友人や同僚に「待ち合わせのときは、本来の時刻より早めの時刻を指定してほしい」とお願いする方法です。このとき、時間の目安を提示してしまうと「あと何分くらいは遅れても問題ない」という発想になってしまうので遅刻しやすくなります。時間の判断は、相手に任せましょう。

遅刻対策⑦:当日にリマインドできる仕組みを作る

予定そのものを忘れてしまいがちな人は、当日リマインドできる仕組みを作りましょう。具体的には、以下のような方法があります。

  • 机やドアなど、目につくところに予定を書いた紙を貼る
  • 家族や同居人に、その日の予定を確認するよう促してもらう
  • 毎朝、予定帳を確認することを習慣にする
  • アプリでリマインダーを設定する

紙やアプリに予定をまとめるときは、できるだけシンプルで目立つようまとめましょう。目に留めても読み飛ばしてしまっては意味がありませんので、工夫が必要です。周囲の人に予定を尋ねて教えてもらうことも良いのですが、自分自身が確認できるような努力もしていきましょう。スマホ標準のカレンダーアプリはもちろん、さまざまなアプリがありますので、ぜひ活用してください。

前編はこちら

【前編】時間にルーズだとプライベートも仕事もトラブル続出?
「時間にルーズな人は嫌われる・印象がよくない」とよく言われます。仕事でもプライベートでも、約束の時間を守ることは重要で、人を待たせると好印象を残せない傾向にあります。そのため、時間にルーズな人はプライベートでも仕事でもトラブルを抱えやすいもの。友人関係や仕事のトラブル予防として、時間を守る方法を身につけましょう。

おわりに:出勤の制度や治療など自分に合った方法で時間を守ろう

仕事での遅刻を防ぎたい人は、会社の制度にフレックス制度や時差出勤がないか確認してみましょう。また、時間にルーズなのは性格が原因なのではなく、ADHDという発達障害によるものかもしれません。あなたの悩みに合った対策で、遅刻を防いでくださいね。

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