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ステークホルダーは社内外の利害関係者のこと?企業のエンゲージメント事例も紹介

企業にとってのステークホルダー 仕事がうまくいかない
この記事は約11分で読めます。

ニュースや企業の広報で、また会議中に「ステークホルダー」という言葉を聞いたことはありませんか。ビジネス用語のひとつですが、よく理解していない人も多いでしょう。

今回はステークホルダーとは何か、似た響きを持つシェアホルダーとの違いや、ステークホルダーと組み合わせて使われることの多い類似語の意味と一緒に理解していきましょう。

この記事でわかること
  • ステークホルダー、ストックホルダー、シェアホルダーの違い
  • 会議などでステークホルダーが使われたときの意味
  • ステークホルダー・エンゲージメントを高めるメリット
  • 従業員のやる気アップ、社会貢献なども!企業の事例

社会人なら理解しておきたい「ステークホルダー」の意味とは

ステークホルダーの由来は、英語で掛け金という意味を持つ「stake(ステーク)」と、保有する人という意味の「holder(ホルダー)」を組み合わせたビジネス用語です。1984年、哲学者のR.エドワード・フリーマンの著者によって知られるようになったこの言葉は「ビジネス上の利害関係者」という意味を持ちます。

特に企業、団体にとって何らかの利害関係のある個人や団体を指す総称として使われる言葉であり、中心となる組織との関係性により大きく以下2種類に分けられます。

ステークホルダーの分類

直接的ステークホルダー
企業や団体など、中心と考える組織の活動や規模に直接影響し合う利害関係者のこと。具体的には組織の従業員や消費者、直接のクライアント、株主、金融機関などがこれに当たる。
間接的ステークホルダー
企業や団体など、中心と考える組織の活動や規模に間接的、または相互作用的に影響を及ぼし合う利害関係者のこと。具体的には従業員の家族や政府、地域社会などが該当する。

なお、ステークホルダーを理解するうえでの利害関係者とは、必ずしも金銭的な関係・取引があるもの同士とは限りません。また利害関係が一致する相手だけが該当するわけでもなく、ライバル企業など、利害関係が相反する相手もステークホルダーに含まれます。中心として考える組織に、何らかのかたちで影響し合うものすべてが対象となります。

ステークホルダーと似た響きの言葉に「ストックホルダー」や「シェアホルダー」がありますが、これらは組織と影響し合うステークホルダーの一種です。

ストックホルダーとは
その企業の株を保有する株主のこと。ここから転じて、「ストックホルダー企業」は株主の利益を最優先にした経営を行う企業を指す。
シェアホルダーとは
その企業の株主の中でも、議決権を有する株主を指す言葉。ストックホルダーと同様に、ステークホルダーのなかでも強い影響力を持つ存在。

ステークホルダーは、あくまで上記のようなストックホルダー、シェアホルダーを含む組織に影響を与える個人・団体の総称です。これら3つの言葉の違いも、それぞれの意味と一緒に覚えておきましょう。

【例文あり】状況やトピックによって変わるステークホルダーの意味

組織に影響を与えるさまざまな個人・団体の総称であるステークホルダーという言葉が差す具体的な対象は、そのときの状況や文脈により大きく変わってきます。ただ一般的な傾向として、従業員やその家族、特定のクライアントに対しわざわざステークホルダーと呼称する可能性は低いと言えるでしょう。

特に企業全体に関わる課題や、今後の経営方針など組織の将来を左右するようなテーマを話し合ったり、発表する際に使われることがほとんどです。しかし、社内で日常的に使う「ステークホルダー」という言葉のなかに、どこまでが対象として含めるかの定義は、企業文化によっても大きく異なります。

ビジネスの場で「ステークホルダー」という単語が出てきたときは、前後の文脈や業界・社内の常識、現況により的確に推測して理解する必要があるのです。

以下にステークホルダーを使った例文と、それぞれ文章におけるステークホルダーの意味・対象者を紹介していきますので、理解にお役立てくださいね。

ステークホルダーを使った例文集

株主を指すケース
【例文】「次回以降の株主総会では、ステークホルダーの理解を十分に得られるような丁寧、かつ真摯な説明が求められる」
【解説】「株主総会」というワードがあることから、主に自社の株主を指していると考えられる。
主にクライアントを指すケース
【例文】「ステークホルダー協力を得て、状況を改善できるよう経営を行っていく」
【解説】経営者会議での発言であれば、主にクライアントを指していると考えられる。ただし、財政に関することなど特定の話題であれば、金融機関だけを指している可能性も高い。
複数のステークホルダーを指すケース①
【例文】「企業経営者の想いを、ステークホルダーへ積極的に発信していくべきだ」
【解説】主には株主やクライアントなど、自社の利益に直接関わるところへの発言だと考えられる。しかし採用活動などの話題に対し発現された場合は、既存の従業員や求職者を想定している可能性も
複数のステークホルダーを指すケース②
【例文】「ステークホルダーとの関係を意識し、互いに高め合っていけるよう努力しよう」
【解説】経営者会議での発言であれば、従業員とその家族、クライアント、地域社会まで幅広く指している可能性が高い。従業員へ向けての発言であれば、地域社会やクライアントが主な対象だと考えられる。
複数のステークホルダーを指すケース③
【例文】「経営の健全性、コンプライアンスへの姿勢を伝えるため、ステークホルダーへの積極的な情報公開が求められている」
【解説】経営状況にも言及していることから、主に経営に関わる役員などの経営者層、株主、クライアントを指すと考えられる。
複数のステークホルダーを指すケース④
【例文】「ステークホルダーに対し、責任を果たすのが自社の企業の務めと考える」
【解説】組織としての社会的責任に言及していることから、顧客や取引のある金融機関はもちろん、従業員やその家族、地域社会まで幅広い個人・団体が対象になっている可能性が高い。

企業による取組「ステークホルダー・エンゲージメント」とは

ここからは、ステークホルダーという言葉が入ったビジネス用語について、その意味や違いを解説していきます。まず紹介するのは「ステークホルダー・エンゲージメント」という言葉です。ステークホルダー・エンゲージメントには、以下のような意味があります。

ステークホルダー・エンゲージメントの意味
  • ステークホルダーである個人や団体が、その組織の事業内容や経営理念、また自分達が組織へ与える影響などを適切に理解し、前向きに受け入れている状態
  • 組織側がステークホルダーに対し、良好かつ強固な信頼関係を構築するために行っている取組みのこと
  • ステークホルダーが興味を持つ事柄について理解するため、組織が行う取組みのこと

具体的には、以下のような活動を行うことがステークホルダー・エンゲージメントに当たります。

ステークホルダー・エンゲージメントの具体例

株主や投資家に対して
総会や説明会を定期的に開催する、問題が発生した場合は迅速に臨時説明会を催す など
クライアントに対して
方針説明会の実施、自社に関する調査アンケートの実施、懇親会の実施 など
消費者に対して
製品展示会の開催、詳細な商品情報の提供、カスタマーサポートの設置 など
従業員やその家族に対して
意識調査や職場環境の満足度の調査、また職場環境や効率向上のためのルール変更、労使懇親会の開催 など
地域社会に対して
従業員との懇談会や工場見学、施設のお披露目会、市民団体やNGO・NPO団体との協働、講演会を主催する など

このような取り組みによってステークホルダー・エンゲージメントを高めることにより、企業はますます大きな資金や信頼を関係各所、従業員、地域社会から勝ち取ることができ、成長していけるのです。

プロジェクトを円滑に進めるための「ステークホルダー・マネジメント」とは

進行中の案件について、影響を及ぼし合う可能性のある対象=ステークホルダーを特定し、互いに効果的に関与していけるよう戦略を立てることを「ステークホルダー・マネジメント」と言います。

以下に、ステークホルダー・マネジメントの手順を具体的に説明していくので、上記の説明と併せて理解にお役立てくださいね。

ステークホルダー・マネジメントの手順

①案件に対してのステークホルダーを分析・特定する
  • 案件の関係書類から、ステークホルダーになり得る個人や団体をすべてリストアップする
  • リストアップしたステークホルダーを役割、案件への影響度などの関連情報を加味しながら分析し、コンタクトを取るべき代表者を洗い出す
②ステークホルダーに案件へ関与してもらうべく、計画を立てる
  • 1で洗い出した重要度、影響度の高い個人や団体から優先的に、ステークホルダーに進行中の案件に関与してもらうための戦略を立てていく
  • 各ステークホルダーの関心度、権力度を考慮したうえで案件へ参加してもらう時期、方法を計画し、しかるべきタイミングがきたらコンタクトを取る
  • 各ステークホルダーに合わせて考えた計画をもとに、案件を一緒に進めていく
③案件の進行を通して、ステークホルダー・エンゲージメントを高めていく
  • 計画に基づき密にコミュニケーションを取りながら、案件を進めていく
  • 各ステークホルダーと案件を進める中で互いの信頼関係=ステークホルダー・エンゲージメントを高めていく
  • しっかり案件の進捗を把握し、各ステークホルダーに満足してもらえるよう意識しながらも、トラブルにならないようステークホルダーを管理を続ける
④ステークホルダー・エンゲージメント・コントロールを続けていく
  • 以降はステークホルダーの監視、進捗状況に合わせた計画の調整を都度行いながら、互いにとって良い関係を続けられるよう状況をコントロールしていく

経営計画などに役立つ「ステークホルダー・ダイアログ」とは

直接的・間接的ステークホルダーと幅広く直接対話をし、彼らの意見を企業経営や自社案件に反映することを「ステークホルダー・ダイアログ」と言います。意見を求める対象は、主に弁護士や大学教授、自社に関わる分野の専門機関の代表など。

一般の従業員や消費者が、ステークホルダー・ダイアログの対象となることはほとんどありません。ただし、消費者へのアンケートや説明会を通して、ステークホルダー・ダイアログが行われるケースもあります。企業側は、ステークホルダー・ダイアログを通して彼ら・彼女らのニーズや考え方を理解することで、よりステークホルダー心理に合った経営計画を立てられるようになるのです。

企業のステークホルダーエンゲージメントなど実践例

最後に、各企業が行っているステークホルダー・エンゲージメントの実例を3つ紹介していきます。

1:ミズノの場合

取引先に対して
委託先である海外工場での人権、労働安全衛生確保のため、現地スタッフと積極的なコミュニケーションをはかる。また定期的な監査を行い、フォローアップミーティングで現状の把握、現状改善のために必要なアドバイスを提供。
従業員に対して
ミズノユニオン、UAゼンセンと定期的に情報交換を行う。情報交換会は2020年2月にも行われ、CSR調達の取り組み実績や懸案塩港についての報告や、労働組合側の動き、関心事項などについて伝えられた。

2:SUBARUの場合

取引先に対して
国内販売特約店の社長、幹部とSUBARU幹部のおよそ1,000人が出席するミーティングを開催し、2025年までの到達目標とすべき「愛されるSUBARU」像について意見交換を行う。また、特約店従業員に対しては群馬工場視察を実施し、工場で働く従業員の姿と製造工程を公開することで、消費者へ品質向上のための取り組みを伝えてもらえるようにした。
従業員に対して
モチベーション向上や情報共有のため、社内向けの広報誌を毎月発行。重要な情報もタイムリーに全従業員で共有できるよう、一人ひとりへのメールでの情報発信も併用している他、経営層が各事業所を定期的に訪れての対話の場も設けている。
消費者に対して
「正確・迅速・適切・公正・公平・新設」を基本と市、お客様第一を基軸に事業に取り組む。消費者から得た意見、要望、指摘は関連部署へフィードバックし、品質やアフターケアの改善に活かしている。
地域社会に対して
事業所を置く地域住民と互いに信頼し、発展していけるよう「地域の発展と住み良い街づくり」を目標に、積極的にコミュニケーションをはかる。具体的には「スバル地区交流会」などを1995年より開催。群馬県太田市、栃木県宇都宮市、東京都渋谷区・三鷹市などの地域でイベントを実施。

3:サッポロホールディングスの場合</h3

取引先に対して
毎年、主要な取引先向けに方針説明会を開催、調達に向けた取り組みを共有。取引先には、自社のサスティナビリティへの取り組み状況に関するセルフチェックの提出も依頼している。その一方で、サッポログループが取引先に対し無理な調達を行っていないか、基本方針に沿った調達を行っているかの調査への協力依頼も行う。
消費者に対して
代表的商品であるポッカレモンにちなみ、「レモンのチカラ」を楽しく学べる食育プログラムを子どもたちへ提供。「レモンマイスター」という社内資格に合格した従業員が講師として出向き、各地でレモンのチカラを取り入れた食生活の提案を行っている

おわりに:ステークホルダーとは企業と利害関係があり、互いに影響し合うすべての個人、団体のこと

健全な経営のため、そして取引先の経営状況や、従業員・消費者・地域の生活を担う社会的責任を果たすために、企業経営者はステークホルダーの意味や概念を理解しておかねばなりません。対象が幅広く、意味するところも状況や文脈によって変わるややこしい言葉ですが、知っておけばビジネス上のやり取りがスムーズになるはずです。本記事を言葉の理解と、自社のステークホルダー・エンゲージメントの高め方を考えるための参考にしてください。

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